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グッドバッド博士を探して第四世界を彷徨う。
「ご主人様何か動きませんでしたか? 」
アトリが異変に気づく。
「ああ何だか腹が反応したかも」
そう言えば辛いものを食べたからな。そのせい?
「ええ? ご主人様? 」
「ああごめんごめん。冗談だよアトリ。それで何だって? 」
「ゲン! 少し変だぜ。おかしな臭いがする」
危険を察知したノコタン。臭いを嗅ぎだした。
「これはまずい! 一匹じゃない。十匹はいるな。気をつけろ! 」
集団で襲ってくる敵?
ノコタンが嗅ぎとったなら間違いなく獣かモンスターか。

そう言えば第三世界には非戦闘的で弱く大人しいモンスターしかいなかった。
爺さんに狩られる前に助けるため常にモンスターを狩る爺さんの邪魔をする。
それも船長に猟銃を没収されるまで。それ以降は出会うことさえなかった。
そんなモンスターが今俺たちに襲い掛かろうとしている?
気配のみで見えない敵。何か嫌な予感がするな。

どうやら第四世界のモンスターは大人しくないらしい。
では準備しますか。

あぎゃああ!
半モンスターのアギョウとカギョウが集団で襲いかかる。
ついに姿を見せる。
一匹、二匹、三匹…… 合計でうん…… 何匹だっけ?
「アトリ! 」
「合計で十匹でございます」
アトリのサポートで相手の力と位置が瞬時に特定。

「よし。この暴言カードで消滅させてやる。さあ覚悟しろ! 」
【ぶっ飛ばすぞ! 】
これを敵の方に投げつければ消滅するはず。
しかも周りの敵も根こそぎだ。何匹いようと関係ない。
本当に便利なアイテムだよな。

だがアギョウとカギョウに効果なし。
半モンたちは徐々に間合いを詰めて行く。
「これでも喰らえ! 」
仕方なく別のカードを投げつける。
たまにゴミカードだときちんと反応しないことがあるからな。

「ダメです! 半モンの中に人間が一名混ざっています」
半モンのリーダーが恐らく人間。
指示を送っているとみて間違いない。
「一人ぐらいいいんじゃない? 警告を受ければいいだけだし」
第三世界では警告とは無縁でしかも次の世界に行けば持ち越さずに消えるシステム。
だから今は真っ白。何と脅威のゼロ枚だ。
ゴールドライセンスって奴かな。
「ご主人様の考えそうなことは充分理解してます」
「まるで俺が何か失敗するみたいな言い方じゃないか!
俺はリーダーだぞ? そんな言い方しなくても…… 」

「おいどうしたゲン? リーダーが指示してくれないと動けないよ」
意外にも忠実なノコタン。
「よしだったら揺動作戦だ! 悪いけど一枚ずつ脱いでくれ」
無茶な注文だと分かっているがここは逃げるしかない。
それにはノコタンの協力が不可欠。
「別に構わないが。相手はモンスターだろ? そんな色仕掛け通用するのか? 」
ただの冗談なのに本当に脱ごうとするノコタン。
まったく何物も恐れない。ある意味無敵なノコタン。格好良いとさえ思えてくる。

「では拙者が代わりに! 」
一枚ずつゆっくりと脱ぎだす爺さん。
何をふざけてるんだろうか? 早く止めなくては。
うん? 奴らが騒ぎ出した。
半モンスターの方が爺が引っ込むようブーイングをする。
奴らでも美醜の違いが分かるのだろう。

爺さんが惹きつけてる間にどうにか打開策を考える。
何かないか? 何でもいい。
「ノコタンはアイディアないの? 」
「戦場ではイチイチ考えずに戦うのみ。突っ込めってんだ! 」
勇ましいノコタンにいつの間にか拍手を送る。
だがこれでは参考にならない。やはりアトリに頼らざるを得ない。

「何をする! 痛い! 痛い! 」
半モンスターから殴る蹴るの暴行を受ける爺さん。
でも大丈夫。爺さんは辛さと共に痛みも克服していた。
多少の痛みなら堪えられる。
でもこのままではいくら爺さんでも持たない。

「やはり強引に言葉の暴力を使って…… 」
「いえ恐らく無理かと思われます。暴言カードが無効化してるかと」
「無効化? だったらこれ意味ないの? 」
「はい。半モンスターには効果がありません。
なぜならこのカードはモンスター専用だから。
それに少なくても一人は人間がいるとしたら警告は三倍になります。
すぐに累積され刑務所の中へ」
くそ! アトリの能力がマイナスに働いてしまう。
「だったら半モンスター用を用意してくれ! 」
「あるはずないでしょう! 」

我慢しきれずについにアトリがキレる。

                 続く
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