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ノコタン救出作戦

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海底王国に激震が走る。
何と宝を狙う賊が現れたと。現在は無力化され囚われているそう。
気になるのでこっそり乙様の後をつけ賊の元へ案内してもらう。

「出せ! 出せと言ってるだろ! 」
牢屋に響き渡る怒声。それがここまで伝わってくる。
この声…… 聞覚えがある。
「何をしやがる! 私は客だろう? 早く出せ! 」
ギャーギャー喚いてるのは…… 認めたくないがまさかのノコタン?
やっぱりこいつは正真正銘のノコタンだ。ちっとも反省してないなこれは。
何てことを! やはりこの生活に飽き刺激を求め宝探しを始めてしまったらしい。
「ほら早く出せ! 」
さあどうするかな…… 取り敢えず仕切り直し。ここは出直すとしよう。
爺さんの元へ。

ノコタンの危機。
こんな肝心な時にアトリがいない。一体どこへ?
おっと…… そうそう俺が帰したんだっけ。もうこにはいないんだったな。
そうすると頼れるのは爺さんだけ。だがその爺さんも腑抜けており当てにならない。
「爺さんちょっと」
海底の女神を侍らし酒もあって出来上がっている。
「何じゃ王に向かってそのような無礼な口の利き方は! 」
完全に自分を見失っている。誰が王だよ?

「いいからちょっと来てくれ! 」
無理矢理引っ張っていく。
「野暮じゃな。儂がモテるから嫉妬したのじゃろ? 」
これダメだ。爺さんでは使いものにならない。
しかし執行は今夜。もう時間はない。どうしたらいい? どうすれば……
「いいから! 」
ノコタンが捕まったこととアトリが帰ったことを伝える。

「儂を騙す気じゃなお主。ノコタンはともかくあの妖精なら今さっき会ったわ! 」
馬鹿者がと手厳しい。まったくどう言う神経してるんだろうこの爺さん?
「どこで? アトリは今? 」
「さあのう。その辺の者に聞くがよい! 儂はもう少し…… 」
有無言わせずに連れて行く。

「儂は忙しいんじゃ! 邪魔せんでくれ! 」
「どうせ海底の女神と戯れるだけでしょう? 」
「ふん! 儂に言えた義理か? お主とて代わるまい」
「いい加減にしろよ爺さん! これはリーダー命令だ! 」
今はふざけていい時じゃない。
「まったく世話の焼ける。儂にどうせいと言うんじゃ? 」
爺さんは渋々納得してくれた。

「処刑は夜。まだ時間はある。ともかくアトリを探そう」
「ふむふむ。良かろう」
二手に分かれてアトリ探し。
爺さんが目撃したと言う場所に行ってみることに。

「誰かアトリを見なかったか? 」
「いえ…… 」
「アトリを見つけたら俺のところに来るように伝えてくれ」
「分かりました。その話皆にしてみますね」
これでアトリはいいだろう。
問題はこの後どうするかな……
うーん。俺一人では何も思いつかない。
「どうしましたご主人様? お悩みのようですね」
アトリ本人が現れる。

「おお! アトリ探したぞ! 心配したんだからな! 」
アトリを抱きしめる。
「もうご主人様ったら…… 大げさなんですから」
恥ずかしそうに遮る。
あれ…… 感情あったんだ?
「ご主人様! 」
ははは…… 正真正銘いつものアトリだ。こうでなくちゃ。

「お前を探していたんだ。なぜここにいる? 帰ったのではなかったのか?
「まあいい。細かいことはどうでもいい。そろそろ帰ろうか」
「それは不可能かと…… 」
らしくなく元気のないアトリ。
「どうした。何か知ってるのか? 」
「実は…… 潜水艦が壊れてしまいまして今修理してるところです」
通りで…… だからアトリは戻って来たんだな。

しかしこれはまずい展開。ノコタンが捕まった今追及されるのは俺たち。
このままノコタンを切れば穏便に済ませられるだろうが。
しかも今夜が処刑される訳で。
どうしたらいい? 取り敢えず爺さんに聞いてみるか。
年の功だからな。ただ裏切りそうで怖い。

「おう話は済んだか? さあ夜まで踊り明かそうではないか」
調子に乗った爺さんに耳打ちする。
「ふん! 放っておけば良かろう。罪を犯した者の心配までせんでも」
非情な爺さん。ノコタンに一番お世話になったはずなのに冷たい。
「そう言う訳には…… 」
「だったら早くせい! 処刑は今夜なんじゃろ? 手遅れになると行かんぞ」
どうやら冷たいと言うより無関心らしい。まあこれで裏切る心配はなさそうだ。
いまいち信用ならない爺さんに大役を任せる。

「儂がやれと? 」
「はい。頼りになる人が他にいないので」
「何? それで儂に頼るとな? ほほほ…… 仕方がないのう」
頼られるのが嬉しいらしい。
「では頼みました」
決して誰にでも出来るものでもない。おとり役など危険極まりない。


               続く
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