君の蒼に溺れたい

しろみ

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風邪引いた話

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 彼はローションを搦めた指で、後孔をゆっくり撫で回し、中指を沈めていく。ぐちゅうと空気の混じる不快な水音と指を入れられた圧迫感に、思わず息を詰めた。

「っ、れお……」
「なぁにイリヤ」

彼は此方を向かず、中指を根元まで沈めて中をゆっくり掻き回した。腹側を押されて出し入れされることで1番感じるところを指で引っ掻かれ、思わず身体を震わせ背を弓なりにしてしまう。

「ンッ……!!」
「ここ気持ちいいんだ?」
「ん、んッ!だめ、きもち……!」
「前の時、ここ自分で弄って気持ちよくなってたんでしょ、俺の目の前で……ねぇ」
「あ……ッ、や、やだぁ……いわないで……!」
「だって事実でしょ?かわいいね……」
「っ、ごめ、なさい……やだぁ……」
「嫌じゃないでしょ……?自分でここ弄って、俺のものに自分のくっつけて腰振ってたじゃん……淫乱……」
「ッ!」
「あは……俺もしてあげよっかぁ?」

 カチャカチャ、と彼のベルトを外す音が響き、次の行動をつい期待してしまう。彼は片手でベルトを器用に取り、ズボンのボタンを取ってチャックを下ろした。彼の勃起する其れが下着を押し上げ、布越しに存在を主張していた。
 中に入っていた指を引き抜かれ、その指を自分の下着の中に入れて、其れを扱き始めたのだ。
空いた手で下着を避けて、見せつけてくる其れに思わず生唾を飲み込む。

「……すっげー見るじゃん、ねぇ」
「っ……」
「イリヤのと、俺のって大きさあんまり変わらないよね……イリヤの、おっきい」
「っ……うるさ……」
「んー?」

 ついぼそりと呟いてしまった言葉を、彼は聞いてないと言わんばかりに腰を押し付けてくる。ぬるつく其れが、此方の勃起する其れに当たり、まとめて扱かれることで普段と違う快楽を覚え、思わずシーツを強く掴んだ。

「ッ、ん……ぁ……っ、」
「きもち……、イリヤの、おちんぽ……あたって、きもちーよ……?」
「っなんか、アタシが、変なこと……してるみたい……」
「ん……?イリヤになら、何されてもいー……けど、今はやだ……」

はあはあと息を荒げ、吐息混じりに喘ぎを洩らしながら此方を見つめる彼の瞳は蕩けていた。あまりにも気持ちよさそうな反応をするから、つい此方も快感を覚えてしまう。

「は、ぁ……ねぇ、これ……すっごく、きもちー……、イリヤ……俺の目の前で、こんなことしてたんだ……」
「っ、なによ……文句でも、あんの……」
「ないよ……?」
「……、そ……」

彼は何度も何度もお互いのものをくっつけて合わせて扱くが、此方としては何か足りないような気がして、思わず彼の扱く手を握って止めてしまった。
彼は目を丸くして、何でと言わんばかりに此方を見つめる。

「……、ごめ……なさい……、」
「……どーしたの、」
「、何か、その……」
「気持ちよくなかった……?」
「……違うの、何か……」
「……何か?」
「、……何か、足りなくて……」
「そぉ?……何が足りないの?」

 彼はベッドの傍にあったティッシュを取り、ローションに塗れた指を清めた。
彼の腕を掴んでた手をゆっくり離し、ベッドに下ろすとその手に指を搦めてくる。優しく、撫でられるように組まれた手を持ち上げられて顔の横に落とされる。もう片方も同じようにされた。
彼の顔が近くなり、そこで漸く自分は身動きを取れないように手を塞がれたことに気づいた。
 思わず目を丸くして彼を見つめると、先程とは打って変わって目を細め、口角を吊り上げ意地の悪い顔をしていたのだった。
恐らく彼は、全部解っている。

「……ねぇ、何が足りないの?教えて……?」
「ッ……!」
「俺、馬鹿だからわかんない」
「……あんたねぇ……、ほんとは解ってるでしょ?」
「何が?」
「……ッあぁもぉ……!」
「んー?そんなに怒らないでよ……だってわかんないもんほんとに」
「わかんない男がする顔じゃないのよニヤニヤしてほんと気持ち悪い……!」
「えぇ~~?そんなこと言うの?俺いっつもこんなんだよ?」
「……それはそうかもしれないけど、そんなだらしない顔こんな所でするかしらね普通」

 ひどい、なんて言いながら苦笑する彼の手から逃れようと少しばかり身を捩るが、全くと言っていいほどびくともしない。自分が元々非力なのもあるが彼の力も相当強く、全体重を掛けられ押し倒されたら本当に逃げられない。
両手を力強く握られ、逃れようとすると彼に腰を押し付けられ、身体を動かせば互いのモノが擦れ合うという状態で、彼に解答を強制されている。
 彼がとうとう痺れを切らして、腰をもぞもぞと動かしてきた。
もどかしい快楽を再度与えられ、息を荒げる彼が何度も唇を重ね合わせてくる。舌先を撫でられ、咥内を掻き回され、舌を軽く吸われる度に思わず此方の腰も揺れてしまう。
時折与えられる、下腹部への刺激に嬌声が洩れ、彼に可愛いと囁かれる度に身体が甘い痺れに襲われる。もっと、とつい彼に懇願してしまった途端、彼は両手を弛め、こう囁いたのだ。

「……もっと……何して欲しいの?」
「、っ……」
「ねぇ、さっきの答え……早く教えて、何が足りないの?……イリヤは俺に何して欲しいの?言って……」
「……、いれて……」
「どこに、何を挿れてほしいの……?」

 彼はまた、解ってるくせにこうやって誘導尋問を繰り返す。自分もそれをしたくてしょうがない筈なのに、どうしても此方に言わせたいようだ。
相変わらずの変態だと心の中で独り言ち、拘束の緩んだ右手を下腹部に移動させ、めいっぱい彼を誘うように、脚を広げた。

「……、礼央の、おちんちん……」
「……俺の、なぁに?」
「ここ、挿れて……?」

身体をゆっくり起こした彼の下腹部の其れの先を、先程指で散々苛められた自らの秘孔に押し付ける。
くちゅ、と水音が鳴り、先でぬるつく秘孔を優しく撫でる様子を彼は暫く眺めていた。

「……そんなに、見ないで……へんたい、」
「そりゃ見るよ、こんなことされたの生まれて初めて」
「……、うるさい……」
「そこまで欲しかったんだ、俺のが」
「それは……アンタでしょ?礼央」
「俺はずっとイリヤの中挿れたいって思ってたよ、でもちゃんと言ってもらわないと、俺だってさすがに本人の許可なく激しい運動させられないよ、病人でしょ」
「何が許可よ……最初からその気でしょ?」

 そう言って握っていた彼の其れをゆるゆると扱くと、シーツに両手を着き、わざとらしく顔を歪めるものだからつい面白くなってしまい、少し動きを早めて扱き、更に秘孔に押し付ける。

「ねぇ礼央……アタシのココ、挿れたい?挿れたそうね……そんな気持ちよさそうな顔して……人のこと散々煽ってた癖に触られるとそんなことになっちゃうのね……」
「ん、っ……きもち……イリヤ、」
「あはっ……すっごい固くなってる……♡」

彼は此方を上目遣いで見つめ、普段よりも少しばかり高い声で小さく喘いだ。その様子が、自らが彼を攻めているような気持ちになり、加虐心がふつふつと湧き上がる。
 扱く度に硬く、びくびくと震え熱を持ち、先走りを溢れさせる其れを焦らして彼の反応を伺っていると、突然低い声でこう呟いたのだった。

「……、早く……」
「なぁに?もうちょっと遊ばせなさいよ、礼央……?」
「やだ……無理……、イリヤだって欲しいくせに、何煽ってきてんの?そんなに俺を虐めて楽しかった?もう終わりだよ」
「っ……!」
「さっきからずっと俺のモノ欲しがってたくせに何してんの?イリヤはさ、女の子みたいに中突っ込んでめちゃくちゃに犯してやんないとイけない身体なんだから大人しくお強請りしてよ、ねぇ早く」
「っ、まって礼央……」

 彼は下腹部を扱いてた此方の手を乱暴に掴み、扱く対象を変える。彼の手と共に自分の其れを扱く羽目になってしまい、何度も何度も彼にされるがまま自分の其れを滅茶苦茶に犯されていた。
自分の手でしているのに、彼の手が覆い被さっている所為で、自らが与える刺激と全く違い、堪らず嬌声を上げる。
 其処から絶えず与えられる快楽により、後孔を中途半端に弄られていたことによって湧き起こっていた欲も堪えきれなくなり、思わず彼に声を上げて強請ってしまった。

「あ、あっもぉ、ゆるして、お願いだからァ、なか、なかください、あァっれお……ッ!れおの!れおのおちんちん……!はひゅ、ッ……はや、くぅ、ください……!なかいれてっ、あたしの、なかぁ……!おねが、します……ッ、」
「……最初からそう言えばいいのに」
「ごめ、なさ……!もぉしないからぁ……ッ!ゆるして、ゆるしてれお……っ……!」
「ねぇイリヤ……イリヤってさぁ、ほんと俺の思ってる以上のことしてくるよね……?わざとそうやって自分のプライドずたぼろにして、俺におねだりしてくるのほんと可愛いよ……、大好き……」

 彼は突然手を離し、後孔を無理矢理押し広げて自らの其れを捩じ込んだ。待ちわびていた其れを奥まで押し付けられる圧迫感に思わず涙が零れ落ちる。

「あ゙ぁ……ッ!」
「あーやば……締め付けえぐ……っ、中めちゃくちゃ熱い……、っ……、んッ……」
「やぁッ!まって!れおっやだ、だめ!やだァ……!あたしいっちゃ、いくぅ、いぐッ、いぐからァ……!」
「……俺の、そんなにきもちいい?」
「きもちぃ、きもちーからァ!れおのッ、もぉだめぇ♡もおやだァッ……!いくのっ、あたし、いぐぅ……んぅ、くぅッーーーーー!!♡」

 快楽を感じるある一点を何度も彼の其れで強く刺激されそのまま絶頂を迎えてしまう。
白濁を彼の服や自らの腹に飛ばしてしまうがそれも構わず彼は抽挿を繰り返す。
ぱちゅ、ぱちゅ、と肌のぶつかる音を朦朧とする意識の中で聴き、彼が苦しそうな表情を浮かべ腰を打ち付ける様子を、霞む視界の中、ぼんやりと眺めていた。
 大好き、愛してる、一生離さないと言った愛の言葉にもろくな返答ができず、絶えず与えられる快楽に身体が追いつかず、ただシーツに指を搦めて喉奥から声を漏らすことしかできなかった。

「っ、イリヤ……かわいい、ねぇ、可愛いよ……こっち見て、目、すっごくエロい……、」
「ァ……あぁ、ッ……や、ァ……♡も、やらぁ……、ッ、ゆりゅしてぇ……れお……ッ、も、らめにゃ……の……ッ♡も、あたしぃ……いけなぁ……」
「そんなこと言われたらイかせたくなるじゃん……また誘ってんの?可愛いねイリヤ……いっぱい、イこ……♡」
「ッ……ごめ、なしゃ……♡」
「上手く喋れてないよ……?上の口ゆるゆるなのに下すっごい締めてきてえっろいね、イリヤ……はぁ……ッ、すき……かわい……、愛してる……んッ……っ、いきそ、はぁ……、ッくぅ……!」

 彼は身体を強く抱き締め、頭を掴んで強引に唇を押し付けてくる。腰を何度も強く打ち付けられ、呼吸もままならない状態で彼が最奥に欲をぶちまける。意識が朦朧とする中、彼の背を力任せに握り締め、其れを受け容れた。
 意識が飛びそうな所で彼の其れがずるりと引き抜かれ、そのまま身体をベッドに沈める。
彼が自らのものをティッシュで清め、後孔から白濁を掻き出す様子をぼんやりと眺めていた。

「……イリヤ大丈夫?」
「、だい、じょ……ぶ、じゃ……ない……」
「ほんとだね……喉すっごい枯れてる……、ごめんね……俺我慢できなくて……」
「……、ばか」
「……ごめん」
「……そ、ゆーの、きらい……」
「ごめん……」

 息も声も絶え絶えに、彼に悪態を吐く。先程と打って変わって、眉根を下げて謝罪する彼の顔を見ているとつい全てを許してしまいそうになる。一つだけ、霞みゆく意識の中でもはっきりと聴こえていた言葉があったのだが、その事について、つい言葉を零してしまった。

「あたしが、ちゃんと……はんのう、できない、ときに……好きとか……いっぱい言うの……、なんで……」
「えっ……!?いつも言って欲しかったの?」

 彼はきょとんとして、処理する手を止めてこう言った。
 その発言の意味を理解するのに凡そ数秒掛かり、理解した途端、耳が急に熱くなった。

「……!?ちが……!」
「どういうこと!?」
「さっきの、ちがうの……!」
「……、好きだよイリヤ、」
「ッ!だから、ちがう……って、」
「大好きだよ、愛してる……」
「やだ!やめて……!」
「俺、イリヤのこと……一生離さない」
「ッ……!!」
「本当に大好き……可愛い、エッチなこと好きなところも、普段の強くて綺麗なところも、かわいく化粧した顔も、今の化粧してない顔も、……綺麗で澄んだ青い瞳も、全部好きだよ……本当に、愛してる……」

彼は白濁に塗れたティッシュをゴミ箱に放り込み、突然身体を重ねてくる。唇に触れるだけのキスを何度も落とし、赤く染まる耳や頬、首筋などあらゆる場所にも触れ、愛の言葉を囁いてくる。
 思わず羞恥で彼を突き放し、剥がされた掛け布団にくるまった。

「ほんとに……やめてってば……!恥ずかしい……」
「……そういうとこ、すっごくかわいーよ」
「うるさいばか……」
「……好きだよイリヤ」

 懲りずに愛の言葉を呟く彼が少しだけ、ほんの少しだけ可哀想だと思ってしまったから、気まぐれというか出来心というやつで、彼に小さく呟いた。

「アタシも……好きよ、礼央」
「あ、熱下がった?」
「今聞くのそれ!?」
「冗談だよ、ありがとう……大好き」





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