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第三話 再会と人気
思い出話
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以前、私は『シンくん』と久々の出会いを果たせた。
「慎之介、今日うち寄ってく?母さんも久しぶりに会いたいって言ってるんだけど・・・」
両親も仲良くて交流も適度にとっていた私達の家族は、慎之介が引っ越して以降、連絡をとっていなかった。そして、気がつけば電話番号が消えていたらしい。
「あぁ、今日は遠慮するよ。俺も帰って絵描きたいし」
「絵?」
覚えている。『シンくん』は、不器用で歌が好きな男の子だった。そんな男子が今では絵を描くなんて、私たちも大人になったものだな。そう思うと、ちょっと残念な感じが残る。
「どうかした?なんか暗いけど」
「あぁ、ごめん。ねぇ、今度大阪行くんだけど・・・」
私は、私が案内するのと一緒に思い出の場所に二人で行きたいと思った。しかし個人的に、慎之介に対して敵意をむき出しにしているこっちの真鳳と合わせると、事件が起きそうで誘おうにも誘えない。
「あいつもいるんだろ?」
やっぱり、彼には伝わってしまっていた。無言と首を縦に振って答えると、彼は気持ちを言い続ける。
「大丈夫だよ。俺は何も心配してないよ」
とても優しい彼は、唯一覚えているあの時の彼と同じに見えた。
「良かったらさ、来月の休みにさ。一緒に戻らない?」
私の言葉に頷いて、彼は笑ってくれた。やっぱり彼は、相変わらず優しい。・・・変わらずのはずなのに、私の心のどこかで違和感を感じていた。昔と何かが違うのか、分かる訳ないし分かりたくない気がした。
「ねぇ、私たちってさ。これからどうする?」
どうするかなんて、私のエゴでしかないのは理解しているけど、何年もの時間が私の体を動かしている気がした。
「どうするって?」
あの時のあの言葉は、『いつか必ず迎えに来る』だったっけ。小学生にしてはませてるな・・・。
「慎之介!」
「恵。・・・あぁ、紹介するよ『柏木 恵』。俺の彼女」
駅のオームに走ってきた他校の女子は、慎之介の彼女は、慎之介の彼女らしい。ポニーテールの彼女さんは、櫨波高校でもトップクラスの可愛さだった。
「初めまして。『柏木 恵』です。聞きましたよ、慎之介と幼馴染なんですよね」
話し方も上品で私とはまるで違うタイプだった。なんだかいい匂いがした。でも柔軟剤の匂いとはまた違うバニラ系の香水の香り。
「は、はい。慎之介が大阪にいる頃ですけど」
私は、自ら二人と距離を取りたかった。彼女さんと私の違いが私自身を苦しめるような気がした。いや、慎之介の彼女さんは、私以上の女子力の持ち主で、私が勝てる兆しなん存在しないだろう。
電車に乗って外の景色が見えた時、私はどこかでその光景に言葉を失った。東京という私にとっては未だに不思議でしかない世界は、夢をかなえることの難しさよりも先に、今の私自身のエゴを貫き通すことが、どれだけ無理難題だということを小さいことだと思わせた。
帰宅中、大阪の友人に久しぶりと連絡を入れた。
『久しぶり。今日電話できる?』
『久しぶりじゃん!できるよ!どした?』
大阪の親友、『佐藤 雫』。彼女とは大阪を出て以来、連絡をとれてなかった。
『泣きたいよ・・・』
『シンくん、だっけ?会えたん?』
家に帰りつき、自室で枕に泣きついた。
「・・・もしもし?」
『あんたねぇ、私の質問にくらい答えなさいよ』
雫だった。
「・・・ごめん」
彼女の声を聴くと、今の自分がみじめに感じる。短い期間で他人に紛れるために方言を抜いたのが間違いだったかもしれない、そう思った。
『やけに沈んでんなぁ。どないしたん?』
「うち、失恋した・・・」
ただでさえ、自分がみじめに感じるのに、小さいころに約束した彼は私のことを覚えていないようにも思えた。となれば自然に涙が出てくる。
『シンくん、彼女おったんや』
「うん、・・・別の学校のめっちゃ可愛い子。待っとったんがあほらしく思えたわ」
自分のことを話すと余計に涙が出てくる。
『落ちつきぃや。バイト、今日休みやんか。やから一日付き合おうたうから、電話やけど』
その日は、私が東京に来てからのことを全て雫に打ち明けた。来て早々のナンパや友人、慎之介のこと。転入して都会に馴染んでないのに、色々ありすぎた半月。まるでドラマや小説の中のヒロインになった気分だった。
目の前には懐かしい景色が広がっていた。私と慎之介の思い出の地で、私一人。半袖で冬の夕焼けを見ていた。ここが夢の世界であることは容易に分かった。半月しかたってないからかもしれない。ため息が漏れるのが分かる。
「鈴乃」
落ち着かせてくれる声。慎之介ではない、別の男子の声。
「真鳳」
「夕日、キレイだな」
隣に座る彼は、着ていた上着を私に羽織らせた。夢の中だから、きっとこの真鳳は私の理想でしかない。いや、そう信じて話すことを決心した。それが僅かな無言の間の答えだと、どこかで感じた。
「・・・私ね・・・」
真鳳が私を見ているのが、なんとなくわかる。
「・・・小学生のころ。ここで好きな人と約束したんだ」
「知ってる」
真鳳の視線が離れた。私の理想の彼は、やはり優しく私のそばにいてくれる。そう思うと、少し視野がぼやけた。
「・・・『迎えに来てくれる』って言ってた。・・・だから言ったの。『待ってる』って」
彼はただ、相槌を打っていた。その二文字が私の視野を悪くする。私の右手が温もり始め、感情があふれ出した。
「・・・なのに、その人はそのことを忘れて別の人の隣にいたの。・・・とっても可愛い子。中身はよく知らないけど、きっと素敵な子」
「・・・」
「私、バカでしょ?幼い頃の軽い気持ちの軽い約束に期待して。高校生になっても振り回されてる。
忘れたらいいっていうのは充分に分かってる。分かってはいるけど・・・」
真鳳の声がした。相槌じゃない疑問の言葉だったけど、今までと同じ文字数で。
「私にとっては大きな穴だったの。・・・あの約束が私には大事な支えだったの・・・」
「そっか、それは辛いな」
彼の温もりが右手から頭の上に移った。
『大丈夫。俺がずっとそばにいるよ』
そう言ってくれたらいいのに。感情が抑えられず、夕焼けを見続けることが出来なかった。
「鈴乃ぉ、もう起きひんと学校遅れるでぇ」
暗闇の中、母の声が頭の中に届いた。涙をぬぐって目の前に見えたのは七時四十五分を指す時計だった。
「ヤバッ、無理かも」
何度か同じことを言いなが準備をして家を出る。
「気ぃつけやぁ」
「分かってるぅ!」
エレベーターで下りきり、道路を全速力で駆け抜ける。曲がり角で不良に合って変なことに巻き込まれないように、その時だけ力を抜く。
「おい!鈴乃」
後ろから真鳳の声が聞こえた。振り返ろうとすると、もう横に来ていた。
「乗れ。走るだけじゃ、多分間に合わないぞ」
そう言って荷台の部分を叩く真鳳の言葉に、私は戸惑ってしまう。
「でも、公道で二人乗りは・・・」
「禁止だろ?知ってるよ。それじゃ遅刻するか?」
完全に遅刻。もしくは、明らかにアウトならゆっくり行くものの、今みたいにギリギリなら遅刻になるのがもったいない。そんな考えが頭の中でぐるぐる回る。
「心配すんな。安全に間に合わせてやるよ」
そう言われ、彼を信じた私は荷物をかごに入れ、彼の背中にくっついた。
彼の運転は意外にも安全だった。『時間がないから』と裏道を使い始めた時は驚いたが、誰の姿も見ることなく最寄りの駅のロータリーに着いた。
「大丈夫。時間あるだろ」
携帯で時計を見ると、電車の出発時間まで五分ほどあった。
「だろ?先に行ってろ。すぐ追いつく」
階段を上りながら考えてみれば、今日初めて彼の温もりを知った気がする。でも、夢の中の温もりと現実の温もりは、全く変わらなかった。不思議に思った。
「おはよう鈴乃。今日はギリギリだね」
「おはよう煌太、緋奈」
「おはよう。あれっ、大丈夫?なんかあったの?」
緋奈は、私の顔を見てそう言ってきた。
「何か、目赤いし、少し腫れてる気がする」
夢の涙が実現にも反映されたらしい。
「ちょっと悲しい夢を見たんだ」
私は馴れてきたこの人たちとの空間を崩したくはなかった。
「どんな夢だった?」
「うぅん、ごめん。忘れちゃった」
だから私は嘘をついた。
「悪い!間に合った」
駅内にアナウンスが響き終わる頃、真鳳が駆け込んできて、私以上にギリギリだった。切れている息が早すぎて、いったいどこに自転車を停めたのか気になった。
「何かあったか?」
「いや、俺のことを知ってるって人がいて・・・」
でも私はそれを聞けなかった、この場が崩れる気がしたから。
「何?どうかした?」
「ううん、夢、思い出そうとしてた」
今日は頭がうまく回ってくれない。降車して急に真鳳が衝撃発言をしてきたから、回っていない頭が完全に停止した。
「あ、俺さ。芸能活動やることにしたわ」
「「「えっ!?」」」
のんきな姿勢で歩いていた真鳳が後ろに飛び跳ねた。
「何だよ、急だな」
「そうだよ。ずっと『なんか、もう飽きた』って言ってたのに」
私は真鳳と出会ってそれほど時間が経ってないからか、何も言えずに頷くことしかできなかった。
「まあ、色々あったんだよ。そんで俺は今日からしばらく午前中だけ学校に行くから午後の色々は任せてもいい?」
真鳳の言葉に二人は見事に返事をそろえた。三人の仲の良さは、ともに居た時間が長くないことを忘れさせる。
「慎之介、今日うち寄ってく?母さんも久しぶりに会いたいって言ってるんだけど・・・」
両親も仲良くて交流も適度にとっていた私達の家族は、慎之介が引っ越して以降、連絡をとっていなかった。そして、気がつけば電話番号が消えていたらしい。
「あぁ、今日は遠慮するよ。俺も帰って絵描きたいし」
「絵?」
覚えている。『シンくん』は、不器用で歌が好きな男の子だった。そんな男子が今では絵を描くなんて、私たちも大人になったものだな。そう思うと、ちょっと残念な感じが残る。
「どうかした?なんか暗いけど」
「あぁ、ごめん。ねぇ、今度大阪行くんだけど・・・」
私は、私が案内するのと一緒に思い出の場所に二人で行きたいと思った。しかし個人的に、慎之介に対して敵意をむき出しにしているこっちの真鳳と合わせると、事件が起きそうで誘おうにも誘えない。
「あいつもいるんだろ?」
やっぱり、彼には伝わってしまっていた。無言と首を縦に振って答えると、彼は気持ちを言い続ける。
「大丈夫だよ。俺は何も心配してないよ」
とても優しい彼は、唯一覚えているあの時の彼と同じに見えた。
「良かったらさ、来月の休みにさ。一緒に戻らない?」
私の言葉に頷いて、彼は笑ってくれた。やっぱり彼は、相変わらず優しい。・・・変わらずのはずなのに、私の心のどこかで違和感を感じていた。昔と何かが違うのか、分かる訳ないし分かりたくない気がした。
「ねぇ、私たちってさ。これからどうする?」
どうするかなんて、私のエゴでしかないのは理解しているけど、何年もの時間が私の体を動かしている気がした。
「どうするって?」
あの時のあの言葉は、『いつか必ず迎えに来る』だったっけ。小学生にしてはませてるな・・・。
「慎之介!」
「恵。・・・あぁ、紹介するよ『柏木 恵』。俺の彼女」
駅のオームに走ってきた他校の女子は、慎之介の彼女は、慎之介の彼女らしい。ポニーテールの彼女さんは、櫨波高校でもトップクラスの可愛さだった。
「初めまして。『柏木 恵』です。聞きましたよ、慎之介と幼馴染なんですよね」
話し方も上品で私とはまるで違うタイプだった。なんだかいい匂いがした。でも柔軟剤の匂いとはまた違うバニラ系の香水の香り。
「は、はい。慎之介が大阪にいる頃ですけど」
私は、自ら二人と距離を取りたかった。彼女さんと私の違いが私自身を苦しめるような気がした。いや、慎之介の彼女さんは、私以上の女子力の持ち主で、私が勝てる兆しなん存在しないだろう。
電車に乗って外の景色が見えた時、私はどこかでその光景に言葉を失った。東京という私にとっては未だに不思議でしかない世界は、夢をかなえることの難しさよりも先に、今の私自身のエゴを貫き通すことが、どれだけ無理難題だということを小さいことだと思わせた。
帰宅中、大阪の友人に久しぶりと連絡を入れた。
『久しぶり。今日電話できる?』
『久しぶりじゃん!できるよ!どした?』
大阪の親友、『佐藤 雫』。彼女とは大阪を出て以来、連絡をとれてなかった。
『泣きたいよ・・・』
『シンくん、だっけ?会えたん?』
家に帰りつき、自室で枕に泣きついた。
「・・・もしもし?」
『あんたねぇ、私の質問にくらい答えなさいよ』
雫だった。
「・・・ごめん」
彼女の声を聴くと、今の自分がみじめに感じる。短い期間で他人に紛れるために方言を抜いたのが間違いだったかもしれない、そう思った。
『やけに沈んでんなぁ。どないしたん?』
「うち、失恋した・・・」
ただでさえ、自分がみじめに感じるのに、小さいころに約束した彼は私のことを覚えていないようにも思えた。となれば自然に涙が出てくる。
『シンくん、彼女おったんや』
「うん、・・・別の学校のめっちゃ可愛い子。待っとったんがあほらしく思えたわ」
自分のことを話すと余計に涙が出てくる。
『落ちつきぃや。バイト、今日休みやんか。やから一日付き合おうたうから、電話やけど』
その日は、私が東京に来てからのことを全て雫に打ち明けた。来て早々のナンパや友人、慎之介のこと。転入して都会に馴染んでないのに、色々ありすぎた半月。まるでドラマや小説の中のヒロインになった気分だった。
目の前には懐かしい景色が広がっていた。私と慎之介の思い出の地で、私一人。半袖で冬の夕焼けを見ていた。ここが夢の世界であることは容易に分かった。半月しかたってないからかもしれない。ため息が漏れるのが分かる。
「鈴乃」
落ち着かせてくれる声。慎之介ではない、別の男子の声。
「真鳳」
「夕日、キレイだな」
隣に座る彼は、着ていた上着を私に羽織らせた。夢の中だから、きっとこの真鳳は私の理想でしかない。いや、そう信じて話すことを決心した。それが僅かな無言の間の答えだと、どこかで感じた。
「・・・私ね・・・」
真鳳が私を見ているのが、なんとなくわかる。
「・・・小学生のころ。ここで好きな人と約束したんだ」
「知ってる」
真鳳の視線が離れた。私の理想の彼は、やはり優しく私のそばにいてくれる。そう思うと、少し視野がぼやけた。
「・・・『迎えに来てくれる』って言ってた。・・・だから言ったの。『待ってる』って」
彼はただ、相槌を打っていた。その二文字が私の視野を悪くする。私の右手が温もり始め、感情があふれ出した。
「・・・なのに、その人はそのことを忘れて別の人の隣にいたの。・・・とっても可愛い子。中身はよく知らないけど、きっと素敵な子」
「・・・」
「私、バカでしょ?幼い頃の軽い気持ちの軽い約束に期待して。高校生になっても振り回されてる。
忘れたらいいっていうのは充分に分かってる。分かってはいるけど・・・」
真鳳の声がした。相槌じゃない疑問の言葉だったけど、今までと同じ文字数で。
「私にとっては大きな穴だったの。・・・あの約束が私には大事な支えだったの・・・」
「そっか、それは辛いな」
彼の温もりが右手から頭の上に移った。
『大丈夫。俺がずっとそばにいるよ』
そう言ってくれたらいいのに。感情が抑えられず、夕焼けを見続けることが出来なかった。
「鈴乃ぉ、もう起きひんと学校遅れるでぇ」
暗闇の中、母の声が頭の中に届いた。涙をぬぐって目の前に見えたのは七時四十五分を指す時計だった。
「ヤバッ、無理かも」
何度か同じことを言いなが準備をして家を出る。
「気ぃつけやぁ」
「分かってるぅ!」
エレベーターで下りきり、道路を全速力で駆け抜ける。曲がり角で不良に合って変なことに巻き込まれないように、その時だけ力を抜く。
「おい!鈴乃」
後ろから真鳳の声が聞こえた。振り返ろうとすると、もう横に来ていた。
「乗れ。走るだけじゃ、多分間に合わないぞ」
そう言って荷台の部分を叩く真鳳の言葉に、私は戸惑ってしまう。
「でも、公道で二人乗りは・・・」
「禁止だろ?知ってるよ。それじゃ遅刻するか?」
完全に遅刻。もしくは、明らかにアウトならゆっくり行くものの、今みたいにギリギリなら遅刻になるのがもったいない。そんな考えが頭の中でぐるぐる回る。
「心配すんな。安全に間に合わせてやるよ」
そう言われ、彼を信じた私は荷物をかごに入れ、彼の背中にくっついた。
彼の運転は意外にも安全だった。『時間がないから』と裏道を使い始めた時は驚いたが、誰の姿も見ることなく最寄りの駅のロータリーに着いた。
「大丈夫。時間あるだろ」
携帯で時計を見ると、電車の出発時間まで五分ほどあった。
「だろ?先に行ってろ。すぐ追いつく」
階段を上りながら考えてみれば、今日初めて彼の温もりを知った気がする。でも、夢の中の温もりと現実の温もりは、全く変わらなかった。不思議に思った。
「おはよう鈴乃。今日はギリギリだね」
「おはよう煌太、緋奈」
「おはよう。あれっ、大丈夫?なんかあったの?」
緋奈は、私の顔を見てそう言ってきた。
「何か、目赤いし、少し腫れてる気がする」
夢の涙が実現にも反映されたらしい。
「ちょっと悲しい夢を見たんだ」
私は馴れてきたこの人たちとの空間を崩したくはなかった。
「どんな夢だった?」
「うぅん、ごめん。忘れちゃった」
だから私は嘘をついた。
「悪い!間に合った」
駅内にアナウンスが響き終わる頃、真鳳が駆け込んできて、私以上にギリギリだった。切れている息が早すぎて、いったいどこに自転車を停めたのか気になった。
「何かあったか?」
「いや、俺のことを知ってるって人がいて・・・」
でも私はそれを聞けなかった、この場が崩れる気がしたから。
「何?どうかした?」
「ううん、夢、思い出そうとしてた」
今日は頭がうまく回ってくれない。降車して急に真鳳が衝撃発言をしてきたから、回っていない頭が完全に停止した。
「あ、俺さ。芸能活動やることにしたわ」
「「「えっ!?」」」
のんきな姿勢で歩いていた真鳳が後ろに飛び跳ねた。
「何だよ、急だな」
「そうだよ。ずっと『なんか、もう飽きた』って言ってたのに」
私は真鳳と出会ってそれほど時間が経ってないからか、何も言えずに頷くことしかできなかった。
「まあ、色々あったんだよ。そんで俺は今日からしばらく午前中だけ学校に行くから午後の色々は任せてもいい?」
真鳳の言葉に二人は見事に返事をそろえた。三人の仲の良さは、ともに居た時間が長くないことを忘れさせる。
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