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王位継承戦 Side-S 2日目 ①

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【起きなさい!!】
「はい!起きます!ごめん、お母さん、きょうって…」
脳内に再生された音声によって飛び起きる。
ガバっと上半身っというか、全身を起こした瞬間に今が何処なのか、すぐに理解する、ここは筆頭騎士様のお家で、ここは使用人が寝泊まりする部屋

最初は、来賓室に寝泊まりするように言われたけれど、長期滞在の予定なので、申し訳ないし、敵からすれば、来賓室に私が寝泊まりをしているという情報は与えたくない。
もしも、なんて絶対に起きない場所だけれど、警戒することは大事だもの。
なので、事情を説明して、来賓室には覚悟を決めた使用人が寝てもらっている、といっても、この家が襲撃されるなんてあり得ないことなので、使用人の人達全員がこの部屋で寝泊まりしたいと申し出て、くじ引きで誰が寝るのか決めたんだよね。

そして、朝の弱い私が一人で起きるために用意したのが先ほどの音声。
朝に弱い私が確実に起きれる様に作った特製の目覚まし時計型魔道具、設定した時刻になると録音しておいたお母さんの音声が私の脳内に響く様にしてある、おかげ様で起きれました。目覚めは最悪だけどね、お母さんの温もりが無しで寝るのってすっごく寂しかった、し、その、疲れた時ってね、お母さんって私の体をさすってくれたり軽くマッサージとかしてくれるの、それが、凄く心地よくて、心が落ち着くの…たったの1日しか離れていないのに弱気にならない!取引で外に出て何日も帰らなかった日があるでしょ!

ぺちぺちと頬を叩いて気合を入れるように目を覚まさせる

いそいそと、封印術式が施されているネグリジェから普段着ではなく、用意してもらった服に着替える、MMさんは予定通り動いてくれているみたいで部屋にはいない。
あの大きな巨体は目立つ、なのでそれを利用しない手はないよね?筆頭騎士様のお孫さんで私に背格好が似ている女の子と一緒に教会に向かってもらっています。
そう、いつも違う服、用意された服って言うのが、その子が普段着ている、余所行きの服装、なので、私は敵の目を欺くために、その子に扮して行動する。

準備が出来たので、筆頭騎士様の馬車がある場所に向かう。

常に相手の視線を惑わすことは忘れない!常識だよね!情報戦は相手をどれだけかく乱できるか!特に信用できる長年勤めてくれた人からの言葉だったら馬鹿な貴族共は信じるでしょ?今の段階から私の事を徹底的にマークする程、勘が鋭い奴は、アレしかいない、そのアレは既に術中にハマっていると仮定していれば問題なし。

上手い事やってくれていることを願い祈るばかりだけどね、上手い事出来ていない場合は…

さぁ、人道に外れたことは考えないようにしないとね♪
仕度も出来たので、家主に挨拶をしてから、馬車をお借りしてある場所に向かう。
向かう先は王国で一番大きくてありとあらゆる研究をしていて、錬金も、魔道具も、魔術も、ジャンルを問わず研究している王国が管理する部署。
通称、術式研究所、私達の街を陰ながら支えてくれている人の実家?親戚が集う場所?で良いのかな?確か娘さんが研究所にいるんだよね?もう少し踏み込んで長と会話しておけばよかったかも?あの人ぽや~んとしてるから話しかけづらいんだよなぁ…
うーん、王族が支配、ってのも語弊あるような、まぁ、そんな国が管理している場所にお願いに行くんだけど~
脳裏に過る研究塔の長…あの独特な雰囲気の人ばかりなのかぁ…曲者ぞろいの予感がするなぁ…めんど…

待ち受ける、初対面の方達との探り合い合戦とか七面倒ー!やだなー誰か代わってくれないかな~

いざ到着してみたら、そんな嫌な予感は外れて、思った以上に大歓迎だったのは驚きだった。
てっきり、めちゃくちゃ敵視されているんじゃないかなって部分が強いんじゃないの?って、思っていたんだよね。ほら、私って魔道具を作って大量に王都に平民貴族問わずで卸しちゃってるから、商売敵だと思われているって考えていたんだけど、思っていたのとは違っていて、純粋に同じ趣向の持ち主として尊敬されていて、大量の質問と共に歓迎されちゃった。

大歓迎の中、研究所の各所を案内してくれるみたいで、私自身も彼らの研究には大いに興味があったので正直、時間が許されるのであればずっと談義していたい!胸のわくわく感を抱きながら各々が研究している内容を見て納得しちゃったよ。こりゃ、だめだーお手上げだよ

この人達って、自分の研究以外、興味ないんだ。
他者がどれだけ儲けようが、他者がどれだけ優れた物を作ろうが、自分の研究に関与していないのであれば、興味がない
応用できそうな技術や新しい理論には敏感で少しでも取り入れて、自分の研究に役立てたいとしか考えていない。

碌な研究成果物が無い部署もある、よくそんなんで王族から予算を勝ち取れてるね!?お母さんが知ったら呆れそうじゃん。ぬっる、なにここ?ぬるすぎない?
だって、これ、ひ、必要なのかな?っていう研究多すぎない?液体のような金属が入ったガラス瓶の先端に小さく穴を空けて何日でどれだけの量が落ちるのか調べる実験…何に応用するのだろうか?目的は?…特になく、これが液体なのか金属なのかはっきりさせたいから?…ぁ、はい。よくそれで予算が得られるなぁ…
他にも、何と何を混ぜてどうなるのかってのは錬金の基本だけれどさ、その組み合わせいる?水と水…一つが日光に3時間程度当てただけの水、もう一つが日光を当ててない水。両方とも大元は王都の井戸から取り出した水…3時間程度で何が変わるの?
その成分変化を詳しく調べるための魔道具は?…ぇ?な、い?…まずは、みかく、から?触ってみての、へんか、とか?ぁ、体感なんです、ね。ぇ、へぇぇ~、あ、はい~そ、そうなんだねー…いとがわからない、何処に向かって好奇心のアンテナ伸ばしてるの?

そりゃぁ、碌な成果物生まれないよね、納得させる手法が知りたいよ。

ああ、でも、王族とか、貴族から、依頼があれば、作ったりはしてるんだ、ふぅ~ん、どんなの作ったの!見せて見せて!
渡される研究レポートや仕様書などなどを見せてもらう、見せてもらうけれど、違和感って言うか、気になることがあるんだけど。
ん?…言われたとおりに造ってあるけど、改良すべき点は山ほどある、製造過程で気が付いた部分もあるし、後に気が付いた部分もある、でも、その辺はおざなりっというか、改良して次世代を作って提出する気はない、依頼があればする…気が付いていても報告する義務はない。

使う相手の事を考えていない…ぁぁ~なるほど、頼まれたから作った、その後は知らないっか個人的に気になる部分はまとめたけれど、先方から連絡なければ放置ってわけね。っふ、初期の私を思い出すじゃん。頼まれたから作るけど?って感じ。

全員の成果物や研究内容を教えてもらってから、研究塔の長から送ってもらった手紙の内容でご協力いただけるのか返事を聞いてみると、一族の中でまだまだ未熟な若手達を貸してくれることになった。
彼らにとってその後の指針にも繋がるので、良い経験になるからこきつかってくれ、ね。
っふ、まぁいいでしょう。喧嘩を売りに来たわけじゃないもの、知識ある人手を借りれるのだから、相手の事は尊重するよ?

例え、自分よりも愚かな人達であろうとね

笑顔で、別れる際に貴重な機会を頂きましてと手土産を渡す、本当は最初に渡すのだろうけれど、中身が中身だからねー、これによって態度が変わると面倒だもん。
なので、後だしとさせてもらいました!今頃、中身を見て焦っていたら良心的な心がある、焦らずに頷いていたら、碌な人たちじゃないかな。
若手の人達を馬車に乗せて、目的の場所に向かう。
研究意欲の強い子たちだから、質問がいっぱいくるなので、答えれる内容であれば答えるつもりだったけれど、内容が技術云々じゃなくて、私達の街にある設備とか研究目的とか体制とかが知りたいってことは、将来の進路について悩んでるって感じ?あの研究所にいる子達とは思えないくらいしっかりしてるね、良い子達じゃん…私よりも年上なのに、年齢なんて関係なく相手を尊重して話してくれるのはいいね!
目的地に向かいながら会話してよくわかった、比較的この子たちはまともだった、それだけでも未来に希望があるのだと、救いを感じ取れたのがよかったかな~、周りの環境を考えると、どうしてこんなに人の為に何かしたいなんて考えられるのかな?…学院とかではそういった道徳の話とかするの?研究所じゃ絶対にそんな考えに居たらなくない?

これから先、技術革命などに置いて、輝く未来がありそうな有望な人たちを連れて、次の目的地である教会に到着し私は誰かに見つかる前に
すかさず、私を演じてくれているシスター服の筆頭騎士様のお孫さんと合流し、着替える為に教会の奥の部屋に向かう。

相手も準備万端で、ささっとお互い着ていた服を交換する。

これで、私はずっと教会に居たことになる、いつの間にか研究所からも応援を取り付けているなんて考えもしないでしょ?
民衆の目をひくとは思っても居ない、警戒もしていなかった、更に、民衆の心を掴んでくる!そんな隙を突かれたって思うでしょうね。
私独りじゃどうしても、これから先に起こすアクションには限界があるからね、私達の街にいる研究所の人達は連れてこれない人が多すぎたから、止む無く、王都の研究所にいる人達を頼るしかなかったんだよね~。
皆が居れば頼もしかったけれど、しょうがないよね、政権争いに表立って行動するのは危険だもん、学がある人であればある程、貴族の醜い部分を見てきているはずだよね。
っさ、気持ちを切り替えて、民衆のハートをキャッチしていこうかな!

さぁチャリティーといきましょうか!!

教会の直ぐ傍にある大きな広場、教会の人達が二日に一度行う、炊き出しなどをするための広場、その場所をお借りしております。
広大な広場に炊き出しの時に使われているテーブルなどが置かれて、これから何かをしますという状態。
この状態に周りの人達も何かするのだろうと興味を持っていてチラチラと見てくる、直接、何かあるのか?って質問してくる人も多い。

朝早くから皆が準備を手伝ってくれているので直ぐにでも始めれそうだね。

テーブルの裏側に、王立術式研究所の旗を広げて音声を拡張する魔道具を連れてきた人に持たせて声を出してもらう
『時の人であり、王都中で噂になっている魔道具制作者による無償点検修理会!並びに、こういった魔道具が欲しい相談窓口の開催でーす!』
続きざまに更に、人の興味を、視線を釘付けにするために、留める為の一言を発してもらう。
『他にも、チャリティー価格で新作魔道具も販売しまーす!売り上げは全額教会に寄付しますのでー!教会を助けたいという思いも込めて開催しまーす!教会にお世話になった人は寄付の精神、助け合いの心で新作魔道具をお買い求めくださ~い!!ぁ、数に限りがありますけれど、数日間開催予定なので、焦らずにご検討くださ~い!!』

テーブルに並べる目新しい商品を見て、多くの人達が足早に駆け寄ってくる。

値段も民衆価格にしてあるし、売り上げを教会に寄付するという宣言、この付近にいる人達であれば教会に足繫く通う敬虔なる信徒や、少なからず教会に恩を感じている人達ばかりだから、財布の紐も緩むと判断したってわけよ!仮に買ったとしてご家族の方に教会に寄付したらついてきたって言えば怒られづらいしね!


作戦が完璧にはまったおかげで、多くの人達が集まり人だかりが増えてきている!噂を聞いた人達も集まってきて、ちょっとしたお祭り会場みたいになる。


教会のシスターも整理券を配ったりと仕事を手伝ってくれていて、寄付の受付会場もちゃっかりと設置しているし、懺悔室へのご案内もしている。
私は私で色んな人からこういった魔道具があったら便利だよね~っという要望を細かく聞いていく。
地球や他の星にあるデータを元にアイディアを出せば、それなりの物が出来そうだし、皆が求めているモノがわかれば、良い商売にもなるし!こういった姿勢が人の心を引き寄せるんだよね!
どこぞの王族や貴族みたいに民衆と直に意見を交わすような愚かな行為はしない。そんなことはなく、しっかりと平民に寄り添う姿勢を見せることで、私は貴女達の味方だというアピールにも繋がる!平民の心を掴むことが今は大事!…その先も、信頼を得ることによって売り上げが上がるってのもあるけどね。

衣・食・住を満たしてこその支配者よ!私があなた達のうちに眠る欲望、その全てを満たしてあげようじゃない!

日が傾き始めるころにはお開きとさせてもらった。

新作の魔道具は全て完売で、明日にはまた、新しく運んでもらう予定、王都継承戦が終わるまでは民衆をここに釘付けにする!それぐらいの気持ちで動かないとね!まぁ、民衆の心つかむ作戦は他にも展開してるけどね!
平民を集めるってことが大事ってのもあるんだよね、他の次代の王候補者たちが民衆の心を掴むためにまずは何をしないといけないと思う?民衆を集めることだよね?誰も居ない場所で演説をしても意味が無いし、マイナス効果しかないよね?だって、人がいないってのは=人気が無いに繋がっちゃうわけで、民衆からの支持者を生み出せなくなる!
今回の王政は民衆からどれだけの支持者を生み出せるか、選挙戦だからね!

当然、選挙戦だから、公平にする為に厳しいルールが色々と設けられている、そのルールを熟知してしっかりと対策を練ってるからね!
演説のルールとして、夕方以降の演説は禁止というルールがある!夕方までここでしっかりと平民を釘付けにしてしまえば、彼らの演説を空回りさせる!まぁ、守ってくれればね!ひっひっひ!逆に破ってくれてもいいんだよ?その瞬間をばっちりと抑えて、違反する人に王を任せられますか?って追及できちゃうからね!
それじゃ、人が集まっているこの広場に陣どってくる可能性があるよね?だ~いじょうぶ、教会は中立!誰かがこの場所で演説は行えない!してはいけない!指を咥えているしか出来ないってこと!

それじゃ、私達も演説できないって?そんなもん、ちゃ~んと対策も練ってますよ。ひっひっひ。


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