24 / 125
愛
しおりを挟む
「それでお母様。どのようなご用件ですか? 」
ボーっとしてるものだからヴィーナに心配されてしまった。
「実はお姉様から手紙が届きました。明後日来るとのことです」
姉から手紙が届いた。
ヴィーナたちが来ることは知らせていたのでいつかはと思っていましたが。
まさか明後日とは些か急すぎる。
「久しぶりでしょう」
「うん。お世話してもらってから会いに行けてなかった」
言い訳はいくらでも立つが忘れていたのだろう。
姉はそんなヴィーナを可愛がってくれる。
ヴィーナのサポート役。
「これはヴィーナ宛だから。後で知らせて頂戴」
「へえ。おばさん来るんだ」
不機嫌だったヴィーナはチャウチャウと姉のおかげで笑顔を取り戻す。
明後日か。また騒がしくなりそうね。
コンコン
コンコン
楽しい宴も終えお待ちかねの説教タイム。
ここのところボノと行動するセピユロスの態度が軽いと言うか大柄になりつつある。
まるで私をからかって楽しんでいるような気がしてならない。
私がここの主人。ご主人様だと言うことを忘れてないか。
これではボノの二の舞。
セピユロスの暴走をどうにか止めなければなりません。
仮にボノに唆されただけだとしても放っては置けない。
後々のトラブルになりかねない。
ここで止めなければヴィーナが苦労することになる。
あの素敵なセピユロスさんがボノのように女遊びで堕落していく姿は見たくない。
私の手で何としても立ち直らせてあげなくては。
「どうぞ」
取り敢えず冷静に冷静に。
「おお愛しのディーテ。今日も一段と美しい」
またも歯の浮くようなキザったらしいセリフで登場。
私が喜ぶとでも思ってるのですか?
もちろん本気ならそれは大歓迎ですけど。
彼に限ってそんなこと有り得ない。
「おお愛しのディーテ」
どれだけ情熱的に来られようと受け入れられるはずがない。
一体何人の女に囁いてるのか。
私をその辺の初心な女と一緒にしないでほしい。
「セピユロスさんいらっしゃい。今日もおふざけが過ぎますね」
大人の対応で余裕を見せる。
いちいちイライラしていては先に話が進んでいかない。
今夜は彼の為に直々にお説教。
「ふざけているでしょうか? 」
心外だとばかりに手を広げるセピユロス。
「セピユロスさん! 」
「ディーテ。さん付けなど僕とあなたの前では無意味です」
調子に乗って軽口を叩く。
悪ふざけもここまでくると我慢の限界。
私が甘やかすからつけあがる。
ヴィーナが悲しむから強くは言えなかったけど今日こそはガツンと言う。
「あなたはいつもふざけてます。そして私の話を一切聞こうとしない。
そう言う子供っぽいところはボノにそっくりね」
「ディーテ…… 」
そう言うと下を向く。
堪えたのでしょう。まったくふざけるからこうなるのです。いい加減反省しなさい。
ふざけたっていいんですよ別に。でも限度があるでしょう。
そこを理解してもらいたい。
「ディーテなぜ我が愛を受け入れてくれないのですか」
大げさに体を動かす。いかに残念か傷ついてるかを訴えかける。
「愛ですか? それなら受け入れる覚悟。ただし男女ではなく親子愛ですが。
ヴィーナを悲しませないでくださいね」
こう言えばセピユロスだって何も言えない。
「どうしてあなたはそのように頑ななのですか?
私が愛してるのはヴィーナではない。ディーテあなたなのです」
この男どこまでも私をコケにするつもりらしい。可愛い顔をしていい度胸ね。
「ディーテ! おおディーテ! 愛しのディーテ! 」
ボノと行動を共にするようになってますます似てくる。
私の苦しみも知らないで。
何て男なの。もうヴィーナを任せられない。
婚約を解消させてもらいます。
この男ではヴィーナを幸せにはできない。
いえ誰であれこの男は幸せにできない。
ボノに毒されただけかもしれない。
でもこれが彼の本質。
決して見てはいけないセピユロスの素顔。
まったく本当に何を考えてるのかしら。
さあではここからは説教と調教と参りましょうか。
覚悟しなさいセピユロスさん。逃げられませんよ。
続く
ボーっとしてるものだからヴィーナに心配されてしまった。
「実はお姉様から手紙が届きました。明後日来るとのことです」
姉から手紙が届いた。
ヴィーナたちが来ることは知らせていたのでいつかはと思っていましたが。
まさか明後日とは些か急すぎる。
「久しぶりでしょう」
「うん。お世話してもらってから会いに行けてなかった」
言い訳はいくらでも立つが忘れていたのだろう。
姉はそんなヴィーナを可愛がってくれる。
ヴィーナのサポート役。
「これはヴィーナ宛だから。後で知らせて頂戴」
「へえ。おばさん来るんだ」
不機嫌だったヴィーナはチャウチャウと姉のおかげで笑顔を取り戻す。
明後日か。また騒がしくなりそうね。
コンコン
コンコン
楽しい宴も終えお待ちかねの説教タイム。
ここのところボノと行動するセピユロスの態度が軽いと言うか大柄になりつつある。
まるで私をからかって楽しんでいるような気がしてならない。
私がここの主人。ご主人様だと言うことを忘れてないか。
これではボノの二の舞。
セピユロスの暴走をどうにか止めなければなりません。
仮にボノに唆されただけだとしても放っては置けない。
後々のトラブルになりかねない。
ここで止めなければヴィーナが苦労することになる。
あの素敵なセピユロスさんがボノのように女遊びで堕落していく姿は見たくない。
私の手で何としても立ち直らせてあげなくては。
「どうぞ」
取り敢えず冷静に冷静に。
「おお愛しのディーテ。今日も一段と美しい」
またも歯の浮くようなキザったらしいセリフで登場。
私が喜ぶとでも思ってるのですか?
もちろん本気ならそれは大歓迎ですけど。
彼に限ってそんなこと有り得ない。
「おお愛しのディーテ」
どれだけ情熱的に来られようと受け入れられるはずがない。
一体何人の女に囁いてるのか。
私をその辺の初心な女と一緒にしないでほしい。
「セピユロスさんいらっしゃい。今日もおふざけが過ぎますね」
大人の対応で余裕を見せる。
いちいちイライラしていては先に話が進んでいかない。
今夜は彼の為に直々にお説教。
「ふざけているでしょうか? 」
心外だとばかりに手を広げるセピユロス。
「セピユロスさん! 」
「ディーテ。さん付けなど僕とあなたの前では無意味です」
調子に乗って軽口を叩く。
悪ふざけもここまでくると我慢の限界。
私が甘やかすからつけあがる。
ヴィーナが悲しむから強くは言えなかったけど今日こそはガツンと言う。
「あなたはいつもふざけてます。そして私の話を一切聞こうとしない。
そう言う子供っぽいところはボノにそっくりね」
「ディーテ…… 」
そう言うと下を向く。
堪えたのでしょう。まったくふざけるからこうなるのです。いい加減反省しなさい。
ふざけたっていいんですよ別に。でも限度があるでしょう。
そこを理解してもらいたい。
「ディーテなぜ我が愛を受け入れてくれないのですか」
大げさに体を動かす。いかに残念か傷ついてるかを訴えかける。
「愛ですか? それなら受け入れる覚悟。ただし男女ではなく親子愛ですが。
ヴィーナを悲しませないでくださいね」
こう言えばセピユロスだって何も言えない。
「どうしてあなたはそのように頑ななのですか?
私が愛してるのはヴィーナではない。ディーテあなたなのです」
この男どこまでも私をコケにするつもりらしい。可愛い顔をしていい度胸ね。
「ディーテ! おおディーテ! 愛しのディーテ! 」
ボノと行動を共にするようになってますます似てくる。
私の苦しみも知らないで。
何て男なの。もうヴィーナを任せられない。
婚約を解消させてもらいます。
この男ではヴィーナを幸せにはできない。
いえ誰であれこの男は幸せにできない。
ボノに毒されただけかもしれない。
でもこれが彼の本質。
決して見てはいけないセピユロスの素顔。
まったく本当に何を考えてるのかしら。
さあではここからは説教と調教と参りましょうか。
覚悟しなさいセピユロスさん。逃げられませんよ。
続く
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
帰らなければ良かった
jun
恋愛
ファルコン騎士団のシシリー・フォードが帰宅すると、婚約者で同じファルコン騎士団の副隊長のブライアン・ハワードが、ベッドで寝ていた…女と裸で。
傷付いたシシリーと傷付けたブライアン…
何故ブライアンは溺愛していたシシリーを裏切ったのか。
*性被害、レイプなどの言葉が出てきます。
気になる方はお避け下さい。
・8/1 長編に変更しました。
・8/16 本編完結しました。
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる