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再会そして告白

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俺たち三人は突然の大雨で動きを封じ込められた。
アン捜索は一旦中断し避難。
急いで近くの建物へ。
親切にも受け入れてくれた女性には感謝しかない。

「ほらこっちにおいで。皆に紹介するよ」
倉庫みたいなところに通されると手を叩き仲間を呼ぶ。
「いらっしゃい。ゆっくりしていきな」
歓迎を受ける。
その一人一人に見覚えがある。
恐らく、いや絶対に言の葉村の仲間だ。
ハックに見覚えがあるなら彼らこそ噂の流浪の民。
ハックのグループとは別れたものの長い間一緒に生活していた。
物覚えの悪いハックだって気づく。
ようやく目的地にたどり着いたことになる。そうするとアンもこの中に……

「この人たちね小枝さんを頼って来たらしいの。
私たちもお世話になってるんですし力になってあげましょう」
協力を申し出る親切な女性。確か彼女はアンのおばさんだったかな。
「それで小枝さんはどこに? 」
一応の目的は小枝さんに会うこと。そこでアンたちの情報を得るつもりだった。
順番が入れ替わってしまったが聞く手間が省けてちょうどいい。
「小枝さんなら家にいるよ。ここを少し行ったところ。あれ? どこかで…… 」
どうやらあの綺麗な女性の適当な道案内は間違ってなかったらしい。

「実はある女性を探してるんです。ほらゲン」
エクセルに促され目的を伝える。
集まった者たちが何事かと騒ぎ始めた。
「アンと言う可愛いくて綺麗で素敵な女性を見ませんでした? 俺の幼馴染なんだ」
「何だいアンか。ほらアン。あんたに用があるってよ! 」
一番後ろに控えていた少女に皆の視線が注がれる。
そこにはアンの姿があった。
何と言う呆気ない幕切れだろうか。

「アン…… 何で君が…… 」
当然と言えば当然。アンも流浪の民の一員。居て当たり前。ただビックリしただけ。
「おいおい! お前は言右衛門じゃねえか! 」
大騒ぎの観衆。
「源右衛門! 」
そう言いながら村人は抱き着く。
ようやく離れ離れになった村人を探し出すことに成功。
後は彼らを故郷・言の葉村に連れ戻せばいい。
ただ今はアンのことに集中したい。

「アン…… 俺…… 俺…… 」
急展開について行けない。
夢にまで見た瞬間がいきなり訪れる。
まだ心の準備だって出来てないのに。
それどころかまだ旅の途中だった気がする。
これではハッピーエンドで幕が閉じるのでは?
それはそれで望んだことだけど。もう一ひねりぐらいあってもいいかな。
それが冒険者の余裕。

「ゲン! ゲンでなのね? 私たちを迎えに来てくれた」
もう彼女はその気だ。俺の告白を期待する目。
だが待って欲しい。誰がこんな急展開予想出来た?
「あああ…… 」
言葉を忘れた。ただのゲンでしかない。
仕方なくワードフォルダーからカードを取り出す。
だがどれ一つとして適切な言葉はない。
言葉の暴力ではアンを繋ぎ止められない。
ああ何てことだ? 俺は何て情けないんだ。
「どうしたのゲン? 私に言いたいことがあるんでしょう? 」
アンにここまで言わせておいて情けない。それでも言葉が出てこない。
「俺…… アンにまた会えてうれしいよ」
ここまでは難なく言えるのになぜかその後が出てこない。
典型的なあがり症。
決意したはずなのに。ここまでお膳立てされてもそれでも動けない。
一言愛を囁けばアンだって受け入れてくれるに違いない。
彼女もずっと俺が迎えに来るのを待っていたはず。

「ありがとうゲン…… 」
明らかにアンから笑顔が消え戸惑いが見られる。
どうやら失望させてしまったらしい。
これだけ焦らされればもう観衆も黙ってない。
「おら何やってるんだよ! 男だろうが! 」
「早く告白しろ! こっちがむず痒いんだよ! 」
「引っ込め! 」
口の悪い連中。
だが忘れてないだろうか? 言葉の暴力は警告の対象だと。
しかし収まるどころか皆挑発を始める。
めでたい状況なのに誰も祝福しようとしない。
なぜかからかい半分の聴衆。
「ほら早くしろ! 」
これ以上は限界。
「アンよく聞いてくれ! 俺は君…… 」
「これでも無理かよ。本当に情けない奴だな! 」
大人しく出来ない聴衆から強烈なヤジが飛ぶ。
彼らに悪気がないって分かってる。でももう限界だ。

                   続く
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