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Dead End ユ キ・サクラ (68)

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それにね、敵を殺すことを前提に開発している魔道具を担当している多くの研究職の人達ってさ、何処かで大切な人を失った人が多いんだよね。
敵に恨みを抱いている人がその恨みを晴らす為に憎悪・復讐っという黒い燃料で毎日を生きてきた…
尽きる事のない晴れることのない燃料を注ぎ続け動き続け人々を笑顔にする為っという明日を夢見る為に動くのではなく、過去を反芻するように忘れない様に生きてきた人達。
専門外である技術を嫌な顔をすることなく、真剣に敵を殲滅することを目的とした魔道具を共に学び、共に考案し、日々増えていく積もっていく恨みをぶつけたいって願っている人が居る。

私だって同じムジナだよ。
っていうか、研究所に所属する人で、研究する心に恨みというスパイスが一欠けらも入ってない人っていないんじゃないかな?
ただただ、研究したいだけなら安全圏である王都で研究するもんね…昔からこんな死の危険だらけの場所で働きたいって思う人なんてさ…

根っこは…後ろ指刺されるような感情だよね…
ぁ~フラさんだけは愛かも?そういう話をしたことが無いからわかんないや。

私がこの街に来て、様々な結果を出してからは、敢えてそういう人達を探しては囲ってたりもする。
復讐心ってさ、自分の体を燃やし尽くしても構わない程に燃料が強い、寝る間を惜しんでも研究する人が多かったかな…
どうして、私が富を必要としているのか、敵を殲滅する為にはどうしても研究費用が必要だったからね、裏の思想としてはそういう想いもあったってわけ。
表向きは人類の未来の為!って形で収益を上げる。取引先も人類を豊かにする為に活動を頑張っているっていう私の表面に感激して、他の業者ではなく、私を優先してくれる、本来であれば権利関係で参入するのが難しい貴族社会の様々な事業に忽然と参戦してもお咎めなしとしてくれている。

その結果、得た莫大な予算によって敵を殺す為だけに生み出した魔道具は数多くってね…

どうして秘密裏にしているのかって?公開することでより利益が生まれるんじゃないかって?っは、馬鹿じゃない?
今まで秘密裏に作ってきた魔道具を考え無しに下手に公開してごらんよ?危険分子として王族から討伐対象に認定されかねないっての!

だから、敵を殺す為だけに作った魔道具が外に流出するとさ、本気でやばい品物が研究塔の奥には眠っている。敵から奪った魔道具含め、ね…
残念な部分が、人には非常に有効的な魔道具でも、敵には有効じゃないって部分かなぁ…結局は純粋な力が最強ってわけってのも悲しいよね。

決戦魔道具シリーズも、その一つ!絶対に敵にも味方にも大っぴらにできない程に殺傷能力が高すぎる品物!
目の前で殺戮の限りを尽くしている兵器の概要ってのがね、この大陸には無いけれどさ、海を渡った南の方には、砂漠っていう草木が無くて、水も無くて砂だけの大地がある。
その砂漠の砂ってさ、地面にある乾いた土とは違うんだよね。この魔道具から打ち出すのに適しているのが砂漠の砂ってわけ。
っで、同じ性質を持った砂を開発して、それだけだと、殺傷能力が乏しいってことで、金属片を入れてみてはどうだろうかって意見を採用。
私が運営している工場で廃棄される予定の加工した際に出てしまう鉄の砂のような鉄屑とか、宝石を加工した時に生み出される鉱物の破片を織り交ぜて、この魔道具の為だけに用意した特殊な砂。

それを高圧で打ち出して前方にいる相手にぶつける、それも一塊じゃなく、継続して小さな粒たちが永続的に物凄い勢いでぶつける。

ヒントとして、地球からの知識を応用して作ってみたは、いいんだけれどさ…想像以上の威力で正直、驚きしかない。
地球の技術は人を豊かにするよりも何かを殺すことに特化している気がする。
私達のような、とてつもなく、途方もない程に力量の差がある敵を想定しているのなら、生きる為に必死になって考えるってのはわかるけれど…
外敵がいないのに、ここまでの兵器を考える辺り、地球って世界はきっと、危険な場所なのだろう。もしかしたら、始祖様はその世界で監視をしているのかもしれない…

目の前で今もなお繰り広げられている敵からすれば絶望的、私達からしても恐れてしまう程の光景を眺めていると、短絡的な考えも過ってしまう。
この魔道具を量産出来たら最強じゃねぇかな?って思ってしまうのだが…
この魔道具って全部が全部、私お手製の物じゃないから、出来ないんだよなぁっと、落胆してしまう。

過去に、敵から奪った魔道具を改良して作った決戦用魔道具の派生その1って、感じなんだけど…
如何にかして量産できないかなぁ?って考えたことは今までに一度も無いのかって言われたら、そんなことは無い、敵から奪った魔道具で有用な物は本当に有用だから量産したいよ?量産出来たら、敵に勝てる見込みがすっごく高くなるんだけどね…
困ったことに、この魔道具を量産しようにも、大元の魔道具を構成している素材が特殊すぎて再現が難しいんだよねぇ~…いつかは、再現してやろうって思ってはいるんだけど、現時点では難しい。

出力を落とせばやれないこともないんだけど…
出力を落とした結果、強めの風を産み出す羽の扇風機みたいな感じになっちゃったんだよなぁ。まぁ、それはそれで暑い場所で作業する人達や、暑いのが苦手な貴族達にさ、大量に売れたからいいんだけどね。兵器開発していて副産物として人々の生活を豊かにする魔道具が生み出されることはあるから、無駄ってわけじゃないんだけどね。

研究者としては歯がゆい気持ちだよ…目的のものが造れていないんだから。

なので、今後の課題としても、量産するために、出力に耐えきれる素材を見つける事って感じかな?見つけたとしても加工する技術が無かったら意味が無いから加工する技術もいるんだよなぁ…
運よく、全ての条件を満たすことが出来たら、早急に、この魔道具に施された術式をベースとして、発展展開させていくって方針!

…その中の一つに、私が持ちうる最大級の火力、ほーりーばーすとも再現予定だよ…
ほかにも、始祖様が私達…寵愛の巫女だけに伝えてくれた術式、魔法や、奇跡っていっても良いくらいに概念が違う技術。それを再現できるように開発も続けているよ、何年も前からね。

開発状況や、今後の戦いにおいて具体的に何が必要なのか…ぼんやりとだけども、直感的で根拠も何もないけどさ、何かしらの道が見えてきているって感じてはいるよ?
こんな激戦の中でも私は思考を止めない、だって、時間がもったいないんだもん。人型も居ないし、研究塔の人が居るから筒の換装も出来るだろうから、現場から離れても良いんだけど、周りの士気が低下しちゃうから、動くわけにはいかないんだよね。
かといって、ここは死の大地!危険はつきもの!椅子に座って踏ん反り返って、研究の事ばっかり考えていても問題ないくらい、私は街の戦士を信じている。
近くで警備してくれている騎士達や、戦士達が見守る中、眼前ってほど、近くは無いか、少し離れた場所ではずっとすごい音を出しながら蟻の大群が如く、誘導された獣達を楽しそうに掃除している戦士をぼんやりと見つめながら他の事を考え続ける。

周りからすると私が暇そうにしているのだと勘違いされてしまいそうだけど、実際問題、暇なのかって言われたら暇だよね。
そんな状況だからこそ、気軽に手持ち無沙汰になった戦士が声を掛けてくる。
内容を聞いてこれは、アトラクションじゃねぇぞ?って注意したくなる。

「自分もあの魔道具を使いたい」って、懇願される。遊びじゃねぇんだからってしっしって注意しても良いんだけど、流石に同じ人が永遠と使い続けるのも良くない。使う人の体を心配しないとね、この申し出は、丁度いいかな。
ボチボチ砲身を換装したいので、戦士や騎士達に魔道具の調整をするので敵を食い止めるように指示を出す。
魔道具を持った戦士を下がらせて、手早く魔道具の砲身を新しいモノに交換する。
交換が終わって周囲を見渡すと、何か、騎士の数が増えているような気がする?たぶん、敵を引き付けてくれた騎士達かな?
それとも、休憩が終わった騎士達が駆けつけてくれたのかな?近くにいる騎士に状況を確認すると、どうやら後者みたい。

ずっと戦い続けてきた戦士や、騎士に休憩を取るために後退して、駆けつけてくれた騎士に前に出る様に指示をだす。

色々とタイミングが良かった。たぶん、新しく騎士達が到着したのを見て、良い頃合いだと判断してくれたんだろうな、流石は歴戦の戦士だよ。
魔道具が幾ら楽しくて、永遠に使っていたいと思っていてもさ、屈強な戦士だとしても!
長時間、あの騒音のど真ん中にいるのは良くない!それだけじゃなく、砂の影響だってある!勢いよく飛び出る砂が敵にあたると多少は此方にも跳ね返ってきたりするからね。
間近で浴び続けるのは良くない!声をかけてくれて丁度よかった。

懇願して来た戦士に魔道具を渡して、前に出てもらう、受け取ったときにとびっきりの笑顔が兜から見えた気がするのは気のせいだよね。
長い間、魔道具を使い続けていた戦士を休憩するために下がらせ、補給部隊と合流させる。補給部隊がいる場所だったら周囲を騎士達が警護してくれているから比較的安全だからね。医療班が居る場所まで戻るよりも、こっちの方が近いから丁度いいよね。

その動きを見ていた研究塔の人が戦士に駆け寄り声を掛け、何か、話しかけている。

きっと、使い心地とか、改良するべきとこがあるのか、情報が欲しくて話しかけているのでしょう。
指揮官として戦場から目を離すわけにもいかないので、魔道具を使い続けてきた戦士の近くに行けない私の代わりに戦士から使用感を聞いてくれるのは助かるよね。
フィードバックは大事、今回の一件を敵からの嫌がらせって考えず、現地での実験って考えれば有意義な時間だって思う事も出来るからね。

この後も椅子に座りながら決戦兵器の行く末を見守り続ける。各持ち場から誘導してきた獣の一団を魔道具によって殲滅していくだけの時間。正直ちょっと見飽きてきたから、地下の研究室に帰って研究の続きがしたい、これによって士気を高め、少しでも現場にいる戦士や騎士達が休憩する時間が作れたら良いと判断したのは良いんだけどさ、私個人だけで見れば私の時間が奪われまくって悪手じゃねぇかって少し反省。
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