君の蒼に溺れたい

しろみ

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出会いの話

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「ん、んぅ……っ、く、ふぅ……ッ、」

 苦しそうに呻く恋人の声に、じゅる、ぐちゅ、と水音が混じった音が静かな室内に響き渡る。銀色の髪が上下に揺れ、時々此方を向く左の蒼眼は涙で潤み、とても淫靡だった。

「イリヤ……、かわい……俺のおちんぽ、えっちな顔して舐めてるの可愛い……」
「っ、ん……、あ、ぁぅ……ッ、んぐぅ……」

彼は依然苦しそうに声を上げ、涙を零して必死に咥内で僕の下腹部の其れに奉仕していた。ここまで苦しそうにしている理由は、彼が頭を持ち上げて息継ぎをしようとした途端に、その頭を性器側に押し戻しているからだ。
その時に苦しそうにする彼の顔が、とても可愛くてつい意地の悪いことをしてしまう。きっと後で滅茶苦茶に怒られそうだが。
頭を上げ、先を浅く咥えて、呼吸をしながら舌先で舐めようとした時、ゆっくりと彼の頭を下に押し戻す。

「ほらイリヤ……もっと、奥まで……咥えて……、そ、いい子……」
「っう、ぐ、んぅ、んん、ッ……うぁ…………っ、」

彼の喉奥を優しく先で刺激する度にそこをきゅうと締め上げ、それと同時に涙を零して、最低と言わんばかりに睨みつけてくるのだ。
 さすがに虐めすぎたと思い頭を離すと、彼の咥内から唾液と共にずるりと引き抜かれた其れが目の当たりになる。眉根を寄せて、睨み付ける彼の頭を左手で優しく撫でていると急にその腕を掴まれた。

「……ッ、アンタねぇ……」
「え?」
「死にそうになったわよ!喉苦しいし息できないし!さいってい!」
「えぇ~?」
「もう……ほんっと、アンタって見かけによらず意地悪よね……」
「イリヤが可愛いのがいけないんだよ」
「そんなの知らないわよ」
「だってほんとに可愛いんだもん、そんな顔して俺のモノ舐めてたらそりゃ虐めたくなるよ」
「いや、意味わかんないわよ」
「わかってよ、イリヤ」

彼が掴んだ左腕をそのままに、右の親指で彼の口の端から伝う唾液を拭った。それをひと舐めすると、少しだけ左腕を掴む力が弱まり、すると手放される。
 彼との距離を詰め、下腹部に手を伸ばすと、少しばかり硬くなった其れが手に触れた。

「ん、イリヤ……俺のおちんぽ、舐めてて気持ちよかった?」
「ッんなわけ……」
「そっか……此処、おっきくなってる」

彼の下腹部の其れの先に指を触れさせると、ぬめる液体が手に纏わり付いた。それを掻き混ぜるように、人差し指の先を使ってくるくる回すと次第に液体が溢れ出し、彼自身もびくびくと震え始めた。

「ねぇ、やだ、れお……ッ、それ、やぁ……、」
「やだ?」
「やだぁ……ッ、やなの……」
「やなの?ほんと?」
「ん、ッ、やだぁ……」
「嫌じゃないでしょ?」

 彼は僕の手の動きを目で追いながら、シーツに肘を着き爪を立て、股を広げて身体を仰け反らせていた。腰をもどかしく揺らしながら浅い呼吸を繰り返し、先程まで虐めていた胸の突起を硬くさせて、潤む瞳で此方を見てくるものだから、嫌がっているとは到底思えない。
寧ろ、もっとして欲しいと誘っているようだった。

「ねぇイリヤ」
「ッ、なに」
「誘ってる?俺のこと」
「……はぁ……?」
「こんなに腰揺らして、脚広げて……誘ってんでしょ?」
「へっ……!?そんなつもり……ない……」
「無意識?じゃあ他の男にもこんなことしてたの?いやいやって言って、そのくせ腰振っていやらしー顔して……イリヤってこういうこと好きな淫乱なんだね……」
「っ、ちが……そんなの、してない……!」
「まーどっちでもいいんだけど、イリヤが知らない男に抱かれてた事実なんて全部忘れさせてあげる、もう俺しか見えないようにしてあげるから……」

彼は首を振って僕の言ったことを否定するが、もうそんなことはどうでも良くなっていた。
 彼が拡げた股の間の秘孔がひくひくと蠢くのが目に入る。自らの人差し指と中指を唾液で濡らし、其処に挿入してゆっくりと出し入れする。腹側を指の腹で撫でているとある一点を見つけ、規則的に刺激を与えると、彼は面白いくらいにびくりと跳ね上がった。

「ッあぁ……!?」
「んー?ここ気持ちいい?」
「ひうぅッ、あぁ、ッ……あっ、だめ……だめぇ、やだぁッ、あぁんッ!」
「ねぇイリヤ、此処……俺の知らない他の男にいっぱい虐められた?」
「ッ、そんなの、おぼえてな……っあ゙ぁ!」
「覚えてるでしょ?言って」
「……ッ、ゆびで……いっぱい、さわられ……ッ……た……」
「どーやって?今から同じようにするから、詳しく言って」
「ッなか、いっぱい……ぐりぐり……って、おされ……た……っ、」
「そんなんじゃ分かんないけどまぁいいや」

彼はベッドに身体を沈め、襲い来る快楽にひたすら耐えていた。脚は広げたまま、腰をガクガクと震わせ、仰け反った体勢はそのままに甘い嬌声を絶えず上げ続けている。
彼の中に挿れた指を動かし続け、言葉で詰っていると、先程まで抵抗の意を見せていた彼の言葉が徐々に変わり始めたのだった。

「ッ……れお、れおっ、きもち、……ゆび……ッ、れおの……きもちーの……♡」
「……俺の、気持ちいい?」
「きもちーのっ……♡れお……もっと、もっとしてぇ……♡」
「……、どーしたの?イリヤ……」
「もっとぉ……!もっとしてぇ……♡れおッ、れお……♡こんなの、たりない……ッ、ねぇもっと……!」

彼は僕が挿入している指の腕を両手で引っ掴んで、指を最奥まで挿入する。自ら腕を動かし、当たる位置を調整し、腰を上下させながらもっとと強請る姿は扇情的で、思わず何も言えなくなってしまう。

「れおッ……はやく……おちんぽ……ほしーの……っ♡、はやくぅ……おちんぽ、ちょおだい……ッ♡、ねぇ、れおっ、はやくぅ……!あたしの……こと、おんなのこに……してぇ……♡」
「……、女の子、に……なりたいの?」
「……っあ、……ちが」
「ふふっ、そっか……分かったよ、」
「な、に……?」

 彼が嬌声混じりに強請った、女の子にして、という言葉に全ての辻褄が合った。
可愛い服を着て化粧をし、爪を綺麗に整えた姿、本名を嫌がる所やいろんな男に抱かれている所、胸を性感帯にした所、彼は『女の子』になりたかったようだ。
 そんな彼の手を振りほどき、孔から指を抜く。彼の双丘に指を押し付け、秘孔を拡げ、先程彼が強請っていた其れをゆっくり捩じ込んだ。

「イリヤのこと、女の子にしてあげる」
「っ……」
「……俺だけの、ね」

彼の細い腰を持ち、先程指で弄った一点に当たるように腰を動かす。めいっぱい押し込んでは抜きを一定のリズムで繰り返していると、彼は甲高い喘ぎ声を何度も上げ続けた。

「ッあ、ぁ、やだ、ぁぁ……!っあ、あ、あッ、あんっアンッ♡」
「ここ俺のおちんぽでトントンされるの気持ちいい?すっごい締め付けヨくなるの、可愛い……♡」
「やだっ、やだぁ……、それ、もぉやだ……!おかしく、なっちゃ、ぅ……あたし、おかしく、なっ、ちゃ……ッ♡」
「そんな可愛い声で鳴かないで、イリヤ可愛いよ、すっごく、可愛い……」

彼の膝をシーツに押し付け、絶えず腰を動かし続ける。身を捩って快楽に耐える彼の姿が可愛くて、思わず何度も可愛いと口に出してしまうが、彼はその言葉を言う度に何度も身体を震わせ、中を締め上げていた。

「やだ、かわい……って、いわな、でぇ……」
「いいじゃん可愛いんだから言わせてよ、それとも可愛いって言われるの、気持ちいーの?すっごい俺のおちんぽ、ぎゅうぎゅう締め付けて離さないの、えっちだねイリヤ……ほんと、世界一可愛いよ……」

彼は大粒の涙を零し、挿入された僕のモノを締め上げ、シーツを握って快楽に耐えている。勃ち上がる下腹部の其れからは絶えず透明の液体が零れ、腹を汚していた。
 彼に覆い被さり、硬くなった胸の突起を親指でぐりぐりと押し付けると、中を更に強く締め上げられ、持っていかれそうになる。

「はぁ……ッ、イリヤ……すっご……中、きもち……」
「ッまって……れおっ、やだっ……♡ちくびやだッ……!」
「やじゃないでしょ……、こんなに俺のおちんぽ締め付けてる……」
「もぉらめぇ、らめなのぉ……ッ!ちくび、もぉさわっちゃ、やぁあッ……ぁあ……ッいぐぅ……いく……ぅ、ッ、いっちゃうぅ……ッ、あたし、もぉいっちゃ……ッんんぅぅーーーーッ……!!」

彼は胸の突起を触られたことにより、刺激を与えられていない下腹部のモノから白濁を腹にぶちまけた。その時の強く閉じた瞳、涙をぼろぼろと零して唇を噛んで達した姿に思わず此方にも達しそうになる。

「はぁ……、イった?イリヤ……かわいーね……いっぱい出てる……、男の子のイき方しちゃったね……?」
「ッあぁ……っ、はぁ……、ハァ……ッ、ぁ……、んっ……♡」
「ねぇ俺のもイかせて?イリヤ……」

彼は呼吸を荒げ、胸を上下させる。すっかり萎えてしまった彼の其れは腹に横たわっていた。未だに中に入ったままの僕自身を先程と同じように出し入れすると、彼は嫌だやめてと泣き叫んでいた。
 元々、快楽に弱い上に1回達してしまった状態で絶えず刺激を与えられたことがないのか、有り得ないほど声を荒げ抵抗される。

「もぉやだれおッ……!ごめ、なさっ、ゆる、して……!こし、ふっちゃ、やだァっ……ゆるしてぇ……!」
「……何にも怒ってないし……悪いことしてないでしょ?どうして謝るの?わけ、わかんなくなってる?かわいーね……イリヤぁ……」

更に涙を零れさせ、シーツに爪を立てて顔を伏せてしまう彼の姿が加虐心を掻き立て、無理やり彼の腕を引っ張り掴んで、最奥に腰を打ち付けた。すると、虚ろな目を見開き閉じられない口からは絶えず唾液を零していた。
 許して、と懇願し続ける彼の姿がどうにも支配欲を掻き立てられ、この美麗な銀髪蒼眼の男を屈服させて自分の物にしたいといった感情が沸き起こる。
快楽に溺れて声を枯らして泣き叫ぶ声も、一目惚れした、涙で潤み独特な光を反射させる蒼眼も、シーツに散らばる緩く癖のついた長い銀髪も、触れたら傷がつきそうな滑らかで白い肌も、全て自分のものにしたい。
 そんな彼の鎖骨に歯を立てて噛み跡を残し、首筋に吸い付き痣を付ける。彼はびくびくと震え、更に中を締め上げる。耳許で何度も何度も愛の言葉を囁くが、彼は快楽に溶かされ、返答もせず中を締め付けるばかりだ。

「はぁ……好き、イリヤ、イリヤ……イリヤ……愛してるよ……、ずっと離さない、ずっと、俺のモノだから……イリヤ……」
「あ゙……ぁっ、は、あ……ぁ……ん、ぅ……ッ、」
「あ……ッ、……ん、っ、……待って、ほんとやば……」
「……ん、くぅ……んんぅッ……!んぅぅーーーーッ♡」

彼の最奥に何度も打ち付けていると絶頂を迎えそうになり、思わず喉奥から声が漏れてしまう。
自らも息を荒げ、滲む視界の中、ただひたすら絶頂に向かって腰を打ち付けた。

「ッん、っ、う、……っ、いきそ……、んッ、イリヤ……中、出すね……ッ、」
「ん、ぅっ……、くぅ、ッ、 ……あぁ、あッ、あ゙ぁあ……ッ♡」

絶頂を迎え、彼の体内に精を吐き出す。息を整え、引き抜こうとした際に目に入ったのは、腹の上で液体を零すすっかり萎えてしまった彼の陰茎と、半透明になった白濁液だった。途中、彼も絶頂を迎えたようで、ぐったりとシーツに全身を預けていた。
 ひとまず自らのものを引き抜き、白濁も丁寧に掻き出していると、彼が蚊の鳴くような声で小さく呟く。

「……、最低……」
「……何が?」
「もう……いろいろ……、しにそ……」
「イリヤが可愛いのがいけないんだよ、俺……生まれて初めて目以外に興奮したよ」
「……、なに……それ……褒めてないでしょ、」
「褒めてるよ、こんなに早くイけたのも初めて……ほんとイリヤ、俺にとってはすごく魅力的」
「そ……、まぁ……なんでも……いーわ、」

 彼は息を整え、近くにあったらしい枕に顔を埋める。白濁をぶちまけた彼の腹部をティッシュで清め、身体を綺麗にしたところで、隙間を見つけ、彼の真横に寝転がる。
彼が顔を埋めていた枕を退け、水分を含んで柔らかくなった唇に自らの唇を優しく重ねた。少し照れくさそうに目を細める彼の頭を優しく撫で、こう言ったのだった。

「ねぇ、俺と付き合わない?イリヤちゃん」

 彼は目を丸くして、その後、耐えきれず噴き出してしまったようで、そのまま声を上げて笑う。
そして、今更でしょと小さく呟き、僕の首に腕を回し、あの時の少し意地の悪い笑みで、こう返したのだった。

「いいわよ、付き合ってあげる……高槻礼央」






END

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