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悲しみの連鎖
大切なものが11
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SIGNPOSTはいつになく賑わっていた。田鶴子は狭いカウンターの中を右往左往していた。
「こんばんはママ、今日は込み合ってますね なにかお手伝いしましょうか」
「あ~佐知さん、いいところに来てくれた 明日香の様子を見てきてくれると助かるわ さっきまで大泣きしていたんだけどご覧の通りてんてこ舞いで今は泣き止んでいるけどオムツが心配でお願いできる?」
「はい任せてください」
「本当に助かるわ、お願いしますね」
明日香が来てから佐知は毎日のようにSIGNPOSTに顔を出した。店に入るなり真っ先に明日香の部屋に駆け込んで可愛がった。そんな佐知に田鶴子はいつも目を細めていた。佐知はいつしか田鶴子の強い助っ人になっていた。今日はコンサート帰りの団体客から次から次へとオーダーが入り田鶴子は息をつく間もなく忙しく動き回っていた。嬉しい悲鳴を上げながら最後の注文を運び終えたママは額の汗を拭っていた。一息ついた田鶴子はまた厨房に立ち何やら料理を作り始めた。その料理を漆の重箱に詰めこむと絞りの風呂敷に包んだ。食後の珈琲を隈なく運び器を洗いおえた田鶴子の耳に笑う声が聞こえた。昨晩から今朝にかけて愚図っていた明日香の笑い声だった。
「佐知お姉さんと一緒だと明日香はいつもご機嫌ね~」
「オムツを替えたらご機嫌でお利口にしていましたよ」
「佐知さんにはいつも助けられて本当にありがとう」
「お店のほうはもう大丈夫ですか」
「えぇなんとか急場は凌げたわ 食事はすんだけど誰も腰をあげようとしない所を見ると、もしかすると閉店までこの状態かもしれないわね そうだ、忘れるところだったわ 井川君から電話がきてね佐知さんに店で待っていてほしいって言付かったの、でもお店じゃ話だってままならないでしょ だから私のマンションで明日香と一緒に井川君を待ってくれる。井川君にも伝えてあるからそうして」
「わかりました ママのマンションで明日香ちゃんと一緒に井川君を待ちます」
「そうしてちょうだい、井川君が着たらそっちに行かせるから」
そう言って田鶴子は膨らんだ紙袋を佐知に差し出してきた。
「こんばんはママ、今日は込み合ってますね なにかお手伝いしましょうか」
「あ~佐知さん、いいところに来てくれた 明日香の様子を見てきてくれると助かるわ さっきまで大泣きしていたんだけどご覧の通りてんてこ舞いで今は泣き止んでいるけどオムツが心配でお願いできる?」
「はい任せてください」
「本当に助かるわ、お願いしますね」
明日香が来てから佐知は毎日のようにSIGNPOSTに顔を出した。店に入るなり真っ先に明日香の部屋に駆け込んで可愛がった。そんな佐知に田鶴子はいつも目を細めていた。佐知はいつしか田鶴子の強い助っ人になっていた。今日はコンサート帰りの団体客から次から次へとオーダーが入り田鶴子は息をつく間もなく忙しく動き回っていた。嬉しい悲鳴を上げながら最後の注文を運び終えたママは額の汗を拭っていた。一息ついた田鶴子はまた厨房に立ち何やら料理を作り始めた。その料理を漆の重箱に詰めこむと絞りの風呂敷に包んだ。食後の珈琲を隈なく運び器を洗いおえた田鶴子の耳に笑う声が聞こえた。昨晩から今朝にかけて愚図っていた明日香の笑い声だった。
「佐知お姉さんと一緒だと明日香はいつもご機嫌ね~」
「オムツを替えたらご機嫌でお利口にしていましたよ」
「佐知さんにはいつも助けられて本当にありがとう」
「お店のほうはもう大丈夫ですか」
「えぇなんとか急場は凌げたわ 食事はすんだけど誰も腰をあげようとしない所を見ると、もしかすると閉店までこの状態かもしれないわね そうだ、忘れるところだったわ 井川君から電話がきてね佐知さんに店で待っていてほしいって言付かったの、でもお店じゃ話だってままならないでしょ だから私のマンションで明日香と一緒に井川君を待ってくれる。井川君にも伝えてあるからそうして」
「わかりました ママのマンションで明日香ちゃんと一緒に井川君を待ちます」
「そうしてちょうだい、井川君が着たらそっちに行かせるから」
そう言って田鶴子は膨らんだ紙袋を佐知に差し出してきた。
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