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Dead End ユ キ・サクラ (35)

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新月の夜まで、がっつりと研究するためにスケジュールを調整しておいたので、ひたすら!我を忘れて、職務なんて投げ捨てるかの如く!
没頭するかのように幾度となく加護にアクセスし、お母さんが魔力不足になろうがお構いなしに!資料を読みあさった!

おかげで、資料の中身はほぼ完ぺきに!書き写すことが出来た!
研究に必要な道具や素材も把握できたし、理論も何となく理解した!
書かれていた知らない材料とか、成分は、何かで代用できるのかある程度の目星もついてる!
代替え案を用意した!

後は、地下に用意してある教会から送られてくる人々の祈りと言う名の魔力を蓄積するために用意した施設。
その潤沢な魔力を使って研究を開始するから、魔石貯蔵庫っという名目で建設した地下施設に隣接する様に地下培養研究施設を建設する手筈を整えて行く。

こういった施設を作る上で当然、幹部達の会議をするんだけど、研究内容が新しい医療、新しい仕組みへの研究、引退せざるをえなかった戦士達に明日を与えるっていうプレゼンをしたら大賛成だったし。
お母さんもこういった医療の新しい道を切り開くために作る施設ってことで、興味深々ですっごい協力的!!
研究塔の皆も、突如始まる新しい研究で仕事が増えるんじゃないかってネガティブな意見が出てきそうだよなぁって不安を感じたりしたけれどさ!
内容を伝えていると全員がすっごく協力的で怪我した人とか、病気で救えなかった人を救える可能性が高くなるっていう部分に心惹かれた人が多みたいで、全員がやる気に溢れている、モチベーションは最高って感じ!
なので全員が渡した資料に書かれている成分をどうやって錬金したり、抽出したり…無いモノをどうやって生み出すのかって部分でも目を輝かせている

だけど、私が始祖様の術式とか、敵の魔道具を解析分析をお願いしている術式研究所は稼働停止しないといけないかもなー…
殆どの人がさ、何処かの部隊と兼任だから、専属って言うのは私と数名って感じ!
専属の人は元々、私が渡してある研究を主軸として研究してもらっているから、新しく指令を出す必要はないかな?

当面のスケジュールと稼働状況をある程度、想定して細かい指示書を作成していく

幸いなことに、必要な素材は何とかなりそうな感じがする。
何故なら…必要な材料は此方側である程度、用意できそうな気がするから。
その材料って言うのが、死の大地に住まう獣から採取できる素材の中に、近しい性質や成分がある。

これを僥倖と捉えるのか、もしかしたら、魔女は獣サイドだったっていう可能性が湧き上がってくる…
どういう繋がりがあるのかわからない…

邪推してしまいたくなる。
だけど、それは、その部分は、私が考える事ではない。
これを僥倖と捉え、天が味方してくれていると、神が研究を進めろと言っていると思って動き続ける!
これもまた、偉大なる始祖様が導いてくれたものだと信じて。

ってなわけで、明日は待ちに待った新月!
たったの一か月だって言うのに凄く長く感じた~…やるべきことが一気に増えたからなんだろうなぁ~…
ぶっちゃけると毎日が充実している、明日へ向かって一歩ずつ進めているって言う実感も沸いてくる。

研究こそ我が命!我が道!満ち足りるってなもんだよね!

そうだよ!ほんっとにそう!我ながらナイスな言葉だよね!
取引とかあんな誰でも出来ることをどうして、最高の頭脳であり、この星で最強であらせられたあの偉大なる伝説の人物、始祖様から加護を与えられた一族が!!
どうして、誰でもできる、どうでもいい取引なんて!そんな下らないことに時間を割かないといけないんだっての!

私に時間を寄こせ!研究させろ!未解読の術式を研究させろよー!!

ってね、大きな声で訴えかけてやりたいけどさ、出来ないんだよね~…私がルの一族だっていうのは出来る限り伏せておきたい事なんだよね。
王族からすれば、聖女の一族は一旦、途絶えたことになっているからね、表向きはね、流石にアレも私がルの一族の末裔だってのは気が付いているけれど表だって行動しない辺りその辺で私を攻撃する気は無いんだろうね。
まぁ、暗殺紛いなことはしょっちゅう仕掛けてくるけど、毎度毎度、爪が甘いのはさ、構って欲しいだけなんじゃねぇの?って感じる部分もあるんよなー…どうでもいいけどね。

それにね、たぶんだけど、また100年も経過したら私の故郷で突如、ルの宿命を背負った、ううん、背負わされた短命種が産まれ落ちる気がする。
今までは何とか血の繋がりで引き継いでこれたけれど、始祖様から繋げられた血の繋がり、今代は…私でお終いなんだよね…

命を繋ぐという使命…失ってはいけない血筋…命のバトンを遠い過去に投げ捨ててしまった…それを思い返し、つい、お腹を摩ってしまう…

ふっと鼻で笑った後、ぽんっとお腹を叩き、机から立ち上がり細かい指示書を渡しに各部署へと足を運ぶ。

メイドちゃんにこういった事をお願いすればいいんだけれど、指示書の内容を直接伝えないといけないよね。
新しいことに挑戦するってことだからわからない事とか、既にある程度、浮き彫りになっているだろうから、それらの説明と相談を同時進行で行いたいからね~

なので、メイドちゃんにはメイドちゃんにしか出来ないスケジュール調整をお願いしている

今後、数年単位で新月の周期を計算して、新月が訪れるタイミングに近しい日は念のために!
全てにおいて私が取引で外に出ない様に調整してもらっているのだ!

こればっかりは、毎度のことながらね、頭上がんないよね~…
私からさ、取引先に直接連絡取るとさ、相手も恐縮しちゃったり?萎縮しちゃったりするけどさ、メイドちゃんが良い感じにクッションになってくれるから相手さんもね、変にストレスを感じないからね。

スムーズに取引が出来るってもんだよね~。
傲慢な貴族がこの状態を見て、その影響でさ、出費が嵩んで取引のうまみが減るかもしれないって部分を指摘されそうな気がするけれど!
どうでもいいくらい稼いでるから気にしたら負け!今は私の時間の方が万倍も価値があるからいいの!赤字じゃなくて黒字なら問題なし!

多少の赤字なんてどうとでもなるからさー、ほんっと、メイドちゃんに任せたい!!
取引も全部!何もかも!外交官って職位にしてさ!色々と任せたいんだけどね~絶対に嫌ですって断られてるんだよね~。

何とか説き伏せたいけれど、交渉材料が乏しくて難しいかなー…
メイドちゃんの背景を考えるとさー絶対に首を縦に振らせる交渉材料があることはあるんだけどさ~。
それってさ、私的にも切りたくないカードってなわけで、それを使っちゃうとね~メイドちゃんの背景にいる海を渡った大陸に鎮座しているちょっと訳ありの通称本国がさ、世界情勢的にも有利になってしまうようなカードっていうかもうジョーカー切り札って感じのやつがあるんだけどさ、ここで使うのは無理なんだよね~。
だって、いざって時に置いときたいじゃん?そのいざって絶対にやってくると思ってるんだよね、いつか私自身が向こうと取引するときに置いときたいジョーカーだから使いたくないんだよなぁ…

これでも一応、海を渡った先にある色んな大陸との大型な取引も視野に入れているから、絶対に切りたくないジョーカーってのはね、念のために数多く用意してあるんだよね。
っていってもなぁ、このカードを使うタイミングってさ、平和になった後か、最終決戦で人手が足りねぇって判断した時に使おうって思っているカードだから永遠に使わない可能性もあるんだよなぁ…

いや、使うか、私が…死んだあと、とかでね…

うん、そう考えると、切りたくないね…残して置くかぁ~…
しゃーねー、今後も頑張って私自らいつも通りに取引も頑張ろうと、一歩進むたびに腹を括っていく。
各部署に細かい指示書を渡しに行き、指示書を渡した際に、事前に渡してある指示書で悩んでいる部分があれば質問受け付けるよと言うと、数多くの質問や素材が何時頃届くのかなどの相談を受け、出来る範囲、わかる範囲で適切な指示をだし、私自身もわからないことに関しては悩みを共に考え、一緒に方向性としての道を示していく。

今回のは、薬に精通する部分もあるから、薬と毒のエキスパートであるお母さんにも手伝って欲しかったんだけどなー。
医療班の仕事を減らしてもらって研究の手伝いをしてもらうかと思ったんだけどなー…
ちょっと、お母さんのスケジュール的にも無理そうな感じだったから現場優先、ユキさんの心のケア優先で動いてもらっている。

勇気から頼まれているユキさんのメンタルケアに関しての進展としては、特に進展はない、のかな?現状維持?
今のところ、ユキさんは自分が女性の心だっていうのは誰にも打ち明けていない。
打ち明けてくれた方が変なストレスから解放されると思っているから打ち明けて欲しいけれど、デリケートな問題だから、恐らく、打ち明けるきっかけが必要なのだと思う。
お母さんもそれを察してくれているみたいで無理に駒を進めようとせず暖かく見守るように相談の乗ってくれていたり、現場での辛かったこととか、頑張っている事とか、そういうケアに徹してくれている。

周りからすると、ユキさんだけ特別扱いしてないか?って思われるかもしれないけれど、ユキさんが偉大なる戦士長の息子っていう部分がこの街にいる新兵含め全員が知っているから、ゆくゆくは幹部の道へと進むのだろうっと薄々感じ取っているみたいで特に文句はない。
幹部であるお母さんや私が気にかけているのも、未来の幹部として教育する為っとしか感じていない人もいるだろうかな?
これでさ、ユキさんがおんぶにだっこで何もしなかったら色々と問題が発生するけどさ~、ベテランさんこと、カジカさんからユキさんの評価を聞いたら新兵の中では断トツで強いって評価で、今すぐにでも前線に送り出しても問題ない程の力量に技量だって驚いていたってことだもんね。
カジカさんが期待を込めて徹底的にしごきぬいていて、新兵達が絶対に受けたくないって言うくらいの厳しい訓練内容についていけているのも、また、周りからの評価が高くなっていってるんだろうね。

ユキさんの努力する姿っていうのはしっかりと周りからも評価されている。

その代わり、自由時間を削って訓練に取り組んでたりするから、新兵達と他愛のない会話とかも参加する頻度が減ってしまっていて、新兵達もユキさんの事を特別視しているみたいでさ、気軽に会話に誘えないみたいで徐々に孤立していってるみたいなのが問題だってお母さんが言っていたから、私も彼女が孤立しない様に出来る限り、時間がある時は声を掛けるようにしている。

貴女は独りじゃないよって伝えないとね!

同部屋のさ、王族の隠し子こと、オリン君は基本的に他人の事なんてどうでもいいって素振りだから、あまり期待していない。
興味が無い素振りだけどさ世渡りが上手い!そういう部分ってのが、彼が王族の隠し子故にって感じだよね。
印象に残らないようにされど、相手を不快にさせない様に身をひそめる…その空気を読む力はピカイチだよねー…
そんな彼にさ~ユキさんに対して色々とケアをして欲しいって声を掛けたらきっと、ある程度、気にはかけてくれるだろうけれど、それでも深くっと言うか、極力関わろうとしないんじゃないかなー?流石にね、王族と縁がある血筋だもの…縁どころじゃねぇか…
もろに王族の血筋だもんなーユキさんって…

あの強かなオリン君が他の王族と深く関わろうとなんて絶対にしないだろうなぁ…何か一押ししないと絶対にしないだろうなぁ~…

そんな事を考えながら、細かい指示を出し終えて、地下の工事がどの程度進んでいるのか確認するために向かうとへとへとに疲れ果てて眼をしょぼしょぼさせているユキさんを見つけたので近づいてみるけれど…

気が付かない?結構近くにいるんだけど?

よっぽど、訓練が厳しいのか、足取りがふらふらしてる…
後ろを付いて行くけれど一向に気が付く様子が無いので、隙だらけの脇腹に指を突き刺してみると
「わっひゃぁ!?」
ビクンっと跳ねるように飛ぶ仕草が凄く…面白かった!
空中で後方を確認しようと身を捻る動作が見えたので、ユキさんの視界に入らない様に体を動かし、着地と同時に再度、脇腹に指を突き刺す
「うひぃ」
仰け反るように体を逸らして飛び、直ぐに首をぐりんっと回して此方を見てくる、あー、この速度は逃げれんな~
視線が交差したので、にひっと笑顔で手を振ると
「やめてよ!くすぐったいなぁ!!」
顔を真っ赤にして両脇をガードしながら吠えてくる
くすぐったがりなのかーこれは良き情報じゃ、にしし

飛び跳ねた勢いで結構な距離が離されたので、何かされる前に逃げようかと思ったら一瞬で間合いを詰められ瞬時に肩を掴み
「悪い子にお仕置き!」
すぐに、私の脇腹をくすぐってくるが・・・っふ、私にその攻撃はあまり効かない!耐えれない事も無い!
攻撃に耐えていると、むきになったのか、必死に脇腹を突いたり抓ったりするのだが、その必死な攻撃が逆に?雑になりくすぐったいという感覚が無くなる。

っふ、勝ったな!ガハハ!っと仁王立ちで声に出すと
「うー、ずるいよ姫様ー!」
悔しそうに頬を膨らませてる、残念だったな!私がくすぐったいと感じるのは主にうなじと足裏だ!絶対に教えないけどな!…後は、腋下も苦手かも?
軽くからかった後、世間話を少しして別れる、ユキさんも早くお風呂に入ってご飯食べて寝たいみたいだし無駄話に花を咲かせるわけにはいかないよね

ユキさんと別れた後は当初の予定通り、地下の研究施設がどの程度、完成に向かっているのか新着を確認する…
このペースで行けば、二か月後にはある程度、稼働させれそうかな?
穴を掘って上にある建物に影響が出ない様にレンガに鉄筋コンクリートに近いモノを使って地下スペースを作ってもらっている
地下が出来たら、製造を開始していて、地下が出来るころには完成している実験用の魔道具を運んで、他にも必要な研究用の道具を運び込むだけ!
道具の中身や内容なんて運ぶ人はわからないだろうし、工場にお願いしている魔道具もどういう仕組みなのか中身なんて知らないだろうから、この研究内容が王都に漏れることはない!何も問題なしってね!

順調順調!このまま、軌道に乗ってくれるといいんだけどねー。
この研究がある程度進んだら、ユキさんに見せてあげないとね…

この研究が進めば、女性の体を培養できる、貴女の心を解き放ってあげれるよってね…

下準備は程々に順調、障害は今のところなし!万事順調!頼まれてた事も概ね良好と判断!
うんうん、明日の手土産は完璧じゃん?にっしっし!
自慢げに地下から外に出て深呼吸をする…

早く会いたいな…

遠くに殆ど見えるか見えないか、そんなお月様を眺めながら、甘いため息を漏らしてしまう。

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