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人類生存圏を創造する 始祖様の秘術をここに 10

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通信が途切れた後、全員が言葉を失ってしまう、どうやって声を出せばいいのか、何を話せばいいのか、空気を吸う音だけが聞こえ、声門を震わせる行為を躊躇ってしまう。
こんな空気の中で、何から話せばいいのか、何を話せばいいのか、どうしたらいいのか、知らなすぎる、未知の出来事が多すぎて、今の状況を理解することが出来ない、状況を整理しきれない…

女将は、考えるよりも行動するタイプの人で、私が微動だにせずに、動けない間に、意識を失ったタオル一枚の戦乙女ちゃんを車に連れて行った、その後ろをもう一人の戦乙女ちゃんも付いて行ったので、二人がかりで、しっかりと体を拭いて、服を着せているのだろう

胸の中で小さな寝息が聞こえてくる、視線を移すと気持ちよさそうに寝ている姫様をつい、見つめてしまう。

彼女に一体何が起こっているのか?プランCはどんな内容なのか?ドラゴンって何?お姉ちゃんって誰?…わからないことだらけ
わかっているのは、驚異的な力で全てを殺戮し蹂躙する恐怖の象徴と言われても遜色なく納得できてしまう敵。

その恐怖の権化を壁で囲って身動きを封じただけ、ただの時間稼ぎ…

ってことだけど…敵の性能を考えると、壁を乗り越えてきそうだし、壁を破壊して出てきそうな気がする。
何かしらの方法で壁の中に向けて、敵の攻撃が届かない、安全地帯から執拗に攻撃を行い、敵の体力などを奪うのが正解じゃない?
通信魔道具を操作して通信が行えれる状況なのか確認する、返事が返ってこない。

宰相が王都から南の砦に戻ってきたら絶対に連絡がくるはずだから、今はこの場でまとう。

椅子に座って魔道具の前で待機する、術士の二人が見当たらない、作業にでも戻ったのだろうかと思っていたら、毛布を引っ張り出してきてくれて私にかぶせてくれた。
去り際に、「お体をご自愛ください、聖母のような方よ、作業に出ます」と一言添えて…ううん、年齢が近かったら凄く好みな性格なんだけどなぁ、ちょっと年上すぎるかなぁ。っと、感じてしまう辺り、私の根っこも恋愛脳が強いのだろうと感じてしまった。

静かに寝ている姫様を車の中で寝かしつけてから一人で通信を待てばいいのだけれど、どうしてかわからないが、姫様を独りにするのが怖い、何処かに行ってしまいそうで、私達の手から離れてしまいそうで怖かった…

じっと、姫様の温もりを感じながら、本当の自分の娘のような気がしてくるくらい愛おしく感じていると、気が付くと体から魔力を放出し、魔力を注いでいた。

ベルが三回鳴る音で、意識を現実に戻される、いけないいけない、集中しすぎてしまった。

「プランCの結果をお聞きしてもよろしいですか?現場はどうなりました?」恐る恐る、通信してもいいのかどうか様子を伺うような声が聞こえてきた
「うん、大丈夫、丁度よかった、聞きたいことがあったから」メイドちゃんだったら私が感じている疑問を知っているかもしれない。

まずは、プランCが成功したことを伝えると
「よかったですー、プランCって、魔力波を最大限にして、砦に向かって放つって書いてるだけなので、どの様な結果になるのか存じ上げていなかったんですよー、緊急に魔力装填の為っとしか、書かれてなくて、何のために魔力が必要なのか、わからなくてー結果が知りたいのです」
メイドちゃんの言葉通りであれば、緊急に何かしらの魔道具を起動するために必要なプランって、ことかぁ、それを使って何かするって書いてない辺り、純粋に魔力波を送るだけってこと。それ以上の手がかりを得られることは無い
次に、気になるのがお姉さんが何を指しているのか、メイドちゃんだったら姫様に姉妹がいるのか、知っていると思うので、教えてもらおう

「ご兄弟ですか?腹違いの方達でよければ数多くいらっしゃいますし、公表はしておりませんが、姫様のご姉妹の方と結婚された旦那様がこちらの街で働いていますよ、正確には、畜産の方でノウハウを伝授していただいているそうです、後、次の人員補充の為に現場で働きたいという各町からの志願者リストの中には、一番年の離れた、弟君が、この街で騎士見習いとして働きたいという志願書を頂いております、これを聞いて、どうするのですか?何かそちらで問題でもありましたか?」
脈絡もない唐突過ぎて不自然な質問に対して、どうして、今それを聞くのか?っという、疑問を抱くのは当然だよね?…
駄目だ話せない、話すということは姫様の現状全てを包み隠さずに言わないといけない、何かで、はぐらかさないと…そうだ、ご実家の方から支援をいただいているので気になった体でいこう

姫様のご実家と思われる家紋から数多くの支援物資を頂いているので、家紋の形も添えて伝えると
「なるほど、私も直接お会いしたわけではありませんが、その家紋は確実に姫様のご実家の方か、縁のある方だと思われますよ、姫様はお父様に対していつも厳しいお言葉を述べておられますが、なんだかんだと、お金をご実家に送金されていたりするので、仲は良好だと思われますよ」
そうなんだ、仲悪いイメージだった、常に嫌いっていうから…言葉の裏ってわからないね

後は、ドラゴン?童話か、何か、その手の伝承がこの地方にあるのか聞いてみよう
「…どらごん?わかりかねます、童話や伝承は、その、詳しくないので、今度、詳しそうな方に心当たりがありますので、何かきっかけがあれば、聞いてみますが、本当にどうされたのですか?その話は今必要なのですか?」
ぅぐ、ストレートに聞きすぎてしまったかも、そりゃ、雑談の流れっぽいけれど、前提がおかしい、緊急事態の直後に聞く内容じゃない、昨日であれば、この手の話題をしていても、何も疑問に思わずに日常的な会話として受け止めてくれたのに、タイミングを考えて発言しないとダメだよね、メイドちゃんって結構、ううん、かなり賢いでしょ?迂闊過ぎた。

「ううん、ごめんね、場を和ませようと思って、その、ご実家の方かな?使用人の方とそんな話題をしちゃったもので、その、一般常識的に知ってる内容なのかなぁって、その、恥をかきたくないなぁって…ごめんなさい、状況的に間違ってるよね」
申し訳なさそうな声を出してそれらしい嘘を並べてみると
「なるほど、そういった事情であればわかります、団長と呼ばれる人が無知すぎるのは、姫様に恥をかかせてしまうかもしれないって考えちゃいますものね、他に質問が無ければ私の質問に答えて頂けると、今日の夜は熟睡できるのですがー?」
ぇ?何だろう?質問?…プランCがせいこうしたって…伝えたが何が起きたかは伝えてなかった
「あ!ごめん!そうだよね、プランCが成功したって言葉しか伝えてなかった!」
謝ってから、私の知る限りの情報を伝えると
「はぁ、凄い・・・ですね、どうやって壁を創り上げたのか想像できないの、ですが、う~ん、まぁそれが実現したってのは自分の目で確認しました、はい、今確認しました、望遠鏡を覗き込んでみたら本当に大きな壁が創造されているのが見えましたので、嘘としか思えないのですが、実物をこの目で見えたので、信じ切れます、凄い・・・ですね、王様直轄の術士部隊でしょうか?」
流れ的にそう考えるのが自然だよね、「たぶん、そうじゃないかな?姫様が事前に宰相と打ち合わせしていると思うから、私達が知らない魔道具を用いている可能性もあるよね」っと伝えると納得してくれた。

歯切れが悪い報告会、質問会が静かに終わった。
あの反応から察するに何か言えない何かが発生しているのだとメイドちゃんは勘ぐっている、っていうかもう、気が付いていそう…
敢えて触れない辺り、こちらの事情も予測がついていそうな気がする。

言葉にしない限り、メイドちゃんは周りに報告しない、しない、はず。
むやみな混乱は避けるべきだと考えてくれるはずだ、後々、秘密にしていたことに対して怒られそうだけど、ごめんね、向こう側に誰が居るのかわからないから、言えないの。

メイドちゃんを無駄に混乱させてしまっただけじゃないのかなぁっという不安に包まれていると雑音が酷い通信が聞こえてくる
「通信、届いていますか?」ザラザラとした音質になってしまっている
「はい、届いていますよ、こちらの声は聞こえていますか?」魔道具が壊れてしまう恐れもあるのだと、今更ながら至極当たり前の、本来であれば気が付くべき新しい不安も出てきてしまった。
敵の猛攻によってパニックを起こしてしまうのは致し方ない、致し方ないよね?だから、彼のことを攻めないで欲しいね、絶対に怒られていると思われる。
だけど、温情を与えて欲しい、目の当たりにしたわけではないけれど、報告から伝わってくる敵の情報が、理不尽の塊、今の人類では決して真正面から立ち向かうべき相手ではない、ありとあらゆる搦め手、不意打ち、それでも、金輪医的だからこそ、犠牲を厭わない覚悟が必要、そんなのを目の当たりにすれば正常な判断が出来なくなるのは致し方ないよ。
「…ん?うぅん、はい、聞き取りづらいですけど聞こえます、近日中に修理できそうでしたらさせます、今しばらくは聞き取りづらいと思いますが、ご容赦ください」
宰相の事だから部下をかばって頭を下げているイメージが伝わってくる。
この人が王様だったら、もっともっと、事前に万全な策を練れて実行できたのではないかなって、現王を否定してしまうような事ばかり思ってしまう、不敬罪で裁かれてもおかしくないね。

「砦に帰ってくると同時に惨劇を、耳を塞ぎたくなるような現状を、報告を…現実を受け止めたくない事実を、胸が締め付けられる想いで受け止めました、あの壁の中では恐怖の対象が暴れ回っている様子で、いつかあの壁を出てくると思われるのですが、何か策を授けて頂けたりはしますか?」
毒の沼地を一回の跳躍で飛び越え、宰相が鍛えぬいた選りすぐりの精鋭ですら、赤子の手を捻る様に蹂躙されてしまった相手、一切の妨害なしだと膂力で壁を粉砕することも出来そうだし、壁を乗り越えてきそうな気もする。

宰相に姫様は意識が混濁していることを伝えると、
「あの規模の遠隔術式を用いたのですから、姫様のお体にかかる負担は、想像を絶するでしょう、生きていることが不思議ですよね」
どうやら、あの壁を創りだしたのは姫様だと宰相は勘違いをしている様子だった、姫様は何もしていない、ただ、プランCを発動するように誰かに言われて行っただけ、今になって思えるのがお姉ちゃんっていう不可思議なワードは何処から来たのか、姫様の中にある、意識の水面下から出てこれない本来の姫様なのじゃないかって、思ってしまう。

ドラゴンってのは、何かの比喩だろう、この辺りにもしかしたら、何かしらの伝承があるのでは、なんて、ロマンを感じてしまったけれど、何も無さそうだと思う、ドラゴンのおとぎ話があれば、この辺りを収めている領主の家紋にしそうな気がするのに、そうじゃない。

不可思議なことが続く、その件は、とりあえず、置いといて、優先すべき考えることは一つ、南の砦にいる脅威を取り除くこと

それについて、宰相と知恵を出し合う。
広範囲に壁が創られたので壁の中はかなり広い、敵の位置がわからないので、直接的な攻撃は出来ないし、壁の頂上に宰相が用意していた攻撃道具を運ぶことは出来ない、高すぎて設置できない、運ぶための道を創る間に突破されてしまう未来しか想像できない…

時折、宰相が誰かと話をしている音が聞こえてくるので、恐らく、宰相の周りには多くの人が居て、全員でどうするべきなのか、何が出来るのか話し合っているのだと音越しで伝わってくる。
私からも思いつく限りの提案を行い、長い長い会議が、ゴールの見えない会議が続いていく。

気が付くと、女将も戦乙女ちゃん達も会議に参加して意見を出し合っていく

我々凡人が考え付く限りの作戦を全力で行うことになった

まず、大前提として、中に取り残された騎士たちは全滅していると仮定し、彼らのことを考慮することは放棄する

・毒の魔道具を用いて、壁の中を毒の沼地に変貌させる、砦からすぐ近く過ぎて、未来を考えれば取るべき作戦ではないのだろうが、アレが王都に辿り着けば、誰も止める術を持たない、殺せるのならこの土地全てを毒で浸しても構わない。

・敵が壁をよじ登ってくる可能性があるので、油などの潤滑油を全力で投擲し、壁に当てて、掴めないようにする、全域をカバーするのは不可能に近いが、やらないよりかはまし、少しでも敵の動きを封じるためなら王都や近隣にある全ての油を投下する覚悟で搔き集める。

・油を投下した後は火矢を放ち中を溶岩の最中にするかの如く高温で燃やすのも一つの手、なのだが、懸念点が敵が上空という逃げ道を失ったら地面を掘り進めるのでは?っという不安も出てきている。
始祖様の術式で地面も強固になっているのか確認をしたいのだが、こちらの動きを探られて土を掘っていると相手に悟られてしまうと、要らぬ知恵を授けてしまいかねないので、出来ない、私達側で検証を行ってもいいのだけれど、人力と相手との差がありすぎるので参考にできない。

・敵の気を引くためにも油以外も弓矢、鉄球、剣、槍、何でもいいので硬い物を投石器に乗せて放ち、敵の気を上空へと常に意識をさせて正常な判断が出来ないように挑発する

などなどを話し合っていたら、宰相が唐突に「現場からの報告が来たのでしばしお待ちください」と、議題をとめる
その間も私達だけで策を練っていくが、これ以上、捻り出すことが出来ない、こういったときに一番頼りになる姫様は眠っているし、起きたとしても…

「作戦を今からでも決行します!壁を殴るような轟音が現場から響き渡っていると報告があがってきました!壁を全包囲するように急ぎで投石器を準備します、人力で投げ入れれそうであれば、投げ入れて自由な行動をさせないようにしていきます」
急ぎの号令が現場に響き渡ったら、音が消え静かになる、通信を切ったのだろう。

私達が駆けつけたところで、どうしようもない、出来ることをしないといけないのだけれど、焦燥感だけがずっと胸を焼くように脳を焦がす様に燃え続けている…

「おかあさん、いたぃ…」
胸の中にいる姫様の声で我に返る、気が付かないうちに強く抱きしめていたようだった、ごめんねっと謝りながらさすってあげると
「…お腹、いたい」
眉をひそめて苦しそうにしているので、痛み止めを飲ませてあげる、さすっている箇所もお腹というよりも背中?胸椎の11番目から腰椎の2番目までの間?
臓器じゃない?これ?…腎臓?

心臓が凍り付きそうになる、考えたくない、もしかしたら、腎臓が破裂してる?

慌てて皮下出血班が出てないか確認する、そういえばわき腹の辺りにあった!?うそ、いや、可能性はあるけれど、破裂していたら即死しているし、もっと痛がるはず、
背中、わき腹、腹部全部をチェックする、皮下出血班は消えていて問題はない…ないはずなのに、心の中はずっと騒めいている

嫌な気配しかしない…これからは念のために味が薄くて嫌がるかもしれないけれど、塩は控えめにしないと。
その事を全員に伝える、神妙な顔つきで納得してくれた、誰も王都や、私達の街に帰って大掛かりな検査をするべきだと思っていても口に出せない…

浸透水式…あれを用いれば体の臓器の有無、損傷、全身の中を隈なく調べることが出来るのだけれど、あれが使用できるのは私達の街にある、施術室だけ
今の姫様を連れていくのは、全員の覚悟が決まらない、姫様の体を考えれば今すぐにでも連れて行って詳しく検査し、治療できることがあれば、すべきなのだけれど…

この大陸全土を不安にさせてしまいかねない、一人を取るべきか、全人類の心の安寧を取るべきか、心の天秤が常に安寧を取るべきだと言い続けているし、仮に現場から離れる不安もある…

私では、選べない、決断ができない…今この場にいる全員がそう感じている。
しかめっつらで、唇を噛み血が出ている人もいれば、握りしめた拳から血が滴っている人もいる…

もう少し、もう少しだけ、様子を見ようっと全員に声を掛けると医者の判断を信じますと返事が返ってくる

姫様の意識が帰ってくる根拠なんてないのに…これは、完全に逃げだ、責任から逃れたいだけだ、一抹の不安が数多くありすぎて、判断が鈍っているのも理解している、何を優先すべきなのか、考えないといけない…

何を犠牲にするべきなのか?

自分を犠牲にする覚悟はできているのにね、それ以外の優先順位なんて考えたこともなかった。
考えよう、優先すべきことはなにか?人類の為に何を選び選択すればいいのか?人類をとるのか、自分の心に従うのか…

大前提として姫様の命を守ることだろう、そう考えると…
姫様の症状が、本当に危険な状況になったらすぐにでも帰ろう、私達の街に、手遅れになる前に、それだけは絶対に何を置いても優先しよう

仮に王都に敵が攻め込んでしまったとしても、王都の人達が滅びようと…
ごめんね、お母さん、たぶん、今も王都に居て、日常を送っていると思うけれど…見捨てるという選択肢を躊躇いもなく選んでしまった親不孝者の娘を許してとは言わない
姫様の命と王都に住まう住民、この二つの天秤だったら、私は姫様を迷うことなく選ぶ、大罪人だと断定されようが、罪に問われようが、これだけは迷わない

それに、ね、今の現状で私達が王都に駆けつけたところで無駄死にするだけだから、それよりも、希望を残す為に姫様を生かすのが優先するべきことだろうからね
今の姫様が、何が出来るのかって思うけれども、いつもの姫様が帰ってくる希望だってある、あるのだから…

医者としての経験が、姫様の体内魔力は、正常値には届かなくても欠乏症から抜け出ている、彼女は脳を損傷してしまった可能性が高く、それらが回復しない限り、帰ってくる可能性は無い、浸透水式で脳にまで意識を溶かして進むのは深度が深すぎて意識消失&意識混合のリスクが高すぎて行えない…
そこまでの深度までリスクを冒していくのであれば、最低限、意識を繋ぎ止めるための命綱として姫様と同程度の術式に理解が深い人が必要。
もしくは、浸透水式の熟練度が高い、私か…No2が必要…全てが足りない…ネクストがメインを担当し、私が命綱を担当したとしても、ネクストでは、そこまで辿りつけない。

八方ふさがりだと告げてくる…

藁にも縋りたくなる、神に縋りたくなる、始祖様に縋りたくなる、私では現状を打破する手段が何もない…
弱い、私は弱い…知識も考える力も弱い

考えを整理するために、ちょっとその辺りを歩こう

抱きしめていた姫様を女将に任せようとすると私の服をぎゅっと掴んで離さなかった、その姿に心が胸が、締め付けられる
離れたくないのは私も一緒だよ、女将に「ごめんね、やっぱり一緒に居るね」っと、伝えると月明りの中、ゆっくりと子守唄を唄いながら散歩をする

今の私を誰かが目撃したら、子供をあやす親子にみえるのかな?

だって、私の髪の毛も姫様と一緒で真っ白だから



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