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Dead End 6Ⅵ6の■■(4)
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愚劣なる弟も覚悟を決めたのか何度も深呼吸をしているが腕が震えている…抑えきれないのだろう怒りの感情を
二人の人物から殺気の様なものが湧き上がり、今すぐにでも目に入るもの全てを鏖にする程の殺気を全身から迸っている…この状態で王城へと歩を進め攻め入りそうな不審な空気を感じた騎士が
「だ、だめですよ?何も要件が無く王城に入るなんて、出来ないですからね?力のある王族でもない限り出来ないですからね?いいですね?絶対にダメですよ?二人がダメだからといって数を集めるのもダメですよ!?人を集めて門の前に集まるだけで国家反逆罪で全員釣り首ですよ!?」
俺でも王城に入るには向こう側からの指示が無い限り入れない、王族の末席とはいえ、愚劣なる弟でも王城に入るにはそれなりの理由が必要で時には手続きが必要となる程、お王城は厳重に守られている…
王様の腹心で在ろうと、王様に明確な用事が無い限りおいそれと中には入れない…一応、例外はある、敵が攻め込んできたり王都が火の海となり避難場所がここでしかないなどの、緊急事態であれば、応じてはくれるが…王城内を自由に動けはしない、常に騎士に監視されてるだろう。
王城内を自由に動いて、権威ある者しか入れない場所も自由に中を調べることが出来るのであれば…直ぐにでも行動に起こせれるのだが、目の前にいる愚劣なる弟は見た目以上に短絡的で動物的な愚かで浅はかな考えしかできぬ愚か者だからな。無策で中に飛び込もうとするだろうな、俺もそれが許されるのであれば直ぐにでもしたいが、その結果、守るべき人の命が危ぶまれる可能性を考えると…大胆に動けない。
冷静に考えると、それが相手の狙いなのかもしれないと、薄っすらと私も勘づいているので、迂闊にこれ以上は炊きつけれませんからね。
現状では意思確認だけでも出来ただけ良しとしましょう。俺では王城内を探る術が無さ過ぎる、我らが同志も王城内で活動できる立場の人はいないですからね。
もしも、もしも…っふ、確実でしょうね。もしもじゃないですね。
イラツゲ様が王城内の何処かに拉致されているのは間違いないでしょう、問題は、力ある王族しか入れない場所にでも幽閉されている場合ですね…
仮に短絡的に愚かなりし弟が無策に王城内に入れたとしましょうか、用件も無く立ち入ることが許されていない場所に飛び込んでしまったと考えてみましょう…
その現場を押さえられてしまうとどうなる?城内に捕まっている秘密裏に運ばれたイラツゲ様が居たとすると、その状況を知らない人が現場を押さえたとなると。イラツゲ様が不正な方法で王城に足を踏み入れたという事で逆賊扱いを受けて即座に死刑にしようと思えば…出来る。
何故なら、イラツゲ様の器は普通の人、だと思われますからね…特別な階級に属している特殊な人ではないでしょう。王城に無断で入っても許されるような立場では絶対にないでしょう。
イラツゲ様の事は、教会として重要な人物として王族に報告していませんし、彼女が聖女であると王から認定してもらったわけではない…
イラツゲ様が完全に目覚め、聖女としての功績を積んでから王族に、新たなる聖女として認めてもらおうと思っていたが…
それよりも早く敵からの一手を打たれるとは思っても居なかった…
アレが想定以上に切れ者だったのだと認めざるをえませんね…不本意ながらですがね、どうやってか知りませんが此方が一番して欲しくない最悪のタイミングで拉致してくれやがりましたね。ぶち殺してやりてぇ…いつか、その首、搔っ切ってやる…
この恨みは絶対に晴らさせてもらおう、俺の計画を邪魔した罪、イラツゲ様に危険を負わせた罪、今まで王族が教会にしてきた不義理を全てその身に悔い改めよと杭でも打ち込んでやらないと気が済みませんね!!
暫く沈黙していた空気が突如、弟の声と共に動き出す。
「可能性としては、僕も、その可能性が高いと、正直なところ、声に出してはいけないのは重々承知ですが…敢えて言わせてもらいます、心当たりがあります」
王族から出てはいけない失言とも捉えられる決して声に出してはいけない【王族を疑う】という不敬罪と見なされてもおかしくない不穏な言葉を耳にした騎士がすぐに制止する
「だ、駄目ですよ!?ピーカ王子であろうと、その発言は見過ごせないですし、王族に明確な敵意を持った状態でさらには、意味もなく城内に赴くのは難しいですからね?しっかりと筋を通して申請していただいかないと貴方の立場も危うくなりますよ?それに、王城内を調べようにも王様からの許可が得られない限り、おいそれと入れませんからね?王族なら気軽に入れる療養エリアとかであれば話は別ですが、あの場所に入るのは難しいですからね?特に今回の一件で正式な理由が無いと絶対に許可はおりませんよ?」
騎士の助言を聞く限り、愚劣極まれし弟では信用というか、王族としての位が低すぎて立ち入るには許可のいる場所があるのでしょうね…
俺が知りえる限りの内容では、愚劣なる弟は王政に殆ど携わっていない。
厳しい目で見るとピーカという王族は、王からしてみれば何をしているのかよくわからない遊び人としか評価されていない気がしますからね…
本人としては、日々は己を鍛えたり、周りの人達と関わって自分出来る範囲で在れば色々と手を貸したり、平民の方とも親しく接していたりと王族として正しくあろうとしてきたみたいですけれどね…ですが、王からすれば、ピーカの行動は国の利益にはつながってはいないと判断されているからこそ、評価が低いのでしょう。
残念なことに、ピーカとアレを比べると国に対する貢献度が段違いなのだろう…
アレは王子という立場だが、王政に色々と関与しているのですよね。噂でしか知り得ませんが軍務に財務に…色々と仕事をしているとお聞きしている。
アレが仕事を手伝っている内容が内容なだけに普段は王城で勤めを果たしている、アレが王城に出入りすることは不思議でもなく特別でもない、アレにとっては王城に赴くのは至極当然、日常となる。アレの狡猾さを理解し脅威と感じている我々としてはアレを取り巻く環境は既にアレの思想に汚染されていると考えても良いでしょうね。
だからこその、次の王としての最有力候補といったところですかね?…王も、この様なバカなことをせずに、貢献度という輝かしい部分だけを見てアレに王位を従来の方法で渡していればいいものを、要らぬ争いを生みやがって…考え無しの能無しが王だということに怒りが湧き上がる…ぶち殺してやりてぇ…
此度の件でイラツゲ様に何かあれば、俺は俺を止めることが出来るとは思えれない、王城を、いや、王都を滅ぼす手段が俺にはある手前、自制する自信が無い…
さて、幸いにも彼らのやり取りのお陰かどうかはわかりませんが、少し冷静に物事を考えれるようにはなってきましたね、状況も分析できています、それだけじゃない、現状でするべきことが大まかではありますが、何となくではあるが把握できつつあり、方針が見えてきている。
であれば、直ぐにでも行動するのが最良でしょう。各々に声を掛けて動き出すとしましょうか
「ここで、あれこれとじっとしていても仕方がありません、騎士の方や侍女の方、それにピーカは王城内や貴族を探ってください、私は危険だろうが何だろうが構いません、神の御業が私を守ってくれるでしょう…危険なエリア全てを担当します」
この発言に弟は頷くが騎士の方からは反対されてしまいましたね、俺が言った危険なエリアが独りでは危険だと判断したのでしょう。
普通に考えればそうでしょうね、ならず者達が闇に紛れて動いている平民だろうと貴族だろうと近寄らない場所がある…俺も見て身むふりをし続けてきた腐敗臭漂うエリアを隠れ蓑とした暗部達の根城、後顧の憂いを断つために…この機に殲滅するのが最良でしょうね。
ご心配してくれるのは嬉しいですが、俺としてはお前たちが居る方が全力を出せないんだよな…そう、私には私達には頼りになる信徒たちが居ますからね。
信徒たちの立場上そういったエリアの方が自由に動きやすいですからね。邪法?それもまた扱い方次第では正法でしょう?我々は神に守ってもらわないといけないほどのか弱き存在ですからね…当然、使わせてもらいますよ、王族が批判した下法をね…
下法を扱う手前、貴方のように正義感だけで生きていそうな愚直な者が傍に居られる方が我々としては動きづらいんですよ、我が神の意志を威光を振りかざす為にはね…
同志諸君もこの機会を待ち望んでいる事でしょう、何故なら贄がまだまだ必要なのですからね、贄を集めて、神へ差し出し力を蓄えないといけないですからね…
全員の瞳には希望に輝く様な清いモノではなく、二人は、どす黒く暗闇に潜む隠者の如く濁り切った黒い感情、ある二人はこれ以上踏み込むと己の身に危険が迫るのではという困惑に染まる者もいた…
各々がするべきことを理解し、お互いの目を見る事も無くその場で頷き、直ぐに動き出す…
では、俺も…私も動きましょうか。
私が動き出すと行く先々で自然と同志が傍に寄り添って行動を共にしてくれる、ありがたいものですね、何も言わずとも繋がれるというのは、これこそ信仰の賜物でしょう、いや、違うな…これが悪魔、、、、神の御業なのだろう。
同志と共に情報を得るために危険なエリアを優先として向かう、移動の最中にシスター達を見つけることが出来たので、あの時間帯何をしていたのか話を聞くと、全員でとある場所に行かないといけない外せない用事を言い渡されたのでそっちの方に出向いていた。
教会のシスター全員で参加しないといけないのだけれど、イラツゲ様は教会に所属する正式なシスターではないので付いて来てもらうのも、教会に誰も居ないっていうのは良くあることだけど、イラツゲ様は何処かに出かける用事が無いのであれば、留守番を頼んだと…
此方の事情を把握しきっての計画的犯行、ここまで用意周到に準備をして邪魔なシスター達を全員、動かせれる権限を持っている存在。
どう考えてもアレの仕業としか思えれないですね、動機も十二分にありますからね。
第一に、ここ数日の活動によって民衆からは多大なる評価を得つつありましたからね、それを脅威と感じて先手を打った
第二に、教会に対して良い印象を抱いていませんからね、予算の無駄だから潰せと裏で言っているのを知っていますよ?
第三に、アレは好色だという噂を聞いたことがあります、街にいる絶世の美女をかどわかしているという噂が教会にも流れてきていますからね、シスター達が気を付けないとねーっと無駄話をしていたのをお聞きしておりますとも、つまりは、絶世の美女であるイラツゲ様をそういった目的で純粋にさらった可能性もありますからね!!
自分で事を成す理由を考えるだけでストレスで今にも吐いてしまいそうになる、特に第三の理由がね!!
第三が一番、俺にとっては一番、危険なんですよね…あの透き通るような白き肌に神々しい白き髪に俺よりも先に触れてやがったら、アレには最上の罰を与えないと気が済まない!!二度とその様な劣情が催さないように下部を切除して清めてあげますよ!!!
考えるだけで、想像するだけで、今すぐにでも王城に火を放ってしまいそうになるのを抑える為に思考を違う方向に変えていく。
第一と第二の可能性であれば、イラツゲ様の扱いとしては交渉材料として扱うはず、そうなると普通に考えれば人質の様なもの、つまりは、王城の何処かで大事に匿われているでしょうから、その身が穢されるようなことは無いとみていいでしょう。純粋に考えればそちらの可能性の方が高い筈ですよね?私達の陣営を脅威と感じて今後の事を相談するための手駒として攫ったのですよね?ですよね?
自分にとって一番、都合の良い可能性を信じ込ませるように、自分にとって最悪を想像させないように自分自身に言い聞かせ、少しでも早く愛する人の笑顔を見る為に必死に地べたを這いずる虫の如くこの瞬間を命がけで明日、体が痛みで動けなくなるという愚かな考えを捨てて駆けだす。
行動を開始してからは、今までの人生で一番走り回っていると感じますね。各同志も色んな方面へと歩を進め荒事に向いていない人達も出来る範囲で力を貸してくれています。
まぁ、私自身も荒事は苦手ではあります、ですが、今の私は心臓でも刺されない限り止めることはできませんからね。
目と目が合わなくても私達は己の信念に、己が信仰する神の意志を感じるのか言葉を交わすことなく目的と同じとして自然と集まり、全員が誰も何も言わずに適切な行動をし、心と心が完全に通じ合っているのがよくわかる…統率された兵士の如く我々は敵の蹂躙を開始する。
さぁ、荒事の始まりですよ…
二人の人物から殺気の様なものが湧き上がり、今すぐにでも目に入るもの全てを鏖にする程の殺気を全身から迸っている…この状態で王城へと歩を進め攻め入りそうな不審な空気を感じた騎士が
「だ、だめですよ?何も要件が無く王城に入るなんて、出来ないですからね?力のある王族でもない限り出来ないですからね?いいですね?絶対にダメですよ?二人がダメだからといって数を集めるのもダメですよ!?人を集めて門の前に集まるだけで国家反逆罪で全員釣り首ですよ!?」
俺でも王城に入るには向こう側からの指示が無い限り入れない、王族の末席とはいえ、愚劣なる弟でも王城に入るにはそれなりの理由が必要で時には手続きが必要となる程、お王城は厳重に守られている…
王様の腹心で在ろうと、王様に明確な用事が無い限りおいそれと中には入れない…一応、例外はある、敵が攻め込んできたり王都が火の海となり避難場所がここでしかないなどの、緊急事態であれば、応じてはくれるが…王城内を自由に動けはしない、常に騎士に監視されてるだろう。
王城内を自由に動いて、権威ある者しか入れない場所も自由に中を調べることが出来るのであれば…直ぐにでも行動に起こせれるのだが、目の前にいる愚劣なる弟は見た目以上に短絡的で動物的な愚かで浅はかな考えしかできぬ愚か者だからな。無策で中に飛び込もうとするだろうな、俺もそれが許されるのであれば直ぐにでもしたいが、その結果、守るべき人の命が危ぶまれる可能性を考えると…大胆に動けない。
冷静に考えると、それが相手の狙いなのかもしれないと、薄っすらと私も勘づいているので、迂闊にこれ以上は炊きつけれませんからね。
現状では意思確認だけでも出来ただけ良しとしましょう。俺では王城内を探る術が無さ過ぎる、我らが同志も王城内で活動できる立場の人はいないですからね。
もしも、もしも…っふ、確実でしょうね。もしもじゃないですね。
イラツゲ様が王城内の何処かに拉致されているのは間違いないでしょう、問題は、力ある王族しか入れない場所にでも幽閉されている場合ですね…
仮に短絡的に愚かなりし弟が無策に王城内に入れたとしましょうか、用件も無く立ち入ることが許されていない場所に飛び込んでしまったと考えてみましょう…
その現場を押さえられてしまうとどうなる?城内に捕まっている秘密裏に運ばれたイラツゲ様が居たとすると、その状況を知らない人が現場を押さえたとなると。イラツゲ様が不正な方法で王城に足を踏み入れたという事で逆賊扱いを受けて即座に死刑にしようと思えば…出来る。
何故なら、イラツゲ様の器は普通の人、だと思われますからね…特別な階級に属している特殊な人ではないでしょう。王城に無断で入っても許されるような立場では絶対にないでしょう。
イラツゲ様の事は、教会として重要な人物として王族に報告していませんし、彼女が聖女であると王から認定してもらったわけではない…
イラツゲ様が完全に目覚め、聖女としての功績を積んでから王族に、新たなる聖女として認めてもらおうと思っていたが…
それよりも早く敵からの一手を打たれるとは思っても居なかった…
アレが想定以上に切れ者だったのだと認めざるをえませんね…不本意ながらですがね、どうやってか知りませんが此方が一番して欲しくない最悪のタイミングで拉致してくれやがりましたね。ぶち殺してやりてぇ…いつか、その首、搔っ切ってやる…
この恨みは絶対に晴らさせてもらおう、俺の計画を邪魔した罪、イラツゲ様に危険を負わせた罪、今まで王族が教会にしてきた不義理を全てその身に悔い改めよと杭でも打ち込んでやらないと気が済みませんね!!
暫く沈黙していた空気が突如、弟の声と共に動き出す。
「可能性としては、僕も、その可能性が高いと、正直なところ、声に出してはいけないのは重々承知ですが…敢えて言わせてもらいます、心当たりがあります」
王族から出てはいけない失言とも捉えられる決して声に出してはいけない【王族を疑う】という不敬罪と見なされてもおかしくない不穏な言葉を耳にした騎士がすぐに制止する
「だ、駄目ですよ!?ピーカ王子であろうと、その発言は見過ごせないですし、王族に明確な敵意を持った状態でさらには、意味もなく城内に赴くのは難しいですからね?しっかりと筋を通して申請していただいかないと貴方の立場も危うくなりますよ?それに、王城内を調べようにも王様からの許可が得られない限り、おいそれと入れませんからね?王族なら気軽に入れる療養エリアとかであれば話は別ですが、あの場所に入るのは難しいですからね?特に今回の一件で正式な理由が無いと絶対に許可はおりませんよ?」
騎士の助言を聞く限り、愚劣極まれし弟では信用というか、王族としての位が低すぎて立ち入るには許可のいる場所があるのでしょうね…
俺が知りえる限りの内容では、愚劣なる弟は王政に殆ど携わっていない。
厳しい目で見るとピーカという王族は、王からしてみれば何をしているのかよくわからない遊び人としか評価されていない気がしますからね…
本人としては、日々は己を鍛えたり、周りの人達と関わって自分出来る範囲で在れば色々と手を貸したり、平民の方とも親しく接していたりと王族として正しくあろうとしてきたみたいですけれどね…ですが、王からすれば、ピーカの行動は国の利益にはつながってはいないと判断されているからこそ、評価が低いのでしょう。
残念なことに、ピーカとアレを比べると国に対する貢献度が段違いなのだろう…
アレは王子という立場だが、王政に色々と関与しているのですよね。噂でしか知り得ませんが軍務に財務に…色々と仕事をしているとお聞きしている。
アレが仕事を手伝っている内容が内容なだけに普段は王城で勤めを果たしている、アレが王城に出入りすることは不思議でもなく特別でもない、アレにとっては王城に赴くのは至極当然、日常となる。アレの狡猾さを理解し脅威と感じている我々としてはアレを取り巻く環境は既にアレの思想に汚染されていると考えても良いでしょうね。
だからこその、次の王としての最有力候補といったところですかね?…王も、この様なバカなことをせずに、貢献度という輝かしい部分だけを見てアレに王位を従来の方法で渡していればいいものを、要らぬ争いを生みやがって…考え無しの能無しが王だということに怒りが湧き上がる…ぶち殺してやりてぇ…
此度の件でイラツゲ様に何かあれば、俺は俺を止めることが出来るとは思えれない、王城を、いや、王都を滅ぼす手段が俺にはある手前、自制する自信が無い…
さて、幸いにも彼らのやり取りのお陰かどうかはわかりませんが、少し冷静に物事を考えれるようにはなってきましたね、状況も分析できています、それだけじゃない、現状でするべきことが大まかではありますが、何となくではあるが把握できつつあり、方針が見えてきている。
であれば、直ぐにでも行動するのが最良でしょう。各々に声を掛けて動き出すとしましょうか
「ここで、あれこれとじっとしていても仕方がありません、騎士の方や侍女の方、それにピーカは王城内や貴族を探ってください、私は危険だろうが何だろうが構いません、神の御業が私を守ってくれるでしょう…危険なエリア全てを担当します」
この発言に弟は頷くが騎士の方からは反対されてしまいましたね、俺が言った危険なエリアが独りでは危険だと判断したのでしょう。
普通に考えればそうでしょうね、ならず者達が闇に紛れて動いている平民だろうと貴族だろうと近寄らない場所がある…俺も見て身むふりをし続けてきた腐敗臭漂うエリアを隠れ蓑とした暗部達の根城、後顧の憂いを断つために…この機に殲滅するのが最良でしょうね。
ご心配してくれるのは嬉しいですが、俺としてはお前たちが居る方が全力を出せないんだよな…そう、私には私達には頼りになる信徒たちが居ますからね。
信徒たちの立場上そういったエリアの方が自由に動きやすいですからね。邪法?それもまた扱い方次第では正法でしょう?我々は神に守ってもらわないといけないほどのか弱き存在ですからね…当然、使わせてもらいますよ、王族が批判した下法をね…
下法を扱う手前、貴方のように正義感だけで生きていそうな愚直な者が傍に居られる方が我々としては動きづらいんですよ、我が神の意志を威光を振りかざす為にはね…
同志諸君もこの機会を待ち望んでいる事でしょう、何故なら贄がまだまだ必要なのですからね、贄を集めて、神へ差し出し力を蓄えないといけないですからね…
全員の瞳には希望に輝く様な清いモノではなく、二人は、どす黒く暗闇に潜む隠者の如く濁り切った黒い感情、ある二人はこれ以上踏み込むと己の身に危険が迫るのではという困惑に染まる者もいた…
各々がするべきことを理解し、お互いの目を見る事も無くその場で頷き、直ぐに動き出す…
では、俺も…私も動きましょうか。
私が動き出すと行く先々で自然と同志が傍に寄り添って行動を共にしてくれる、ありがたいものですね、何も言わずとも繋がれるというのは、これこそ信仰の賜物でしょう、いや、違うな…これが悪魔、、、、神の御業なのだろう。
同志と共に情報を得るために危険なエリアを優先として向かう、移動の最中にシスター達を見つけることが出来たので、あの時間帯何をしていたのか話を聞くと、全員でとある場所に行かないといけない外せない用事を言い渡されたのでそっちの方に出向いていた。
教会のシスター全員で参加しないといけないのだけれど、イラツゲ様は教会に所属する正式なシスターではないので付いて来てもらうのも、教会に誰も居ないっていうのは良くあることだけど、イラツゲ様は何処かに出かける用事が無いのであれば、留守番を頼んだと…
此方の事情を把握しきっての計画的犯行、ここまで用意周到に準備をして邪魔なシスター達を全員、動かせれる権限を持っている存在。
どう考えてもアレの仕業としか思えれないですね、動機も十二分にありますからね。
第一に、ここ数日の活動によって民衆からは多大なる評価を得つつありましたからね、それを脅威と感じて先手を打った
第二に、教会に対して良い印象を抱いていませんからね、予算の無駄だから潰せと裏で言っているのを知っていますよ?
第三に、アレは好色だという噂を聞いたことがあります、街にいる絶世の美女をかどわかしているという噂が教会にも流れてきていますからね、シスター達が気を付けないとねーっと無駄話をしていたのをお聞きしておりますとも、つまりは、絶世の美女であるイラツゲ様をそういった目的で純粋にさらった可能性もありますからね!!
自分で事を成す理由を考えるだけでストレスで今にも吐いてしまいそうになる、特に第三の理由がね!!
第三が一番、俺にとっては一番、危険なんですよね…あの透き通るような白き肌に神々しい白き髪に俺よりも先に触れてやがったら、アレには最上の罰を与えないと気が済まない!!二度とその様な劣情が催さないように下部を切除して清めてあげますよ!!!
考えるだけで、想像するだけで、今すぐにでも王城に火を放ってしまいそうになるのを抑える為に思考を違う方向に変えていく。
第一と第二の可能性であれば、イラツゲ様の扱いとしては交渉材料として扱うはず、そうなると普通に考えれば人質の様なもの、つまりは、王城の何処かで大事に匿われているでしょうから、その身が穢されるようなことは無いとみていいでしょう。純粋に考えればそちらの可能性の方が高い筈ですよね?私達の陣営を脅威と感じて今後の事を相談するための手駒として攫ったのですよね?ですよね?
自分にとって一番、都合の良い可能性を信じ込ませるように、自分にとって最悪を想像させないように自分自身に言い聞かせ、少しでも早く愛する人の笑顔を見る為に必死に地べたを這いずる虫の如くこの瞬間を命がけで明日、体が痛みで動けなくなるという愚かな考えを捨てて駆けだす。
行動を開始してからは、今までの人生で一番走り回っていると感じますね。各同志も色んな方面へと歩を進め荒事に向いていない人達も出来る範囲で力を貸してくれています。
まぁ、私自身も荒事は苦手ではあります、ですが、今の私は心臓でも刺されない限り止めることはできませんからね。
目と目が合わなくても私達は己の信念に、己が信仰する神の意志を感じるのか言葉を交わすことなく目的と同じとして自然と集まり、全員が誰も何も言わずに適切な行動をし、心と心が完全に通じ合っているのがよくわかる…統率された兵士の如く我々は敵の蹂躙を開始する。
さぁ、荒事の始まりですよ…
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