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第壱章 アルカトラズ
切っ掛け
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目の前は暗闇だ。これは、あくまで比喩の話。現実の環境ではない。しかし、現実もこの言葉が似合うかもしれない。
暗い部屋に僕と二十代の男性一人の二人で囚われている。この部屋の話で似たような部屋がまだあるのか、実験される身の僕らは数えきれない人がいる。何の実験で何のために行われているのかも分かることはない。
いつも扉の向こう側で痛い思いをする。体内で強い電流が流れたり、爆弾が爆発したり、そんな痛みを味わう日々だ。何故こうなったのか。それも分からない。
家族と近くの公園に行っていた一時、突然僕の視界は無くなった。気が付けば今いる部屋にいた。同じ部屋を使う人はもっと前からいたらしく、ここの事を教えてくれた。
「大丈夫かい?僕の名前は『加稲 義政』多分君の来る数年前からここにいる。君の名前を教えてくれるかな?」
優しく語りかけてくれた彼に僕は縋るしかなかった。
「『江神 永和』です。八歳です」
トワ君?いい名前だね。そう笑いながら語る彼の顔には邪気を感じれなかった。そして、この場所の説明を始めた。
ここは、通称『アルカトラズ』と言われ、魔法科学実験の実験場。成功例は一度もなく、何の為に行われている実験かも実験体である僕らには知ることは無いらしい。やられる事は、拘束され、強い光を当てられる事、与えられている間は全身の感覚が無くなり、何をされているか分からない。実験に耐えられない者は無残な姿で死ぬらしい。実験体の年齢は幅広く1番若くて僕らの八歳。そこからお年寄りまで、長い人は三年以上もここにいるらしい。ただし、外の景色を見ることも出来ず日数を数えることすら出来ない。だからそれが正しいのかも分からない。
「何もずっと縛られて過ごすんじゃないよ。基本は自由に動けるんだ。行動範囲は限られているけど、でも、こうやって新しく来た人の同室の人は目が覚めるまでの時間と実験の時間は拘束されるけどね。右の胸のあたりに着いている番号がここで変な格好をしているおじさん達から呼ばれる自分の番号ね。だから永和君だと、『三千五百二番』って呼ばれたら永和君の事だからね」
加稲さんが僕に優しく教えてくれた時、僕のお腹の音が鳴った。
「すいません!」
「いいんだ。お腹すいてるんだよね?何か食べに行こうか・・・」
僕を安心させたくて彼のとる行動に何も言えず、ただ無言で言うことを聞くばかりだ。だから僕は頷いて、部屋の扉を開ける彼の手を捕まえ、ついて行く。しばらく歩くとエレベータースペースが広がっている。一箇所、下へ行くボタンを押すと数箇所あるエレベーターの下へ行くボタンが光る。直ぐに扉が開いて彼は中に入る。そして、二と書いてあるボタンを押す。
「エレベーターは基本いつでも使えるから、乗ったことある?」
僕は横に顔を振る。
「そっか、こんな事もした事がないんだ。今度、あのボタン押す?」
次は縦に振る。
「よし!それじゃあ、あの部屋に戻る時押そうか?」
今度は少し笑った顔で縦に振る。よしよし。と言って頭を撫でてくれた彼の手は優しく心地よかった。エレベーターを降りて一つ曲がり角を曲がると大きなスペースが広がっていた。
「ここが食堂ね。好きな物を選んで」
彼はそう言って僕を抱え食券販売機の前に体を近ずける。『カレーライス』そう書いてあるボタンを押すと一枚の紙が出てくる。それじゃぁ、と呟いてボタンを押す。僕の手を取り進むと僕の紙と彼の紙を相手に渡しお盆をふたつ貰う。数十本歩き、彼の持っていたお盆からカレーが渡させた。すぐ近くのテーブルに座り、二人で食事を始めようとしていた。
「やぁ、義政。その子は?」
そう言い、僕を指さした人物は加稲さんの隣に座り、連れの女の子を僕の横に座らせた。
「永和君?」
喉が閉じた。その声は、先日行方不明だと聞かされた『中野 悠夏』だった。
「悠夏ちゃん?何でここに?」
「悠夏、その子知ってる子?」
その男は悠夏ちゃんと仲が良いみたいだった。彼女は彼に頷き僕を紹介した。
「この子は私の友だちの『江神 永和』くん」
僕は、彼に頭を下げる。すると彼は
「俺の名前は『茅野 晃祐』光属性の魔道士だ。よろしく」
「江神です」
名前だけを言い直し、彼の伸ばされている手を取る。
「いいなぁ、義政さんと同室かぁ、優しいから羨ましいな」
漏らしたと言うより投げ捨てたかのように悠夏ちゃんは語った。それに反応したのは言われた本人義政さんでなくて晃祐さんだった。
「おい!なんか俺が悪者みたいやん!そんな言い方やめろやぁ」
「はぁい、ゴメンなさい」
心のこもっていない声が僕らを笑わせる。食事を終わらせた僕は彼らの義政さん達の話に耳を傾ける。
「作戦に変更とかある?」
「無い。あるとしたら、お前のパートナーだろうな。計画は順調だから、ある程度目処がたったら実行だ。出来る限り早くするのが良いだろうな」
僕は話が分からない。自分なりの解釈をしてると、謎の男二人が僕らに近づいてくる。
「こいつは連れて行くぞ。何も無ければ部屋へ連れて行くが何かあるか?」
僕はここに来て二度目の恐怖感を感じた。
「部屋で構いませんが、初めてです。出来る限り同行してもいいですか?」
義政さんが謎の男達とある程度会話をしたあと僕の手を取り、謎の男達と義政さんと僕の四人で食事場を出る。
人体実験の開始だ。
暗い部屋に僕と二十代の男性一人の二人で囚われている。この部屋の話で似たような部屋がまだあるのか、実験される身の僕らは数えきれない人がいる。何の実験で何のために行われているのかも分かることはない。
いつも扉の向こう側で痛い思いをする。体内で強い電流が流れたり、爆弾が爆発したり、そんな痛みを味わう日々だ。何故こうなったのか。それも分からない。
家族と近くの公園に行っていた一時、突然僕の視界は無くなった。気が付けば今いる部屋にいた。同じ部屋を使う人はもっと前からいたらしく、ここの事を教えてくれた。
「大丈夫かい?僕の名前は『加稲 義政』多分君の来る数年前からここにいる。君の名前を教えてくれるかな?」
優しく語りかけてくれた彼に僕は縋るしかなかった。
「『江神 永和』です。八歳です」
トワ君?いい名前だね。そう笑いながら語る彼の顔には邪気を感じれなかった。そして、この場所の説明を始めた。
ここは、通称『アルカトラズ』と言われ、魔法科学実験の実験場。成功例は一度もなく、何の為に行われている実験かも実験体である僕らには知ることは無いらしい。やられる事は、拘束され、強い光を当てられる事、与えられている間は全身の感覚が無くなり、何をされているか分からない。実験に耐えられない者は無残な姿で死ぬらしい。実験体の年齢は幅広く1番若くて僕らの八歳。そこからお年寄りまで、長い人は三年以上もここにいるらしい。ただし、外の景色を見ることも出来ず日数を数えることすら出来ない。だからそれが正しいのかも分からない。
「何もずっと縛られて過ごすんじゃないよ。基本は自由に動けるんだ。行動範囲は限られているけど、でも、こうやって新しく来た人の同室の人は目が覚めるまでの時間と実験の時間は拘束されるけどね。右の胸のあたりに着いている番号がここで変な格好をしているおじさん達から呼ばれる自分の番号ね。だから永和君だと、『三千五百二番』って呼ばれたら永和君の事だからね」
加稲さんが僕に優しく教えてくれた時、僕のお腹の音が鳴った。
「すいません!」
「いいんだ。お腹すいてるんだよね?何か食べに行こうか・・・」
僕を安心させたくて彼のとる行動に何も言えず、ただ無言で言うことを聞くばかりだ。だから僕は頷いて、部屋の扉を開ける彼の手を捕まえ、ついて行く。しばらく歩くとエレベータースペースが広がっている。一箇所、下へ行くボタンを押すと数箇所あるエレベーターの下へ行くボタンが光る。直ぐに扉が開いて彼は中に入る。そして、二と書いてあるボタンを押す。
「エレベーターは基本いつでも使えるから、乗ったことある?」
僕は横に顔を振る。
「そっか、こんな事もした事がないんだ。今度、あのボタン押す?」
次は縦に振る。
「よし!それじゃあ、あの部屋に戻る時押そうか?」
今度は少し笑った顔で縦に振る。よしよし。と言って頭を撫でてくれた彼の手は優しく心地よかった。エレベーターを降りて一つ曲がり角を曲がると大きなスペースが広がっていた。
「ここが食堂ね。好きな物を選んで」
彼はそう言って僕を抱え食券販売機の前に体を近ずける。『カレーライス』そう書いてあるボタンを押すと一枚の紙が出てくる。それじゃぁ、と呟いてボタンを押す。僕の手を取り進むと僕の紙と彼の紙を相手に渡しお盆をふたつ貰う。数十本歩き、彼の持っていたお盆からカレーが渡させた。すぐ近くのテーブルに座り、二人で食事を始めようとしていた。
「やぁ、義政。その子は?」
そう言い、僕を指さした人物は加稲さんの隣に座り、連れの女の子を僕の横に座らせた。
「永和君?」
喉が閉じた。その声は、先日行方不明だと聞かされた『中野 悠夏』だった。
「悠夏ちゃん?何でここに?」
「悠夏、その子知ってる子?」
その男は悠夏ちゃんと仲が良いみたいだった。彼女は彼に頷き僕を紹介した。
「この子は私の友だちの『江神 永和』くん」
僕は、彼に頭を下げる。すると彼は
「俺の名前は『茅野 晃祐』光属性の魔道士だ。よろしく」
「江神です」
名前だけを言い直し、彼の伸ばされている手を取る。
「いいなぁ、義政さんと同室かぁ、優しいから羨ましいな」
漏らしたと言うより投げ捨てたかのように悠夏ちゃんは語った。それに反応したのは言われた本人義政さんでなくて晃祐さんだった。
「おい!なんか俺が悪者みたいやん!そんな言い方やめろやぁ」
「はぁい、ゴメンなさい」
心のこもっていない声が僕らを笑わせる。食事を終わらせた僕は彼らの義政さん達の話に耳を傾ける。
「作戦に変更とかある?」
「無い。あるとしたら、お前のパートナーだろうな。計画は順調だから、ある程度目処がたったら実行だ。出来る限り早くするのが良いだろうな」
僕は話が分からない。自分なりの解釈をしてると、謎の男二人が僕らに近づいてくる。
「こいつは連れて行くぞ。何も無ければ部屋へ連れて行くが何かあるか?」
僕はここに来て二度目の恐怖感を感じた。
「部屋で構いませんが、初めてです。出来る限り同行してもいいですか?」
義政さんが謎の男達とある程度会話をしたあと僕の手を取り、謎の男達と義政さんと僕の四人で食事場を出る。
人体実験の開始だ。
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