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燃える闘う魂!革命の戦士がここにリングIN!!
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糞ったれな猿の眼前に、今一度、復活する伝説と謡われしコンビ!最強のタッグ!
この二人を見て、戦士になる事を憧れたものも多いだろう
力こそすべて、力さえあれば全てを捻じ伏せる事が出来る、究極の肉体美
技こそすべて、全ての接近戦に使用される武器を完全に扱うことが出来る、洗練された動きは周りを魅了する美しさ
完成された肉体に、完熟された技量、その二つが揃うとき全てが終わると言わしめた伝説の二人組
数多くの戦果を上げ、数多くの武勇伝を残し、倒した敵の数は数え切れず、二人だけで倒した二足歩行の数も歴代TOP
この二人を育て上げた師匠も感無量!言う事無し!この大地に戦の神がいるとすれば最強は誰かと指さすはこの二人!!
究極完全!褒める言葉がこれ以上、見つからない!伝説のタッグが今ここに!!!!
二人が現場に現れると、全員が目を輝かせ絶叫した!二度と見ることが叶わないと思っていた伝説の戦士が戦に帰ってきた悦び!
過去に、この二人が戦う姿を見たものは、また、あの伝説が見れるのかという期待感!
この二人の闘争を見たことが無い、若い世代たちからすれば、先輩達から耳に胼胝ができるくらい、何度も伝え聞いたおとぎ話の降臨!
戦士であれば、この二人が戦場にいること自体が奇跡!熱狂せずにはいられない!
後方から凄い熱狂の声が聞こえてくることにティーチャーは振り向きたい一心であったが、戦場で目を背けるわけにはいかず、内心焦っていた。
聞こえてくる音に、気になるフレーズが山ほどあったからである。
焦りを感じさせずに、指揮をするが、敵の前で戦っている騎士達も後ろからの熱を感じ取っているのか、浮足立っている。
一人の騎士が浮足立っているのが敵にも伝わったのか、危険な一撃がその騎士に降りかかろうとした瞬間
「させないよ!!!」
大きな声と共に、大きな物体が上空を飛んでいき、猿に向かって真っすぐ飛んでいく、その塊がなんなのか?答えは一つ
「どおりゃぁ!!」
ガンっと重い重い鈍い音が辺り一面に広がる、大きな槌を持った全身甲冑の漢が後方から飛んでくる!着地と同時に猿に重い一撃をお見舞いする。
ベテランさんだ!鎧付きのベテランさんが飛んでくるなんて誰が想像できる?ベテランさん自身に後方から飛んでくるほどの脚力は持ち合わせていない!
だとすれば!いったいどうやって!?答えは!簡単!
ノッシノッシっとゆったりと参上!!あんな重さを投げれる人は地上に置いてこの人以外ありえない!!
「ほぉ、噂通りじゃないか!なんてかったいやつだろうねぇ!あの一撃を受け止めて平気な顔してるんだからねぇ」
伝説の戦士!剛腕の粉砕姫!我らの胃袋も剛腕で掴んで離さない!酒場の女将だぁ!!!!
「今の一撃が、片腕で塞がれるなんて、ちょっと予想外の硬さだなぁ…」
投げ飛ばされた力+重力落下エネルギー+俺の上半身の捻りが加わった一撃だぞ?鉄の壁くらいなら簡単に凹ませれる自信があったんだがなぁ…
「さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ!!!!どきなどきなどきな!!!巻き込んじまうぞ!!!」
成人男性よりも重たい武器を片手でブンブン振り回しながら猿に向かって駆けだしていく巨躯の肉体!!とてつもない重量なのに、軽々と上空へと飛び上がる!!
あのようなパワフルなエネルギーの集合体みたいな肉体が飛び掛かってくるのだ、いかな二足歩行の糞猿でも警戒し上空を見上げ、上空からくる一撃をいなすのか、避けるのか、受け止めるのか選択肢を取ろうとする、だが!その隙を見逃すような人じゃないのがベテランさん!
猿の足元からゴツンっと重い音がする、敵の動きを封じる為にベテランさんが敵の膝裏に強烈な一撃をお見舞いする!!
その衝撃で膝が曲がり、上半身が後方へと落ち体勢が崩れる、慌てるように両腕をクロスし、防御態勢を取る。
「受け止めれ切れるかねぇ!!!」
女将の重み+落下エネルギー+武器の重み+女将の剛力!!!
これの衝撃は足し算じゃねぇ!掛け算だぁ!!!1×1×1×1は!!1000倍だぁ!!
バゴン!!
人生で一度も聞いたことの無いような重い重い、大地が裂けたんじゃないかと思うくらいの音と共に、離れた距離まで伝わる地面の揺れ!?なんという威力!!なんという衝撃!!
あまにも聞いたことの無い鈍い音が耳を通り抜けた瞬間に、猿が雄たけびをあげ、女将の一撃を受けた両手で女将を跳ね飛ばす!
「おいおい、あたしをこんな軽々と吹き飛ばすのかい!硬いだけじゃないってことさぁねぇ!!!」
上空に吹き飛ばされた女将が驚いているが、我々も驚いている!今まで対峙してきて、あんな雄たけびをあげたことなんて一度も無かった!!
女将を跳ね飛ばした瞬間に生まれる隙をベテランさんが見逃すはずもなく、すかさず、敵の踵に向かって槌を地面にあるボールを打ち上げるようにぶつける!!
そう!踵には毛がない!つまり!全ての衝撃や斬撃を防いでいる諸悪の根源!天然の鎧がないのだ!
ゴンっと鈍く重い音が聞こえると同時に
あぎゃぁあああああああああああああああああ
衝撃!今まで痛みの声を上げたことの無い猿が痛みで叫んでいる!?この光景にこの場にいる全員がこの二人なら勝てると確信を得られた!!
女将が地面に着地すると、直ぐに大地を蹴り、手に持っている大斧を全身の力を使って投げる!!!
ゴオウ!と人生で一度も聞いたことが無いような轟音と共に飛んでいく斧を避けれないと察した猿が再度、両腕をクロスさせ衝撃に備える
どうやら、先のベテランさんの一撃によって、足の機能が低下しており、跳躍できない!
斧が猿に激突する瞬間に、対角線上にいたベテランさんも斧が飛んでくることに対して予測していたのか備えていた!綺麗に腰を回転させ、斧が当たる瞬間に合わせて猿の後ろから頭を槌でぶん殴る!!
斧の刃は両手で防がれてしまったが!斧が発生させた前からの衝撃!ベテランさんからの渾身の腰の回転を聞かせた後ろからの後頭部への一撃!前後の衝撃に如何に鋼鉄の守りを持っていると言えど!クロスした腕が前からの衝撃を吸収しようにも!後ろからの一撃でおろそかになる!そして!顔面には守りが無い!!!クロスした腕が顔面にめり込む!!
バッググン!!っと凄まじい音が辺り一面に広がると同時に猿が地面に前のめりで倒れようとしている!!!
猿は両手を地面につき、なんとか倒れないように踏ん張っている!だが、脳震盪を起こしているのか、直ぐに動こうとしない!
斧を投げた女将は、全力疾走で猿に向かって走り出していた、猿の近くにくると再度飛び上がる
「合わせなぁ!!!」「応ともさぁ!!!」
猿に当たった後、余りの衝撃で空中に飛ばされた斧を、女将は片手で掴み上半身の力だけで振り下ろす!斧側の方で的確に相手の肘目掛けて大斧が振り下ろされる!!
ガァン、バキィっと鉄でも叩いたのかの様な音がしたと思ったらすぐに砕ける音が響き渡る!そして、その直後に斧の刃の反対側についている槌の部分にベテランさんが持っている槌を振り下ろし再度、一撃を上乗せする!!
槌が振り下ろされると!カァァアァァンっと音が響いた時だった!
今まで一度も切ることが出来なかった猿の皮膚を!毛を裂き!肘ごと切断することに成功した!!
余りの衝撃で切断された腕は凄い勢いで飛んでいく!それを見たティーチャーがすかさず指示を出す!あの腕を回収して解析班に渡せと!
声にならない程の悲鳴を上げながら二人から離れる猿
一連の流れで息が荒くなるお二方
猿が逃げないように周りを囲み始める騎士達
その場にいる全員がこれは押し切れる!っと思っていた、二人は突然連携を止めて敵の動きに警戒している
二人がどうして、止めを刺しに行かないのか?警戒しているのだ、敵の切り札を過去に幾度となく幾度となく見てきた二人だからこそ、今踏み込めば死ぬ恐れがあると知っているのだ。
全員が固唾をのんでいると猿に動きが!猿が先に動いた!切り札のカードを切るのか!?全員がどんな攻撃が飛んでくるのか予想が出来ないので防御態勢を取り警戒をする!
脳裏に過るのが、大地に大きなクレーターを作った爆裂魔法、もしかしたら、こいつは切り札として一度くらいは依り代抜きで爆発を起こせるのでは?っと全員が警戒していた!
ティーチャーも当然それを警戒していたし、それ以外の攻撃方法も警戒していた、過去に起きた切り札がとてつもない一撃ばっかりだったからである
防御態勢を取っているが、一向に衝撃がこない…
「そうきたかぁ」「厄介極まるなぁ」
伝説の二人組から零れ出る言葉で何かが起こったのかは確実だった、何事かと注視すると、目の錯覚かと思った、一瞬理解が出来なかった
脳が誤解しているのでは?ありえない…
吹き飛ばしたはずの猿の腕が復元されている、完全に元通りになっている!厄介な毛もしっかりと再生されて復元されている!
復元されたのであれば、先ほどと同じ様に連撃で落とせばよいのでは?っと周りが全員、思っていたが
「逃げるよ!」「応!すまないがみんな!一時離脱する!」
伝説の二人組はあっさりと戦線から離脱するようにその場から離れようとする、それを察した騎士部隊が二人の後退を手助けするために全力で猿を攻撃し、注意を引き付ける
脱兎のごとく、一目散に走り抜ける女将とベテランさん!その二人の後を追って、どうして戦線離脱を選択したのか理由を聞いて来いと使いを出す。
女将とベテランさんが全力疾走で転送陣に駆け込む
転送先で二人が息も絶え絶えで、その場で仰向けで横になる。
「はぁはぁはぁ、筋肉は仕上がってもスタミナは落ちてるねぇ」
肩で息をしてる先輩の声は震えている、現役から退いていたのに、あそこまで動ける貴女が凄すぎますよ。
ダン!っと大地を叩く音がする
「くやしいねぇ!くやしいったらありゃしないよ!!私の大好きなあの子を!!!あの子を!!!傷つけやがった糞猿を殺せないのが!!!なんってくやしいんだい!!」
ダンダンダンっと何度も何度も大地を叩く音が聞こえる。振動が伝わってくるたび、貴女の苛立ちを感じる。悔しいが吾輩としては上々の結果だと思っている。
予想はしていた、どうして、もう戦場には出ないと言っていた先輩が奮起したのか。
団長の惨状を知ってしまったからだろう
団長と女将はとても仲が良い、よく姫も含めて三人でお酒を呑んでいる、三人で呑むのが今は一番楽しいと仰っていた、その友達が、娘の様に甘えてくる大事な大事な友達が、ずっとずっと、一生懸命に努力してきたあの子の努力を踏みにじった糞猿をこの手で制裁したかったのだと、予想はしていたよ、予想通りだったよ、貴女は誰よりも努力する人が大好きだから。
大粒の涙を流してるのか、お~いおいおいと泣いている声が聞こえるので視線を女将に向けると、いつの間にか旦那さんが女将のそばに居て、旦那さんの膝の上で泣いていた。
背中を丸くして、泣き叫んでいた。旦那は女将の頭を撫でながらも背中をさすってあげていた。…吾輩から見たら牧師が大きな牛を宥めているようにしか見えぬ…
その光景を見た、伝令係の若き騎士が声をどうかけたらいいのか悩んでいた。困った顔でこちらをチラチラと見るでない!
吾輩でもこれはどうしたらいいのか、何が正解なのか皆目見当がつかぬのである!!こんな光景初めてすぎてわからぬ!
「ょ、よろしいでしょうか?」遠目で見ていた騎士の者が踏み込んでくる、うむ、良い空気読みだ良きタイミングに吾輩に声をかけてくれた、これぞ渡りに船!
上半身をむくりと起き上がらせ、旦那さんに目配せをした後、先輩に内容を聞かれると、どやされるのがわかっているので、離れた場所で説明するために若手の騎士を連れていく。
少し離れた場所で先の状況の説明をする
女将は確実に敵を殲滅するつもりであったが、吾輩は無理だと判断していた、可能であれば首を落とすつもりであった、だが、敵の切り札が解らぬ以上、下手を打てばあの場にいる全員が吹き飛び全滅する可能性があったので、踏み込めなかった。
「首を落としてもですか?」お主、過去の戦歴や戦況を教えてもらっていないのであるか?勉強しておらんな?ティーチャーめ、今度捕まえて、教えるように小言を言わねばならんな。
話が長くなると悟り、甲冑の兜を脱ぎ床に置き、過去の経緯を軽く説明してやることに、長話になるので床によっこいしょっと言いながら腰を下ろす、吾輩の動きにならって若き騎士も腰を下げるが蹲踞の姿勢でなくても、大地に直接座れば良かろうに、礼儀正しいやつだな。
ある二足歩行を仕留めた時の話だ、敵の首を落として勝どきを上げているときに、首を掲げているやつの両足を死んだはずの二足歩行が急に動き掴んだと思ったら一瞬で胴体が膨れ上がって大爆発をおこしたのだ。
威力は先ほどのクレーターを遥かに超える大穴を開ける程の爆発、そいつも同じ魔力タンク型で依り代さえあれば、先の敵と同等の事は軽くやってのける型でな、それのせいで大惨事が起きたことがある。
その光景を女将と吾輩は見ていたからな、師匠が間に入って助けてくれなかったら吾輩たちも無事ではない、その恐怖が未だにこびり付いていてな、敵の切り札が判明するまでは迂闊に止めを刺したくないのだ。出来るのであれば一撃離脱が正解だ。
吾輩の過去の体験を聞いた騎士の若いのは顔が青ざめている、
っでだ、その過去の経験を知っているからこそ、首を落とせなかったていうのもあるのであるが、あの体勢から首を落とそうにも首を固定出来ていなかったので落とせそうにもなかったのである。
っであればだ、まだ腕であれば大地に固定できる位置にあったのでな、それを叩き落として連携で砕く!上手くいけば腕を落とせるとも思ってな、アヤツの長い腕を片方でも落とすことが出来れば、今後かなり有利に戦況を進めれるとの判断だ。
腕を落として、敵が焦りを感じ、切り札を切って防ぎきれればこちらの完勝!っとなるはずであった、あと少しくらいは女将も動けると吾輩も思っていたのであるが
予想外過ぎてな、まさかの再生型だ。
女将と一番相性の悪いタイプであってな。
女将の体を見てわかる通り耐久力が無くてな、その代わり、歴代最強と謡っても誰も文句を言う人が現れぬくらいの瞬間火力の持ち主でな恐らく、先ほどの一連の流れであれば、あともう一度くらいは無理をすれば動けたはずであるが、やはり歳には勝てぬさ、体力が物凄く落ちているのである、筋力は現役と大きな変化が無かったのが驚愕に値するのではあるが。
なので、悔しくて引きたくないと女将は思っていたであろうが、流石は、吾輩の先輩である女将である伊達に長い事戦場にいたわけではない、引き際を心得ている、吾輩も引いた方が良いと判断していたのでな。
それに、手柄は十二分に立てたから吾輩としては此度の出撃は良しとしている、相手を落としきれなかったのは致し方ないのであるが、先に繋がる結果を残せたのである。
一つが、相手の切り札が判明した
二つが、相手の細胞を入手したので、解析班の仕事が進む
これ以上ない成果であり、あの糞猿に終止符を打つ手立ての算段が生まれると手ごたえを吾輩は感じているのである。
「ぁ、あの、後学の為に、その二つの詳しい説明をお聞きしてもよろしいでしょうか?」っむ、察しが悪いというか、しょうがないのであるなぁ、若手を育てることは間違いないのであるが、まぁ、説明している間くらい激昂した猿の相手をティーチャー達で耐えれるであろう、切り札も再生型と判明すれば対処の仕方なぞ造作もないのである。であれば、多少のロスタイムくらいわけもないのである。
若手にわかりやすく説明をしてやることに
再生型の特徴は、
第一に、耐久力が群を抜いて高い。
己が内に、内蔵してある魔力を体力や傷の回復に、全力で回すので傷つけても傷つけても痛みを感じる前に回復するので粘り強く、敵の戦法だと、こちら側がスタミナ切れで隙を見せた瞬間に強烈な一撃を放つことが多いのである。
ああ、成程、それであの猿は執拗に一人の敵と判断したやつに固執するのであるか、確実に一人一人殺すために、固執した相手のスタミナを減らし続けダウンさせるために、
己の手の内をしっかりと理解している知恵ある者の動きであるな、厄介極まれりである。
なので、再生型と対峙するときのセオリーであるが、徹底的に相手の魔力切れを狙うか、敵が回復する以上の攻撃を当て続けて回復量を上回る攻撃によって殺しきるしかないのである、今までの回復型だと、総じて近距離肉弾戦特化タイプで己の剛力を頼りに突っ込んでくる馬鹿しかいなかったのである。
陣形を組んで、交代制で対処取れば別段厄介な特性ではないのである。回復魔力も直ぐに底をつくのである。
それがまさかまさかの、魔力タンク型に、防御力特化型が複合して尚且つ、切り札が回復だとは想像をはるかに超えたタイプが出てきたのである。
今までここまで、厄介な性質を複合させてきた敵が現れたことが、いや、あることはあるのであるな、その度、こちらも多大な被害が出ているであるな…
何が厄介なのかというとであるが、まず、魔力総量が、あの相当な魔力を消費する爆裂魔法を連発出来る無尽蔵と見紛うレベルのタンク量に、
あの爆裂魔法を近距離で受けても自身がダメージを負わない為の豪質で尚且つ衝撃を吸収する毛皮。
それだけじゃなく腕を再生させるほどの急速回復が実現可能な出鱈目な魔力量とそれを制御する能力。
「では、なぜアヤツは指を再生させなかったのですか?」
それは簡潔にいうとな、単純に手の内を見せたくなかっただけであろう。
指が多少なくても拳は握れるのでな、杖を持つのも片方の手があれば問題はない、それよりも、爆裂を放ち殲滅を優先したのであろう、得物を奪われる愚を犯すなんて思っても居なかったのであろう、挙句の果てに、再生させようにも敵が周りに大量に居て目撃されたくなかったと判断したのであろうな。
「・・・敵って」
わかっておる、今まで低脳だと嘲笑っていたのであろう?
「・・・はい」
お主もしかして人型と対峙するのは此度が初か?
「・・・恐れながら新兵でありまして、まさか、あそこまで・・・」
うむ、お主を伝令に出したティーチャーの判断は正しいのである。初めて人型と対峙するのであれば、まずは「見」が必然である。此度の戦いは先輩達に任せて自分だったらどのように立ち回るか、戦術としてどのように采配しているのか大いに学ぶがよいぞ、後学に備えるが良い良いっである。
「超長期戦を確定したので、引き下がったという事ですね」
うむ、あんなのをいくら傷つけても何処で魔力タンクが尽きるのかわからぬのでな、それを待っていては女将のスタミナが持たないのが必定である。
であれば何処かで綻びが生まれて、死の危険性が上がるのである、切り札が回復だとわかっていても、敵の一撃をまともに貰ってしまったら死は免れない、女将や吾輩と言えどな、即死は流石に団長でも匙を投げるのである。まぁ、団長が女将の死を知ったら激昂して、大量の爆弾でも持って自爆しに特攻しかねないので、絶対にそのような事はさせるわけにはいかぬのでな。
ガハハっと冗談をいって少し場を和ませようとするが失敗である「・・・」若き騎士も苦笑いで団長であればやりそうだと思っているのである。
次に、解析班から敵の細胞をもっと欲しいという催促を受けていたのでな、吾輩としては何処でも良いので部位を採取できれば重畳と考えていたのでな、
女将の性格を考えれば一撃で敵を殺せれる個所を狙えるのであれば狙うし、今後の為に敵の戦力を削ぎ落すのが出来るのであればする!何を優先的に攻めればいいのか、歴戦の経験で瞬時に判断される直感タイプの人だからな、アレと呼吸を合わせて連撃を行うのは至難の業であるぞ?
「・・・それはもう、戦慄でした、あのスピードで全ての攻撃に意味があって、相手の動きに即座に反応して相方がして欲しい動きを完ぺきに阿吽の呼吸で、タイミングも神がかっていて戦いの神がいるなんて・・・あれが伝説の!?と名に違わぬ素晴らしき連撃でした。」
目をキラキラと輝かせおってからに…憧れか、若くて未熟だからこそ己が想い描く理想がある、その理想に近い動きをするものが目の前に現れでもしようものなら自然と憧れるものである、吾輩だって若輩者の時は師匠の動きを見て戦慄し憧れ、教えを乞うたものである。
「・・・みっともないとこを見せたねぇ」
声がしたので後ろを振り返ると、女将が目を真っ赤にしながら、少し恥ずかしそうに頬を赤らめているのである、たまに、乙女な部分が滲み出るので、ぁぁ、こいつはそういえば、雌だったなと思うのである・・・・
ッゴ
失礼な事を考えてるのがばれたのか、唐突に吾輩の脳天に拳が突き刺さるのである、衝撃がお尻まで抜ける程の重みである・・・兜を脱がなければよかったのであるぅ…
「ったく!若い子に変なことを吹き込んでいたんじゃないだろうね?」
女将の睨みに若き騎士が震えているのである、殺気が漏れているであるぞー?若き騎士が卒倒する前に猛き気配を治めるのである。
「まぁまぁそんなに殺気立たないの恥ずかしいからって周りを威圧しないの」っと宥める旦那・・・この光景は獰猛な闘牛を諫める飼育員さん!?
「・・・」照れた顔でムスっとしているだとぉ!?・・・飼育員さん凄いのである!小言を言おうと思っていたが、尊敬の念しか出てこないのである…
「こんな場所で座って長話もなんだし、ほら立ちな!向こうで飯でも食べながら話そうじゃないか!」お腹をさすっているとぐおるるるっと女将の中にいる飢えた獣が咆哮を上げている
「相変わらず、燃費の悪さですね先輩」立ち上がって、床に座っている若い騎士に手を差し伸べ立ち上がらせる…ん?男にしては手が小さいような、そういえば、声も高かったような、声変わりはしている年齢であると思うが「あんた、また戦乙女に手をだして石を投げられても知らないよ、ほんっとに」女将が呆れた顔をしている・・・・
・・・・蹲踞の姿勢、地面にお尻をつけて座るのはお行儀が悪い、声が高い、よくよく見ると大柄ではない・・・これは数え役満であるな、吾輩の失態である。お化粧してない乙女で甲冑を着ていてはわかりにくいのであるよぉ・・・
「これで手を出す判定されてしまうのであれば、俺は嫁さんに刺されるは!」っと軽く口答えをすると「・・・」威圧がこもった笑顔…ぁ、これ、色々と吾輩のやらかしを知ってる顔であるな、叱られる前に逃げよう
「では!吾輩はこれにて!」物理的に逃げようとしたら甲冑の襟を掴まれ「あんたには一度、説教をしないといけないっておもってたところだったんだよねぇ!!」怒気が伝わってくるのである、吾輩の鎧がメキメキとひしゃげる音がするのである、工匠に直してもらわないといけない予感がするのであるぅ・・・
吾輩の襟元を尋常じゃない握力で握られながらズルズルと炊き出しの有る方向へと引きずっていくのである、些細な抵抗も空しくあの剛力には無意味である。吾輩の鎧と体重あわせると軽く100キロ超えているのであるが・・・
「ほれ!アンタもおいで!まだまだ、聞きたいことがあるんだろ?」若き騎士を手招きしているのである、吾輩の失態を後輩に見せたくないのであるぅ・・・
「ぇっとでも、伝令が」転移陣を指さして行かないとっと真面目な返事が返ってくるのであるが、貴重な話を聞けるチャンスに付いていきたいと顔と全身が物語っているのである、どうしてかって?口角があがって、足がソワソワとしているのである。
「多少、遅れたってかまやしないよ!坊だってあれくらいの相手くらいなら2時間くらいノンストップで相手取れるさ!かまやしないさ!ほれついといで!」
女将の豪快な笑顔に屈託のない笑顔ではいっと元気に返事をしてついてくる若き騎士…
吾輩も観念して、お説教を受けるとするのである、旦那がいれば多少は宥めてくれるはずであるの、、だ、、が?あれ?吾輩の救世主は何処に?
「旦那様は娘のとこの手伝いに走っていったよ」
・・・・先輩は俺の思考を読むの得意ですよね、そりゃ、長い長い付き合いですからね、お互いの考えていることなんてすぐにわかってしまうものよな!
…腹を決めてお説教を受けるのである、受けるが反省すると思うなよ!!!っと些細に感情だけでも抵抗しながら連行されていくのであった。
この二人を見て、戦士になる事を憧れたものも多いだろう
力こそすべて、力さえあれば全てを捻じ伏せる事が出来る、究極の肉体美
技こそすべて、全ての接近戦に使用される武器を完全に扱うことが出来る、洗練された動きは周りを魅了する美しさ
完成された肉体に、完熟された技量、その二つが揃うとき全てが終わると言わしめた伝説の二人組
数多くの戦果を上げ、数多くの武勇伝を残し、倒した敵の数は数え切れず、二人だけで倒した二足歩行の数も歴代TOP
この二人を育て上げた師匠も感無量!言う事無し!この大地に戦の神がいるとすれば最強は誰かと指さすはこの二人!!
究極完全!褒める言葉がこれ以上、見つからない!伝説のタッグが今ここに!!!!
二人が現場に現れると、全員が目を輝かせ絶叫した!二度と見ることが叶わないと思っていた伝説の戦士が戦に帰ってきた悦び!
過去に、この二人が戦う姿を見たものは、また、あの伝説が見れるのかという期待感!
この二人の闘争を見たことが無い、若い世代たちからすれば、先輩達から耳に胼胝ができるくらい、何度も伝え聞いたおとぎ話の降臨!
戦士であれば、この二人が戦場にいること自体が奇跡!熱狂せずにはいられない!
後方から凄い熱狂の声が聞こえてくることにティーチャーは振り向きたい一心であったが、戦場で目を背けるわけにはいかず、内心焦っていた。
聞こえてくる音に、気になるフレーズが山ほどあったからである。
焦りを感じさせずに、指揮をするが、敵の前で戦っている騎士達も後ろからの熱を感じ取っているのか、浮足立っている。
一人の騎士が浮足立っているのが敵にも伝わったのか、危険な一撃がその騎士に降りかかろうとした瞬間
「させないよ!!!」
大きな声と共に、大きな物体が上空を飛んでいき、猿に向かって真っすぐ飛んでいく、その塊がなんなのか?答えは一つ
「どおりゃぁ!!」
ガンっと重い重い鈍い音が辺り一面に広がる、大きな槌を持った全身甲冑の漢が後方から飛んでくる!着地と同時に猿に重い一撃をお見舞いする。
ベテランさんだ!鎧付きのベテランさんが飛んでくるなんて誰が想像できる?ベテランさん自身に後方から飛んでくるほどの脚力は持ち合わせていない!
だとすれば!いったいどうやって!?答えは!簡単!
ノッシノッシっとゆったりと参上!!あんな重さを投げれる人は地上に置いてこの人以外ありえない!!
「ほぉ、噂通りじゃないか!なんてかったいやつだろうねぇ!あの一撃を受け止めて平気な顔してるんだからねぇ」
伝説の戦士!剛腕の粉砕姫!我らの胃袋も剛腕で掴んで離さない!酒場の女将だぁ!!!!
「今の一撃が、片腕で塞がれるなんて、ちょっと予想外の硬さだなぁ…」
投げ飛ばされた力+重力落下エネルギー+俺の上半身の捻りが加わった一撃だぞ?鉄の壁くらいなら簡単に凹ませれる自信があったんだがなぁ…
「さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ!!!!どきなどきなどきな!!!巻き込んじまうぞ!!!」
成人男性よりも重たい武器を片手でブンブン振り回しながら猿に向かって駆けだしていく巨躯の肉体!!とてつもない重量なのに、軽々と上空へと飛び上がる!!
あのようなパワフルなエネルギーの集合体みたいな肉体が飛び掛かってくるのだ、いかな二足歩行の糞猿でも警戒し上空を見上げ、上空からくる一撃をいなすのか、避けるのか、受け止めるのか選択肢を取ろうとする、だが!その隙を見逃すような人じゃないのがベテランさん!
猿の足元からゴツンっと重い音がする、敵の動きを封じる為にベテランさんが敵の膝裏に強烈な一撃をお見舞いする!!
その衝撃で膝が曲がり、上半身が後方へと落ち体勢が崩れる、慌てるように両腕をクロスし、防御態勢を取る。
「受け止めれ切れるかねぇ!!!」
女将の重み+落下エネルギー+武器の重み+女将の剛力!!!
これの衝撃は足し算じゃねぇ!掛け算だぁ!!!1×1×1×1は!!1000倍だぁ!!
バゴン!!
人生で一度も聞いたことの無いような重い重い、大地が裂けたんじゃないかと思うくらいの音と共に、離れた距離まで伝わる地面の揺れ!?なんという威力!!なんという衝撃!!
あまにも聞いたことの無い鈍い音が耳を通り抜けた瞬間に、猿が雄たけびをあげ、女将の一撃を受けた両手で女将を跳ね飛ばす!
「おいおい、あたしをこんな軽々と吹き飛ばすのかい!硬いだけじゃないってことさぁねぇ!!!」
上空に吹き飛ばされた女将が驚いているが、我々も驚いている!今まで対峙してきて、あんな雄たけびをあげたことなんて一度も無かった!!
女将を跳ね飛ばした瞬間に生まれる隙をベテランさんが見逃すはずもなく、すかさず、敵の踵に向かって槌を地面にあるボールを打ち上げるようにぶつける!!
そう!踵には毛がない!つまり!全ての衝撃や斬撃を防いでいる諸悪の根源!天然の鎧がないのだ!
ゴンっと鈍く重い音が聞こえると同時に
あぎゃぁあああああああああああああああああ
衝撃!今まで痛みの声を上げたことの無い猿が痛みで叫んでいる!?この光景にこの場にいる全員がこの二人なら勝てると確信を得られた!!
女将が地面に着地すると、直ぐに大地を蹴り、手に持っている大斧を全身の力を使って投げる!!!
ゴオウ!と人生で一度も聞いたことが無いような轟音と共に飛んでいく斧を避けれないと察した猿が再度、両腕をクロスさせ衝撃に備える
どうやら、先のベテランさんの一撃によって、足の機能が低下しており、跳躍できない!
斧が猿に激突する瞬間に、対角線上にいたベテランさんも斧が飛んでくることに対して予測していたのか備えていた!綺麗に腰を回転させ、斧が当たる瞬間に合わせて猿の後ろから頭を槌でぶん殴る!!
斧の刃は両手で防がれてしまったが!斧が発生させた前からの衝撃!ベテランさんからの渾身の腰の回転を聞かせた後ろからの後頭部への一撃!前後の衝撃に如何に鋼鉄の守りを持っていると言えど!クロスした腕が前からの衝撃を吸収しようにも!後ろからの一撃でおろそかになる!そして!顔面には守りが無い!!!クロスした腕が顔面にめり込む!!
バッググン!!っと凄まじい音が辺り一面に広がると同時に猿が地面に前のめりで倒れようとしている!!!
猿は両手を地面につき、なんとか倒れないように踏ん張っている!だが、脳震盪を起こしているのか、直ぐに動こうとしない!
斧を投げた女将は、全力疾走で猿に向かって走り出していた、猿の近くにくると再度飛び上がる
「合わせなぁ!!!」「応ともさぁ!!!」
猿に当たった後、余りの衝撃で空中に飛ばされた斧を、女将は片手で掴み上半身の力だけで振り下ろす!斧側の方で的確に相手の肘目掛けて大斧が振り下ろされる!!
ガァン、バキィっと鉄でも叩いたのかの様な音がしたと思ったらすぐに砕ける音が響き渡る!そして、その直後に斧の刃の反対側についている槌の部分にベテランさんが持っている槌を振り下ろし再度、一撃を上乗せする!!
槌が振り下ろされると!カァァアァァンっと音が響いた時だった!
今まで一度も切ることが出来なかった猿の皮膚を!毛を裂き!肘ごと切断することに成功した!!
余りの衝撃で切断された腕は凄い勢いで飛んでいく!それを見たティーチャーがすかさず指示を出す!あの腕を回収して解析班に渡せと!
声にならない程の悲鳴を上げながら二人から離れる猿
一連の流れで息が荒くなるお二方
猿が逃げないように周りを囲み始める騎士達
その場にいる全員がこれは押し切れる!っと思っていた、二人は突然連携を止めて敵の動きに警戒している
二人がどうして、止めを刺しに行かないのか?警戒しているのだ、敵の切り札を過去に幾度となく幾度となく見てきた二人だからこそ、今踏み込めば死ぬ恐れがあると知っているのだ。
全員が固唾をのんでいると猿に動きが!猿が先に動いた!切り札のカードを切るのか!?全員がどんな攻撃が飛んでくるのか予想が出来ないので防御態勢を取り警戒をする!
脳裏に過るのが、大地に大きなクレーターを作った爆裂魔法、もしかしたら、こいつは切り札として一度くらいは依り代抜きで爆発を起こせるのでは?っと全員が警戒していた!
ティーチャーも当然それを警戒していたし、それ以外の攻撃方法も警戒していた、過去に起きた切り札がとてつもない一撃ばっかりだったからである
防御態勢を取っているが、一向に衝撃がこない…
「そうきたかぁ」「厄介極まるなぁ」
伝説の二人組から零れ出る言葉で何かが起こったのかは確実だった、何事かと注視すると、目の錯覚かと思った、一瞬理解が出来なかった
脳が誤解しているのでは?ありえない…
吹き飛ばしたはずの猿の腕が復元されている、完全に元通りになっている!厄介な毛もしっかりと再生されて復元されている!
復元されたのであれば、先ほどと同じ様に連撃で落とせばよいのでは?っと周りが全員、思っていたが
「逃げるよ!」「応!すまないがみんな!一時離脱する!」
伝説の二人組はあっさりと戦線から離脱するようにその場から離れようとする、それを察した騎士部隊が二人の後退を手助けするために全力で猿を攻撃し、注意を引き付ける
脱兎のごとく、一目散に走り抜ける女将とベテランさん!その二人の後を追って、どうして戦線離脱を選択したのか理由を聞いて来いと使いを出す。
女将とベテランさんが全力疾走で転送陣に駆け込む
転送先で二人が息も絶え絶えで、その場で仰向けで横になる。
「はぁはぁはぁ、筋肉は仕上がってもスタミナは落ちてるねぇ」
肩で息をしてる先輩の声は震えている、現役から退いていたのに、あそこまで動ける貴女が凄すぎますよ。
ダン!っと大地を叩く音がする
「くやしいねぇ!くやしいったらありゃしないよ!!私の大好きなあの子を!!!あの子を!!!傷つけやがった糞猿を殺せないのが!!!なんってくやしいんだい!!」
ダンダンダンっと何度も何度も大地を叩く音が聞こえる。振動が伝わってくるたび、貴女の苛立ちを感じる。悔しいが吾輩としては上々の結果だと思っている。
予想はしていた、どうして、もう戦場には出ないと言っていた先輩が奮起したのか。
団長の惨状を知ってしまったからだろう
団長と女将はとても仲が良い、よく姫も含めて三人でお酒を呑んでいる、三人で呑むのが今は一番楽しいと仰っていた、その友達が、娘の様に甘えてくる大事な大事な友達が、ずっとずっと、一生懸命に努力してきたあの子の努力を踏みにじった糞猿をこの手で制裁したかったのだと、予想はしていたよ、予想通りだったよ、貴女は誰よりも努力する人が大好きだから。
大粒の涙を流してるのか、お~いおいおいと泣いている声が聞こえるので視線を女将に向けると、いつの間にか旦那さんが女将のそばに居て、旦那さんの膝の上で泣いていた。
背中を丸くして、泣き叫んでいた。旦那は女将の頭を撫でながらも背中をさすってあげていた。…吾輩から見たら牧師が大きな牛を宥めているようにしか見えぬ…
その光景を見た、伝令係の若き騎士が声をどうかけたらいいのか悩んでいた。困った顔でこちらをチラチラと見るでない!
吾輩でもこれはどうしたらいいのか、何が正解なのか皆目見当がつかぬのである!!こんな光景初めてすぎてわからぬ!
「ょ、よろしいでしょうか?」遠目で見ていた騎士の者が踏み込んでくる、うむ、良い空気読みだ良きタイミングに吾輩に声をかけてくれた、これぞ渡りに船!
上半身をむくりと起き上がらせ、旦那さんに目配せをした後、先輩に内容を聞かれると、どやされるのがわかっているので、離れた場所で説明するために若手の騎士を連れていく。
少し離れた場所で先の状況の説明をする
女将は確実に敵を殲滅するつもりであったが、吾輩は無理だと判断していた、可能であれば首を落とすつもりであった、だが、敵の切り札が解らぬ以上、下手を打てばあの場にいる全員が吹き飛び全滅する可能性があったので、踏み込めなかった。
「首を落としてもですか?」お主、過去の戦歴や戦況を教えてもらっていないのであるか?勉強しておらんな?ティーチャーめ、今度捕まえて、教えるように小言を言わねばならんな。
話が長くなると悟り、甲冑の兜を脱ぎ床に置き、過去の経緯を軽く説明してやることに、長話になるので床によっこいしょっと言いながら腰を下ろす、吾輩の動きにならって若き騎士も腰を下げるが蹲踞の姿勢でなくても、大地に直接座れば良かろうに、礼儀正しいやつだな。
ある二足歩行を仕留めた時の話だ、敵の首を落として勝どきを上げているときに、首を掲げているやつの両足を死んだはずの二足歩行が急に動き掴んだと思ったら一瞬で胴体が膨れ上がって大爆発をおこしたのだ。
威力は先ほどのクレーターを遥かに超える大穴を開ける程の爆発、そいつも同じ魔力タンク型で依り代さえあれば、先の敵と同等の事は軽くやってのける型でな、それのせいで大惨事が起きたことがある。
その光景を女将と吾輩は見ていたからな、師匠が間に入って助けてくれなかったら吾輩たちも無事ではない、その恐怖が未だにこびり付いていてな、敵の切り札が判明するまでは迂闊に止めを刺したくないのだ。出来るのであれば一撃離脱が正解だ。
吾輩の過去の体験を聞いた騎士の若いのは顔が青ざめている、
っでだ、その過去の経験を知っているからこそ、首を落とせなかったていうのもあるのであるが、あの体勢から首を落とそうにも首を固定出来ていなかったので落とせそうにもなかったのである。
っであればだ、まだ腕であれば大地に固定できる位置にあったのでな、それを叩き落として連携で砕く!上手くいけば腕を落とせるとも思ってな、アヤツの長い腕を片方でも落とすことが出来れば、今後かなり有利に戦況を進めれるとの判断だ。
腕を落として、敵が焦りを感じ、切り札を切って防ぎきれればこちらの完勝!っとなるはずであった、あと少しくらいは女将も動けると吾輩も思っていたのであるが
予想外過ぎてな、まさかの再生型だ。
女将と一番相性の悪いタイプであってな。
女将の体を見てわかる通り耐久力が無くてな、その代わり、歴代最強と謡っても誰も文句を言う人が現れぬくらいの瞬間火力の持ち主でな恐らく、先ほどの一連の流れであれば、あともう一度くらいは無理をすれば動けたはずであるが、やはり歳には勝てぬさ、体力が物凄く落ちているのである、筋力は現役と大きな変化が無かったのが驚愕に値するのではあるが。
なので、悔しくて引きたくないと女将は思っていたであろうが、流石は、吾輩の先輩である女将である伊達に長い事戦場にいたわけではない、引き際を心得ている、吾輩も引いた方が良いと判断していたのでな。
それに、手柄は十二分に立てたから吾輩としては此度の出撃は良しとしている、相手を落としきれなかったのは致し方ないのであるが、先に繋がる結果を残せたのである。
一つが、相手の切り札が判明した
二つが、相手の細胞を入手したので、解析班の仕事が進む
これ以上ない成果であり、あの糞猿に終止符を打つ手立ての算段が生まれると手ごたえを吾輩は感じているのである。
「ぁ、あの、後学の為に、その二つの詳しい説明をお聞きしてもよろしいでしょうか?」っむ、察しが悪いというか、しょうがないのであるなぁ、若手を育てることは間違いないのであるが、まぁ、説明している間くらい激昂した猿の相手をティーチャー達で耐えれるであろう、切り札も再生型と判明すれば対処の仕方なぞ造作もないのである。であれば、多少のロスタイムくらいわけもないのである。
若手にわかりやすく説明をしてやることに
再生型の特徴は、
第一に、耐久力が群を抜いて高い。
己が内に、内蔵してある魔力を体力や傷の回復に、全力で回すので傷つけても傷つけても痛みを感じる前に回復するので粘り強く、敵の戦法だと、こちら側がスタミナ切れで隙を見せた瞬間に強烈な一撃を放つことが多いのである。
ああ、成程、それであの猿は執拗に一人の敵と判断したやつに固執するのであるか、確実に一人一人殺すために、固執した相手のスタミナを減らし続けダウンさせるために、
己の手の内をしっかりと理解している知恵ある者の動きであるな、厄介極まれりである。
なので、再生型と対峙するときのセオリーであるが、徹底的に相手の魔力切れを狙うか、敵が回復する以上の攻撃を当て続けて回復量を上回る攻撃によって殺しきるしかないのである、今までの回復型だと、総じて近距離肉弾戦特化タイプで己の剛力を頼りに突っ込んでくる馬鹿しかいなかったのである。
陣形を組んで、交代制で対処取れば別段厄介な特性ではないのである。回復魔力も直ぐに底をつくのである。
それがまさかまさかの、魔力タンク型に、防御力特化型が複合して尚且つ、切り札が回復だとは想像をはるかに超えたタイプが出てきたのである。
今までここまで、厄介な性質を複合させてきた敵が現れたことが、いや、あることはあるのであるな、その度、こちらも多大な被害が出ているであるな…
何が厄介なのかというとであるが、まず、魔力総量が、あの相当な魔力を消費する爆裂魔法を連発出来る無尽蔵と見紛うレベルのタンク量に、
あの爆裂魔法を近距離で受けても自身がダメージを負わない為の豪質で尚且つ衝撃を吸収する毛皮。
それだけじゃなく腕を再生させるほどの急速回復が実現可能な出鱈目な魔力量とそれを制御する能力。
「では、なぜアヤツは指を再生させなかったのですか?」
それは簡潔にいうとな、単純に手の内を見せたくなかっただけであろう。
指が多少なくても拳は握れるのでな、杖を持つのも片方の手があれば問題はない、それよりも、爆裂を放ち殲滅を優先したのであろう、得物を奪われる愚を犯すなんて思っても居なかったのであろう、挙句の果てに、再生させようにも敵が周りに大量に居て目撃されたくなかったと判断したのであろうな。
「・・・敵って」
わかっておる、今まで低脳だと嘲笑っていたのであろう?
「・・・はい」
お主もしかして人型と対峙するのは此度が初か?
「・・・恐れながら新兵でありまして、まさか、あそこまで・・・」
うむ、お主を伝令に出したティーチャーの判断は正しいのである。初めて人型と対峙するのであれば、まずは「見」が必然である。此度の戦いは先輩達に任せて自分だったらどのように立ち回るか、戦術としてどのように采配しているのか大いに学ぶがよいぞ、後学に備えるが良い良いっである。
「超長期戦を確定したので、引き下がったという事ですね」
うむ、あんなのをいくら傷つけても何処で魔力タンクが尽きるのかわからぬのでな、それを待っていては女将のスタミナが持たないのが必定である。
であれば何処かで綻びが生まれて、死の危険性が上がるのである、切り札が回復だとわかっていても、敵の一撃をまともに貰ってしまったら死は免れない、女将や吾輩と言えどな、即死は流石に団長でも匙を投げるのである。まぁ、団長が女将の死を知ったら激昂して、大量の爆弾でも持って自爆しに特攻しかねないので、絶対にそのような事はさせるわけにはいかぬのでな。
ガハハっと冗談をいって少し場を和ませようとするが失敗である「・・・」若き騎士も苦笑いで団長であればやりそうだと思っているのである。
次に、解析班から敵の細胞をもっと欲しいという催促を受けていたのでな、吾輩としては何処でも良いので部位を採取できれば重畳と考えていたのでな、
女将の性格を考えれば一撃で敵を殺せれる個所を狙えるのであれば狙うし、今後の為に敵の戦力を削ぎ落すのが出来るのであればする!何を優先的に攻めればいいのか、歴戦の経験で瞬時に判断される直感タイプの人だからな、アレと呼吸を合わせて連撃を行うのは至難の業であるぞ?
「・・・それはもう、戦慄でした、あのスピードで全ての攻撃に意味があって、相手の動きに即座に反応して相方がして欲しい動きを完ぺきに阿吽の呼吸で、タイミングも神がかっていて戦いの神がいるなんて・・・あれが伝説の!?と名に違わぬ素晴らしき連撃でした。」
目をキラキラと輝かせおってからに…憧れか、若くて未熟だからこそ己が想い描く理想がある、その理想に近い動きをするものが目の前に現れでもしようものなら自然と憧れるものである、吾輩だって若輩者の時は師匠の動きを見て戦慄し憧れ、教えを乞うたものである。
「・・・みっともないとこを見せたねぇ」
声がしたので後ろを振り返ると、女将が目を真っ赤にしながら、少し恥ずかしそうに頬を赤らめているのである、たまに、乙女な部分が滲み出るので、ぁぁ、こいつはそういえば、雌だったなと思うのである・・・・
ッゴ
失礼な事を考えてるのがばれたのか、唐突に吾輩の脳天に拳が突き刺さるのである、衝撃がお尻まで抜ける程の重みである・・・兜を脱がなければよかったのであるぅ…
「ったく!若い子に変なことを吹き込んでいたんじゃないだろうね?」
女将の睨みに若き騎士が震えているのである、殺気が漏れているであるぞー?若き騎士が卒倒する前に猛き気配を治めるのである。
「まぁまぁそんなに殺気立たないの恥ずかしいからって周りを威圧しないの」っと宥める旦那・・・この光景は獰猛な闘牛を諫める飼育員さん!?
「・・・」照れた顔でムスっとしているだとぉ!?・・・飼育員さん凄いのである!小言を言おうと思っていたが、尊敬の念しか出てこないのである…
「こんな場所で座って長話もなんだし、ほら立ちな!向こうで飯でも食べながら話そうじゃないか!」お腹をさすっているとぐおるるるっと女将の中にいる飢えた獣が咆哮を上げている
「相変わらず、燃費の悪さですね先輩」立ち上がって、床に座っている若い騎士に手を差し伸べ立ち上がらせる…ん?男にしては手が小さいような、そういえば、声も高かったような、声変わりはしている年齢であると思うが「あんた、また戦乙女に手をだして石を投げられても知らないよ、ほんっとに」女将が呆れた顔をしている・・・・
・・・・蹲踞の姿勢、地面にお尻をつけて座るのはお行儀が悪い、声が高い、よくよく見ると大柄ではない・・・これは数え役満であるな、吾輩の失態である。お化粧してない乙女で甲冑を着ていてはわかりにくいのであるよぉ・・・
「これで手を出す判定されてしまうのであれば、俺は嫁さんに刺されるは!」っと軽く口答えをすると「・・・」威圧がこもった笑顔…ぁ、これ、色々と吾輩のやらかしを知ってる顔であるな、叱られる前に逃げよう
「では!吾輩はこれにて!」物理的に逃げようとしたら甲冑の襟を掴まれ「あんたには一度、説教をしないといけないっておもってたところだったんだよねぇ!!」怒気が伝わってくるのである、吾輩の鎧がメキメキとひしゃげる音がするのである、工匠に直してもらわないといけない予感がするのであるぅ・・・
吾輩の襟元を尋常じゃない握力で握られながらズルズルと炊き出しの有る方向へと引きずっていくのである、些細な抵抗も空しくあの剛力には無意味である。吾輩の鎧と体重あわせると軽く100キロ超えているのであるが・・・
「ほれ!アンタもおいで!まだまだ、聞きたいことがあるんだろ?」若き騎士を手招きしているのである、吾輩の失態を後輩に見せたくないのであるぅ・・・
「ぇっとでも、伝令が」転移陣を指さして行かないとっと真面目な返事が返ってくるのであるが、貴重な話を聞けるチャンスに付いていきたいと顔と全身が物語っているのである、どうしてかって?口角があがって、足がソワソワとしているのである。
「多少、遅れたってかまやしないよ!坊だってあれくらいの相手くらいなら2時間くらいノンストップで相手取れるさ!かまやしないさ!ほれついといで!」
女将の豪快な笑顔に屈託のない笑顔ではいっと元気に返事をしてついてくる若き騎士…
吾輩も観念して、お説教を受けるとするのである、旦那がいれば多少は宥めてくれるはずであるの、、だ、、が?あれ?吾輩の救世主は何処に?
「旦那様は娘のとこの手伝いに走っていったよ」
・・・・先輩は俺の思考を読むの得意ですよね、そりゃ、長い長い付き合いですからね、お互いの考えていることなんてすぐにわかってしまうものよな!
…腹を決めてお説教を受けるのである、受けるが反省すると思うなよ!!!っと些細に感情だけでも抵抗しながら連行されていくのであった。
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