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悲しみの連鎖
大切なものが34
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雅和の安否を気遣う車中の佐知は無言だった。落胆の色を隠せない佐知に秀行が優しく手を差し出してきた。
「さぁ僕の手を強く握って、少しは落ち着くと思うから」
手を握り秀行の肩越しに佐知は体をあずた。
「秀行さん、暫らくこうして居てもいいですか」
「ああ目を閉じて休んだほうがいい」
静岡の県境に差し掛かった秀行は時計を気にしていた。サービスエリアで休憩を取った二人は今晩泊まるホテルを探していた。7件目でやっと空きを見付けたホテルはシングルが満室でツインの部屋一室だけが残っていた。
「今夜はここで休んで明朝早めに出よう」
「秀行さんが一緒でよかったです 有難うございました。今日は急患が入って緊急手術があっていつも以上にお疲れなのに本当にありがとうございました」
「僕のことより僕は君の事が心配なんだ とにかく今日は早く休もう 明日はハードスケジュールになりそうだからね」
「あっ私、病院のコピー送ってもらったのに家に忘れてきたみたいです」
「あの病院なら医大仲間が何人か勤務しているから大丈夫、明日確認とってみるよ」
シャワーを済ませ二人はベッドに体を休めた。灯りの落ちた部屋で佐知は隣のベッドの秀行を見つめていた。
「秀行さん、もうお休みですか」
「佐知さんは眠れないようだね」
「秀行さんの・・ベッドに・・行ってもいいですか」
秀行は体を移動して掛け布団を開けて佐知を招きいれた。佐知は思わず秀行の体に子供のようにしがみ付いて体を震わせていた。
「さぁ僕の手を強く握って、少しは落ち着くと思うから」
手を握り秀行の肩越しに佐知は体をあずた。
「秀行さん、暫らくこうして居てもいいですか」
「ああ目を閉じて休んだほうがいい」
静岡の県境に差し掛かった秀行は時計を気にしていた。サービスエリアで休憩を取った二人は今晩泊まるホテルを探していた。7件目でやっと空きを見付けたホテルはシングルが満室でツインの部屋一室だけが残っていた。
「今夜はここで休んで明朝早めに出よう」
「秀行さんが一緒でよかったです 有難うございました。今日は急患が入って緊急手術があっていつも以上にお疲れなのに本当にありがとうございました」
「僕のことより僕は君の事が心配なんだ とにかく今日は早く休もう 明日はハードスケジュールになりそうだからね」
「あっ私、病院のコピー送ってもらったのに家に忘れてきたみたいです」
「あの病院なら医大仲間が何人か勤務しているから大丈夫、明日確認とってみるよ」
シャワーを済ませ二人はベッドに体を休めた。灯りの落ちた部屋で佐知は隣のベッドの秀行を見つめていた。
「秀行さん、もうお休みですか」
「佐知さんは眠れないようだね」
「秀行さんの・・ベッドに・・行ってもいいですか」
秀行は体を移動して掛け布団を開けて佐知を招きいれた。佐知は思わず秀行の体に子供のようにしがみ付いて体を震わせていた。
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