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悲しみの連鎖

大切なものが39

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「自分が亡き後は雅和の支えになってほしい 打たれ弱い男だから私(美香)が居なくなったら彼はきっと立ち直れない 彼を支えられるのはあなた(佐知)しかいない だから雅和をお願いします
これが彼女が私に言い残した言葉なの」

「それで佐知さんは彼を支えたいと・・」

「彼が私の気持ちを拒むことはわかっているわ でも大切な友達ならこんな時こそ支えてあげたいと思うものでしょう 彼は心を閉ざしたままこれからの一生を送るような気がする・・そんな人生を美香さんと明日香ちゃんが喜ぶはずない、だから彼が以前のようにしっかり歩き出すまで支えたいの」

「支えるって・・離れている彼をどうやって君が」

「それは私にもわからないけど休日を利用して、週末奥さんや子供に会いに来ていた彼のように私も・・」

「まってくれ、きみは休日に時間を費やしてまで彼に会いにいくつもりなのか そこまでして彼を、そんな君の気持ちが僕には・・」

「・・・・・」

「佐知さん、僕は君と彼の関係を理解できそうもない」

「そうかもしれない、でもわかってもらいたいの 男女の愛とは別の井川君との大切な関係、絆を・秀行さんにわかってもらえるまで私はどんな努力も惜しまないつもりよ」

「もう止めにしよう この話は次の機会に、今こうして二人きりになれたこの時間は君と僕だけのもの・・といっても今日の佐知さんはそんな気分にはなれないだろうけどね」

「この時間は私たちだけに与えられた大切な時間・・そうですよね 
私と井川君の関係を理解できない秀行さんが私達に力を貸してくれた 今日私が冷静でいられたのは秀行さん貴方が側にいてくれたから、井川君を考えない日などなかった私が心穏やかでいられたのは秀行さんに出会い支えられていたからかもしれない そんな貴方がもし突然私の前から消えたら・・その悲しみは井川君と同じ何年経っても癒えないのかも・・秀行さん、あなたも私の大切な人よ」

秀行への言葉は佐知が雅和の父柳木沢と雅和に抱いた思いと似ていた。

秀行は彼を支えたいと言った佐知の気持ちを汲んでやれない自分が情けなかった 自分の了見の狭さに気づき井川雅和という男を超える男にならなければと思った 

佐知、雅和、秀行の関係は奇異な展開を見せそれぞれの人生に大きなうねりが生じ始めていた。



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