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父の消息
眠れぬ夜8
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病室の美香は静かな寝息をたてていた。椅子に腰掛けた足もとにレポート用紙が落ちていた。雅和は拾い上げ書き込まれた文字を目で追った。それはSIGNPOSTのママに渡した手紙の下書きだった。雅和の顔から血の気が引いていった。
「俺は美香さんを支えるどころか苦しめていたのか・・」
ママが言った言葉を思い出していた。美香さんは無理しているわ
雅和が龍一の家に戻ったのは辺りがオレンジ色に染まった夕暮れだった。ひとり町を彷徨い帰宅した雅和は夕食を食べると早々にテーブルを離れた。
「待って雅和、頂き物のメロン冷やしてあるの 食べてから部屋に行ってよ」
「疲れたから横になりたいんだ 真砂子ごめん、俺はいいよ」
「それじゃラップして冷蔵庫にいれておくから明日の朝たべてね」
うたた寝から目覚めた雅和の耳に隣の部屋から龍一と真砂子の楽しげな声と笑い声が聞こえた。
「毎日飽きもせずいちゃついて、あいつら本当に幸せなんだな」
机の上に置いた携帯がブルブル踊りだしていた。
「もしもし井川君どこにいるの」
「どこっていつもの所、龍一の家だよ」
「美香さん心配していたわよ 絶対来るって言っていたのに顔を見せないって」
「病院には行ったけど・・今日は美香さんの寝顔見て帰ってきた」
「顔も見せないで黙って帰ったなんて井川君どうかしたの」
「・・・ 」
「話したくないなら聞かないけど明日はちゃんと顔を見せてあげてね、お願いだから美香さんに余計な心配させないで、じゃおやすみなさい」
「佐知、電話を切らないでひとりで居たくないんだ頼む佐知」
「何かあったのね」
「俺は美香さんを支えるどころか苦しめていたのか・・」
ママが言った言葉を思い出していた。美香さんは無理しているわ
雅和が龍一の家に戻ったのは辺りがオレンジ色に染まった夕暮れだった。ひとり町を彷徨い帰宅した雅和は夕食を食べると早々にテーブルを離れた。
「待って雅和、頂き物のメロン冷やしてあるの 食べてから部屋に行ってよ」
「疲れたから横になりたいんだ 真砂子ごめん、俺はいいよ」
「それじゃラップして冷蔵庫にいれておくから明日の朝たべてね」
うたた寝から目覚めた雅和の耳に隣の部屋から龍一と真砂子の楽しげな声と笑い声が聞こえた。
「毎日飽きもせずいちゃついて、あいつら本当に幸せなんだな」
机の上に置いた携帯がブルブル踊りだしていた。
「もしもし井川君どこにいるの」
「どこっていつもの所、龍一の家だよ」
「美香さん心配していたわよ 絶対来るって言っていたのに顔を見せないって」
「病院には行ったけど・・今日は美香さんの寝顔見て帰ってきた」
「顔も見せないで黙って帰ったなんて井川君どうかしたの」
「・・・ 」
「話したくないなら聞かないけど明日はちゃんと顔を見せてあげてね、お願いだから美香さんに余計な心配させないで、じゃおやすみなさい」
「佐知、電話を切らないでひとりで居たくないんだ頼む佐知」
「何かあったのね」
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