222 / 288
悲しみの連鎖
大切なものが36
しおりを挟む
早朝ホテルを出発した二人は目的地の病院へと車を走らせていた。田鶴子ママに連絡していないことに気づいた佐知は携帯を取り出した。
「秀行さん電話してもいい?亡くなった明日香ちゃんのお母さん代わりだった人に事故の事を知らせたいの」
佐知は震える指で電話をかけながら口の渇きを潤そうと生唾を飲み込んだ。
「あっママ、佐知です まだお休みでしたよね こんな時間に本当にすみません」
「起きてたからいいのよ 昨晩はどうしたことか目がさえて眠れなかったの・・もしかして何か起きたのね 佐知さんそうなのね」
「ママ・・昨晩明日香ちゃんが・・亡くなりました」
田鶴子は絶句していた。
「井川君の居眠り事故でした」
「・・居眠り運転・・それで彼は」
「重症です。わたし今入院している病院に向っています 自宅に安置されている明日香ちゃんに会って最後のお別れを・・詳しいことは又お知らせします」
「待ち望んだ明日香ちゃんとの生活が始まろうとしていた矢先になんてこと・・佐知さん私も今から支度して急いでそっちに行くわ 病院と自宅の詳細をFAXでながしてもらえると有難いわ、お手数かけるけど佐知さんお願いね こうしてはいられないわね急がないと」
田鶴子は慌てた様子で一方的に電話を切った。
「ママあんなに慌てて大丈夫かしら」
「ママって言った?」
「電話の相手はSIGNPOSTというお店のママで明日香ちゃんを母親のように大切に育ててくれた人なんです」
「それなら居ても立っても居られないだろうね」
佐知も田鶴子も子を持つ親の気持は分からないが悲しみは同じだった。ならば親の悲しみはどれほどのものか・・佐知は明日香を亡くした雅和を思うと胸が苦しくなった。窓を少し開け冷たい外気を顔に当てると少しづつ気分が和らいでいった。車を止めてもらいサービスエリアにあるインフォメーションデスクで田鶴子ママにFAXを流した。
離れた場所で秀行は電話をかけていた。
「斉藤君久しぶり 相変わらず忙しいだろうけど元気そうで何よりだ 所で今日君は病院にいるのかな、そうか残念だ休みか 実は入院している人に会うためそっちに向っているんだ それで聞きたいことがあって電話したんだ」
斉藤は病院にいる同僚に調べさせ折り返し電話をくれた。電話を切ると秀行は大きく息を吐いた。雅和がICUに運ばれたと聞いた秀行は彼の病状の重さを知った 缶コーヒーを手に戻ってきた佐知にそれを告げる事は出来なかった。
「秀行さん電話してもいい?亡くなった明日香ちゃんのお母さん代わりだった人に事故の事を知らせたいの」
佐知は震える指で電話をかけながら口の渇きを潤そうと生唾を飲み込んだ。
「あっママ、佐知です まだお休みでしたよね こんな時間に本当にすみません」
「起きてたからいいのよ 昨晩はどうしたことか目がさえて眠れなかったの・・もしかして何か起きたのね 佐知さんそうなのね」
「ママ・・昨晩明日香ちゃんが・・亡くなりました」
田鶴子は絶句していた。
「井川君の居眠り事故でした」
「・・居眠り運転・・それで彼は」
「重症です。わたし今入院している病院に向っています 自宅に安置されている明日香ちゃんに会って最後のお別れを・・詳しいことは又お知らせします」
「待ち望んだ明日香ちゃんとの生活が始まろうとしていた矢先になんてこと・・佐知さん私も今から支度して急いでそっちに行くわ 病院と自宅の詳細をFAXでながしてもらえると有難いわ、お手数かけるけど佐知さんお願いね こうしてはいられないわね急がないと」
田鶴子は慌てた様子で一方的に電話を切った。
「ママあんなに慌てて大丈夫かしら」
「ママって言った?」
「電話の相手はSIGNPOSTというお店のママで明日香ちゃんを母親のように大切に育ててくれた人なんです」
「それなら居ても立っても居られないだろうね」
佐知も田鶴子も子を持つ親の気持は分からないが悲しみは同じだった。ならば親の悲しみはどれほどのものか・・佐知は明日香を亡くした雅和を思うと胸が苦しくなった。窓を少し開け冷たい外気を顔に当てると少しづつ気分が和らいでいった。車を止めてもらいサービスエリアにあるインフォメーションデスクで田鶴子ママにFAXを流した。
離れた場所で秀行は電話をかけていた。
「斉藤君久しぶり 相変わらず忙しいだろうけど元気そうで何よりだ 所で今日君は病院にいるのかな、そうか残念だ休みか 実は入院している人に会うためそっちに向っているんだ それで聞きたいことがあって電話したんだ」
斉藤は病院にいる同僚に調べさせ折り返し電話をくれた。電話を切ると秀行は大きく息を吐いた。雅和がICUに運ばれたと聞いた秀行は彼の病状の重さを知った 缶コーヒーを手に戻ってきた佐知にそれを告げる事は出来なかった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
無垢で透明
はぎわら歓
現代文学
真琴は奨学金の返済のために会社勤めをしながら夜、水商売のバイトをしている。苦学生だった頃から一日中働きづくめだった。夜の店で、過去の恩人に似ている葵と出会う。葵は真琴を気に入ったようで、初めて店外デートをすることになった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる