201 / 316
悲しみの連鎖
大切なものが15
しおりを挟む
「ちょっと待て、俺は君を帰さない このまま帰るなんて許さないからな」
「離して腕が痛いわ」
「俺たち昔もこんなことあったよな」
「・・・・・」
「あの時と同じだ 俺がこの手を放したらすべてがここで終わる いまある絆が切れたら俺達はもう会うこともないだろう、それでいいのなら好きにすればいい」
佐知はその場を動けなくなっていた。
「わかってくれたんだね」
「井川君の美香さんを思う気持ちは少しも色褪せていない その思いは永遠に変わらないって分かっているのに私はいつもあなたを困らせてしまう ごめんなさい」
「気持ちが変わらないなんて誰が断言できる おれ自身この先どうなるかわからないし女々しく思いをひきずっている俺に愛を語る資格はないんだ 男だったら誰だって愛する人を幸せにしたいよ、だけどそれが出来ないとわかって愛を受け入れたらそれは親父と同じだ 俺はずっと母親の涙をみて育ったから愛する人を母さんのようにはしたくないんだ 父のすべてを知っている君にならわかるだろ 俺たちがこれからどうなるかそれは分からない でも絆がある限り俺は君と繋がっていられる繋がっていたいんだ佐知・・俺は美香さんだけをこれからも一生愛すると決めたけど・・ときが経てば人の気持ちは変わってしまうのかな、もしかするとどんなにあがいても変えなければならない時が来るのかもしれないな」
「そんな日が本当に来るの 生涯美香さんを愛すると誓ったあなたにそんな日がいつくるの」
「何度も言うけど先のことは誰にも分からないんだ 俺の気持ちがこれからも変わらないと俺は勿論きみも云い切れるものなのかわからないけど、もしかしてだけど・・いつか向き合える日がくるかもしれない 佐知と俺は別れたけど今もこうして繋がっている 普通じゃ考えられない事だよね 世の中には色んな愛が散らばっていて俺たちの絆もそのひとつ 愛がどんな形に姿を変えようが愛に変わりはないそう俺は思っている」
「絆も愛ならその愛ってなに、それってどんな愛なの」
「それは・・俺にもわからないけど
龍一と真砂子の結婚式で再会した夜のこと覚えてる?ホテルで話したこと」
「服を着たまま二人手を繋いで夜を明かして 思い出すとおかしいわね」
「あの夜、握り合った手だけは朝まで離さなかったよね あの日俺達の終わったはずの愛が男と女を超越した愛に変わったんだ」
「あの時の再会は亡くなった和由兄さんが導いてくれたと思っているわ 私たち共通の兄、和由兄さんが繋いでくれた絆が愛なら私たちは愛で繋がっていると思っていいのよね井川君」
「あぁ俺達は愛で繋がっている 但しその愛は残念ながら君が願う昔の愛とは別物だけど」
「わたし過去の愛にしがみつくのはもうやめる 簡単にはいかないかもしれないけど今ある絆の方が大切だから」
「それがいい、いつか二人で笑いながら昔の愛を語れるようになれたらいいな」
その雅和の言葉に佐知は涙を拭い笑顔を見せ大きくうなずいた。
「離して腕が痛いわ」
「俺たち昔もこんなことあったよな」
「・・・・・」
「あの時と同じだ 俺がこの手を放したらすべてがここで終わる いまある絆が切れたら俺達はもう会うこともないだろう、それでいいのなら好きにすればいい」
佐知はその場を動けなくなっていた。
「わかってくれたんだね」
「井川君の美香さんを思う気持ちは少しも色褪せていない その思いは永遠に変わらないって分かっているのに私はいつもあなたを困らせてしまう ごめんなさい」
「気持ちが変わらないなんて誰が断言できる おれ自身この先どうなるかわからないし女々しく思いをひきずっている俺に愛を語る資格はないんだ 男だったら誰だって愛する人を幸せにしたいよ、だけどそれが出来ないとわかって愛を受け入れたらそれは親父と同じだ 俺はずっと母親の涙をみて育ったから愛する人を母さんのようにはしたくないんだ 父のすべてを知っている君にならわかるだろ 俺たちがこれからどうなるかそれは分からない でも絆がある限り俺は君と繋がっていられる繋がっていたいんだ佐知・・俺は美香さんだけをこれからも一生愛すると決めたけど・・ときが経てば人の気持ちは変わってしまうのかな、もしかするとどんなにあがいても変えなければならない時が来るのかもしれないな」
「そんな日が本当に来るの 生涯美香さんを愛すると誓ったあなたにそんな日がいつくるの」
「何度も言うけど先のことは誰にも分からないんだ 俺の気持ちがこれからも変わらないと俺は勿論きみも云い切れるものなのかわからないけど、もしかしてだけど・・いつか向き合える日がくるかもしれない 佐知と俺は別れたけど今もこうして繋がっている 普通じゃ考えられない事だよね 世の中には色んな愛が散らばっていて俺たちの絆もそのひとつ 愛がどんな形に姿を変えようが愛に変わりはないそう俺は思っている」
「絆も愛ならその愛ってなに、それってどんな愛なの」
「それは・・俺にもわからないけど
龍一と真砂子の結婚式で再会した夜のこと覚えてる?ホテルで話したこと」
「服を着たまま二人手を繋いで夜を明かして 思い出すとおかしいわね」
「あの夜、握り合った手だけは朝まで離さなかったよね あの日俺達の終わったはずの愛が男と女を超越した愛に変わったんだ」
「あの時の再会は亡くなった和由兄さんが導いてくれたと思っているわ 私たち共通の兄、和由兄さんが繋いでくれた絆が愛なら私たちは愛で繋がっていると思っていいのよね井川君」
「あぁ俺達は愛で繋がっている 但しその愛は残念ながら君が願う昔の愛とは別物だけど」
「わたし過去の愛にしがみつくのはもうやめる 簡単にはいかないかもしれないけど今ある絆の方が大切だから」
「それがいい、いつか二人で笑いながら昔の愛を語れるようになれたらいいな」
その雅和の言葉に佐知は涙を拭い笑顔を見せ大きくうなずいた。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫の親友〜西本匡臣の日記〜
ゆとり理
現代文学
誰にでももう一度会いたい人と思う人がいるだろう。
俺がもう一度会いたいと思うのは親友の妻だ。
そう気がついてから毎日親友の妻が頭の片隅で微笑んでいる気がする。
仕事も順調で金銭的にも困っていない、信頼できる部下もいる。
妻子にも恵まれているし、近隣住人もいい人たちだ。
傍から見たら絵に描いたような幸せな男なのだろう。
だが、俺は本当に幸せなのだろうか。
日記風のフィクションです。
病窓の桜
喜島 塔
現代文学
花曇りの空の下、薄桃色の桜の花が色付く季節になると、私は、千代子(ちよこ)さんと一緒に病室の窓越しに見た桜の花を思い出す。千代子さんは、もう、此岸には存在しない人だ。私が、潰瘍性大腸炎という難病で入退院を繰り返していた頃、ほんの数週間、同じ病室の隣のベッドに入院していた患者同士というだけで、特段、親しい間柄というわけではない。それでも、あの日、千代子さんが病室の窓越しの桜を眺めながら「綺麗ねえ」と紡いだ凡庸な言葉を忘れることができない。
私は、ベッドのカーテン越しに聞き知った情報を元に、退院後、千代子さんが所属している『ウグイス合唱団』の定期演奏会へと足を運んだ。だが、そこに、千代子さんの姿はなかった。
一年ほどの時が過ぎ、私は、アルバイトを始めた。忙しい日々の中、千代子さんと見た病窓の桜の記憶が薄れていった頃、私は、千代子さんの訃報を知ることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる