171 / 292
さようならの予感
望みを叶えて6
しおりを挟む
それからほどなくして田鶴子のもとに雅和から電話が入った。
「今日はママにお願いしたいことがあって電話しました 俺しばらくそっちに行けそうもなくてママに美香さんのことを頼みたいんです 忙しいのにすみません」
「私でよければ喜んでお引き受けするわよ 美香さんは私の可愛い姪っ子だもの任せてちょうだい」
田鶴子は雅和のいつもと違う口調にただならぬ事態を察した。
「差し支えなければこっちに来られない理由をきかせてくれる、あっご免なさい無理に聞くつもりはないの、やっぱり止めておくわ」
「実は健康診断で母の胃に腫瘍が見つかって手術することになったんです」
「それは一大事じゃないの」
「美香さんのことも心配だけど、いま母さんが頼れるのは俺しか・・こんなとき母さんを支えられるのは俺だけだから・・すみません」
「わかったそれ以上なにも言わないでいいわ 美香さんのことは心配しないでお母様に付き添って力になっておあげなさい」
「こんな時は佐知に頼んでいたけれど今回はママにお願いするのが筋のような気がして」
「私が美香さんの叔母だからそうなのね、ところで私がお店に戻ったこと誰から?」
「佐知が同僚からお店の明かりが付いていたって聞いて俺に教えてくれました」
田鶴子は兄の近況を知るため雅和が兄の世話人だったケアマンションマネージャーの須藤に接触する事を一番に恐れていた。
「ママが帰ってきたという事は佐々木さんの体も落ち着いたのですね」
「えぇ顔色も良くなってひと安心よ でも高齢だから大事をとって退院は暫くはお預けになってしまったの」
田鶴子は佐々木の死を知られまいと淀むことなく嘘をついた。
「佐々木さんが元気になって俺すごく嬉しいです 早く退院できるといいですね」
「美香さんの事は私が責任もってお世話しますから心配しないでいいわ、井川君はお母さんが回復するまで付き添いに専念して頂戴」
「ありがとうございます 宜しくお願いします 美香さんに俺は長期出張でいない事にしてもらっていいですか」
「えぇうまく伝えておくから任せて、お母さんお大事にね」
田鶴子の潜在能力はいつもに増して鮮明になっていた。
見たくないのに見えた又見える 美香さんの命が・・・
為すすべもなく田鶴子は次から次と襲い来る焦燥感に打ちひしがれていた。
「今日はママにお願いしたいことがあって電話しました 俺しばらくそっちに行けそうもなくてママに美香さんのことを頼みたいんです 忙しいのにすみません」
「私でよければ喜んでお引き受けするわよ 美香さんは私の可愛い姪っ子だもの任せてちょうだい」
田鶴子は雅和のいつもと違う口調にただならぬ事態を察した。
「差し支えなければこっちに来られない理由をきかせてくれる、あっご免なさい無理に聞くつもりはないの、やっぱり止めておくわ」
「実は健康診断で母の胃に腫瘍が見つかって手術することになったんです」
「それは一大事じゃないの」
「美香さんのことも心配だけど、いま母さんが頼れるのは俺しか・・こんなとき母さんを支えられるのは俺だけだから・・すみません」
「わかったそれ以上なにも言わないでいいわ 美香さんのことは心配しないでお母様に付き添って力になっておあげなさい」
「こんな時は佐知に頼んでいたけれど今回はママにお願いするのが筋のような気がして」
「私が美香さんの叔母だからそうなのね、ところで私がお店に戻ったこと誰から?」
「佐知が同僚からお店の明かりが付いていたって聞いて俺に教えてくれました」
田鶴子は兄の近況を知るため雅和が兄の世話人だったケアマンションマネージャーの須藤に接触する事を一番に恐れていた。
「ママが帰ってきたという事は佐々木さんの体も落ち着いたのですね」
「えぇ顔色も良くなってひと安心よ でも高齢だから大事をとって退院は暫くはお預けになってしまったの」
田鶴子は佐々木の死を知られまいと淀むことなく嘘をついた。
「佐々木さんが元気になって俺すごく嬉しいです 早く退院できるといいですね」
「美香さんの事は私が責任もってお世話しますから心配しないでいいわ、井川君はお母さんが回復するまで付き添いに専念して頂戴」
「ありがとうございます 宜しくお願いします 美香さんに俺は長期出張でいない事にしてもらっていいですか」
「えぇうまく伝えておくから任せて、お母さんお大事にね」
田鶴子の潜在能力はいつもに増して鮮明になっていた。
見たくないのに見えた又見える 美香さんの命が・・・
為すすべもなく田鶴子は次から次と襲い来る焦燥感に打ちひしがれていた。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【新作】読切超短編集 1分で読める!!!
Grisly
現代文学
⭐︎登録お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐︎登録忘れずに!コメントお待ちしております。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
Last Recrudescence
睡眠者
現代文学
1998年、核兵器への対処法が発明された以来、その故に起こった第三次世界大戦は既に5年も渡った。庶民から大富豪まで、素人か玄人であっても誰もが皆苦しめている中、各国が戦争進行に。平和を自分の手で掴めて届けようとする理想家である村山誠志郎は、辿り着くためのチャンスを得たり失ったりその後、ある事件の仮面をつけた「奇跡」に訪れられた。同時に災厄も生まれ、その以来化け物達と怪獣達が人類を強襲し始めた。それに対して、誠志郎を含めて、「英雄」達が生れて人々を守っている。犠牲が急増しているその惨劇の戦いは人間に「災慝(さいとく)」と呼ばれている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる