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追憶
もう一度だけ3
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雅和は来る日も来る日もこの手にもう一度抱き締めたいと佐知への思いを募らせ身を焦がしていた。
「お前も僕と同じだ」
父の言葉が今夜も胸に突き刺さっていた。
雅和は仲間と龍一の部屋に集まっていた。
「龍一、俺はつくづく自分が嫌いになったよ」
「自分を好きだなんて言ってる奴は知らないけど雅和みたいにキライだって言う奴は回りにいるよ」
「俺は愛する人を傷つけた あのとき俺は自分の事しか考えられなくて彼女を傷つけてしまった それに気づいたときは後の祭りこの有様だよ」
「去られた女に未練がタラタラってやつか」
「自分の過ちに気づいたときはすでに遅かったって経験は此所にいるみんなしているよ 雅和はやっと解ったようだけどな」
仲間にいいように玩具にされて気落ちする雅和に真砂子が言った。
「雅和がそれに気づいたって事はすごい成長だよ その気持ち伝えなくちゃだめ きっと伝わるから」
「いまさら何も聞いてはくれないだろうし分かってもらえないよ」
「今更なんて言ってないで一か八かよ 自分の非をちゃんと解っているんだもの心から謝罪出来る 今の雅和ならきっとわかってもらえる、伝わるわ」
「真砂子だけだな そんな嬉しいこと言ってくれるのは」
「真砂子のいうことは大筋間違っていないよ 僕と真砂子も今のお前たちと同じようなことあったから」
龍一は真砂子を引き寄せて膝に乗せた。
「二人は仲がいいよな、羨ましいよ」
「人並みに色々あったけど、まぁそれがあったから今に至っているんだろうな たまに大喧嘩もするけど他人同士が分かり合うにはそれも必要不可欠だって思うよ」
「雅和は喧嘩もしないで長く付き合ってる恋人いると思う もし、いたならそれは偽りの恋人だわ 真剣に相手を思っていたらいい顔ばかりではいられないもの 相手を思うからこそ言いにくい事も言うしそれでお互い傷つけあうことも でもお互いが成長できない交際なんて意味がないわ そんな関係ならいらないそう思わない雅和」
「なぁ雅和、どうでもいいなら人は口をつぐむよ そのほうがめんどくさくないし楽だからな でもそんな付き合いならしない方がいいそう思うのは僕だけかな 耳の痛いことを言い合えるから俺達は仲間でいられるんだ 今までのお前は自分に甘えてすぐ逃げだしていたんだ 今回は変われるチャンスだと思って真正面からぶつかってこい」
「待っているはずよ 本気でぶつかってくる雅和を佐知はきっと待っている」
「雅和、未練を絶ちきるためにももう一度、砕け散って来い」
仲間に背中を押され雅和はメールを打った。
/佐知、君に会いたい どんなに遅くなっても構わない 俺は君を待ち続けるずっと待っている 雅和/
佐知はなんども読み返しては溜息をついていた。
どうしてまたあの部屋が待ち合わせの場所なの
気乗りしないまま鉛に繋がれたような足取りでホテルに辿り着いていた。ロビーの椅子に座り続けていた。1102号室に向かう足は止まっていた。このまま帰ろうと立ち上がったそのときだった。
「やっぱり、ここに居たんだ」
背後から懐かしい声がした。
「お前も僕と同じだ」
父の言葉が今夜も胸に突き刺さっていた。
雅和は仲間と龍一の部屋に集まっていた。
「龍一、俺はつくづく自分が嫌いになったよ」
「自分を好きだなんて言ってる奴は知らないけど雅和みたいにキライだって言う奴は回りにいるよ」
「俺は愛する人を傷つけた あのとき俺は自分の事しか考えられなくて彼女を傷つけてしまった それに気づいたときは後の祭りこの有様だよ」
「去られた女に未練がタラタラってやつか」
「自分の過ちに気づいたときはすでに遅かったって経験は此所にいるみんなしているよ 雅和はやっと解ったようだけどな」
仲間にいいように玩具にされて気落ちする雅和に真砂子が言った。
「雅和がそれに気づいたって事はすごい成長だよ その気持ち伝えなくちゃだめ きっと伝わるから」
「いまさら何も聞いてはくれないだろうし分かってもらえないよ」
「今更なんて言ってないで一か八かよ 自分の非をちゃんと解っているんだもの心から謝罪出来る 今の雅和ならきっとわかってもらえる、伝わるわ」
「真砂子だけだな そんな嬉しいこと言ってくれるのは」
「真砂子のいうことは大筋間違っていないよ 僕と真砂子も今のお前たちと同じようなことあったから」
龍一は真砂子を引き寄せて膝に乗せた。
「二人は仲がいいよな、羨ましいよ」
「人並みに色々あったけど、まぁそれがあったから今に至っているんだろうな たまに大喧嘩もするけど他人同士が分かり合うにはそれも必要不可欠だって思うよ」
「雅和は喧嘩もしないで長く付き合ってる恋人いると思う もし、いたならそれは偽りの恋人だわ 真剣に相手を思っていたらいい顔ばかりではいられないもの 相手を思うからこそ言いにくい事も言うしそれでお互い傷つけあうことも でもお互いが成長できない交際なんて意味がないわ そんな関係ならいらないそう思わない雅和」
「なぁ雅和、どうでもいいなら人は口をつぐむよ そのほうがめんどくさくないし楽だからな でもそんな付き合いならしない方がいいそう思うのは僕だけかな 耳の痛いことを言い合えるから俺達は仲間でいられるんだ 今までのお前は自分に甘えてすぐ逃げだしていたんだ 今回は変われるチャンスだと思って真正面からぶつかってこい」
「待っているはずよ 本気でぶつかってくる雅和を佐知はきっと待っている」
「雅和、未練を絶ちきるためにももう一度、砕け散って来い」
仲間に背中を押され雅和はメールを打った。
/佐知、君に会いたい どんなに遅くなっても構わない 俺は君を待ち続けるずっと待っている 雅和/
佐知はなんども読み返しては溜息をついていた。
どうしてまたあの部屋が待ち合わせの場所なの
気乗りしないまま鉛に繋がれたような足取りでホテルに辿り着いていた。ロビーの椅子に座り続けていた。1102号室に向かう足は止まっていた。このまま帰ろうと立ち上がったそのときだった。
「やっぱり、ここに居たんだ」
背後から懐かしい声がした。
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