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一騎打ち
変化
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俺は自分の住んでいる県庁で、取調室のようなところに案内された。
「これが君が受け取るべきお金だよ・・・」
机の上に乗せられたアタッシュケース。その中には現金として二百万円が入っていた。開けた男性はきれいなスーツを着ていて、俺を少し鋭い目で睨んでいるように目をしていた。
「ところで、君は一体何者なんだい?」
「何者って、単なる一般大学生ですよ」
俺の言葉を彼は疑っているように見えて仕方がない。アタッシュケースを閉じて俺に手渡す直前、彼は俺に何かを求めているように思えた。
「何か?」
「悪いけど、聞きたいことがあるから時間が欲しいんだけど、いいかな?」
「えぇ、今日は久しぶりの休みなので大丈夫ですよ」
アタッシュケースを床に置き、胸ポケットから一枚の写真を差し出し、確認してきた。
「この男に見覚えは?」
写真の男は複数の男性に囲まれて、移動しているようだった。その左手には吸い始めたであろう煙草を持っていた。
「ないですね。あの男とこの人に何か関係が?」
「なら、『黒蛇』という単語に心当たりは?」
「ないですね」
「いや、ないなら大丈夫なんだ。もし、こういう感じの男を見かけたら俺に教えてもらえるかな?」
警察官は自身の名刺を俺に差し出す。『公安 沢尻 戒斗 警部』
「あの、公安って・・・」
「ああ、あの公安なんだ。・・・出来たらでいいんだが、私の協力者になってくれないか?」
『協力者』という言葉に俺なりの理解では足りない予感がした。その言葉の真意を聞かない限り、俺の中の答えが出るはずもない。
「その『協力者』って何のことですか?」
公安の協力者という存在は、アニメで見た気がする。しかし、その存在は俺みたいな一般学生であっていいとは思えなかった。
「そのことについては、君の感が頼りなところがあるから。もしまた次、今回のような感が働いた場合、一番に私のところ連絡してほしい」
協力というのは、今回少しでも関わった『黒蛇』という存在を捕まえることだろう。
「分かりました。その時はあなたに連絡しますね」
返事を聞いた彼は、もう一度アタッシュケースを机に置く。もう一度俺に中身を見せた後、俺は衝撃の言葉を聞いた。
「今更で悪いが、このバッグごと君に渡す訳にはいかない。というより、このお金を渡すわけじゃないんだ」
「どういうことですか?」
「二百万だよ?このまま渡すほどリスクが高いのは相当ないよ。だから小切手で渡すから、近くの銀行で君の口座に振り込むといいよ」
そう言って胸ポケットから一枚の小切手を俺の前に出してきた。
「なんか、この渡し方賄賂みたいですね」
少し笑いながら俺の冗談に付き合ってくれた彼は、出口にまで送ってくれた。すぐ隣の銀行で警察署からの小切手を自分の口座に振り込む。
「二百万か・・・。一瞬で溶けちゃいそうだな」
大学生の時期なんて一番お金がかかる時期ではあるものの、他のことに大金をつぎ込みたくものだ。この前も来たが、駅横の公園はきれいに掃除されていた。その時はいろんなことがあって余裕持てていなかったから、気付きもしなかった。
「また会いましたねっ!お兄さん」
そう言って、正面からあの子が声をかけてきた。確か名前は・・・・・・アンナだったか。
「どうも。何か?」
「何か?って酷くないですか?どこか行きましょうよ。休日にここにいるってことは暇なんでしょ?」
俺より年上に見える彼女の言葉になんて返そうか頭を使う、その事に何だか倦怠感のようなものを感じる。
「あの、多分お姉さんの方が年上ですよ?」
「え?!嘘?!いくつですか?」
「ついこの前二十歳になりました」
彼女は『意外だ!』と言いたげな顔をして、俺の一つ上という事を明かした。
「年下か・・・・・・。まあいいや、今日暇かい?ツムギくん」
自己紹介もしてないのに、彼女が名前を知っているってことは、警察と俺の会話を盗み聞きされたってことか。
「盗み聞きなんて、趣味悪いですよ?」
「そんな!盗み聞きなんてしてないよ!?ただ聞こえただけだよ」
どうだか、その真意は今の俺には分かるわけもないから考えるのはよすか。
「そうだ!この前は私があなたに付き合ってあげたから、今日は私に付き合ってよ。暇でしょ?」
そう言って彼女は俺の手を引き、公園から少し離れた商店街に向かう。
「お腹空かない?私あれ食べたい!」
きっと懸賞金のことも聞いていたのだろう。単なるたかりかと、ため息がもれる。彼女に惹かれ大手バーガーチェーン店に入店する。
「私はこれと、ポテトください。ドリンクはメロンソーダで。ツムギくんは?」
「俺は・・・同じものを」
「なら、ポテトはLサイズで」
意外にも会計は別にされた。というより、彼女の分の料金調度を出されたトレーに置かれた。俺は小銭が出せなかったため、お札を出してお釣りをもらう。
「あ、ならこれは持っててよ。私たかりって思われたくないから」
意外だ。俺はお札しかないからと、お金を出したのに律儀に自分の分のお金を俺に渡してきた。渡された番号札を持って二階に上がり、テーブル席を探す。
「え、テーブル席はちょっと緊張しちゃうからカウンター席にしようよ」
そう言って 一番奥のガラスの席に走っていく。
「ここにしよっ!」
俺は彼女の笑顔が見えた時、ようやく気が付いた。ひどい言い方をするが、彼女はかなり顔面偏差値が高い顔をしていた。こんなにかわいい顔をしてモテていそうな子が、あの時も含めて俺なんかに声をかけた理由がわからなくなった。この状況が理解できない。まさしく普通じゃない。
「あ、うん・・・」
やばい。いつも言っている『面白いこと』が起きたと思うと、緊張してきた。なんでこんなに可愛い子と一緒にいるのか、頭が回らなくなってきた。
「どうしたの?さっきまでのテンションは違うくない?」
「いや、今更なんだけど。何で俺なんかに声をかけてくれたの?」
俺は正直に、今抱いている疑問を彼女にぶつけてみた。彼女の単なる気まぐれなのか、それとも彼女の中で俺という存在が、俺にとっての柊のように何か違和感を持ったのかもしれない。
「えっ・・・、それは・・・。気まぐれだよ、気まぐれ。普通こんなことないじゃん?」
俺はどこかでショックを受けていた。もしかしたら どこか期待をしていたのかもしれない。自分の容姿がそんなことが起きるほど優れていないことは自分でもわかっている。でも、世間体的にもいいことをした俺にはそれほどの価値があってもいいのかもしれない、と勝手に考えていた。
「そうですよね」
「実はね。この前声かけたの、どこかに行っておごってもらおっかなって思ったの」
彼女は事実を話し始めた。俺はその話に頷く以外のことをする勇気をもう持ち合わせていなかった。
「でも、一度私の手を放してからツムギくんが立ち向かっていく姿を見たときね、私の中で恋愛感情と似た何かが『この人だ!』って言ったの」
正直、半分くらいは何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「そうですか」
「何よ、その言い方」
「仕方ないじゃないですか。俺だってどう反応したらいいのか分からないんですから」
ちょうど届いたポテトを口に押し込み、無反応を笑いに変える。今の俺にはこれが限界だ。
「ねぇ、連絡先教えてよ。ラインでもインスタでも」
彼女の積極性は、きっと学校で人気者になるための必須項目の一つなのかもしれない。いや、こんなに可愛い顔をしていて、積極性もあってコミュ力も高い、こんな人に彼氏がいないのが逆におかしい。周りの男子は何をしているのかを疑ってしまう。もしかしたら高嶺の花と思わせる彼女の力なのかもしれない。
「わかりました。なら、ラインでもいいですか?」
インスタのアカウントを持っていないわけじゃない。インスタとラインの大きな違いは連絡する機会だと、俺は思っているから 利用頻度の低いラインを彼女に教える。
「『紡』ってこうか書くんだ。かっこいいね」
彼女に言われた言葉に、初めて自分がこの名前でよかったと思えた。
「そういえばさ」
彼女の顔が急に近くなって、俺は外に目を逸らす。
「紡くんって彼女さんいるの?」
俺はポテトを一本口にくわえて、俺のつまらない現実をそのまま伝える。
「意外だな。女慣れしてるし、私に対する抵抗とかもないから浮気くらいはしたことあるんだと思ってた」
全く、これだから積極的な女子は苦手だ。
「それじゃあ、もしかして・・・」
小声が俺の耳にだけ届くように距離を詰め、囁いた。
「まだしたことないの?」
俺は少しオドオドして彼女を見返す。
「動揺しすぎでしょ。いいね、かわいいと思うよ?」
彼女の目は、俺を何か面白いもののように見ていた。俺は立ち合がり、携帯をポケットにしまって振り返る。
「ごめんごめん、からかい過ぎました」
俺はまた座り直し、彼女の方を見る。
「何?」
「いや、20歳でしたっけ?」
「私?二十一だよ、来月でだけど」
そうそう、来月で彼女は二十一なるのか。覚えておかないと。来月までは関係が続きそうだから。
「これが君が受け取るべきお金だよ・・・」
机の上に乗せられたアタッシュケース。その中には現金として二百万円が入っていた。開けた男性はきれいなスーツを着ていて、俺を少し鋭い目で睨んでいるように目をしていた。
「ところで、君は一体何者なんだい?」
「何者って、単なる一般大学生ですよ」
俺の言葉を彼は疑っているように見えて仕方がない。アタッシュケースを閉じて俺に手渡す直前、彼は俺に何かを求めているように思えた。
「何か?」
「悪いけど、聞きたいことがあるから時間が欲しいんだけど、いいかな?」
「えぇ、今日は久しぶりの休みなので大丈夫ですよ」
アタッシュケースを床に置き、胸ポケットから一枚の写真を差し出し、確認してきた。
「この男に見覚えは?」
写真の男は複数の男性に囲まれて、移動しているようだった。その左手には吸い始めたであろう煙草を持っていた。
「ないですね。あの男とこの人に何か関係が?」
「なら、『黒蛇』という単語に心当たりは?」
「ないですね」
「いや、ないなら大丈夫なんだ。もし、こういう感じの男を見かけたら俺に教えてもらえるかな?」
警察官は自身の名刺を俺に差し出す。『公安 沢尻 戒斗 警部』
「あの、公安って・・・」
「ああ、あの公安なんだ。・・・出来たらでいいんだが、私の協力者になってくれないか?」
『協力者』という言葉に俺なりの理解では足りない予感がした。その言葉の真意を聞かない限り、俺の中の答えが出るはずもない。
「その『協力者』って何のことですか?」
公安の協力者という存在は、アニメで見た気がする。しかし、その存在は俺みたいな一般学生であっていいとは思えなかった。
「そのことについては、君の感が頼りなところがあるから。もしまた次、今回のような感が働いた場合、一番に私のところ連絡してほしい」
協力というのは、今回少しでも関わった『黒蛇』という存在を捕まえることだろう。
「分かりました。その時はあなたに連絡しますね」
返事を聞いた彼は、もう一度アタッシュケースを机に置く。もう一度俺に中身を見せた後、俺は衝撃の言葉を聞いた。
「今更で悪いが、このバッグごと君に渡す訳にはいかない。というより、このお金を渡すわけじゃないんだ」
「どういうことですか?」
「二百万だよ?このまま渡すほどリスクが高いのは相当ないよ。だから小切手で渡すから、近くの銀行で君の口座に振り込むといいよ」
そう言って胸ポケットから一枚の小切手を俺の前に出してきた。
「なんか、この渡し方賄賂みたいですね」
少し笑いながら俺の冗談に付き合ってくれた彼は、出口にまで送ってくれた。すぐ隣の銀行で警察署からの小切手を自分の口座に振り込む。
「二百万か・・・。一瞬で溶けちゃいそうだな」
大学生の時期なんて一番お金がかかる時期ではあるものの、他のことに大金をつぎ込みたくものだ。この前も来たが、駅横の公園はきれいに掃除されていた。その時はいろんなことがあって余裕持てていなかったから、気付きもしなかった。
「また会いましたねっ!お兄さん」
そう言って、正面からあの子が声をかけてきた。確か名前は・・・・・・アンナだったか。
「どうも。何か?」
「何か?って酷くないですか?どこか行きましょうよ。休日にここにいるってことは暇なんでしょ?」
俺より年上に見える彼女の言葉になんて返そうか頭を使う、その事に何だか倦怠感のようなものを感じる。
「あの、多分お姉さんの方が年上ですよ?」
「え?!嘘?!いくつですか?」
「ついこの前二十歳になりました」
彼女は『意外だ!』と言いたげな顔をして、俺の一つ上という事を明かした。
「年下か・・・・・・。まあいいや、今日暇かい?ツムギくん」
自己紹介もしてないのに、彼女が名前を知っているってことは、警察と俺の会話を盗み聞きされたってことか。
「盗み聞きなんて、趣味悪いですよ?」
「そんな!盗み聞きなんてしてないよ!?ただ聞こえただけだよ」
どうだか、その真意は今の俺には分かるわけもないから考えるのはよすか。
「そうだ!この前は私があなたに付き合ってあげたから、今日は私に付き合ってよ。暇でしょ?」
そう言って彼女は俺の手を引き、公園から少し離れた商店街に向かう。
「お腹空かない?私あれ食べたい!」
きっと懸賞金のことも聞いていたのだろう。単なるたかりかと、ため息がもれる。彼女に惹かれ大手バーガーチェーン店に入店する。
「私はこれと、ポテトください。ドリンクはメロンソーダで。ツムギくんは?」
「俺は・・・同じものを」
「なら、ポテトはLサイズで」
意外にも会計は別にされた。というより、彼女の分の料金調度を出されたトレーに置かれた。俺は小銭が出せなかったため、お札を出してお釣りをもらう。
「あ、ならこれは持っててよ。私たかりって思われたくないから」
意外だ。俺はお札しかないからと、お金を出したのに律儀に自分の分のお金を俺に渡してきた。渡された番号札を持って二階に上がり、テーブル席を探す。
「え、テーブル席はちょっと緊張しちゃうからカウンター席にしようよ」
そう言って 一番奥のガラスの席に走っていく。
「ここにしよっ!」
俺は彼女の笑顔が見えた時、ようやく気が付いた。ひどい言い方をするが、彼女はかなり顔面偏差値が高い顔をしていた。こんなにかわいい顔をしてモテていそうな子が、あの時も含めて俺なんかに声をかけた理由がわからなくなった。この状況が理解できない。まさしく普通じゃない。
「あ、うん・・・」
やばい。いつも言っている『面白いこと』が起きたと思うと、緊張してきた。なんでこんなに可愛い子と一緒にいるのか、頭が回らなくなってきた。
「どうしたの?さっきまでのテンションは違うくない?」
「いや、今更なんだけど。何で俺なんかに声をかけてくれたの?」
俺は正直に、今抱いている疑問を彼女にぶつけてみた。彼女の単なる気まぐれなのか、それとも彼女の中で俺という存在が、俺にとっての柊のように何か違和感を持ったのかもしれない。
「えっ・・・、それは・・・。気まぐれだよ、気まぐれ。普通こんなことないじゃん?」
俺はどこかでショックを受けていた。もしかしたら どこか期待をしていたのかもしれない。自分の容姿がそんなことが起きるほど優れていないことは自分でもわかっている。でも、世間体的にもいいことをした俺にはそれほどの価値があってもいいのかもしれない、と勝手に考えていた。
「そうですよね」
「実はね。この前声かけたの、どこかに行っておごってもらおっかなって思ったの」
彼女は事実を話し始めた。俺はその話に頷く以外のことをする勇気をもう持ち合わせていなかった。
「でも、一度私の手を放してからツムギくんが立ち向かっていく姿を見たときね、私の中で恋愛感情と似た何かが『この人だ!』って言ったの」
正直、半分くらいは何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「そうですか」
「何よ、その言い方」
「仕方ないじゃないですか。俺だってどう反応したらいいのか分からないんですから」
ちょうど届いたポテトを口に押し込み、無反応を笑いに変える。今の俺にはこれが限界だ。
「ねぇ、連絡先教えてよ。ラインでもインスタでも」
彼女の積極性は、きっと学校で人気者になるための必須項目の一つなのかもしれない。いや、こんなに可愛い顔をしていて、積極性もあってコミュ力も高い、こんな人に彼氏がいないのが逆におかしい。周りの男子は何をしているのかを疑ってしまう。もしかしたら高嶺の花と思わせる彼女の力なのかもしれない。
「わかりました。なら、ラインでもいいですか?」
インスタのアカウントを持っていないわけじゃない。インスタとラインの大きな違いは連絡する機会だと、俺は思っているから 利用頻度の低いラインを彼女に教える。
「『紡』ってこうか書くんだ。かっこいいね」
彼女に言われた言葉に、初めて自分がこの名前でよかったと思えた。
「そういえばさ」
彼女の顔が急に近くなって、俺は外に目を逸らす。
「紡くんって彼女さんいるの?」
俺はポテトを一本口にくわえて、俺のつまらない現実をそのまま伝える。
「意外だな。女慣れしてるし、私に対する抵抗とかもないから浮気くらいはしたことあるんだと思ってた」
全く、これだから積極的な女子は苦手だ。
「それじゃあ、もしかして・・・」
小声が俺の耳にだけ届くように距離を詰め、囁いた。
「まだしたことないの?」
俺は少しオドオドして彼女を見返す。
「動揺しすぎでしょ。いいね、かわいいと思うよ?」
彼女の目は、俺を何か面白いもののように見ていた。俺は立ち合がり、携帯をポケットにしまって振り返る。
「ごめんごめん、からかい過ぎました」
俺はまた座り直し、彼女の方を見る。
「何?」
「いや、20歳でしたっけ?」
「私?二十一だよ、来月でだけど」
そうそう、来月で彼女は二十一なるのか。覚えておかないと。来月までは関係が続きそうだから。
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