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怪鳥の言い分

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クエスト発生!
ローム氏が負傷した通称フォレストバレー事件。
被害者本人から直接依頼があった。
ローム氏から充分話を聞いたところで捜査を始める。
さっそく現場へ。
現場は徒歩で一時間のところにある。

ハアハア
ハアハア
さすがに疲れた。皆大丈夫かな? 特に爺さんが心配になる。
「おい爺さん大丈夫かよ? 顔が真っ青だぜ」
ノコタンが指摘する。
確かによく見ると顔色が悪い。これではいつぶっ倒れてもおかしくない。
「何…… これくらいどってことないわ! 」
強がりを言って誤魔化するがもう限界だろう。年なんだから無理しなくていいのに。
「ご主人様! 危ない! 」
アトリが大声で危険を知らせる。

ギャア!
ギャア!
奇声を上げ怪鳥が襲って来た。
再びフォレストバレーの怪物が姿を見せる。

「どうしようゲン? 」
焦って混乱気味のノコタンを落ち着かせる。
「戦うしかないだろう」
そうは言ったものの保護動物だからな。
攻撃でもしようものなら警告を喰らうことになる。
あと二つでお近くの刑務所に直行。
動くに動けない状態。
だからここは爺さんに犠牲になってもらう。

「済まない爺さん。丸腰で戦ってくれ! 」
武器さえ使わなければ問題ないはず。
武器もダメなら言葉の暴力も使えない。
しかも一度注意を受けた以上三つ警告が来てもおかしくない。
ここは心を鬼にして爺さんを捨て駒にするしかない。
「ご主人様…… 」
「済まないアトリ。堪えてくれ! 」
「おいおい何をふざけたことを? 儂の意志を無視するでない! 」
爺さんは頑なだがこれもすべて全滅阻止の為。

フォレストバレーの怪物対マタギの爺さん。
運命の一戦が幕を開ける。
だが爺さんは始まってすぐに降参してしまう。
戦意を喪失した者が生き残れるほどフィールドは甘くない。

怪鳥は大人しくなった爺さんとの距離を詰めて行く
どうする? どうしたらいい? 懸命に策を講じる。
逃げるを選択しても全員で逃げるのは不可能。爺さんはもう走れないし。
ロックオンされてしまっている。
この状況では誰かが再び囮になるしかない。

「そうだノコタン! 通訳を頼む! 」
「ああその手があったか。だったらほらゲンも協力しろ! 」
なぜかノコタンの胸を触る羽目に。
「これまだやるの? 」
「ほら恥ずかしがるな! 喰われるぞ! 」
ノコタンに脅される。
「でも…… もう少し下でも良くないか? 」
「いいんだよ! ほら早く通訳しろよ! 」

ノコタンの特殊能力。シカなどの野生動物とコミュニケーションが取れる。
何故ならノコタンはシカと人間のハーフだから。
だからノコタンに任せておけばいい。
ただ人間生活が長かったからサポートなしでその能力が発揮できない。
だから俺が手助けしている。とは言え胸を触るのはさすがに抵抗がある。
実際はそこまでだけど…… アトリがいるしな。

「ほら早くしろ! 恥ずかしがるなバカ! 」
「儂が代わってやろうか? 」
もはや限界の爺さんのはずが立ち上がる。
「爺さんは黙ってろって! ほらゲン早くしろ! 」
「ご主人様…… アトリは信じております」
アトリを悲しませたくない。だがこれも仕方ないこと。
ノコタンを使って怪鳥と話をしてみる。

ギャアギャア!
ガアガア!
「早く立ち去れ! ここは俺の縄張りだ! 」
怪鳥は縄張りを主張する。
「分かったよ。でもその前に今朝誰か来なかったか教えてくれ? 」
「ああん? あの偉そうな男か? 」
どうやらロームのことを言ってるらしい。
「それ以外には? 」
「ああノーノー言ってたのがいたな。
グッドバッド博士も来てたらしい。
「もういいだろ? 早くここから立ち去れ! 喰っちまうぞ! 」
もう我慢の限界で翼を広げる。
まずい。これ以上ここにいれば俺たちは全滅だ。

「いい加減にしろ! 俺にはこの暴言カードもあるし名刀・辛水だってある。
だから言うことを聞け! 」
まさか怪鳥相手に脅しをかけることになるとはね。
でも俺はやられはしない。
「ははは! 一撃で仕留められるのか? こっちは保護対象なんだぞ」
どうやら人間よりバカじゃないらしい。
「俺は知らない。だから関係ないね」
「ふざけるな! 」
「ふざけてるのはお前だろ? 」
つい相手に合わせて言い争いになってしまう。
だが一歩も引けない。引いたら負け。負けたら食われてしまう。

「ご主人様…… 」
アトリが心配そうにこちらを見る。
大丈夫問題ない。説得して見せるさ。
駆け引きを繰り返し今はこう着状態。

「分かったよ。俺が悪かった」
ついに怪鳥の方が折れた。
話し合いになればこちらが有利。
それが分かったのだろう。やはり知能は高い。
奴はここからすぐに立ち去ってもらいたがっている。
俺たちは事件の捜査に来ている。

                続く
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