16 / 22
代行者 獅子座
しおりを挟む「おい、人間起きろ」
代行者に決めた人間の家へと人間界に降りた後すぐに移動しベットで気持ち良さそうに寝ている男に声をかけるレオン。
ドン。声をかけても起きないので寝ている男を蹴り落とす。
「いってぇー。何なんだ」
ベットから落ちた衝撃で目は覚めるが起きたばかりで頭が回らず自分に何が起きたか理解できなかった男。
「おい」
いきなり後ろの方から声がして反射で後ろを振り向くとそこにいたのは恐ろしい姿をした化け物が立っていた。
ヒュッ。男の喉から音が鳴る。目の前の化け物が恐ろしすぎて声が出ない。
「(こいつで本当に大丈夫か)」
男の様子を見て自分を恐れているのがわかるレオン。自分が男を選んだとはいえ少し心配になりため息を吐く。
「人間。お前に俺の代行者として戦う権利を与えてやる。光栄におもえ」
レオンがそう言って不敵な笑みを浮かべると男はその笑みを見て気絶する。
バタン。男は気絶する前「(これまでの人生でこれほど恐ろしいと思ったことはないな)」と思った。
「はあ?話しの途中で気絶する奴があるか」
生まれて初めて自分と話しているときに相手が気絶した。でも相手は人間だから仕方ないか、と自分に言い聞かせ起きるまで待つことにしたレオン。
「うーん、苦しい」
男はまるで重たい石に押し潰されているような息苦しさで目を覚ます。背中が汗で濡れていて気持ち悪いと思っていると化け物が視界に入る。
「ようやく起きたか人間」
そう声をかけるレオン。
男が息苦しかったのはレオンが中々起きない男に苛立ったため空気が重くなったから。
「(やっぱり夢じゃなかった)」
化け物の存在と空気が重く耐えられなくなりまた気を失いそうになると、レオンが神力を使って男の頬を叩く。
「話しの途中に気を失うな」
次気を失ったら殺すと目で訴えるレオン。男はれの放つ空気で何を伝えようとしているのかがわかり必死で頷く。
「話しを戻すぞ。人間、俺の代行者になって戦え。いいな」
断ることは許さないという言い方をするレオン。
「喜んで」
断ったら目の前の化け物に殺されると思い震える声でそう言う。
「そうか。それでいい。俺のために死ぬ気で働けよ」
高圧的な態度でそう言うレオン。
男はレオンの最後の言葉に聞き覚えがあった。その言葉はいつも自分が相手に向かって言う言葉だった。それを自分が言われる日がくるとは思わず失笑する男。
レオンはこれから行われる戦いについて説明する。代行者とは何か何をしないといけないかを話す。そして自分が神だということも話した。
「…ここまでで何か聞きたいことは」
男はレオンの問いに聞きたいことは山ほどあると心の中で突っ込む。
「あります」
「なんだ」
「あの、神様なのに何で化け物みたいな姿なんですか」
一番気になったことを尋ねる男。
「(今こいつ俺に向かって化け物と言ったのか)」
男の言った言葉を理解できなかった。レオンは天界で高貴な存在である。誰もが憧れる圧倒的な存在。それが黄道十二神の獅子座レオン。
そんなレオンに化け物という言葉はこの世で最も似合わない。
だからこそレオンは男が発した言葉を理解できなかった。
「貴様殺されたいのか」
神力を体に纏い殺意を男にむける。男が気絶しないよう力を調整しどういった意味でその言葉を言ったのか聞こうとする。
男は圧倒的な力の前に何もできずに死を覚悟する。この場から逃げ出したくても恐怖で体は動かない。目の前の化け物は自分を殺そうとしている。
男は生きたまま地獄に落とされた気分になった。
少ししてレオンが神力をといた。時間にするとたった数秒だったが、男にはとても長い時間にかんじた。
男は体に力が入らず床に座り込む。体中から汗が止まらず、息も上手く吸えない。化け物がまだ目の前にいるせいで恐怖から抜け出せずにいた。
「(こいつの目には俺がどう見えているのだ)」
レオンは男の向ける目が恐怖に覆われているのを見て神力を消した。
何故男がこんな目をしているのか理解できず困惑した。本当にこいつには化け物に見えているのかと。
男の言葉を信じたわけでないが念のため確認するかと神力を使って鏡をだし自分の姿を映した。
「あのクソタヌキ」
鏡に映った今の自分の姿をみて怒りを大爆発させるレオン。その時に神力を纏ってしまい男の家とその辺り一帯が一瞬で消えた。
建物は一瞬で消えたが誰も死んではいない。ただ、レオンの神力の力に耐え切れず意識を失い倒れてしまう。
レオンは王を殺そうと天界に戻ろうとするが見えない力によって阻まれ天界に戻ることができない。
「アスター」
腹の底からその名を叫ぶ。
「お呼びでしょうか。レオン様」
レオンの声が怒りに満ちていたので急いで降りるアスター。
何事かと問いかけようとしたアスターの目には信じられない光景が目に映った。町が跡形もなく消えていた。
「これはいったいどういうことだ。説明しろ」
レオンの殺気がアスターに向けられる。
「罰でございます」
なんとか声を絞り出してそう答える。
「罰だと」
「はい。皆様が己の罪を反省しないため王が強硬手段にでたと」
その言葉で余計に神力を纏いアスターは立っていられなくなり膝をつく。
「(罰だと。ふざけるな。元はといえばあいつらの自業自得だろ)」
己の罪を認めるどころか最初に声をかけてきた女神達が悪と考える。
もちろん、女神達の自業自得でもあるがレオンはやりすぎなのだ。今日だって人間界に降りる前にあんなことをした。
幾らレオンが黄道十二神の一神だとしても、流石の王も庇いきれない。何度も注意したが聞く耳を持たない。
この姿になったのはレオンの自業自得なのだ。
「レオン様。そちらの人間は」
これ以上ここにいたく無いアスターはレオンの近くで倒れている男が代行者になるのではと考えそう尋ねる。
「俺の代行者だ」
レオンの返事に「(やっぱり)」と思うアスター。
「そうでしたか。では、その方に代行者としての証を刻んでいただきます」
「証?」
何のことだそんな話しは知らん、と怪訝そうな顔でアスターを見る。
「はい。その証が無いとアナテマには参加できないのです」
アスターの言葉を聞いて「(あのクソタヌキ。アスターを呼ぶよう指示したのはこのためか)」と王の考えを見抜くレオン。
「体のどこでも構いません」
レオンは気を失って倒れている男に近づき首に手を置き神力を注いでいく。
「これでいいのか」
男のに首にネックレスみたいに獅子座の紋章が入ったのを見せる。
「はい。問題ありません。では私はこれで失礼します」
そう言うとすぐ天界に戻っていくアスター。
レオンはアスターが天界に戻っていくのを確認した後、自らの力で壊した町を元通りにする。
数分前。
レオンが神力で町が跡形もなく消えたとき、先に人間界に降りて代行者を決めていた何神かはレオンの神力を感じた。
そのせいで、レオンのだいたいの居場所を始まる前に把握された。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
悪役令嬢の騎士
コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。
異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。
少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。
そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。
少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる