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ぼったくり爺さん再登場
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エクセル行方不明。
チームパイソンズは三人で第三世界を目指す。
「よし行こう! 恐らく南に進めばいい。そこに例の橋があるはずだから」
「ゲン…… 」
アプリンが心配そうに見つめる。
「大丈夫。俺なら問題ないさ。ははは…… 」
「ああそれにしてもエンゼルカードだけでもあればいいんだが」
ハックはもうエクセルに興味を失った。
奴は元々そう言う性格。
流浪の民の一人として旅をして回り面白そうと言う理由で俺たちについてきた。
その興味ももうそろそろ薄れてきた頃だろう。
「ダメでしょうハック! 」
エクセルの代わりにアプリンが叱りつけるが効果なし。
可愛らしいな。これではとてもとてもエクセルの代わりは出来ない。
夢幻橋。
妙にお洒落な橋。
せっかくなので橋の来歴を探る。
ああダメだ。難しい。読んでいてもまったく理解できない。
それどころか眠くなってきた。これは諦めよう。
橋に差し掛かると急に風が強くなってきた。
これは嫌な風だ。何かが起こる前兆であまりにも不吉。
よくあるのは雷だろうが天気は今のところ安定している。
恐らく第三世界に近づいてきてるのだろう。
こうしてエクセルを失った一団は第三世界へつながる橋を進むことに。
見えない……
どこまでも続く橋。
一体どこまで繋がってるんだろうか?
緊張の一瞬。果てしなく広がる世界に一歩踏み出す。
そんな時に集中を切らすような異音。
「ちょっと待たれよ! 」
どこからか聞こえる謎の音の正体は?
「何か言ったハック? 」
念の為に確認。
「俺じゃない。爺さんだったよ」
あれよく見ると男の人が突っ立ている。
「何だ迷子の爺さんか」
ハックが無視するように合図する。
「待たれよ! 」
橋に一歩踏み出そうとすると声を張り上げて邪魔をする。
「どうしましたお爺さん? 」
年齢不詳の男の人が不気味な笑みを浮かべている。
「あの何か御用でしょうか? 」
アプリンが爺の戦略に引っかかって声を掛けてしまう。
これではいつまで経っても終わらないので話だけでも聞くことにした。
「おお立ち止ったお主たちは賢明であった。ほれ好きなのを選びなされ」
どこかで会ったことがある気がする。
「お爺さん。ドンテにいませんでした? 」
「おおお主か。このウサギの耳は重宝してるわ」
この爺さんその年になっても枯れないらしい。
己の趣味の為にウサギの耳を使うなんて不純過ぎる。
「いや! 」
後退りするアプリンは現実を受け入れずに悲鳴を上げる。
「このウサギの耳についてはもういい。それよりも何か買っては行かんか? 」
そうだったこの爺さんぼったくり価格で商品を売りつけるとんでもない爺だった。
客が見つかったと商品を並べる。
こんなところで商売を始めるんだから本当に逞しいと言うか根性があると言うか。
ぼったくり爺さんだけあってすべての商品がゴミに見える。
だが値段はとんでもないことになっている。
本気で売るつもりあるのか?
俺たちは今エクセルを失いエンゼルカードもないので当然支払えるはずがない。
だから冷やかしすることに。迷惑は承知の上。
そうしないと先に進ませてくれないだろうからな。
「これ良いっすね…… 百ドットに負けてくれよ」
ハックは交渉を始める。
だがお爺さんは一歩も引かない。
これでは商売の意味もイベント的要素もなくなってしまう。
「お爺さん。これは? 」
「おお! お目が高いな。これはな珍品じゃ」
まったくアイテム自慢に付き合ってる時じゃない。
【愛の言霊】
「これはな愛の告白をサポートする優れもの。
一度のみ使用可能。
「へえそれはすごい。いくらなの? 」
高いだろうから買わないが値段だけは気になる。
「これは珍品中の珍品。それ故プライスレスじゃ」
大げさなんだからまったく。買わないっての。
「プライスレスって何だ? 喰えるのか? 」
「もうパック! 恥ずかしいから止めてよ」
妙に二人は親密に見えるのは気のせい?
「俺は食いものがいいんだよ! 」
駄々っ子のハックを宥めるアプリン。
あれ強烈な疎外感。俺って主人公だよね?
たまに確認したくなる時がある。
「ほれ買うのか? 買わないのか? 」
プライスレスと言われてどう買えと言うのか?
商売上手の爺さんも墓穴を掘ったと見える。
「悪いな爺さん。俺たち急いでるんだわ。また後でな」
ハックはもう相手にしてない。冷やかしでさえない。
完全に興味を失くしたらしい。まあ俺も似たようなもの。
「お主はどうじゃ? 」
「ですからプライスレスでは支払いのしようがない」
丁重にお断りすることにした。
続く
チームパイソンズは三人で第三世界を目指す。
「よし行こう! 恐らく南に進めばいい。そこに例の橋があるはずだから」
「ゲン…… 」
アプリンが心配そうに見つめる。
「大丈夫。俺なら問題ないさ。ははは…… 」
「ああそれにしてもエンゼルカードだけでもあればいいんだが」
ハックはもうエクセルに興味を失った。
奴は元々そう言う性格。
流浪の民の一人として旅をして回り面白そうと言う理由で俺たちについてきた。
その興味ももうそろそろ薄れてきた頃だろう。
「ダメでしょうハック! 」
エクセルの代わりにアプリンが叱りつけるが効果なし。
可愛らしいな。これではとてもとてもエクセルの代わりは出来ない。
夢幻橋。
妙にお洒落な橋。
せっかくなので橋の来歴を探る。
ああダメだ。難しい。読んでいてもまったく理解できない。
それどころか眠くなってきた。これは諦めよう。
橋に差し掛かると急に風が強くなってきた。
これは嫌な風だ。何かが起こる前兆であまりにも不吉。
よくあるのは雷だろうが天気は今のところ安定している。
恐らく第三世界に近づいてきてるのだろう。
こうしてエクセルを失った一団は第三世界へつながる橋を進むことに。
見えない……
どこまでも続く橋。
一体どこまで繋がってるんだろうか?
緊張の一瞬。果てしなく広がる世界に一歩踏み出す。
そんな時に集中を切らすような異音。
「ちょっと待たれよ! 」
どこからか聞こえる謎の音の正体は?
「何か言ったハック? 」
念の為に確認。
「俺じゃない。爺さんだったよ」
あれよく見ると男の人が突っ立ている。
「何だ迷子の爺さんか」
ハックが無視するように合図する。
「待たれよ! 」
橋に一歩踏み出そうとすると声を張り上げて邪魔をする。
「どうしましたお爺さん? 」
年齢不詳の男の人が不気味な笑みを浮かべている。
「あの何か御用でしょうか? 」
アプリンが爺の戦略に引っかかって声を掛けてしまう。
これではいつまで経っても終わらないので話だけでも聞くことにした。
「おお立ち止ったお主たちは賢明であった。ほれ好きなのを選びなされ」
どこかで会ったことがある気がする。
「お爺さん。ドンテにいませんでした? 」
「おおお主か。このウサギの耳は重宝してるわ」
この爺さんその年になっても枯れないらしい。
己の趣味の為にウサギの耳を使うなんて不純過ぎる。
「いや! 」
後退りするアプリンは現実を受け入れずに悲鳴を上げる。
「このウサギの耳についてはもういい。それよりも何か買っては行かんか? 」
そうだったこの爺さんぼったくり価格で商品を売りつけるとんでもない爺だった。
客が見つかったと商品を並べる。
こんなところで商売を始めるんだから本当に逞しいと言うか根性があると言うか。
ぼったくり爺さんだけあってすべての商品がゴミに見える。
だが値段はとんでもないことになっている。
本気で売るつもりあるのか?
俺たちは今エクセルを失いエンゼルカードもないので当然支払えるはずがない。
だから冷やかしすることに。迷惑は承知の上。
そうしないと先に進ませてくれないだろうからな。
「これ良いっすね…… 百ドットに負けてくれよ」
ハックは交渉を始める。
だがお爺さんは一歩も引かない。
これでは商売の意味もイベント的要素もなくなってしまう。
「お爺さん。これは? 」
「おお! お目が高いな。これはな珍品じゃ」
まったくアイテム自慢に付き合ってる時じゃない。
【愛の言霊】
「これはな愛の告白をサポートする優れもの。
一度のみ使用可能。
「へえそれはすごい。いくらなの? 」
高いだろうから買わないが値段だけは気になる。
「これは珍品中の珍品。それ故プライスレスじゃ」
大げさなんだからまったく。買わないっての。
「プライスレスって何だ? 喰えるのか? 」
「もうパック! 恥ずかしいから止めてよ」
妙に二人は親密に見えるのは気のせい?
「俺は食いものがいいんだよ! 」
駄々っ子のハックを宥めるアプリン。
あれ強烈な疎外感。俺って主人公だよね?
たまに確認したくなる時がある。
「ほれ買うのか? 買わないのか? 」
プライスレスと言われてどう買えと言うのか?
商売上手の爺さんも墓穴を掘ったと見える。
「悪いな爺さん。俺たち急いでるんだわ。また後でな」
ハックはもう相手にしてない。冷やかしでさえない。
完全に興味を失くしたらしい。まあ俺も似たようなもの。
「お主はどうじゃ? 」
「ですからプライスレスでは支払いのしようがない」
丁重にお断りすることにした。
続く
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