上 下
45 / 157

限界爆発 押し入れに隠された秘宝

しおりを挟む
宝箱オープン。
「ほら開いたぜ…… うん何だこれ? 」
【何しやがる! 】のカードが十枚。

「これも? これも…… 全部同じじゃねいか! 」
興奮して驚いてキレるを繰り返すハック。
まあ気持ちも分かるけどさ。得体のしれないモンスターの戯言を信じる方が悪い。
とは言えすべて【何をしやがる! 】だもんな。
レアカードではなくどちらかと言えばどこにでもある普通のカード。
価値がまったくないと言ってもいい。いや逆に災いをもたらすほど。

「おいお前! これのどこが凄いんだよ? 」
ハックが警告スレスレで食って掛かる。
「ふふふ…… これはね確かにゴミカードですよ。でもね意味はあるんですよ」
迷子男が正体を現す。
「あら本当にモンスターだったみたい」
残念だが退治するしかない。
友好の証にもらったカードが無駄になる。
「それでモンスターさん。本当にこれをくれるの? 」
彼にとっては秘蔵の宝なのかもしれない。
人の、いやモンスターの善意を無にしていいものだろうか?

「正体がバレては仕方ありませんね」
卑怯にも後ろ手に持った棒で襲いかかる。
仕方がない。もう少し遊んでいたかったけどカードを使うか。

【ああん? 】
モンスター消滅。

どうやらモンスターによって違いがあるらしい。
こいつは弱すぎるのでこれで充分消滅させられた。
だが他もそうとは限らないとエクセルは言う。
だから舐めて掛かると酷い目に遭うと脅す。
ははは…… 三人揃えば楽勝だろう。

カードを合計十一枚手に入れた。
大量大量。お宝ザクザクの気分を一度味わってみたかったんだよね。

ピーン! ピーン!
突然警告音が鳴る。
「いや…… 俺は暴言吐いてない。どうせハックじゃないの? 」
「待ってくれ俺じゃない! これ以上は勘弁してくれ! 」
ハックは目に見えない何者かにお伺いを立てている。
やっぱりハックだったか。心配して損した。

「あああ…… 」
エクセルは言葉にならない音を発する。
一体どうしたのだろう。
「説明してなかったけどそのバックの容量がもう限界みたいね」

エクセルが詳しい説明をする。
「このバックはあなたの部屋の押し入れに繋がっている。今、限界容量を超えた」
「嘘…… もう限界なのかよ? そんなに経ってないよ」
「これはある程度予想できた。でも余計なカードを収集し過ぎたみたいね」
「そうなるとどうなる訳? 」
「パンパンに膨れ上がったカードの束が押し入れを圧迫。
もう私たちのコントロールも利かない。入れることも出すことも出来ない。
押し入れをどうにかするにはバックをきれいにするしかない…… どうする? 」
「ちょっと待ってくれ! そのまま放置したらどうなる? 」
「それ聞く? 」
エクセルは何とかはぐらかそうとするが……

「ははは…… この素人め。かばんの整理ぐらいしろよな。
それくらい常識だろうが! 」
警告を受けずに済み調子に乗るハックは上からものを言う。
「おいハック。どうなるんだよ? 」
「知るかよ! 膨れ上がって押し入れがぶっ壊れるんだろ」
「そうなるとどうなる訳? 」
「大量のお宝が流れ出すって話」
「本当かよ? 」

ハックは抽象的にしか教えてくれない。
仕方なくエクセルに聞く。
「あなたの大切なお宝本が見つかる」
「そうすると? 」
「家の人は怒り狂うでしょうね」
「それで? 」
「あなたに帰ってくるように迫る。テレパシーで」
要するに警告を発するそうだ。
「そうなったら? 」
「あなたは村に戻るしかない」
「まあしょうがない。捜索が遅れるが報告も出来るからちょうどいいか」
プラス思考で乗り切ろう。
「何を言ってやがる! 異人は簡単に行き来出来ない! 」
ハックは身に染みてるのでよく分かっていると。

異人はそのまま故郷の村に留まる。
それはゲームオーバーを意味する。

設定のおさらいをするとモンスターを倒すと一枚カードゲット。
複数ならその人数分だけ。攻撃時はカード一枚で全員を攻撃可能。(例外あり)
だから戦闘を続ければいつかは…… ただ想像以上にカードを得たので容量オーバ。
どうにかしてカードを処分しないとカードが使用不可になってしまう。
それはゲームオーバーを意味し身柄は強制的に故郷に送還される。

                  続く
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

私は何人とヤれば解放されるんですか?

ヘロディア
恋愛
初恋の人を探して貴族に仕えることを選んだ主人公。しかし、彼女に与えられた仕事とは、貴族たちの夜中の相手だった…

夫が正室の子である妹と浮気していただけで、なんで私が悪者みたいに言われないといけないんですか?

ヘロディア
恋愛
側室の子である主人公は、正室の子である妹に比べ、あまり愛情を受けられなかったまま、高い身分の貴族の男性に嫁がされた。 妹はプライドが高く、自分を見下してばかりだった。 そこで夫を愛することに決めた矢先、夫の浮気現場に立ち会ってしまう。そしてその相手は他ならぬ妹であった…

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話

島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。 俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

処理中です...