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幕間 私達の歩んできた道 1
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あれから、直ぐに、意識を取り戻した私は、現場で動かない、意識が戻らない姫様を車に乗せて北にある、私達の街に向かって車を走らせることにした
後処理として判断する人を置いて行かないといけないので、現場での判断などは申し訳ないけれど、取り合えず、経験も豊富な女将に任せて、現場で行って欲しいことや、砦での出来事などは、メイドちゃんと女将と宰相に任せよう。
今私がすべきことは、姫様の繋ぎ止めた命を意識を取り戻すまでの間、延命措置をするべきだ、いつまた、鼓動が弱くなり、呼吸が止まる可能性があって、何一つ現状では油断できないっという危機的状況なのは、かわりない。
申し訳ないけれど、長距離の運転を髪の毛が真っ白になるまで、限界まで頑張ってくれた戦乙女ちゃんにお願いする流れになってしまった、理由は単純に役割分担の部分である。
私は常に姫様の容態を逐一確認観察するために傍にいる。
これから先、いつ容態が急変してもおかしくないのだから、私が運転をしないで、傍にいる方が良いと戦乙女ちゃんに押し切られた結果、その判断は正しい判断だと思う。
当然、車の中でも気は抜けない、向かっている最中にも、この一瞬でも、命が失うという事態が発生する可能性がある。十二分にあり得るくらい、姫様の状態は危険な状態
絶対に気を抜けない。
封印術式を施した影響もあって、姫様の魔力保持量を測定する方法がない、そして、魔力を注ごうにも封印術式によって弾かれる。
どうして、私がこんな未知の術式を知りえているのか、先の現象は何なのか知りえる方法は永遠に来ないだろう、来なくてもいいから、彼女の命だけは、救って欲しい、我が身を犠牲にして、人生を犠牲にして、一族の願いを犠牲にして、繋いできたもの全てを犠牲にした彼女の命だけは救って欲しい。
いや、願うんじゃない、救うんだ、私が、私達が彼女に、何も返せていない私達が彼女の命を繋ぐ。
今の私が出来ることを最善を尽くすことだけ、脈を計りつつ、手を握り続けるだけ、少しでも異変を感じれば即座に対応できるようにする、薬の準備はある程度はある、だけど、足りていなくて不安なのも事実、現状でどうにかなる状態が続くことを祈るばかり。
一瞬たりとも油断できない状況が続く、車も限界ギリギリのスピードで走り続ける、戦乙女ちゃんもここ最近の連続した出来事によって車の運転に対する熟練度が上昇しているのか、今なら敵地のど真ん中だろうと、王都の狭い路地だろうが、全速力で駆け抜けれる自信があると豪語していた。
頼もしい限り、運転経験が浅い私よりも彼女の方がよっぽど技量がある。
姫様の状態を逐一経過観察を行う、時折、酸素を吸わない時があるので、呼吸のリズムに合わせて酸素を術式で肺の奥まで送り込む、魔力放出しないのであれば、この程度の術式造作もない。
それにもう、私を補助してくれる人はいないのだろう、二つ同時で術式を展開するようなことは今後できない可能性がある、あるが、感覚は掴んでいる。
追々、何処かのタイミングで修練しよう、並行で二つの事を同時に出来るくらいはやってのけないといけない日が来るだろう
獣達が滅んだのに?いいや、獣たちは恐らく滅んでいない気がする。終わり際の耳元にざらつくように、心にべちゃっと不安という感情を塗りたくってさっていったやつがいる。
あれは、幻聴ではないと、直感で理解している、何かが私達の知らない何かが暗躍している。
戦場や、極限の状態にまで追い詰められた人たちが耳にする恐慌、フィアーの時に聞こえる幻聴って、敵が何かしら仕組んでいる気がする。
あそこまで執拗に、生きるという感情を圧し折ろうとプレッシャーを与えてくるなんて明確な敵意としか思えない。
迂闊だったわね、私にそのような手札を見せたのが運の尽きだと、人類の歩んできた生きようと足掻く歴史にちょっかいをかけ続けてきたことを後悔させてやる。
姫様が放った数多くの光の柱で、恐らく、目視で確認していないので確証はないが、確実だと信じている、姫様の全てを用いた一撃なのだから、至極当然のように大陸中の獣は蒸発したであろう、だが、一番重要なやつは生きていると油断せずに、奴は生きていると意識するべきだ。
あいつも光に包まれて蒸発して、死んだ!そんな風に思うような、楽観的で、希望的観測はしない、可能であればこの手で生きてきたことを後悔させてやりたい。
私の大切な物に手を出し過ぎた。
どうしてやつが生きているなんて不安を煽るような考えに至るのか、そう感じるのか。
答えは至極当然、単純に、執拗に、耳元で囁き続けたのが大穴に住まう獣でしょ?
それに、気になってい、ずっと頭の片隅に引っかかっていた、始祖様が観測していた特殊な獣は5体。
そのうち3体を始祖様が仕留めたのだが、2体も生き延びていることになる。
片方は海にいるからこそ、何かしらの事情があるのだと思うが、相手は大地に生息しているのでしょ?どうして、死んでないの?
それに、400年という途方もなく長い歳月を生きているのであれば、知恵も知識もそうとう得ている可能性があり、そうとうな曲者として生きていると思ってもいいでしょ?
生き延びている理由も、まず大前提として、始祖様の攻撃から生き延びた個体ってことよ。
つまり、始祖様の追撃から逃れるほどの何かしらの術を所有しているって考えるべき、単純に考えれば、始祖様の一撃と姫様の一撃を比べたら当然、始祖様の方が威力は数段とうえでしょ?それを回避しているので、あれば、姫様の一撃も回避していると考えるべきだ。
海の獣も完全に蒸発しているという保証も確証もない、その目で死にざまを、死の瞬間を!!目に焼き付けない限り油断はできない。
この先に起こり得そうな敵との戦いで注意しないといけないことを冷静に考えながらも、視界に映る情報を、的確に分析し絶対にミスが許されない状況なのは変わらないので、視界から得られる情報を今までの経験と知識を照らし合わせ、湧き上がる感情を切り離して冷静に、姫様の症状を観察し続けている。
どうしても、敵への復讐心や、殺意が湧き上がってきて腸が臓物が熱くなってきて全身から殺意が迸りそうになるくらい煮えくり返りそうになる、だけど、それはそれと、今優先すべきことを、冷静に判断し、湧き上がるどうしようもない純粋たる怒りから湧き上がるマグマの様な感情を乗りこなしながらも、マグマを冷やす様に冷静に考える、そう、敵の出方を。
少しでも、知りうる限りの情報を整理整頓して、敵の思考を読み取り、敵が何をもって行動しているのかを導き出せば、自ずと、敵の状況を理解できるはずで、それらを紐解くことが出来れば、次の一手が見えてくる、はず!
だから、今まで起きた出来事、姫様から教えてもらった因果、因縁、400年もの間に起きた出来事、知りうる情報、全てを思い出して、策を練る。
一重では足りない、二重と三重と…幾重と策を考えていく、姫様がしてきたように。
長い長い時間が過ぎていった、何度も容態が悪くなる姫様の命を全力で繋ぎ止める、出来る限り用意していた持ち合わせている全ての薬をミリグラム単位で調整し点滴と共に投与していく。
これ程までに医療の技術を知識を経験を磨いてきた人生が、私が歩んできて培って切り開いて開拓してきた道が、姫様の命へと繋がっているのだと、これ程までに感じたことはない程の感謝の気持ちが湧き上がってくる、先人である地獄の世代である医療の父や、薬と毒のスペシャリストであるNo2には、感謝という感情しか、湧いてこない。
集中しすぎているのか、体内時計が狂っている、時計を見ては姫様の状況観察、及び、バイタル状況を記録としてメモしては、点滴の内容、薬の状況などを把握し続けていく、そんな緊張の糸が張り詰めていてる状況が、永遠に続くのかと錯覚するほど、長い長い時間が過ぎ、メモ用紙が10ページ目を超えようとした瞬間だった。
運転席にいる戦乙女ちゃんが声を出す
「到着しました!!」その声を同時に、一瞬だけ眼球を窓の向こう側が見えるように動かして状況を確認する。
窓から見える景色から最前線にある壁から見て南側にある個人商店がある、生活するために建造された街の入り口に入った辺りね
「医療病棟まで走って!」
きっと、女将がメイドちゃんに現状を伝えているはずだから、医療病棟には、信頼できるスタッフが集結しているはず!!
「はい!全速力で最短ルートで行けます!!」
頼もしい声と共に、車から、うなりを上げるような、エンジンの音に、限界以上の速さで魔力を吸い取られた影響なのか、それとも、何度も何度も魔力をチャージしては限界まで使い込み、かなりの頻度で、酷使し続けてしまったからなのか、車に搭載されている魔石が甲高い悲鳴を上げるようにパキっと音が聞こえると同時に魔石に大きなひびが入り、砕け散った。
「搭載魔石の一つが砕けただけです!問題ありません!」
その状況を戦乙女ちゃんも理解しているみたいなので、口に出す必要性は無い
医療班の本拠地である病棟に到着すると、病棟の前にはタッカーなどを準備している頼れる仲間達である医療班のメンバーが待機してくれていた
「みんな!待機してくれてありがとう!」
勢いよくドアを開けて、姫様をタッカーに乗せると直ぐに特別緊急室に連れていかれる、現場で待機してくれていた医療の父に一定時間おきに測定していたバイタルである、脈拍、血圧、血中酸素濃度などの情報を提出すると、直ぐに必要な処置を現場のスタッフに伝える
「よく耐えたな、お前も限界だろう少し眠れ」医療の父からの優しい申し出に甘えたくなるけれど
「いえ、大丈夫です!まだ、いけます!」気合を入れて返事を返した瞬間に
「いや、寝ろって言ってんだろ、限界超えてんだよお前もな」
手早く腕に注射器が刺されたと感じたら、何かを注入されたと、体内に冷たい何かが入ったなぁっと感じた瞬間には、意識が落ちていた
ふと何かのはずみで目が覚める、周りの状況を確認するために上半身を起こす、張り詰めていた糸が切れたみたいにぼんやりとしてしまう。
周りを見渡すと、病室であるのがわかるし、近くですぅすぅとリズムよく寝息を出している人が近くにいる。
音のする方に視線をうつす、私が寝ているベッドに寄りかかる様にメイドちゃんが寝ているので、頭を撫でてあげる、この子にも多大な心労をかけてしまったし、辛い環境に長いこと拘束させてしまったからね。よく頑張ったよく耐えてくれた。
ぼんやりと今の状況を考えていく
暫くは、この大地は平穏だろう、敵が勢力を蓄え終わるまで、平穏だろうけれど・・・本当にそれでいいのだろうか?
今が攻め時だと、考えてしまうのは短絡的なのだろうか?
メイドちゃんの頭を撫でながら今の状況を整理していると部屋のドアがノックされるので、返事をすると
「よう、相変わらず、麻酔が切れるのと同時に起きるな、目覚めが良いのは良いことだ」
医療の父であり大先輩が部屋に入ってきて傍にまで歩いてくると頭をわしゃわしゃと撫でてくる
「安心しろ、姫様は無事だ、意識はねぇが、命はある、安定はしている、お前のおかげだ、流石は医療班を束ねる団長様だ!俺はお前を教示してきたことを誇りに思うぜ」
姫様の容態が安定したこと、緊張の糸が切れたこと、偉大なる大先輩に褒められたことが同時に重なり感情が溢れ出てくる、今の私は顔じゅうを皺だらけにして年甲斐もなく泣いているだろう。
泣きじゃくる私が落ち着くまで抱きしめてくれる医療の父は本当に父性の塊だと感じる。
押し寄せてくる感情の波から解放され、心の底から落ち着いて、ゆっくりと深呼吸をした後は、大先輩が私と姫様が離れていた間に起きた出来事を話してくれた。
内容を聞いていくと思うのが、こちらでも、非情にいろいろな出来事があった、けれど、幹部達が幹部らしく各々がしっかりと議題を会議していき、必要な状況やするべきことを判断し、今最もすべきことを行動して来た。
姫様が居ない時代を経験していない若者たちからすると、普段から幹部達は姫様の言い成りで自分で考えたりする幹部らしき仕事をしていない印象を持っていただろう、けれど、今回の一見において、一部の幹部を見直した人もいれば、一部の幹部を完全に見放した人もいるだろうね。
話の内容からしても、医療の父の視点から見ると、今の世代は全ての時代から見ても、全てが充実していると嬉しそうに言っていた。
戦士長程のカリスマを持った人として姫様がいるし
医療の知識や経験も豊富で何処に出しても恥ずかしくないオールラウンダーな医者として成長した団長が居るし
騎士部隊、戦士部隊をまとめ上げる柱が二人もいる
研究塔や、術式研究所もかつてない程の精鋭ぞろい、
王都騎士団と戦争になっても100回戦っても100回勝てるくらい全てにおいて力量や、土台がこの大陸で誰にも負けないくらい、勢力に置いて勝っていると俺は思ってるからなっと、べた褒めされてしまった。
べた褒めされた後は、俯きながら悲しそうな顔をし、言葉を選ぶように、ゆっくりとポツポツと歯切れが悪そうに語り始めていく医療の父
姫様が不在の間くらい持ちこたえて見せるさって言いたかったけれど、被害は結構出ちまったからなぁっと、悲しそうな顔をしているのは、私達がこの街から離れている間に起きた見るも無残な悲しい結果を思い出してしまったのだろう。
数多くの長い人生の中を歩んできた大先輩の道筋は常に、様々な人生を歩むであろう、死にゆく隣人達の傍にいて寄り添い、見送ってきた。
親しき隣人が目の前で死ぬのは堪えると年相応の愁いを帯びた表情で語ってくれた。
確かに悲しい出来事が数多くあったのだと思う、思うけれど、私は、この人が生きている事で、この人が見送ってきた人たちはきっと満足していると思うよ。
貴方は、自分のことは優しくない非情な男だって言うけれど、人情に篤くて人の痛みに敏感で、その、痛みって言うカテゴリーに対してとても敏感で、心も体も両方しっかりと向き合ってくれている、そして、多くの人の悲しみや痛みを共有し分かち合って、背負う必要のない傷も痛みも背負ってきたのだから、そんな人が優しくないわけないよ。
後処理として判断する人を置いて行かないといけないので、現場での判断などは申し訳ないけれど、取り合えず、経験も豊富な女将に任せて、現場で行って欲しいことや、砦での出来事などは、メイドちゃんと女将と宰相に任せよう。
今私がすべきことは、姫様の繋ぎ止めた命を意識を取り戻すまでの間、延命措置をするべきだ、いつまた、鼓動が弱くなり、呼吸が止まる可能性があって、何一つ現状では油断できないっという危機的状況なのは、かわりない。
申し訳ないけれど、長距離の運転を髪の毛が真っ白になるまで、限界まで頑張ってくれた戦乙女ちゃんにお願いする流れになってしまった、理由は単純に役割分担の部分である。
私は常に姫様の容態を逐一確認観察するために傍にいる。
これから先、いつ容態が急変してもおかしくないのだから、私が運転をしないで、傍にいる方が良いと戦乙女ちゃんに押し切られた結果、その判断は正しい判断だと思う。
当然、車の中でも気は抜けない、向かっている最中にも、この一瞬でも、命が失うという事態が発生する可能性がある。十二分にあり得るくらい、姫様の状態は危険な状態
絶対に気を抜けない。
封印術式を施した影響もあって、姫様の魔力保持量を測定する方法がない、そして、魔力を注ごうにも封印術式によって弾かれる。
どうして、私がこんな未知の術式を知りえているのか、先の現象は何なのか知りえる方法は永遠に来ないだろう、来なくてもいいから、彼女の命だけは、救って欲しい、我が身を犠牲にして、人生を犠牲にして、一族の願いを犠牲にして、繋いできたもの全てを犠牲にした彼女の命だけは救って欲しい。
いや、願うんじゃない、救うんだ、私が、私達が彼女に、何も返せていない私達が彼女の命を繋ぐ。
今の私が出来ることを最善を尽くすことだけ、脈を計りつつ、手を握り続けるだけ、少しでも異変を感じれば即座に対応できるようにする、薬の準備はある程度はある、だけど、足りていなくて不安なのも事実、現状でどうにかなる状態が続くことを祈るばかり。
一瞬たりとも油断できない状況が続く、車も限界ギリギリのスピードで走り続ける、戦乙女ちゃんもここ最近の連続した出来事によって車の運転に対する熟練度が上昇しているのか、今なら敵地のど真ん中だろうと、王都の狭い路地だろうが、全速力で駆け抜けれる自信があると豪語していた。
頼もしい限り、運転経験が浅い私よりも彼女の方がよっぽど技量がある。
姫様の状態を逐一経過観察を行う、時折、酸素を吸わない時があるので、呼吸のリズムに合わせて酸素を術式で肺の奥まで送り込む、魔力放出しないのであれば、この程度の術式造作もない。
それにもう、私を補助してくれる人はいないのだろう、二つ同時で術式を展開するようなことは今後できない可能性がある、あるが、感覚は掴んでいる。
追々、何処かのタイミングで修練しよう、並行で二つの事を同時に出来るくらいはやってのけないといけない日が来るだろう
獣達が滅んだのに?いいや、獣たちは恐らく滅んでいない気がする。終わり際の耳元にざらつくように、心にべちゃっと不安という感情を塗りたくってさっていったやつがいる。
あれは、幻聴ではないと、直感で理解している、何かが私達の知らない何かが暗躍している。
戦場や、極限の状態にまで追い詰められた人たちが耳にする恐慌、フィアーの時に聞こえる幻聴って、敵が何かしら仕組んでいる気がする。
あそこまで執拗に、生きるという感情を圧し折ろうとプレッシャーを与えてくるなんて明確な敵意としか思えない。
迂闊だったわね、私にそのような手札を見せたのが運の尽きだと、人類の歩んできた生きようと足掻く歴史にちょっかいをかけ続けてきたことを後悔させてやる。
姫様が放った数多くの光の柱で、恐らく、目視で確認していないので確証はないが、確実だと信じている、姫様の全てを用いた一撃なのだから、至極当然のように大陸中の獣は蒸発したであろう、だが、一番重要なやつは生きていると油断せずに、奴は生きていると意識するべきだ。
あいつも光に包まれて蒸発して、死んだ!そんな風に思うような、楽観的で、希望的観測はしない、可能であればこの手で生きてきたことを後悔させてやりたい。
私の大切な物に手を出し過ぎた。
どうしてやつが生きているなんて不安を煽るような考えに至るのか、そう感じるのか。
答えは至極当然、単純に、執拗に、耳元で囁き続けたのが大穴に住まう獣でしょ?
それに、気になってい、ずっと頭の片隅に引っかかっていた、始祖様が観測していた特殊な獣は5体。
そのうち3体を始祖様が仕留めたのだが、2体も生き延びていることになる。
片方は海にいるからこそ、何かしらの事情があるのだと思うが、相手は大地に生息しているのでしょ?どうして、死んでないの?
それに、400年という途方もなく長い歳月を生きているのであれば、知恵も知識もそうとう得ている可能性があり、そうとうな曲者として生きていると思ってもいいでしょ?
生き延びている理由も、まず大前提として、始祖様の攻撃から生き延びた個体ってことよ。
つまり、始祖様の追撃から逃れるほどの何かしらの術を所有しているって考えるべき、単純に考えれば、始祖様の一撃と姫様の一撃を比べたら当然、始祖様の方が威力は数段とうえでしょ?それを回避しているので、あれば、姫様の一撃も回避していると考えるべきだ。
海の獣も完全に蒸発しているという保証も確証もない、その目で死にざまを、死の瞬間を!!目に焼き付けない限り油断はできない。
この先に起こり得そうな敵との戦いで注意しないといけないことを冷静に考えながらも、視界に映る情報を、的確に分析し絶対にミスが許されない状況なのは変わらないので、視界から得られる情報を今までの経験と知識を照らし合わせ、湧き上がる感情を切り離して冷静に、姫様の症状を観察し続けている。
どうしても、敵への復讐心や、殺意が湧き上がってきて腸が臓物が熱くなってきて全身から殺意が迸りそうになるくらい煮えくり返りそうになる、だけど、それはそれと、今優先すべきことを、冷静に判断し、湧き上がるどうしようもない純粋たる怒りから湧き上がるマグマの様な感情を乗りこなしながらも、マグマを冷やす様に冷静に考える、そう、敵の出方を。
少しでも、知りうる限りの情報を整理整頓して、敵の思考を読み取り、敵が何をもって行動しているのかを導き出せば、自ずと、敵の状況を理解できるはずで、それらを紐解くことが出来れば、次の一手が見えてくる、はず!
だから、今まで起きた出来事、姫様から教えてもらった因果、因縁、400年もの間に起きた出来事、知りうる情報、全てを思い出して、策を練る。
一重では足りない、二重と三重と…幾重と策を考えていく、姫様がしてきたように。
長い長い時間が過ぎていった、何度も容態が悪くなる姫様の命を全力で繋ぎ止める、出来る限り用意していた持ち合わせている全ての薬をミリグラム単位で調整し点滴と共に投与していく。
これ程までに医療の技術を知識を経験を磨いてきた人生が、私が歩んできて培って切り開いて開拓してきた道が、姫様の命へと繋がっているのだと、これ程までに感じたことはない程の感謝の気持ちが湧き上がってくる、先人である地獄の世代である医療の父や、薬と毒のスペシャリストであるNo2には、感謝という感情しか、湧いてこない。
集中しすぎているのか、体内時計が狂っている、時計を見ては姫様の状況観察、及び、バイタル状況を記録としてメモしては、点滴の内容、薬の状況などを把握し続けていく、そんな緊張の糸が張り詰めていてる状況が、永遠に続くのかと錯覚するほど、長い長い時間が過ぎ、メモ用紙が10ページ目を超えようとした瞬間だった。
運転席にいる戦乙女ちゃんが声を出す
「到着しました!!」その声を同時に、一瞬だけ眼球を窓の向こう側が見えるように動かして状況を確認する。
窓から見える景色から最前線にある壁から見て南側にある個人商店がある、生活するために建造された街の入り口に入った辺りね
「医療病棟まで走って!」
きっと、女将がメイドちゃんに現状を伝えているはずだから、医療病棟には、信頼できるスタッフが集結しているはず!!
「はい!全速力で最短ルートで行けます!!」
頼もしい声と共に、車から、うなりを上げるような、エンジンの音に、限界以上の速さで魔力を吸い取られた影響なのか、それとも、何度も何度も魔力をチャージしては限界まで使い込み、かなりの頻度で、酷使し続けてしまったからなのか、車に搭載されている魔石が甲高い悲鳴を上げるようにパキっと音が聞こえると同時に魔石に大きなひびが入り、砕け散った。
「搭載魔石の一つが砕けただけです!問題ありません!」
その状況を戦乙女ちゃんも理解しているみたいなので、口に出す必要性は無い
医療班の本拠地である病棟に到着すると、病棟の前にはタッカーなどを準備している頼れる仲間達である医療班のメンバーが待機してくれていた
「みんな!待機してくれてありがとう!」
勢いよくドアを開けて、姫様をタッカーに乗せると直ぐに特別緊急室に連れていかれる、現場で待機してくれていた医療の父に一定時間おきに測定していたバイタルである、脈拍、血圧、血中酸素濃度などの情報を提出すると、直ぐに必要な処置を現場のスタッフに伝える
「よく耐えたな、お前も限界だろう少し眠れ」医療の父からの優しい申し出に甘えたくなるけれど
「いえ、大丈夫です!まだ、いけます!」気合を入れて返事を返した瞬間に
「いや、寝ろって言ってんだろ、限界超えてんだよお前もな」
手早く腕に注射器が刺されたと感じたら、何かを注入されたと、体内に冷たい何かが入ったなぁっと感じた瞬間には、意識が落ちていた
ふと何かのはずみで目が覚める、周りの状況を確認するために上半身を起こす、張り詰めていた糸が切れたみたいにぼんやりとしてしまう。
周りを見渡すと、病室であるのがわかるし、近くですぅすぅとリズムよく寝息を出している人が近くにいる。
音のする方に視線をうつす、私が寝ているベッドに寄りかかる様にメイドちゃんが寝ているので、頭を撫でてあげる、この子にも多大な心労をかけてしまったし、辛い環境に長いこと拘束させてしまったからね。よく頑張ったよく耐えてくれた。
ぼんやりと今の状況を考えていく
暫くは、この大地は平穏だろう、敵が勢力を蓄え終わるまで、平穏だろうけれど・・・本当にそれでいいのだろうか?
今が攻め時だと、考えてしまうのは短絡的なのだろうか?
メイドちゃんの頭を撫でながら今の状況を整理していると部屋のドアがノックされるので、返事をすると
「よう、相変わらず、麻酔が切れるのと同時に起きるな、目覚めが良いのは良いことだ」
医療の父であり大先輩が部屋に入ってきて傍にまで歩いてくると頭をわしゃわしゃと撫でてくる
「安心しろ、姫様は無事だ、意識はねぇが、命はある、安定はしている、お前のおかげだ、流石は医療班を束ねる団長様だ!俺はお前を教示してきたことを誇りに思うぜ」
姫様の容態が安定したこと、緊張の糸が切れたこと、偉大なる大先輩に褒められたことが同時に重なり感情が溢れ出てくる、今の私は顔じゅうを皺だらけにして年甲斐もなく泣いているだろう。
泣きじゃくる私が落ち着くまで抱きしめてくれる医療の父は本当に父性の塊だと感じる。
押し寄せてくる感情の波から解放され、心の底から落ち着いて、ゆっくりと深呼吸をした後は、大先輩が私と姫様が離れていた間に起きた出来事を話してくれた。
内容を聞いていくと思うのが、こちらでも、非情にいろいろな出来事があった、けれど、幹部達が幹部らしく各々がしっかりと議題を会議していき、必要な状況やするべきことを判断し、今最もすべきことを行動して来た。
姫様が居ない時代を経験していない若者たちからすると、普段から幹部達は姫様の言い成りで自分で考えたりする幹部らしき仕事をしていない印象を持っていただろう、けれど、今回の一見において、一部の幹部を見直した人もいれば、一部の幹部を完全に見放した人もいるだろうね。
話の内容からしても、医療の父の視点から見ると、今の世代は全ての時代から見ても、全てが充実していると嬉しそうに言っていた。
戦士長程のカリスマを持った人として姫様がいるし
医療の知識や経験も豊富で何処に出しても恥ずかしくないオールラウンダーな医者として成長した団長が居るし
騎士部隊、戦士部隊をまとめ上げる柱が二人もいる
研究塔や、術式研究所もかつてない程の精鋭ぞろい、
王都騎士団と戦争になっても100回戦っても100回勝てるくらい全てにおいて力量や、土台がこの大陸で誰にも負けないくらい、勢力に置いて勝っていると俺は思ってるからなっと、べた褒めされてしまった。
べた褒めされた後は、俯きながら悲しそうな顔をし、言葉を選ぶように、ゆっくりとポツポツと歯切れが悪そうに語り始めていく医療の父
姫様が不在の間くらい持ちこたえて見せるさって言いたかったけれど、被害は結構出ちまったからなぁっと、悲しそうな顔をしているのは、私達がこの街から離れている間に起きた見るも無残な悲しい結果を思い出してしまったのだろう。
数多くの長い人生の中を歩んできた大先輩の道筋は常に、様々な人生を歩むであろう、死にゆく隣人達の傍にいて寄り添い、見送ってきた。
親しき隣人が目の前で死ぬのは堪えると年相応の愁いを帯びた表情で語ってくれた。
確かに悲しい出来事が数多くあったのだと思う、思うけれど、私は、この人が生きている事で、この人が見送ってきた人たちはきっと満足していると思うよ。
貴方は、自分のことは優しくない非情な男だって言うけれど、人情に篤くて人の痛みに敏感で、その、痛みって言うカテゴリーに対してとても敏感で、心も体も両方しっかりと向き合ってくれている、そして、多くの人の悲しみや痛みを共有し分かち合って、背負う必要のない傷も痛みも背負ってきたのだから、そんな人が優しくないわけないよ。
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「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
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