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エクセルの恋
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礼拝堂。
「ああ君たちか。悩みごとかい? 今、神に祈りを捧げていたところなんだ。
どうだい一緒に? 」
来る者は拒まずと言うスタイルらしい。
せっかくのお誘いだが断ることにする。
そう言うのは超が付くほど苦手。
眠くなって欠伸が止まらなくなりそう。
「ははは…… 構いませんよ。強制はしません。それで何の用かな? 」
落ち着いた大人の男性の神父にうっとりするエクセル。
まさかエクセルの奴…… だからこんなところにもう一度?
まったく本当に困った妖精だぜ。時間がないと言うのにふざけて。
ならば俺だって…… おっとこれ以上はアンに悪いか。
果たして人間と妖精の恋は実るのか?
宗教だって種族だって違うのに本当に乗り越えられるのか?
彼に会いたい一心で礼拝堂へ連れてくるとは……
まったく少しは真面目にやってくれよな。
振り回される身にもなって欲しい。
だとすれば今回は空振りか?
「ああドロップですか。それは非常にデリケートな問題だね」
「お願いします。バニードロップについて教えてください」
ハニードロップとバニードロップがどう関係するのか?
まさか同一のもの? 変化した?
「分かりました。私で良ければ協力しましょう。それこそが神のお導き」
そうは言うがこの世界はモンスターに支配されており仏も神もないのだが。
二年前をきっかけに世界は姿を変えた。
妖精はおろかモンスターも普通に暮らす世界。
数年前までは考えられなかった摩訶不思議な世界。
だが人類はどうにか生き残った。
我が村も最後の抵抗を見せ結界を張り外界との繋がりを断った。
だがそれでは村は衰退する一方。
行き別れた村民を連れ戻す作戦が始まった。
俺で五人目だ。
戻って来ることもなかったし情報は途絶えた。
あまり悪く考えたくないが恐らく皆殺しにされたか奴隷にでもされたか。
運が良ければどこかで村を忘れ幸せに暮らしている。
出来ればそうであって欲しいと願うばかり。
「どうしました源右衛門さん? 」
ぼうっとしてたものだから心配させてしまったらしい。
「いえ、つい気持ちが先走ってしまいまして」
「ははは…… その気持ち分かります。ハニードロップが手元にあるんですよね?
どうです一旦私に預けてみては? バニードロップへと変化して見せましょう」
神父は神秘の力を使いハニードロップをバニードロップに変えると言う。
そんなことが可能なのか? まるでイリュージョン。
「はいお願いします」
エクセルは疑うことを知らない。いやもう骨抜きになっている。
神父の美声と神々しい光に包まれた姿にイチコロ。
神父に惚れるとはまったくのノーマークで驚きが隠せない。
「ちょっと待ってよ! 預けなくても目の前で変えてくれればそれでいいよ」
ワガママだったかな。でも実際それで済む。危険を冒してまで神父に賭けられない。
神父の目つきが変わった。
「お急ぎのご依頼でしたら錬金術を使い今すぐに変えて差し上げます」
有料だそう。急に商売っ気を出す神父。
さっきまであんなに親身になってくれたのになぜ?
疑問が神父への不信感に繋がる。
「いくらでしょう? 」
「一千ドット」
ぼったくり始めた。
「エンゼルカードで」
何の疑いもなくカードを差し出すエクセル。
恋は盲目と言うが変わり過ぎじゃない? 態度も俺の時とは随分違うしね。
「申し訳ない。ここは教会なのでカードの使用は不可となっております」
神父も頭が良い。その手を使えば我々も言うことを聞かざるを得ない。
「そんな…… 」
エクセルが落ち込む。ここは慰める意味でも試してみるか。
「済みません。本当にカードは使えないんです」
「だったらいいでーす! 」
上手くやってやったぜ。これで神父も少しは懲りただろう。
「ふざけないのゲン! 」
エクセルに本気で叱られる。ちょっと真似しただけなのに。
「ですから預からせていただきたいとそう申してるのです」
神父は善意でバニードロップに作り変えると言う。
「錬金術で? 」
「はい。本来は金を生成するもの。しかし応用で物質を作り変えることも。
ご心配なさらずにお預けください」
神父の自信は本物だろう。
エクセルもそれでいいと言うので預けてみることにした。
「明日の昼までにお願いします」
「お任せください。これも人助けでございます」
かなり怪しい神父にすべてのハニードロップを預ける。
これでいい。俺たちは金儲けに来たのではない。
ハニードロップからバニードロップにしてくれるならそれでいいのだ。
それで神父が儲かろうが半分懐に入れようと構わない。
だがそれ以上のことをするならただではおかない。
続く
「ああ君たちか。悩みごとかい? 今、神に祈りを捧げていたところなんだ。
どうだい一緒に? 」
来る者は拒まずと言うスタイルらしい。
せっかくのお誘いだが断ることにする。
そう言うのは超が付くほど苦手。
眠くなって欠伸が止まらなくなりそう。
「ははは…… 構いませんよ。強制はしません。それで何の用かな? 」
落ち着いた大人の男性の神父にうっとりするエクセル。
まさかエクセルの奴…… だからこんなところにもう一度?
まったく本当に困った妖精だぜ。時間がないと言うのにふざけて。
ならば俺だって…… おっとこれ以上はアンに悪いか。
果たして人間と妖精の恋は実るのか?
宗教だって種族だって違うのに本当に乗り越えられるのか?
彼に会いたい一心で礼拝堂へ連れてくるとは……
まったく少しは真面目にやってくれよな。
振り回される身にもなって欲しい。
だとすれば今回は空振りか?
「ああドロップですか。それは非常にデリケートな問題だね」
「お願いします。バニードロップについて教えてください」
ハニードロップとバニードロップがどう関係するのか?
まさか同一のもの? 変化した?
「分かりました。私で良ければ協力しましょう。それこそが神のお導き」
そうは言うがこの世界はモンスターに支配されており仏も神もないのだが。
二年前をきっかけに世界は姿を変えた。
妖精はおろかモンスターも普通に暮らす世界。
数年前までは考えられなかった摩訶不思議な世界。
だが人類はどうにか生き残った。
我が村も最後の抵抗を見せ結界を張り外界との繋がりを断った。
だがそれでは村は衰退する一方。
行き別れた村民を連れ戻す作戦が始まった。
俺で五人目だ。
戻って来ることもなかったし情報は途絶えた。
あまり悪く考えたくないが恐らく皆殺しにされたか奴隷にでもされたか。
運が良ければどこかで村を忘れ幸せに暮らしている。
出来ればそうであって欲しいと願うばかり。
「どうしました源右衛門さん? 」
ぼうっとしてたものだから心配させてしまったらしい。
「いえ、つい気持ちが先走ってしまいまして」
「ははは…… その気持ち分かります。ハニードロップが手元にあるんですよね?
どうです一旦私に預けてみては? バニードロップへと変化して見せましょう」
神父は神秘の力を使いハニードロップをバニードロップに変えると言う。
そんなことが可能なのか? まるでイリュージョン。
「はいお願いします」
エクセルは疑うことを知らない。いやもう骨抜きになっている。
神父の美声と神々しい光に包まれた姿にイチコロ。
神父に惚れるとはまったくのノーマークで驚きが隠せない。
「ちょっと待ってよ! 預けなくても目の前で変えてくれればそれでいいよ」
ワガママだったかな。でも実際それで済む。危険を冒してまで神父に賭けられない。
神父の目つきが変わった。
「お急ぎのご依頼でしたら錬金術を使い今すぐに変えて差し上げます」
有料だそう。急に商売っ気を出す神父。
さっきまであんなに親身になってくれたのになぜ?
疑問が神父への不信感に繋がる。
「いくらでしょう? 」
「一千ドット」
ぼったくり始めた。
「エンゼルカードで」
何の疑いもなくカードを差し出すエクセル。
恋は盲目と言うが変わり過ぎじゃない? 態度も俺の時とは随分違うしね。
「申し訳ない。ここは教会なのでカードの使用は不可となっております」
神父も頭が良い。その手を使えば我々も言うことを聞かざるを得ない。
「そんな…… 」
エクセルが落ち込む。ここは慰める意味でも試してみるか。
「済みません。本当にカードは使えないんです」
「だったらいいでーす! 」
上手くやってやったぜ。これで神父も少しは懲りただろう。
「ふざけないのゲン! 」
エクセルに本気で叱られる。ちょっと真似しただけなのに。
「ですから預からせていただきたいとそう申してるのです」
神父は善意でバニードロップに作り変えると言う。
「錬金術で? 」
「はい。本来は金を生成するもの。しかし応用で物質を作り変えることも。
ご心配なさらずにお預けください」
神父の自信は本物だろう。
エクセルもそれでいいと言うので預けてみることにした。
「明日の昼までにお願いします」
「お任せください。これも人助けでございます」
かなり怪しい神父にすべてのハニードロップを預ける。
これでいい。俺たちは金儲けに来たのではない。
ハニードロップからバニードロップにしてくれるならそれでいいのだ。
それで神父が儲かろうが半分懐に入れようと構わない。
だがそれ以上のことをするならただではおかない。
続く
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