73 / 157
パパ
しおりを挟む
せっかくエクセルを制止したのにアプリンがけしかけたせいでハックが動く。
仕方ない。助けるとしよう。
最悪言葉の暴力を使ってでも。警告の累積も指導ももう怖くない。
「痛い! 何をしやがる! 」
ペドらしき男の右手に噛みつくハック。優秀な番犬だ。
パンパン
パンパン
手を叩いて制止させる。
だが聞く耳を持たないハックはなおも噛み続ける。
どうしちまったんだよハック?
「止めろハック! 止めろって! 」
仕方なく大声を出す。さすがの番犬ハックも反応する。
ハアハア
ハアハア
男は息を切らし抵抗するがハックの歯が喰い込んでいてなかなか取れない。
「だからもういいってハック! 」
うわああ!
異常事態に耐えきれずについに女の子が泣き出してしまう。驚いて? 恐怖から?
「パパに何をするの! 」
一番弱そうな者に喰ってかかる。
俺? 止めただけなんだけどな……
「パパって? 」
「パパ! パパ! 」
女の子の衝撃的な一言に言葉がない。
「パパってまさかあなた…… 」
エクセルは愕然とする。
「もしかしてあなたのパパなの? 」
女の子はなぜか答えない。これは裏に何かある?
「まさかパパって? あっちのパパ? 」
エクセルは歴史にも詳しい。
昔流行したスタイルがあったことを思い出したらしい。
その頃はもちろんモンスターに支配されておらず自由な社会だった。
そして今では信じられないような営みが。
「ああこんな小さな子が信じられない! 」
アプリンが涙を流しエクセルは叫ぶ。
「何だよお前たちはさっきから。俺の娘に手を出すんじゃねえ! 」
保護者ぶるがそれはあんただろとは口が裂けても言えない。
「ちょっと待って。確認です。お二人は親子? 正真正銘の親子? 」
エクセルが冷静に問いかける。さすがはエクセル。頼りになる。
アプリンはまだ涙を流してるしハックは制御不能。
俺は口下手だから…… って関係ないか。
「当たり前だろうが他に何がある? 」
さも当然と胸を張るが男の目撃談は相当なものだった。
そのすべてに危険な匂いがしていた。だからこその追跡。
「失礼しました。あなたが噂の小さい子大好きのペドさん? 」
思いっ切り失礼なエクセルの質問。
これでは教えてなどくれない。
これまでの努力も苦労も水の泡。
「好きって言うと語弊があるがまあ嫌いじゃないかな。ははは…… 」
証言を取る。
これでモンスターに告げ口をすれば明日には男は消えることになる。
そんな監視された恐ろしい世界。あまりにも現実離れした世界だ。
どうやらただの勘違い。または早とちりだったらしい。
これはもう誠心誠意謝るしかない。
「まったく人騒がせな連中だぜ」
「それはあんたでしょうが…… 」
「ああ? 何か言ったか? まあいいや。それで俺に何か用か? 」
口が滑ったが許してくれた。噂とはまったく違うも未だ不審人物のペド。
もしかするとこのペドさんに関してのみ良い人だったのかもしれない。
もちろん他のペドさんが居たとしてそいつらまで良いとは限らないが。
「あの…… 流浪の民についてご存じありませんか? 」
エクセルはドライだ。
「ああ知ってるよ。確か近くに洞窟があるだろ?
そこを抜けてすぐのところに家がある。そこに数人がお世話になってるって話だ。
ただの噂話に過ぎないがな。興味があるなら行ってみるといい」
ペド親子は山まで歩くそうだ。
少々不安だが女の子が認めたなら間違いないだろう。
かなり危険な人物だったけど見た目に反して優しいのかもしれない。
手を振り最後の挨拶。その時俯きがちなペドに怪しげな笑みが見えた気がした。
ペド親子と別れて教えてもらった洞窟へ。
洞窟見学。
ライトを片手に中を見て回る。
まず中へ入ったらライトをつける。
だがコウモリが苦手ならライトは放り投げるように。
洞窟における冒険者の心得と言うパンフレットが洞窟近くの茶屋に置かれていた。
ありがたく一枚。それによると第一関門はコウモリだそう。
光に敏感なコウモリが光を目がけて集団で襲ってくる。
ただその内どこかに行ってしまうので我慢する。
そもそも気にならないなら進んでもよいと。
パンフレットには地図も。
「やはりこれではダメみたい」
大雑把すぎる地図。
外に繋がる経路が消えてしまっている。
これではどうすることも出来ずにお手上げ。
「どうする? 」
「出直しましょう。恐らく地図もこの洞窟に詳しい人も見つかるはず。
焦らずにゆっくりよ。それがベスト」
「いや俺はこのまま突き進んだ方がいいと思うが」
「私に従えないの? 」
「そうじゃないけどよ…… 」
エクセルとハックが言い争いを始めいつの間にか険悪なムードに。
続く
仕方ない。助けるとしよう。
最悪言葉の暴力を使ってでも。警告の累積も指導ももう怖くない。
「痛い! 何をしやがる! 」
ペドらしき男の右手に噛みつくハック。優秀な番犬だ。
パンパン
パンパン
手を叩いて制止させる。
だが聞く耳を持たないハックはなおも噛み続ける。
どうしちまったんだよハック?
「止めろハック! 止めろって! 」
仕方なく大声を出す。さすがの番犬ハックも反応する。
ハアハア
ハアハア
男は息を切らし抵抗するがハックの歯が喰い込んでいてなかなか取れない。
「だからもういいってハック! 」
うわああ!
異常事態に耐えきれずについに女の子が泣き出してしまう。驚いて? 恐怖から?
「パパに何をするの! 」
一番弱そうな者に喰ってかかる。
俺? 止めただけなんだけどな……
「パパって? 」
「パパ! パパ! 」
女の子の衝撃的な一言に言葉がない。
「パパってまさかあなた…… 」
エクセルは愕然とする。
「もしかしてあなたのパパなの? 」
女の子はなぜか答えない。これは裏に何かある?
「まさかパパって? あっちのパパ? 」
エクセルは歴史にも詳しい。
昔流行したスタイルがあったことを思い出したらしい。
その頃はもちろんモンスターに支配されておらず自由な社会だった。
そして今では信じられないような営みが。
「ああこんな小さな子が信じられない! 」
アプリンが涙を流しエクセルは叫ぶ。
「何だよお前たちはさっきから。俺の娘に手を出すんじゃねえ! 」
保護者ぶるがそれはあんただろとは口が裂けても言えない。
「ちょっと待って。確認です。お二人は親子? 正真正銘の親子? 」
エクセルが冷静に問いかける。さすがはエクセル。頼りになる。
アプリンはまだ涙を流してるしハックは制御不能。
俺は口下手だから…… って関係ないか。
「当たり前だろうが他に何がある? 」
さも当然と胸を張るが男の目撃談は相当なものだった。
そのすべてに危険な匂いがしていた。だからこその追跡。
「失礼しました。あなたが噂の小さい子大好きのペドさん? 」
思いっ切り失礼なエクセルの質問。
これでは教えてなどくれない。
これまでの努力も苦労も水の泡。
「好きって言うと語弊があるがまあ嫌いじゃないかな。ははは…… 」
証言を取る。
これでモンスターに告げ口をすれば明日には男は消えることになる。
そんな監視された恐ろしい世界。あまりにも現実離れした世界だ。
どうやらただの勘違い。または早とちりだったらしい。
これはもう誠心誠意謝るしかない。
「まったく人騒がせな連中だぜ」
「それはあんたでしょうが…… 」
「ああ? 何か言ったか? まあいいや。それで俺に何か用か? 」
口が滑ったが許してくれた。噂とはまったく違うも未だ不審人物のペド。
もしかするとこのペドさんに関してのみ良い人だったのかもしれない。
もちろん他のペドさんが居たとしてそいつらまで良いとは限らないが。
「あの…… 流浪の民についてご存じありませんか? 」
エクセルはドライだ。
「ああ知ってるよ。確か近くに洞窟があるだろ?
そこを抜けてすぐのところに家がある。そこに数人がお世話になってるって話だ。
ただの噂話に過ぎないがな。興味があるなら行ってみるといい」
ペド親子は山まで歩くそうだ。
少々不安だが女の子が認めたなら間違いないだろう。
かなり危険な人物だったけど見た目に反して優しいのかもしれない。
手を振り最後の挨拶。その時俯きがちなペドに怪しげな笑みが見えた気がした。
ペド親子と別れて教えてもらった洞窟へ。
洞窟見学。
ライトを片手に中を見て回る。
まず中へ入ったらライトをつける。
だがコウモリが苦手ならライトは放り投げるように。
洞窟における冒険者の心得と言うパンフレットが洞窟近くの茶屋に置かれていた。
ありがたく一枚。それによると第一関門はコウモリだそう。
光に敏感なコウモリが光を目がけて集団で襲ってくる。
ただその内どこかに行ってしまうので我慢する。
そもそも気にならないなら進んでもよいと。
パンフレットには地図も。
「やはりこれではダメみたい」
大雑把すぎる地図。
外に繋がる経路が消えてしまっている。
これではどうすることも出来ずにお手上げ。
「どうする? 」
「出直しましょう。恐らく地図もこの洞窟に詳しい人も見つかるはず。
焦らずにゆっくりよ。それがベスト」
「いや俺はこのまま突き進んだ方がいいと思うが」
「私に従えないの? 」
「そうじゃないけどよ…… 」
エクセルとハックが言い争いを始めいつの間にか険悪なムードに。
続く
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?
ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。
妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。
そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる