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悪ふざけ
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食事を終え一息ついたところで本題に入る。
「では改めて私から。ヴィーナさんとは親しくさせてもらっています」
緊張してるのか咳ばらいを何度も繰り返す。
ふふふ…… かわいいお方。
「ボノ。ディーテ。私とヴィーナは将来を誓い合いました。
どうか二人をお許しください」
ついに挨拶が始まる。
今回の突然の訪問の主目的がこれだ。
当然他にもあるだろうがそれは私たちにはどうでもいいこと。
「ああもちろん祝福したい。しかし些か早すぎる。早急ではないかと感じるんだがどう思うかね」
ボノは父親らしく振る舞うがそれは形だけ。一度たりともヴィーナについて考えたことがない。
すべて私に任せっきり。いくら注意しても今まで直ることはなかった。
大切なヴィーナだと言うのに信じられない。
そうして私ばかり口出しをするものだから反発するように。
その影響が今も残っている。
私とヴィーナの関係がよろしくないのはボノに責任の一端がある。
ただ割り切ることも出来た。
ここには私の相談役も執事も最近はめっきり顔を見せなくなったお母様もいる。今は事情があって姿をみせないが。とにかく育てることに彼の力は必要なかった。
それなのに今更父親の真似事。こちらが恥ずかしくなる。
「その…… あの…… 」
セピユロスさんは恐縮しきって何も言えずに固まってしまう。
「ボノ。かわいそうですよ。セピユロスさんを困らせてまあ」
何とか笑って窘める。本当だったらヒステリーに怒鳴り散らすでしょうね。
二人の前ですし今はめでたい場。
雰囲気を壊してはいけない。ここはぐっと堪える。
「ヴィーナはどうしたいの? 」
二人の気持ちは一緒だと思いたいがこう喧嘩が耐えないと醒めてもおかしくない。
「ここに来たんだから私も同じ。いちいち確認しないでよね」
屋敷では吸うなと言うのにタバコを咥えている。
下品で健康にも良くない。
「ゴッホゴッホ…… ヴィーナ」
「まったく嫌がらせしないでよね」
常に反抗的なヴィーナ。
「ほらヴィーナ。今は控えよう」
セピユロスが優しく諭す。
まったく甘いんだから。
厳しくしないとつけあがる。後で困るのはあなたなのよ。
「ちょっとトイレ」
「ヴィーナ! 」
ついに叱り飛ばしてしまう。
「もううるさいな。響くでしょう」
一切反省もせず動じないヴィーナ。
立ち上がり姿を消す。
「ははは…… 」
ボノが雰囲気を変えようと無理に笑うものだから居た堪れない。
あーボノ。お願いだから大人しくしていて。
「そうだセピユロス君はさっき私たちのことを名前で呼んでたが…… 」
疑問と言うよりも確認でしょう。困惑してるようだし。
「はいボノ」
まだ続けるつもりらしい。一体ここに何しに来たのやら。
「私の家では名前を特に大事にしています。その為幼き頃から名前で呼び合ってます。
マーム、ダディーと呼ばずヨセフとヴィンヴィです。
ですからここでもできれば名前で。ボノとディーテと呼ぶご無礼をお許しください」
ふざけてるようには見えない。まさか本気なの?
表情は真剣そのもの。でもいいのかしら。ボノだって納得してないでしょう。
「どうするディーテ? 」
「よろしいのではなくて。慣れれば愉快なものでしょう」
あまり深く考えずに許してしまう。
「おいおいディーテ。そんな簡単に」
ボノは私が反対するものと思ったでしょうね。だからこそ私に任せた。
でも私だって日頃子爵夫人だの奥様だのと言われて辟易してたし。
ここの女主人なものだからメイドもご主人様だものね。
幼い頃はお嬢様や大げさに姫だった。そう呼ばれて嬉しかったのは最初だけ。
仲のいいメイドだって弁えてるから決して名前では呼ばない。
ボノったらまったく。良いでしょ別に。ここの主人は私なんですから。
ついセピユロスを甘やかしてしまう。最初が肝心だと言うのに。
後から考えればこれが悲劇の始まりであった。
続く
「では改めて私から。ヴィーナさんとは親しくさせてもらっています」
緊張してるのか咳ばらいを何度も繰り返す。
ふふふ…… かわいいお方。
「ボノ。ディーテ。私とヴィーナは将来を誓い合いました。
どうか二人をお許しください」
ついに挨拶が始まる。
今回の突然の訪問の主目的がこれだ。
当然他にもあるだろうがそれは私たちにはどうでもいいこと。
「ああもちろん祝福したい。しかし些か早すぎる。早急ではないかと感じるんだがどう思うかね」
ボノは父親らしく振る舞うがそれは形だけ。一度たりともヴィーナについて考えたことがない。
すべて私に任せっきり。いくら注意しても今まで直ることはなかった。
大切なヴィーナだと言うのに信じられない。
そうして私ばかり口出しをするものだから反発するように。
その影響が今も残っている。
私とヴィーナの関係がよろしくないのはボノに責任の一端がある。
ただ割り切ることも出来た。
ここには私の相談役も執事も最近はめっきり顔を見せなくなったお母様もいる。今は事情があって姿をみせないが。とにかく育てることに彼の力は必要なかった。
それなのに今更父親の真似事。こちらが恥ずかしくなる。
「その…… あの…… 」
セピユロスさんは恐縮しきって何も言えずに固まってしまう。
「ボノ。かわいそうですよ。セピユロスさんを困らせてまあ」
何とか笑って窘める。本当だったらヒステリーに怒鳴り散らすでしょうね。
二人の前ですし今はめでたい場。
雰囲気を壊してはいけない。ここはぐっと堪える。
「ヴィーナはどうしたいの? 」
二人の気持ちは一緒だと思いたいがこう喧嘩が耐えないと醒めてもおかしくない。
「ここに来たんだから私も同じ。いちいち確認しないでよね」
屋敷では吸うなと言うのにタバコを咥えている。
下品で健康にも良くない。
「ゴッホゴッホ…… ヴィーナ」
「まったく嫌がらせしないでよね」
常に反抗的なヴィーナ。
「ほらヴィーナ。今は控えよう」
セピユロスが優しく諭す。
まったく甘いんだから。
厳しくしないとつけあがる。後で困るのはあなたなのよ。
「ちょっとトイレ」
「ヴィーナ! 」
ついに叱り飛ばしてしまう。
「もううるさいな。響くでしょう」
一切反省もせず動じないヴィーナ。
立ち上がり姿を消す。
「ははは…… 」
ボノが雰囲気を変えようと無理に笑うものだから居た堪れない。
あーボノ。お願いだから大人しくしていて。
「そうだセピユロス君はさっき私たちのことを名前で呼んでたが…… 」
疑問と言うよりも確認でしょう。困惑してるようだし。
「はいボノ」
まだ続けるつもりらしい。一体ここに何しに来たのやら。
「私の家では名前を特に大事にしています。その為幼き頃から名前で呼び合ってます。
マーム、ダディーと呼ばずヨセフとヴィンヴィです。
ですからここでもできれば名前で。ボノとディーテと呼ぶご無礼をお許しください」
ふざけてるようには見えない。まさか本気なの?
表情は真剣そのもの。でもいいのかしら。ボノだって納得してないでしょう。
「どうするディーテ? 」
「よろしいのではなくて。慣れれば愉快なものでしょう」
あまり深く考えずに許してしまう。
「おいおいディーテ。そんな簡単に」
ボノは私が反対するものと思ったでしょうね。だからこそ私に任せた。
でも私だって日頃子爵夫人だの奥様だのと言われて辟易してたし。
ここの女主人なものだからメイドもご主人様だものね。
幼い頃はお嬢様や大げさに姫だった。そう呼ばれて嬉しかったのは最初だけ。
仲のいいメイドだって弁えてるから決して名前では呼ばない。
ボノったらまったく。良いでしょ別に。ここの主人は私なんですから。
ついセピユロスを甘やかしてしまう。最初が肝心だと言うのに。
後から考えればこれが悲劇の始まりであった。
続く
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