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とある人物達が歩んできた道 ~ 今後の予定 ~ ⑥
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姫ちゃんも姫ちゃんで、あの一件以来、政治に関るつもりはないって言っておきながら定期的に関わっているみたいなのよね。
「政治に関るつもりはなかったんじゃないの?」
「指示は出してないよ?敵の悪事で後手に回らないように先手を打ってるだけだもん」
っふ、姫ちゃんにこの手の話題で勝てる気がしないわね、さらっとはぐらかされるのよね。そういうところが、申し分なく政治に向いているわよ?王女になればよかったのに。
「そんな事よりも~、王家の血筋が現時点で、どうなっているのか、どの様に考えているのか、どの様に生きようとしているのかって把握しておきたいから、その調査をお願いしてあったんだよね」
王族の近況や状況、今後予想される手段の把握…
しっかりと踏み込んでいるのね。指示は出していなくても、いざという時は介入する気満々って感じかしら?それとも、自衛って考えに留まっているってことかしら?
「後出しで申し訳ないんだけどね、その、知り合いってわけでもないんだけど、少なからず関りがある人物なんだよね。実は、この偽名について相談されたことがあるんだよね」
知り合いだったら、何を悩む必要があるの?…知り合いだからこそ、姫ちゃんに対して人質としての価値があるっとか?
「偽名を考えて欲しいって…縁あっての名づけ係として相談されちゃったから…ほら?この名前だったら他に紛れやすいじゃない?王族に関係する人達だったら名前の系統が似通っちゃうから、他に紛れにくくなっちゃうでしょ?」
確かにね~、王族にゆかりのある人が偽名を考えちゃうと、ついつい、歴代の王族ゆかりの偽名というか系譜を参照しちゃうから、近寄った感じになってしまうものね。
「偽名を考えている時に、名は体を表すっていうからね、人となりを知るために、彼と話したことがあるんだけどさ…第一印象が、弱々しい感じでさ、争うのが苦手な人だったんだよね」
王族としては珍しいタイプの人なのね、だからこそ、次の王としてはうってつけの人材じゃないの?先の一件以来、王の評判は最悪だって聞くわよ?
姫ちゃんのように平民や困った人に真摯に向き合ってくれていないって評価しか聞かないわよ?この数年で、王は世間の評判を良くするような事は何もしてこなかったのよね…
「彼の性分を考えたたらね、彼の一生はこれからも、今までと同じように誰にも狙われないようにひっそりと王城の隅っこで生きていくのだと思っていたのに…何かあったのかな?逃げてきちゃったのかな?…それとも」
その先の言葉から察するわね、命を狙われているのだったら亡命って言う手段を使ってくるでしょ?
なのに、亡命っという手段を使わずに、この街で生きることを願って志願するってことは、王城に居場所がなくなってしまったとかじゃないの?
「…だからね、その、考えられる可能性が多すぎるって言う部分でちょっと困惑しちゃってるんだよね。他の王族の思惑とか、色々と考えると、彼の受け入れを拒否したらどうなるのか、志願がダメだったら亡命してくるのかな?っとかって感じなんだよね?」
煮え切らないような感じってことは、利を取るか、心を取るか、そういう部分で揺れ動いてる感じが伝わってくるわね。
「そのね、聞きたいのが、右大臣として、この子はどういう風に扱ったらいいと思う?守ってあげるべき?それとも、鍛えてあげるべき?王家の血筋だから、そこそこ鍛えたら強く成ると思うよ?」
そうねー、右大臣としての考えだったら、王族が真に血の交わりを徹底的に管理してきたのであれば、どんな王族であろうとも、始祖様の血を濃く受け継いでいるはずなのよね?
だったら、当然、この人も血は濃いと考えるべきね…そうなると戦力アップにつながるってことよね?純粋に戦力が増えるのは良い事じゃない?性格や性分は置いといてね。
右大臣としての答えが欲しいのならそれを言葉にするけれど…姫ちゃんが求めている答えは違う気がするのよね。
「私達の都合を考えれば、王族の血筋を手放すようなことはするべきじゃないのよね。この街に居てもらうべきね。右大臣としての考えであれば願ったりかなったりじゃない、現状、戦士達の粒は揃ってきていても、女将のような類を見ない強力な個の力ってのは揃っていない。現状では特別な個っていう枠に当てはまるのはベテランしかいない…凶悪な人型が出てきてそれと真っ向勝負できるのが一人しかいないって、問題をずっと抱えてきたわけじゃない?長い間、ずっと常に課題となっているじゃない。戦士達の層は、薄く脆いっていうね、右大臣としてはその問題が解決できるほどの人材であれば欲しいに決まってるじゃない」
姫ちゃんも同じことを考えていたのか、うんうんっと頷いている。
昔に比べたら総合的な戦力は相当向上しているわよ?みんな、本当に強くなった…その強さを比べるとすると、王都騎士団と闘っても勝てると自信を持てるほどよ?総合的な戦力で見れば、騎士様がいた時代に比べたら今の方が圧倒的に強い。
総合的に見たらね、組織として動けば、ね…個としての戦いであれば騎士様が痛い時代にはどう足掻いても勝てない。
騎士様に勝てる人物がいないし、女将に勝てる人物がいないし、坊やに勝てる人はベテランという己の戦いになるでしょうね…それに乙女ちゃんだって対人戦に置いては脅威的な強さなのよね~…
ベテランのやつにね、今だったら騎士様に勝てる?って聞いたら即答だったわよ、絶対に勝てないって…
理由を聞いたら『吾輩と戦士長が命がけで戦った場合、勝敗を大きく分ける部分として、吾輩はあの一撃を穿つことが出来ない、吾輩は、未だに見えないのである』って悲しそうに、悔しそうに己の不甲斐なさを嘆く様にしていたわね。
その問いを聞いてしまっている手前、今の戦力で一番怖いのが個々で対処しなければいけない状況に陥ってしまう程の凶悪な敵が出現すること…
つまり、デッドラインで見たアレと闘うのであれば…勝ち目はひとつもない。
デッドラインで戦った人型と今、闘うとすれば勝ち目はないかもしれないけれど、今だったら私達には姫ちゃんという天才がいる。
姫ちゃんの策があれば、いけそうな気はするけれど…戦士達だけって条件でって考えれば確実に負ける。
その事をしっかりと伝えてあげないといけないのよね、姫ちゃんって騎士や戦士達の力量を詳しく知ろうとはしないのよね。そもそも、姫ちゃんからすれば、誰がどの程度強いのか把握したところでって感じなのかもしれないのよね。
「この街をより強固に、凶悪な敵に備えるのであれば、女将のような個の強さを得られるのなら、当然の如く、喉から手が出るほど欲しい存在じゃないの?医療班だって問題になっている世代交代っていうのは、いつか起きる問題でしょ?ベテランのやつだって永遠に戦い続けれるわけじゃないもの、世代交代はいつかくるわよ。この先、戦力向上に繋がるのであれば、未来を見据えるのであれば個の強さは大事よ。志願してやってくるのであれば鍛え上げて前線で活躍してもらうのが一番じゃない?」
志願してくるのと亡命してくるのでは、意味合いが大きく違ってくるでしょ?亡命だったら、守ってもらいたいって、考えだって直ぐにわかる。
でも、亡命という方法ではなく、この街に志願するってことは、守ってもらいたいわけじゃないでしょ?
王族という血筋を前面に出して利用するのであれば志願なんてせずに、堂々と亡命という手段を使って守ってほしいと伝えてくるモノじゃないの?
だったら、その意図を汲んであげるべきじゃない?それに気が付いていないわけじゃないでしょ?まったく、この子は回りくどい時があるのよね。貴女だったら守って上げれるでしょ?
「亡命ではなく、志願って言う部分も考えてあげてる?」
「そう、だよね。うん。考えたよ?考えたけど、うん。そうだよね。右大臣としては、戦力に繋がるのであれば、やっぱりそう考えるのが自然だよね。それしか、彼の受け入れ先ってないよね?…亡命してくれた方がいや、本人が望んでいないのかな?煮え切らないけれど、後は本人の意思を確認して、本人がしたいこと、やりたいことを応援でいいかな?」
王族に関しては姫ちゃんの方がより深く背景を知っているからこそ、悩んでしまい捨てきれない選択肢があるってことなのでしょうね。
だから、事情を詳しく知らない人で相談しても問題無い人物、つまり、私の意見を聞きたかったってことね。
その意見を聞いて導き出した答え、それが一番じゃないかしら?
正式な手続きを踏んで、普通の平民としてやってくるのであれば、変に勘ぐる必要性はないでしょ?相手もそれを望んではいないと思っていいんじゃないかしら?念のために確認して、本人の意思を尊重するのが一番でしょ?
それにね、こうやって志願してくるってことは、此方側に来ても誰にも王族であることを隠したいって思惑もあるでしょうし…王族としてじゃなく普通の平民として生きたいのかもしれない。
そこに気が付いていないのかもしれないから諭してあげないといけないわね。
「あのね、姫ちゃん、もしかしたら、王族という立場が本当に嫌になって普通の人として生きたいという選択肢を選んだって可能性も考慮してあげてね?亡命という手段を択ばないで、姫ちゃんから貰った平民としての名前でこの街に志願したってことを汲み取ってあげてる?一度忘れて欲しいのよ、損得とか、王族関連の企みとか一旦、忘れて、一人の人間として彼と向き合って彼がどうして志願という道を選んだのか考えて貰ってもいいかしら?」
何かに気が付いたのか、はっとした表情をした後、一瞬悲しそうな顔をしたかと思ったら、直ぐに笑顔になって元気よく声を出す
「うん!そうだね…うん、それが一番かも。相談しに来てよかった、突拍子もなく何も考えた事も無い状態で、今後予想されるトラブルが舞い込んできちゃったからさ、何処にどういう風に根回しをどうすればいいのか…決め切れてなかったから、方針について相談したかったから…助かる!」
自分の中でどういう風に行動すればいいのか方針が決まったみたいで、緊張していた糸が切れたのか、横になるように頭を膝の上に乗せてくるので頭を撫でてあげると
「やっぱり、お母さんに相談して良かった、私じゃ人の心って、部分を完全に考慮してなかった」
そんな事を呟くけれど、貴女だってしっかりと人の心に寄り添った考えをしているじゃない。謙遜しなくてもいいのに、いざ、その時になったら誰よりも優しいってのは知ってるわよ?
姫ちゃんが求めている答えを得られたことに安堵しているみたいで、何も言わずに頭を撫でられている。
姫ちゃんには悪いけれど、私の問題は解決してないのよ~、うーん、もやっとしちゃう…
だって、問題の血筋がこの街にくるってことでしょ?一波乱起きそうじゃない?
名簿に書かれている人物達が、これからどのような出来事を生み出すのか想像してしまう。
何時もと違う、特殊な血筋の二人…
一人は、この大地で大きな功績を残し、未だに戦士長という名前を継ぐ者が現れないくらい歴史に名前を残した人物のただ一人の息子
一人は、私達に多大な迷惑をかけ続けてきた王族の血筋…王家の血筋ってだけで毛嫌いする人が居るのよね、困ったことに古株であればある程、毛嫌いしてるのよね。
古株の影響って新しくやってくる人達に対して影響力って強いモノなのよ、その結果、彼が孤立しないように…四面楚歌にならないように気を付けてあげないとね。
違うわね、そもそも、素性がバレなければいいだけじゃない?そう考えれば、そこまで危惧する必要はないのかしら?
ん~でもねー、なにかこう、嫌な予感はするのよね。
絶対に交わらない特殊な血筋、その二人が揃うってだけで、何か一波乱がありそうな予感がするのよね、この組み合わせ…
この嫌な予感がもやっと引っかかったりするので、どんな波乱が起きるのか考えてみる…
他にもどんな波乱が起きそうな部分があるのか考えるべきよね…
王族の血筋に、王族を守る盾の血筋が揃う?とうことは?あー、あ、ん?そういう風に捉えれる?…
その気が無いとしても、その二つを御旗にすれば、建国も容易じゃない?
一つの閃きが脳内に駆け巡った瞬間、姫ちゃんが危惧していた部分が何なのか辿り着いてしまう
…ん?大衆に支持されていて王族よりも影響力があって誰からも愛されている姫ちゃんに、男の王族…そして、それを守るための騎士の血筋?そんなお手軽ハッピー建国材料を王族が揃うのを指を咥えてみているわけがない?新しい国が産まれる不穏分子が揃う?敵国が生まれる?
ぁ、そっちの危惧もあるのか!?
反乱分子というか不穏分子というか、理由はどうとでもなるくらい材料が揃っている…
つまり、国家転覆を企てていると噂を流して、王からしたらこの街を攻めいる口実を手に入れたってことになる?…
亡命という手段だったら、危なかったんじゃないのかしら?
もしかしたら、志願ではなく亡命という手段でこの街にやってくるのだとしたら陰謀を考えないといけなかったってことね?
王がこの街を再度手中に治めたいとか?姫ちゃんに喧嘩を吹っ掛けるという謀略の為に送り込まれたって可能性が浮上してくる?…
ぁー、ありえそー…そういう可能性もあるのかもしれないわね。それを危惧していたのね、この子は…そこまで。私では瞬時にその考えに至らなかったわね。
その考えに辿り着いてしまった右大臣としては、今後、王都からの進攻に備えて、南側にも砦などの攻め込まれないようにするための防御策を検討しないといけないの?
かといって、そんな砦を作ってしまったら…王都からすれば、戦う姿勢と捉えてくるわよね?それって、戦争します宣言に繋がる恐れがある、わよね?
…困ったわね、敵対するという意志を感じさせない防衛方法として、何かいい案があるか、今度、ベテランでも捕まえて相談してみようかしら?
…相談するだけ無駄ね、あいつに頭の使う仕事は向いていない。
今後の事を考えながら、姫ちゃんの頭を優しく撫で続ける…
最近はこうやって甘えてくることが無くなったから懐かしく感じてしまう。
姫ちゃんの容姿を見ると、頭の中が混乱しちゃうけれど、姫ちゃんってもう18歳よね?
「政治に関るつもりはなかったんじゃないの?」
「指示は出してないよ?敵の悪事で後手に回らないように先手を打ってるだけだもん」
っふ、姫ちゃんにこの手の話題で勝てる気がしないわね、さらっとはぐらかされるのよね。そういうところが、申し分なく政治に向いているわよ?王女になればよかったのに。
「そんな事よりも~、王家の血筋が現時点で、どうなっているのか、どの様に考えているのか、どの様に生きようとしているのかって把握しておきたいから、その調査をお願いしてあったんだよね」
王族の近況や状況、今後予想される手段の把握…
しっかりと踏み込んでいるのね。指示は出していなくても、いざという時は介入する気満々って感じかしら?それとも、自衛って考えに留まっているってことかしら?
「後出しで申し訳ないんだけどね、その、知り合いってわけでもないんだけど、少なからず関りがある人物なんだよね。実は、この偽名について相談されたことがあるんだよね」
知り合いだったら、何を悩む必要があるの?…知り合いだからこそ、姫ちゃんに対して人質としての価値があるっとか?
「偽名を考えて欲しいって…縁あっての名づけ係として相談されちゃったから…ほら?この名前だったら他に紛れやすいじゃない?王族に関係する人達だったら名前の系統が似通っちゃうから、他に紛れにくくなっちゃうでしょ?」
確かにね~、王族にゆかりのある人が偽名を考えちゃうと、ついつい、歴代の王族ゆかりの偽名というか系譜を参照しちゃうから、近寄った感じになってしまうものね。
「偽名を考えている時に、名は体を表すっていうからね、人となりを知るために、彼と話したことがあるんだけどさ…第一印象が、弱々しい感じでさ、争うのが苦手な人だったんだよね」
王族としては珍しいタイプの人なのね、だからこそ、次の王としてはうってつけの人材じゃないの?先の一件以来、王の評判は最悪だって聞くわよ?
姫ちゃんのように平民や困った人に真摯に向き合ってくれていないって評価しか聞かないわよ?この数年で、王は世間の評判を良くするような事は何もしてこなかったのよね…
「彼の性分を考えたたらね、彼の一生はこれからも、今までと同じように誰にも狙われないようにひっそりと王城の隅っこで生きていくのだと思っていたのに…何かあったのかな?逃げてきちゃったのかな?…それとも」
その先の言葉から察するわね、命を狙われているのだったら亡命って言う手段を使ってくるでしょ?
なのに、亡命っという手段を使わずに、この街で生きることを願って志願するってことは、王城に居場所がなくなってしまったとかじゃないの?
「…だからね、その、考えられる可能性が多すぎるって言う部分でちょっと困惑しちゃってるんだよね。他の王族の思惑とか、色々と考えると、彼の受け入れを拒否したらどうなるのか、志願がダメだったら亡命してくるのかな?っとかって感じなんだよね?」
煮え切らないような感じってことは、利を取るか、心を取るか、そういう部分で揺れ動いてる感じが伝わってくるわね。
「そのね、聞きたいのが、右大臣として、この子はどういう風に扱ったらいいと思う?守ってあげるべき?それとも、鍛えてあげるべき?王家の血筋だから、そこそこ鍛えたら強く成ると思うよ?」
そうねー、右大臣としての考えだったら、王族が真に血の交わりを徹底的に管理してきたのであれば、どんな王族であろうとも、始祖様の血を濃く受け継いでいるはずなのよね?
だったら、当然、この人も血は濃いと考えるべきね…そうなると戦力アップにつながるってことよね?純粋に戦力が増えるのは良い事じゃない?性格や性分は置いといてね。
右大臣としての答えが欲しいのならそれを言葉にするけれど…姫ちゃんが求めている答えは違う気がするのよね。
「私達の都合を考えれば、王族の血筋を手放すようなことはするべきじゃないのよね。この街に居てもらうべきね。右大臣としての考えであれば願ったりかなったりじゃない、現状、戦士達の粒は揃ってきていても、女将のような類を見ない強力な個の力ってのは揃っていない。現状では特別な個っていう枠に当てはまるのはベテランしかいない…凶悪な人型が出てきてそれと真っ向勝負できるのが一人しかいないって、問題をずっと抱えてきたわけじゃない?長い間、ずっと常に課題となっているじゃない。戦士達の層は、薄く脆いっていうね、右大臣としてはその問題が解決できるほどの人材であれば欲しいに決まってるじゃない」
姫ちゃんも同じことを考えていたのか、うんうんっと頷いている。
昔に比べたら総合的な戦力は相当向上しているわよ?みんな、本当に強くなった…その強さを比べるとすると、王都騎士団と闘っても勝てると自信を持てるほどよ?総合的な戦力で見れば、騎士様がいた時代に比べたら今の方が圧倒的に強い。
総合的に見たらね、組織として動けば、ね…個としての戦いであれば騎士様が痛い時代にはどう足掻いても勝てない。
騎士様に勝てる人物がいないし、女将に勝てる人物がいないし、坊やに勝てる人はベテランという己の戦いになるでしょうね…それに乙女ちゃんだって対人戦に置いては脅威的な強さなのよね~…
ベテランのやつにね、今だったら騎士様に勝てる?って聞いたら即答だったわよ、絶対に勝てないって…
理由を聞いたら『吾輩と戦士長が命がけで戦った場合、勝敗を大きく分ける部分として、吾輩はあの一撃を穿つことが出来ない、吾輩は、未だに見えないのである』って悲しそうに、悔しそうに己の不甲斐なさを嘆く様にしていたわね。
その問いを聞いてしまっている手前、今の戦力で一番怖いのが個々で対処しなければいけない状況に陥ってしまう程の凶悪な敵が出現すること…
つまり、デッドラインで見たアレと闘うのであれば…勝ち目はひとつもない。
デッドラインで戦った人型と今、闘うとすれば勝ち目はないかもしれないけれど、今だったら私達には姫ちゃんという天才がいる。
姫ちゃんの策があれば、いけそうな気はするけれど…戦士達だけって条件でって考えれば確実に負ける。
その事をしっかりと伝えてあげないといけないのよね、姫ちゃんって騎士や戦士達の力量を詳しく知ろうとはしないのよね。そもそも、姫ちゃんからすれば、誰がどの程度強いのか把握したところでって感じなのかもしれないのよね。
「この街をより強固に、凶悪な敵に備えるのであれば、女将のような個の強さを得られるのなら、当然の如く、喉から手が出るほど欲しい存在じゃないの?医療班だって問題になっている世代交代っていうのは、いつか起きる問題でしょ?ベテランのやつだって永遠に戦い続けれるわけじゃないもの、世代交代はいつかくるわよ。この先、戦力向上に繋がるのであれば、未来を見据えるのであれば個の強さは大事よ。志願してやってくるのであれば鍛え上げて前線で活躍してもらうのが一番じゃない?」
志願してくるのと亡命してくるのでは、意味合いが大きく違ってくるでしょ?亡命だったら、守ってもらいたいって、考えだって直ぐにわかる。
でも、亡命という方法ではなく、この街に志願するってことは、守ってもらいたいわけじゃないでしょ?
王族という血筋を前面に出して利用するのであれば志願なんてせずに、堂々と亡命という手段を使って守ってほしいと伝えてくるモノじゃないの?
だったら、その意図を汲んであげるべきじゃない?それに気が付いていないわけじゃないでしょ?まったく、この子は回りくどい時があるのよね。貴女だったら守って上げれるでしょ?
「亡命ではなく、志願って言う部分も考えてあげてる?」
「そう、だよね。うん。考えたよ?考えたけど、うん。そうだよね。右大臣としては、戦力に繋がるのであれば、やっぱりそう考えるのが自然だよね。それしか、彼の受け入れ先ってないよね?…亡命してくれた方がいや、本人が望んでいないのかな?煮え切らないけれど、後は本人の意思を確認して、本人がしたいこと、やりたいことを応援でいいかな?」
王族に関しては姫ちゃんの方がより深く背景を知っているからこそ、悩んでしまい捨てきれない選択肢があるってことなのでしょうね。
だから、事情を詳しく知らない人で相談しても問題無い人物、つまり、私の意見を聞きたかったってことね。
その意見を聞いて導き出した答え、それが一番じゃないかしら?
正式な手続きを踏んで、普通の平民としてやってくるのであれば、変に勘ぐる必要性はないでしょ?相手もそれを望んではいないと思っていいんじゃないかしら?念のために確認して、本人の意思を尊重するのが一番でしょ?
それにね、こうやって志願してくるってことは、此方側に来ても誰にも王族であることを隠したいって思惑もあるでしょうし…王族としてじゃなく普通の平民として生きたいのかもしれない。
そこに気が付いていないのかもしれないから諭してあげないといけないわね。
「あのね、姫ちゃん、もしかしたら、王族という立場が本当に嫌になって普通の人として生きたいという選択肢を選んだって可能性も考慮してあげてね?亡命という手段を択ばないで、姫ちゃんから貰った平民としての名前でこの街に志願したってことを汲み取ってあげてる?一度忘れて欲しいのよ、損得とか、王族関連の企みとか一旦、忘れて、一人の人間として彼と向き合って彼がどうして志願という道を選んだのか考えて貰ってもいいかしら?」
何かに気が付いたのか、はっとした表情をした後、一瞬悲しそうな顔をしたかと思ったら、直ぐに笑顔になって元気よく声を出す
「うん!そうだね…うん、それが一番かも。相談しに来てよかった、突拍子もなく何も考えた事も無い状態で、今後予想されるトラブルが舞い込んできちゃったからさ、何処にどういう風に根回しをどうすればいいのか…決め切れてなかったから、方針について相談したかったから…助かる!」
自分の中でどういう風に行動すればいいのか方針が決まったみたいで、緊張していた糸が切れたのか、横になるように頭を膝の上に乗せてくるので頭を撫でてあげると
「やっぱり、お母さんに相談して良かった、私じゃ人の心って、部分を完全に考慮してなかった」
そんな事を呟くけれど、貴女だってしっかりと人の心に寄り添った考えをしているじゃない。謙遜しなくてもいいのに、いざ、その時になったら誰よりも優しいってのは知ってるわよ?
姫ちゃんが求めている答えを得られたことに安堵しているみたいで、何も言わずに頭を撫でられている。
姫ちゃんには悪いけれど、私の問題は解決してないのよ~、うーん、もやっとしちゃう…
だって、問題の血筋がこの街にくるってことでしょ?一波乱起きそうじゃない?
名簿に書かれている人物達が、これからどのような出来事を生み出すのか想像してしまう。
何時もと違う、特殊な血筋の二人…
一人は、この大地で大きな功績を残し、未だに戦士長という名前を継ぐ者が現れないくらい歴史に名前を残した人物のただ一人の息子
一人は、私達に多大な迷惑をかけ続けてきた王族の血筋…王家の血筋ってだけで毛嫌いする人が居るのよね、困ったことに古株であればある程、毛嫌いしてるのよね。
古株の影響って新しくやってくる人達に対して影響力って強いモノなのよ、その結果、彼が孤立しないように…四面楚歌にならないように気を付けてあげないとね。
違うわね、そもそも、素性がバレなければいいだけじゃない?そう考えれば、そこまで危惧する必要はないのかしら?
ん~でもねー、なにかこう、嫌な予感はするのよね。
絶対に交わらない特殊な血筋、その二人が揃うってだけで、何か一波乱がありそうな予感がするのよね、この組み合わせ…
この嫌な予感がもやっと引っかかったりするので、どんな波乱が起きるのか考えてみる…
他にもどんな波乱が起きそうな部分があるのか考えるべきよね…
王族の血筋に、王族を守る盾の血筋が揃う?とうことは?あー、あ、ん?そういう風に捉えれる?…
その気が無いとしても、その二つを御旗にすれば、建国も容易じゃない?
一つの閃きが脳内に駆け巡った瞬間、姫ちゃんが危惧していた部分が何なのか辿り着いてしまう
…ん?大衆に支持されていて王族よりも影響力があって誰からも愛されている姫ちゃんに、男の王族…そして、それを守るための騎士の血筋?そんなお手軽ハッピー建国材料を王族が揃うのを指を咥えてみているわけがない?新しい国が産まれる不穏分子が揃う?敵国が生まれる?
ぁ、そっちの危惧もあるのか!?
反乱分子というか不穏分子というか、理由はどうとでもなるくらい材料が揃っている…
つまり、国家転覆を企てていると噂を流して、王からしたらこの街を攻めいる口実を手に入れたってことになる?…
亡命という手段だったら、危なかったんじゃないのかしら?
もしかしたら、志願ではなく亡命という手段でこの街にやってくるのだとしたら陰謀を考えないといけなかったってことね?
王がこの街を再度手中に治めたいとか?姫ちゃんに喧嘩を吹っ掛けるという謀略の為に送り込まれたって可能性が浮上してくる?…
ぁー、ありえそー…そういう可能性もあるのかもしれないわね。それを危惧していたのね、この子は…そこまで。私では瞬時にその考えに至らなかったわね。
その考えに辿り着いてしまった右大臣としては、今後、王都からの進攻に備えて、南側にも砦などの攻め込まれないようにするための防御策を検討しないといけないの?
かといって、そんな砦を作ってしまったら…王都からすれば、戦う姿勢と捉えてくるわよね?それって、戦争します宣言に繋がる恐れがある、わよね?
…困ったわね、敵対するという意志を感じさせない防衛方法として、何かいい案があるか、今度、ベテランでも捕まえて相談してみようかしら?
…相談するだけ無駄ね、あいつに頭の使う仕事は向いていない。
今後の事を考えながら、姫ちゃんの頭を優しく撫で続ける…
最近はこうやって甘えてくることが無くなったから懐かしく感じてしまう。
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一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。
まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。
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ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。
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kana
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