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王位継承戦 Side-S 3日目 ①

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【起きなさい!!】
「はい!起きる、起きた!ごめん!今日って何かあったっけ?おか…ぁ、さん」
寝起きで見る世界に違和感を感じると同時に直ぐに思考が日常から非日常へと切り替わる。毎日、無条件で傍にいれるっていうことってやっぱり幸せなんだと感じる。寂しいなぁ・・・
はぁ、そうだった、そうでしたー!今日も!使用人の部屋で寝てたんだよね、昨日も部屋の片隅で寝ていたMMさんも既に動き始めているみたいで部屋にいない…

たったの三日なのにお母さんに会えないのが寂しいって感じちゃう、やっぱり私の心って弱いのかな?

弱気という病気に精神が汚染されないようにパンパンっと頬を叩いてから、魔力回復促進剤を3本開けて飲む!飲みやすくする為に普段は術式で味覚を麻痺させているけれど!
今回は少しでも魔力を温存したいので、味がはっきりと分かる状態で飲むから、すんごい不味い!!あーもうやだ!飲みたくないこれ!お母さん魔力ちょうだい!!

声に出して手を伸ばすが、誰からも返答が返ってくることはない…

何時もだったら直ぐにでも【はいはい】って、言いながら作業とか調べ物をしている最中でも手を止めて魔力をくれる…
何時だって私を支えてくれて抱きしめてくれる人が傍にいないのは寂しいし辛いよ…はぁ、そんな大切な人が死んじゃったらそりゃ、私の心も気が気じゃなくなって狂っちゃう理由もわかる、長期的な考えなんて捨てて短絡的な思考に走っちゃうよね…自暴自棄?って、感じかな?違うような気がするけれどそれが近いかな?

そうならないように、守らないと、今度こそ、私の大切な人を守らないと、もう、目の前で何もできなくて手をこまねいて失うような愚かなことはしない。

完全に目も覚めたし、時間もちょうどいいし、動き出しますか!
ぐぐっと背筋を伸ばして深呼吸をして気合を更に入れる!直ぐに寝ちゃう癖があるからね、疲れすぎないようにペース配分間違えないようにしないとね!

気合も居れたし今日も頑張るよ!えっと、今日の予定は…教会で民衆の人達の心を掴むのは昼からを予定していて、午前中はあっちの応援に行って~貴族の心を掴まないとね!!

今回は普通に、いつもの普段着で出発する、って言っても、この前、王都に来た時にお母さんと一緒に選んだお洋服だから、特別感はないかな。
この特別感が無いのが良いんだよね!民衆側ですって感じが凄く伝わってこない?私がいることでそういった意図がより色濃く際立つし、これから会う貴族たちも私の服装を見て私を下民だと判断するでしょ?そうしたら儲けものだよね!しっかりとした考えを持った下民が居るのだとちょっと考えを改めて貰えるきっかけになるかもしれないからね!

鏡の前で違和感が無いかくるっと回って確認するけれど、何も問題なさそう。

カバンとかも持ったし、髪の毛も綺麗にしたし、服装も変に皺になっていない、心構えという準備も出来た!
外に出る前に挨拶をしていかないとね、部屋を出て廊下を歩くと直ぐに使用人の方が声を掛けてくれるので、家主がいるのか使用人の方に確認すると居るみたいなので、家を出る前に挨拶をするのは、マナーだよね!挨拶していこっと。

声を掛けてくれた使用人に案内をお願いすると、ご自身の部屋に居るのかと思いきや、案内された場所はお庭。

使用人の方と一緒に庭に出ると、吹き抜ける風が心地よかった。風が落ち着くの同時に視線を家主の向けると、凄く日曜のお父さんって感じがする。
お庭に置かれているテーブルの上に紅茶を置いて、片手には新聞、想像以上に、普通のお父さん。
もっと堅苦しい感じの人かと思っていたけれど、違うっぽい?食事の風景も普通だったし、本当に上流階級の貴族なのかな?

使用人の方が声を掛けるので、私もその流れに乗って丁寧に貴族流の挨拶をすると
「お?おはよう!早起きで偉いな!孫たちも見習ってほしいもんだよ、して、何用かな?」
挨拶をしたときだけ、新聞から視線を外され、挨拶が終わると視線を新聞に戻されたので、挨拶だけしに来ましたと伝えると
「畏まらんでよい、ここは第二の実家とでも思って、過ごしてくれ、俺もかたっくるしいのはかなわん、気軽にお父様…っという、年でもないかお爺ちゃん行ってきますとかで、いいぞ」
今度は視線を此方に向けることなく、お客様として応対するのに相応しい接し方ではない、という前例を作ってまで、率先してくれるので、その流れを無視するのは良くないよね、それなら、此方も気兼ねなくいこうかな、私もかたっくるしのはすかん!
「わかった!じゃ、行ってきますお爺ちゃん!」
元気よく望まれたように笑顔で手を振って玄関に向かおうとすると、本当にそうするとは思っていなかったのか驚いたような表情と声で
「ぉ、おう、気を付けてな」
小さく手を振ってくれた、思っていた以上に気さくな人かも、お母さんがビクビクしていたから、怖い人なのかと思っていたけれど、そんなことなさそうじゃん!
う~ん、どうして、お母さんは悲しそうな表情していたんだろう?後ろめたい事でもあったのかな?…純粋に王都に来ていると不安定になっているから、それだけかも?それならまぁ、解呪されてからもう一度、一緒に行って団らん出来たらいいかな?

っさ、未来の事は置いといて!今日の事に専念しましょう!
用意していただいた、馬車に乗り込んで、いざ向かう今日の仕事場は、ここ!王都の中でも一番の大病院!!派閥は無し!純粋に命を救うことを第一に考えて権力とは無縁の場所!…表向きは!病院内ではがっつりと派閥があるのでその辺りは触れないで行くのが正解!めんどくさいから!

その大病院にある何のためにあるのか用途不明の広場あるので、そこと、病室の一室+α(金と権力の力によって)をお借りしています。
今回の場所は末席の王子が事前に交渉してもらって用意してもらいました!ぁ、ちょっとした懐に入る程度の包まれた金色のお菓子は私が出したよ?室長のぽっけは重かっただろうね。
表向きは大正義!命こそ第一主義という混沌とした場所に、私がどうしてお金を出してまで場所を、おっと、ご厚意で私達の熱い命を救いたいという思いで借りたこの場所で医療の父とお母さんが育て上げた医療班の恐ろしい所は、この病院内でトップを誇るであろう人物が持つ外科技術なんて鼻で笑ってしまう程、私達の医療班がもつ技量は誰しもがその程度、身につけているからね!内科だって、とうぜん!知識(毒含む)も誰も勝てないくらい凄いんだから!

何処に出しても何処に連れて行っても恥のない自慢の医療班が庶民貴族問わずに、診察し治療に必要な医療費は全てタダ!チャリティーテント!!

派閥は何処にも属してはいないけれど、国の管轄である病院この病院でチャリティーテントをすることに意味があるんだよね!
ぁ、ここは日本と違って、王都にある病院全てが王国が管理しているんだけどね、個人医なんていないよ?

国が管理する名前からして大きな場所って思うでしょ?そこはちょっと残念だけどね、教会と比べるとそこまで大きな場所じゃないんだ。
ちゃんとね、告知も頑張ってもらったんだから!特別に老若男女問わず!貧民平民気にせず治療費はタダにするって、事前に告知してあるの!
それだけじゃないよ!貴族専用のある特別な告知も貴族だけに流してもらったんだから!何をかって?私が知る美容知識を最大限に活かした美容整形相談窓口だ!!

この案はね、お母さんからリサーチ済み!貴族の奥様達は常に美意識が高く、何時だって美を追求している!
多くの人が願ってやまない肌を若返らせる方法!少しでも若く見せるために顔の小じわを取る方法!胸を大きくしたい!お尻を大きくしたい!唇の厚みが欲しい!肌をきめ細かくしたい!もっちりとした吸い付く様な肌になりたい!髪の毛の艶を取り戻したい!お腹周りの脂肪を落としたい!コルセットが辛い!…美を追求する人達が高みへと昇るための悩みって、尽きないよね?尽きようがないよね?それを利用しない手ってないよね?

その悩みに対して医療の知識からしてどの様な角度からアプローチしてくれるのか楽しみにしてくれているはず!
今回、美容相談担当する人が誰なのかってのもアピールポイントだったりするわけよ!実は、お母さんって美意識が高いみたいで、今まで培ってきた美を保つ、美を磨く方法を纏めた本を、何か昔に出したみたいなんだよね、その美容の本を読んだ一部の貴族達からは、未だに続編を心待ちにしているくらい隠れたファンがいるみたいなんだよね!

その作者の教え子が来たという触れ込み!美容に関心がある人達からしたら、一度は相談してみたいはずだよね?だったら、この機会と書いて好機と読む!これを逃すとは思えないよね?っふっふっふ、さぁ、貴族の奥様達の心をキャッチしちゃうぞっと!!

私の持ち場は貴族メイン、なので、テントだと印象最悪になっちゃうから特別感を出す為に病院の一室をお借りしているから、広場に行く必要はないけれど、来ているのに挨拶もしないなんてダメな人だよね。にならないように、広場に展開されているテントの中にいる医療班の皆に挨拶をしにいく。
正直言うと、慣れない土地で見知らぬ人達を診察しないといけないし、王立っという場所なだけあって周りからの視線やプレッシャーも凄いんじゃないかと心配していたんだよね、お母さんや医療の父が普段からしているようにメンタルケアっていうのがいるんじゃないかな~ってね。

そんなわけで、各員に労いの言葉をかけてみると、全然へこたれるとか調子を崩すとか一切なく余裕そうだったよ、何時もの戦場に比べたら、この程度の環境変化なんてぬるいと余裕の表情で出迎えてくれたのは嬉しかった!流石は医療の父が鍛えぬいた精鋭だね!頼もしい!

各員との打ち合わせも終わったし、前日の様子を聞いてみると予想通りだったので概ね作戦進行度は順調と見ていいかな?

準備も完了したので直ぐにでも診療を開始していく、だって、もう既に朝早くだっていうのに、既に多くの人が診察待ちをしている。
開始の挨拶は短めにして診察が開始される。

予想通り診療費がタダっという部分に惹かれて、普通の人達だけじゃなく、あまり身分が良く無さそうな人たちも来ている、それが狙いなので順調で何より、正直、そういった人達に情報が届くのかどうかが一番の懸念点だったんだよね、この辺りはベテランさんが裏で動いてくれているはずだから、作戦が順調に実って行ってる感じかな?
流石は、孤児院出身!ちゃんとそういった場所への情報経路が出来上がってるじゃん!ないっすぅ!
まぁ当然、それらを見るのも嫌な貴族たちが同じようなテントで近くに存在するだけで嫌悪する貴族達をメインに据えるのであれば、私のブースは申し訳ないけれど、病棟内に設けたのは大正解だよね、待合室で遠目で悍ましそうに眺めてるね。貴方達が長きにわたって吸い上げた結果だよ?まぁ、そんなこと考えるわけ無いか。

冒険譚みたいに命がけで魔物を倒して日銭を稼ぐとかそういうのが出来ればいいんだけどね、残念ながら体が資本となる仕事は病弱っていうか既に何かしらの病魔に冒されている人達にとっては稼ぎようが無いし、学が無いからそういう場所にいるわけで、負の連鎖をどうにかして断ち切るための何かが無いとダメだよね!

格差社会だから、当然だけど、本来はああいう人達を救って働き手を増やしてマンパワーを高めるのが王族や貴族の務めだと思うけれど、彼らを切り捨てると判断したのは仕方がないとは思うよ?
この国って地味に財源が少ないからね、弱者を救う程の余裕がないってのが建前で、本音の所はそんな部分に予算を割けないんだよね、身内でやりあってばっかりだもの。
生産性も少ないし他国からの援助が無ければ成り立たないような国だもの、そりゃ国力も低下するってもんよ。

仕方がない部分もあるけどね、北に恐怖の対象が居れば、ストレスでそれどころじゃなくなる人もいるってお母さんが言っていたもの。
何をしようが、何を成そうが、いずれ訪れるであろう破滅という絶望に今を生きる気力を削がれるっか…
未来何て決まってないのにね、何もしなかったら変化なんてしないよ、どんな些細なことでも出来ることはしていかないと…なんてね、それが言えるのは衣食住が安定していて、生活にゆとりがあるから言えることで、明日を生きれるかわからない人達がそんなことを考えたりなんてしないっていうか出来るわけがない、絶望に流されて流されて、心が擦り減って擦り減って、明日を夢見るだけで、夢は叶わない…死を待つだけになってしまう。

辛い現実から解放してくれる唯一の救いの手が死だけとなる絶望の世界、甘い死を願う日々…辛いよね、悲しいよね、産まれた時からそんな世界に行くことが決められている人もいるだろう、よくないよね、繋げてはいけない負の連鎖だよ。

今でこそ、そんな風に他者の境遇を考えれるようになったけれど、昔の私だったら、弱い人は、それで亡くなっちゃえばいいのにって、思ったと思う。
でも、今は違う、どんな人にでも、可能性はあった、あるはずなんだ。
それを見失わないようにしてあげたいと思う部分もあるし、純粋に単純作業も人手が足りていないから、そういう人達を捕まえて作業させたいって思う部分もある!搾取するつもりはないよ?地下労働!!なんてさせないよ?…強固な建物を建てるために地下を掘って地盤を固めたりはしてるよ?

実をいうと、そういう思惑も少なからずある!生活が困窮している人がいれば、此方側で働き手を探しているので住むところも食べるところも用意するから来ませんかってね、そういう声かけをシスターの所でもしてもらっているし、此方でもするように伝えてある。
仕事に関しては山ほどあるから!本気で人手が常に足りてないの!明日を考えると本気で時間も人手も足りてないんだよね!こっちは!迎え入れるだけの金ならある!王都で生活したいのなら王都まで迎えに行ける様にバスとかの交通手段も用意する予定だしね!
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