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227.おだいじにゃー
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「基礎体力高い人って回復も早いんですかね」
「軟弱なガキとは鍛え方が違う」
「俺だってすぐ元気になったもん。つーか普段は風邪とか引かねえもん」
こりゃ数日は寝込みそうだな。俺はそう踏んでいたのだが、瀬名さんは翌日に治った。
あり得ない。マジで人外。土曜の朝からなんとも清々しい。生まれ変わったみたいな顔してた。瀬名恭吾は人間体温計であると同時に一日寝ると完治する超人だ。んなアホな。
「……今は解熱剤効いて楽になってるだけでしょうから油断しないでくださいよ」
「肝に命じとく」
ほんとかよ。
「けどまあどりあえず大丈夫そうなら良かったです」
「何よりも愛する恋人の献身的な看病が効いたんだ。ありがとうなマイエンジェル」
「あなたが指定した市販薬が効いたんですよ」
「愛のお粥の効果に違いない」
「米と水があれば誰でも作れます」
平日五日間は体調不良で潰れたが今日明日の休日は快適に過ごせそうだ。俺は。
突っ走るだけではスッ転ぶだけ。教訓を胸に刻むためにも今日一日は家でゆっくり過ごす。ついさっき適当に作ったかき卵スープをチビチビ食いつつ、明るく風通しの良い部屋で寛ぎの休日を開始させた。
と言いつつ、起き抜けにお洗濯とお布団干しをやりたがったのが瀬名さんだけれど。
俺がやるから引っ込んでろ風邪うつされ野郎。そう言って押さえつけるのに苦労した甲斐あって、ベランダでは洗濯物と寝具が午前の太陽と風に晒されている。
一度伏せって治ったあとは前より元気な気がするから不思議。生姜入りのかき玉スープで滋養を高める作戦だけれど普通に美味い。俺はかき玉スープ作るの得意らしい。
風邪の時はもう何もかもが辛いが体中にまとわりつく痛みと眠れないほどのダルさもくせものだ。
骨と内臓を一度全部取り出して再構築したくなるような苦行だと瀬名さんは表現した。気持ちは分かる。
ひとまずそんな事を言える程度には今のところ元気っぽい。
「あの痛みも倦怠感も身を守るための防御反応だってのは分かるが、もっとこう影の仕事人っぽく俺本体の気づかないところでひっそりと処理を終えてほしい」
「あなたがその顔してネチネチ文句言ってる時って冗談なのか本気なのかいまだに分かんないんですよ」
「本気だが」
「…………」
これだよ。
「……体内でドチャクソに暴れ回って危険信号を自覚させないと本体のあなたは熱が出ててもミッチリ仕事しちゃうでしょ」
なるほど、そうか。みたいな顔したこの男。
これだよ。あんた医療関連業界の人だろ。この大人は放っておいたら本当にパッタリ死んじゃいそうだ。死なないようにさせるためには俺がそばで見張っておかないと。
「昼はもっと体力付きそうなもんにしましょうね。なに食いたいですか?」
「朝からもう昼メシの話すんのか? ジジイかお前」
「一言多い」
計画的とかもっと言いようあるだろ。
「今日は家でゆっくりしようって言ったの遥希だろ。鰻でも取ればいいんじゃねえのか」
「弱ってた体にいきなりウナギなんかぶっ込んだら胃がビックリするでしょ」
「ババアみてえなこと言う」
「うるせえな」
確かにウチのばあちゃんは胃がビックリするとかよく言っているけど。
胃をビックリさせないでなおかつ栄養のあるものを考える。こうなるとやっぱ卵なんだよな。卵すげえよな。ヘビがよそのお宅の卵見つけに行って丸呑みしたくなる気持ち分かる。
風邪うつされ野郎に食わせるのにちょうどいい昼飯を朝からあれこれ巡らせていると、目の前から飛んでくる視線にそこで気づいた。
何かを懐かしむみたいに、しみじみと俺を見ている。
「……なんです?」
「遥希はほんとルルに似てる」
「はい?」
「俺が風邪ひいたときのルルもそんな感じだった」
「お粥作った?」
「なんでだ」
「それは幻覚です」
「だから違ぇ。治るまでずっとそばに付いててくれたんだよ」
「わ、なんだそれ可愛いな」
修学旅行で家を空けるとベッドで丸まってたくらいだもんな。瀬名さんを守りたい意志の強いルルは献身的だったに違いない。
俺が風邪をひくとガーくんには会えなくなった。外行っちゃダメって母さんに怒られるから。庭から聞こえてくるグワグワという元気な声だけが救いだったのを覚えている。
そんな家屋越しの声にですら元気を与えられたのだから、そばにくっ付いていてくれる子がいたら心強いに決まってる。
「……てか瀬名さんも普通に風邪ひく子だったんですね」
「当然だろうが。人間だぞ」
「人外だと思ってました」
「俺は人間で並みの生命だ。むしろ昔はかなりひ弱だった」
「うそだあ」
「本当」
嘘だあ。
「しょっちゅう熱出したり寝込んだり」
「へえ。見えないけど」
「一度風邪こじらせて入院したこともあるらしい」
「え、マジか」
「四歳くらいだからうろ覚えだが」
「でもそれ結構深刻な子じゃん」
「繊細なんだよ。お前と違って」
「さっきから一言多いのなんなの」
元気になった途端に失礼な。
「そこまで体弱いとマユちゃんさんたち心配したでしょうね」
「ああ。ただそこで甘やかすような親じゃねえ」
「何をしたんです?」
「近所にスイミングスクールがあって五歳の時そこに放り込まれた」
「おお。その時から泳ぎ得意だったんですか?」
「いや、まったく。得意どころか水が怖い」
マジか。
瀬名さんはかき玉を軽くかき混ぜながら思い出すような顔をした。
「とにかく嫌だった。足がつかねえのもあり得ねえ。両腕にミチミチ装着させられる浮袋も信用してなかったしな。あんなもんに俺の命は預けられない」
ヤなガキだな。
「おかげで体はどんどん丈夫になったが」
「浮袋なくてももう泳げますしね」
「健康である事の利益をそこで学んだ」
「もうちょっと純粋に楽しみましょうよ」
やっぱヤなガキだ。全然可愛くない。利益がどうのこうのとか考えんなよ五歳児が。
「で、そっからは風邪ひかなくなったの?」
「いや。前よりだいぶマシにはなったが今ほど免疫力は高くねえ。成長期に入る前まではどちらかというと弱い方だった」
今でこそこんな頑丈そうなおじさんだから想像しがたいが、子供が体調を崩しやすいのはよくあること。特別な疾患がない子でもそうなる。
瀬名さんの場合は体力の問題だったのだろう。可哀想に思ったご両親が部屋の中で匿う道を選んでいたら、今の瀬名さんは出来上がっていなかったかもしれない。
ご両親の適切な判断のおかげで丈夫に育った現おじさんは、相変わらず昔を懐かしむような顔でかき卵スープを丁寧にひと口食った。
「あれは俺がまだピチピチの十歳の頃」
「その話長くなりそうですか?」
「若干」
「じゃあいいや」
「面倒くさがるんじゃねえ、聞け。どうせ今日ヒマなんだろ」
「しょうがないなあ」
俺もスープをカップごとススっと啜る。とてもいい味に作れたと思う。
「ピチピチ十歳の恭吾くんに一体何があったんですか」
「久々に高熱を出した。しかもあの時の風邪はしつこくて熱がなかなか引かなかったんだよ。丸十日間学校休んでた」
「十日か……長ぇっすね」
「そこまで長引くのは入院した時以来だ」
「ルルも心配したんじゃない?」
「そうだな。俺の様子はルルにも伝わったと思う。いつもより落ち着きがなくて」
「普段なら朝になると出かけちゃう子がずっとベッドで寝込んでたら気になりますよ」
「ああ。賢い奴だったから俺が弱ってんのもちゃんと分かってた」
寝込んで十日になるその日、ご両親はどちらも不在だった。お父さんはいつも通り会社。お母さんはその時すでに在宅での翻訳業をしていたのだが、その日はどうしても打ち合わせで家を出なければならなかった。
熱がピークだった時よりかはいくらか回復していたそうだがご両親はやはり心配で、マユちゃんさんは日程を調整してもらうよう頼んでみると言ったそうだ。しかしそれを止めたのがピチピチ十歳の恭吾くん。一人で大丈夫と言い張って、留守番を申し出た。
「熱は引いてなくてもぶっ倒れる程じゃねえ。昼前になってもウトウトしながら寝たり起きたり繰り返してた。完全に覚醒はしてなかったが、それでもルルが部屋に入ってきたのは分かった」
「わー、もう可愛い。ルルってもしかして自分でドア開けられた?」
「開けられた。俺らが開け閉めしてんの見て自分で覚えたようだ。いつのまにか飛びついて開けるようになってた。ふすまもよく開けてた」
「賢い」
「だよな。隙間から入ってきた次にはすかさずベッドの上に乗り上げてくる」
だめだ可愛い。
「普段ならそばで一緒に丸まってるだけだ。でもその日はいつもと様子が違った。俺の顔に頭擦りつけてきて、撫でてやりたかったがその気力がない。俺がまともに動かねえと分かるとしばらくこっちをじっと見てた」
「心配だったのかな」
「たぶん」
かわいい。
「うなされつつもルルが出てったのは分かった。構ってやれないのが可哀想で……」
「あぁ……」
「そしたら少ししてまた入ってきて、それで何か……顔の横にポトッと落とされた。ルルが咥えて持ってきたんだ。オモチャだと思った。十日も放っといてたから遊んでほしいのかと。でも違った」
瀬名さんの口振りはそこでやや変わった。飼い猫のかわいいエピソードを自慢したい様子はサッと息を潜め、不味くて苦い渋茶でも飲んだような顔つきになっていく。
「多少もうろうとしながら顔を横に向けた時……」
「うん」
「……目に飛び込んできたのはアレだった」
「あれ?」
「……関節が……」
「かんせつ?」
「アレだ」
「んー……あれ?」
「そう」
「……オモチャじゃなくて?」
「身の毛もよだつブツだ」
呪詛でも唱えるみたいな低音。それによってパッと、脳裏にひとつのシルエットが浮かぶ。
瀬名さんがその顔でその言い方をする場面は、いくつかに限られる。
「え……いや、え……え?」
「…………」
「…………カマ、」
「それだ」
それだった。
「は……なんで、ルル……」
「俺も目の前にアレが転がってると理解した瞬間に体が凍った。あの一瞬は発熱の辛さも寒気もだるさも何もかも飛んだと思う」
「……え……え?」
「俺がソレを認識したと分かるとルルはそのまま部屋を出ていった」
「カ……えっと、ソレはどうしたんですか」
「どうもこうもねえ。触れねえどころか見るのも怖い。それ以前にその奇妙な物体がなんなのかさえ当時の俺には分からなかった」
カマドウマ知らなかったんだ。
「正直ガチで未知の生物だと思った。なんだか分からねえが何かがそこにある」
「アレを知らずに育った子には恐怖の時間でしょうね……」
「恐怖なんてもんじゃねえ地獄だ。ただ幸いと言うにはかなりきついがソレが動く気配はなかった。ルルがしっかり仕留めてたんだよ。息の根止めてから俺のとこに持ってきた」
「…………え」
「どうすりゃいいのかまるで分からねえ。ひたすら壁際で縮こまって動けなかった。それからまたしばらくしてルルが来たんだ。口になんか咥えて」
「なんか……」
「ベッドに飛び乗ると枕元にソレを落とした」
「それっていうのはやっぱ……」
「ソレだ」
「…………」
ルルっ!
「ルルの謎行動は小一時間続いた。息絶えたアレを何個も持ってくる。そして枕元に積み上げていく。俺はもう壁際から本気で動けない」
「遊んでくれない仕返し……?」
「ルルをバカにするな。ルルはそんなことしない」
「あ、ハイすんません。……じゃあ、もしかしてあれですか。飼い猫が仕留めた獲物を飼い主に披露しに来るっていう……?」
「いや。あいつがあんな行動をしたのは後にも先にもあの時だけだ。枕元に山盛りにされてはいたが褒めてほしいような様子でもなかった」
深々とつかれた溜め息。今まさにそれが起きているかのように瀬名さんの顔色は悪い。せっかく解熱剤で楽になれたのに。
「……あれはたぶん、俺が弱ってたせいだ」
「え……?」
「ルルは賢かったんだよ本当に。中に人間入ってんじゃねえかと疑いたくなるほど」
一拍置いて、覚悟を決めたように、ゲンナリしつつも瀬名さんは言った。
「栄養付けさせたかったんだと思う」
「…………」
食糧危機の懸念が徐々に沸き起こっている現代の人間社会で、なぜ昆虫食が注目されるか。
タンパク源として最適だからだ。量の問題もクリアしやすいからだ。肉みたいにわざわざ育てなくても魚みたいに海まで捕りに行かなくても、放っといたってそこら中にいる。
「俺が壁際で震えているとルルはさらに狩りに励んだ。恐怖はハンパねえが怒るに怒れない」
「お気遣いですからね……」
「そうだ。それに何より絶望したのは積み上がってく死骸を見ながら不意に気づいちまったおぞましい事実だ」
「事実……?」
瀬名さんはとうとうこの世の終わりみたいな顔をした。
「ウチには……アレがそんなにいるのかと……」
「…………」
瀬名さんのご実家はお庭に緑が多い。全体的に和モダンな雰囲気だけれど建物の構造は典型的な日本家屋。職人の腕が物を言う在来工法だ。
柱や梁が建物の根幹となる伝統技術で作られた家々は、人間が快適に生活するための場であると同時に、我らの良き隣人たる昆虫どもからしても風雨を凌ぐのにもってこい。草むらの中で身を潜めているより捕食者に狙われるリスクも下がる。縁の下にそそっと潜り込めば、居心地のいい住処になるだろう。
そもそも在来工法というのは、この国の気候に最も適するよう考え抜かれてきた先人のワザだ。四季による差が激しく湿度の高い日本独自の風土に合わせた合理的な技術。木材の強度を保つためにも、そこかしこの壁や床組みにあえて隙間を残す事さえある。
それはきめ細やかな設計に基づき丁寧に作られた良い家の証拠。だそうだ。建築オタクのダチが言ってた。
「…………床下かな」
「住処の詳細は考えたくもなかった」
「…………」
良い家というのは自然の一部であるということだ。こればかりはどうしても仕方ない。幸いにも見た目がキモいだけで奴らはこれと言って悪さもしない。
「マユちゃんさんも午後まで帰らなかったんでしょう? それまでずっと壁に張り付いてたんですか?」
「いや。マリアおばさんが様子見に来てくれたおかげで窮地から救い出された」
「……外国人の叔母さんまでいるの?」
「隣に住んでる人だ。あの日もおふくろがマリアおばさんに俺のことを頼んで出かけていった」
「仲良しなんですね」
「ああ。日本人の夫とこっちに戻って来て以来ずっとあそこにいる」
「へえ。気づかなかった」
「前に遥希が来た時はお隣が休暇で家を空けてた」
「あぁ」
瀬名さんの実家付近は楽しそうだ。パーティーが似合う日本人家庭ってこういう風にしてできるのか。
「ほんの小一時間でも俺には一生のように長く思えた。だからマリアおばさんは大恩人だ」
「マリアおばさんはアレに耐性ある人なんですか?」
「ねえよ。食事持って部屋入ってきた瞬間に悲鳴上げてた」
「二次災害」
「あそこまで激しいドイツ語まくし立ててるおばさんを見たのはあの時だけだな」
ドイツの人なのか。だから瀬名さんも喋れるんだ、なるほど。
「マリアおばさんにも処理できねえから近所のじいさん呼んできてくれて、そこでアレがなんと呼ばれてる生物なのかを知ったんだよ。別名も含めて」
「別名?」
「ベンジョコウロギ」
「それは言えるんだ」
なんとも不名誉な肩書だと思う。昔はお便所によく出ていたのかもしれない。じゃあ仕方ねえやどう見てもベンジョコウロギだ。
「でもルルはショック受けたんじゃないですか? せっかく瀬名さんのためにゴハンいっぱい捕まえてきたのに」
「ゴハンとか言うな」
「あーはい。サーセン」
「ただ俺もルルには申し訳ないから処理中はマリアおばさんに頼んでルルを外に連れ出してもらってた」
飼い猫への配慮が抜かりない。気持ちは絶対にむげにしない。
こういう人だからこそ元気になってもらいたくて、栄養のあるゴハンを山盛りになるまで頑張って捕まえてきたのだろう。
「それで一件落着?」
「いいや。処理が終わって部屋に戻されたルルは俺をじっと観察しはじめた」
「ええっと、それは……」
「元気になったか確認だ」
「やっぱり」
「ルルには悪いが元気になるどころか生気は完全に吸い取られてる。それを見たあいつは案の定納得しなかった。すかさず狩りに行くそぶりを見せて……」
「まだ狩るんだ」
「その行動を察知したマリアおばさんが慌ててルルを抱き上げて止めた」
「マリアおばさんナイス」
また近所のじいちゃん呼んでくるところだ。
「そこからさらに一時間くらいしておふくろが帰って来た」
「あ、よかった」
ルルを確実に止められる人。キキがあの感じということは、ルルもマユちゃんさんにはきっと従順だったはず。
「マリアおばさんは俺が憔悴しきってる理由をおふくろに話して聞かせてた。その間に朱里も学校から戻ってきたんだけどな、あいつは俺にソレがどんな姿形だったかキラッキラした目で聞いてきやがるんだよ」
追い打ち。
「その時初めて妹を悪魔だと思った」
「…………」
小さな妹の純真な目にはしこたま打ちのめされただろう。飼い猫のことも心から愛しているから、より一層複雑だっただろう。
そのあとで大好きな恭吾くんが元気になったのを見たルルは、ベンジョコウロギたらふく食ったおかげで治ったんだと思ったかもしれない。
「あなたがアレに異様なまでにビビってた謎がようやく解けました」
「一生癒えねえ傷になった」
「死んだ直後のデカい虫が枕元に山盛りにされたらね」
「そのうちの数匹は時々あのキモい足がピクッと……」
「うわ……」
「…………」
「自分で言って吐きそうな顔すんのやめて」
「言わなきゃよかったと後悔してる」
瀬名さんの脳裏には間違いなく当時の情景が鮮明に蘇っている。かき卵スープを前にしながら食欲は失せているだろう。なんで今この話したんだろうな。
感情が揺り動かされる出来事が起こったときに最も発揮されてしまうのが繊細な人の記憶力だ。
人間のトラウマはこうやって作られていく。瀬名さんはこの後またちょっと寝込んだ。
「軟弱なガキとは鍛え方が違う」
「俺だってすぐ元気になったもん。つーか普段は風邪とか引かねえもん」
こりゃ数日は寝込みそうだな。俺はそう踏んでいたのだが、瀬名さんは翌日に治った。
あり得ない。マジで人外。土曜の朝からなんとも清々しい。生まれ変わったみたいな顔してた。瀬名恭吾は人間体温計であると同時に一日寝ると完治する超人だ。んなアホな。
「……今は解熱剤効いて楽になってるだけでしょうから油断しないでくださいよ」
「肝に命じとく」
ほんとかよ。
「けどまあどりあえず大丈夫そうなら良かったです」
「何よりも愛する恋人の献身的な看病が効いたんだ。ありがとうなマイエンジェル」
「あなたが指定した市販薬が効いたんですよ」
「愛のお粥の効果に違いない」
「米と水があれば誰でも作れます」
平日五日間は体調不良で潰れたが今日明日の休日は快適に過ごせそうだ。俺は。
突っ走るだけではスッ転ぶだけ。教訓を胸に刻むためにも今日一日は家でゆっくり過ごす。ついさっき適当に作ったかき卵スープをチビチビ食いつつ、明るく風通しの良い部屋で寛ぎの休日を開始させた。
と言いつつ、起き抜けにお洗濯とお布団干しをやりたがったのが瀬名さんだけれど。
俺がやるから引っ込んでろ風邪うつされ野郎。そう言って押さえつけるのに苦労した甲斐あって、ベランダでは洗濯物と寝具が午前の太陽と風に晒されている。
一度伏せって治ったあとは前より元気な気がするから不思議。生姜入りのかき玉スープで滋養を高める作戦だけれど普通に美味い。俺はかき玉スープ作るの得意らしい。
風邪の時はもう何もかもが辛いが体中にまとわりつく痛みと眠れないほどのダルさもくせものだ。
骨と内臓を一度全部取り出して再構築したくなるような苦行だと瀬名さんは表現した。気持ちは分かる。
ひとまずそんな事を言える程度には今のところ元気っぽい。
「あの痛みも倦怠感も身を守るための防御反応だってのは分かるが、もっとこう影の仕事人っぽく俺本体の気づかないところでひっそりと処理を終えてほしい」
「あなたがその顔してネチネチ文句言ってる時って冗談なのか本気なのかいまだに分かんないんですよ」
「本気だが」
「…………」
これだよ。
「……体内でドチャクソに暴れ回って危険信号を自覚させないと本体のあなたは熱が出ててもミッチリ仕事しちゃうでしょ」
なるほど、そうか。みたいな顔したこの男。
これだよ。あんた医療関連業界の人だろ。この大人は放っておいたら本当にパッタリ死んじゃいそうだ。死なないようにさせるためには俺がそばで見張っておかないと。
「昼はもっと体力付きそうなもんにしましょうね。なに食いたいですか?」
「朝からもう昼メシの話すんのか? ジジイかお前」
「一言多い」
計画的とかもっと言いようあるだろ。
「今日は家でゆっくりしようって言ったの遥希だろ。鰻でも取ればいいんじゃねえのか」
「弱ってた体にいきなりウナギなんかぶっ込んだら胃がビックリするでしょ」
「ババアみてえなこと言う」
「うるせえな」
確かにウチのばあちゃんは胃がビックリするとかよく言っているけど。
胃をビックリさせないでなおかつ栄養のあるものを考える。こうなるとやっぱ卵なんだよな。卵すげえよな。ヘビがよそのお宅の卵見つけに行って丸呑みしたくなる気持ち分かる。
風邪うつされ野郎に食わせるのにちょうどいい昼飯を朝からあれこれ巡らせていると、目の前から飛んでくる視線にそこで気づいた。
何かを懐かしむみたいに、しみじみと俺を見ている。
「……なんです?」
「遥希はほんとルルに似てる」
「はい?」
「俺が風邪ひいたときのルルもそんな感じだった」
「お粥作った?」
「なんでだ」
「それは幻覚です」
「だから違ぇ。治るまでずっとそばに付いててくれたんだよ」
「わ、なんだそれ可愛いな」
修学旅行で家を空けるとベッドで丸まってたくらいだもんな。瀬名さんを守りたい意志の強いルルは献身的だったに違いない。
俺が風邪をひくとガーくんには会えなくなった。外行っちゃダメって母さんに怒られるから。庭から聞こえてくるグワグワという元気な声だけが救いだったのを覚えている。
そんな家屋越しの声にですら元気を与えられたのだから、そばにくっ付いていてくれる子がいたら心強いに決まってる。
「……てか瀬名さんも普通に風邪ひく子だったんですね」
「当然だろうが。人間だぞ」
「人外だと思ってました」
「俺は人間で並みの生命だ。むしろ昔はかなりひ弱だった」
「うそだあ」
「本当」
嘘だあ。
「しょっちゅう熱出したり寝込んだり」
「へえ。見えないけど」
「一度風邪こじらせて入院したこともあるらしい」
「え、マジか」
「四歳くらいだからうろ覚えだが」
「でもそれ結構深刻な子じゃん」
「繊細なんだよ。お前と違って」
「さっきから一言多いのなんなの」
元気になった途端に失礼な。
「そこまで体弱いとマユちゃんさんたち心配したでしょうね」
「ああ。ただそこで甘やかすような親じゃねえ」
「何をしたんです?」
「近所にスイミングスクールがあって五歳の時そこに放り込まれた」
「おお。その時から泳ぎ得意だったんですか?」
「いや、まったく。得意どころか水が怖い」
マジか。
瀬名さんはかき玉を軽くかき混ぜながら思い出すような顔をした。
「とにかく嫌だった。足がつかねえのもあり得ねえ。両腕にミチミチ装着させられる浮袋も信用してなかったしな。あんなもんに俺の命は預けられない」
ヤなガキだな。
「おかげで体はどんどん丈夫になったが」
「浮袋なくてももう泳げますしね」
「健康である事の利益をそこで学んだ」
「もうちょっと純粋に楽しみましょうよ」
やっぱヤなガキだ。全然可愛くない。利益がどうのこうのとか考えんなよ五歳児が。
「で、そっからは風邪ひかなくなったの?」
「いや。前よりだいぶマシにはなったが今ほど免疫力は高くねえ。成長期に入る前まではどちらかというと弱い方だった」
今でこそこんな頑丈そうなおじさんだから想像しがたいが、子供が体調を崩しやすいのはよくあること。特別な疾患がない子でもそうなる。
瀬名さんの場合は体力の問題だったのだろう。可哀想に思ったご両親が部屋の中で匿う道を選んでいたら、今の瀬名さんは出来上がっていなかったかもしれない。
ご両親の適切な判断のおかげで丈夫に育った現おじさんは、相変わらず昔を懐かしむような顔でかき卵スープを丁寧にひと口食った。
「あれは俺がまだピチピチの十歳の頃」
「その話長くなりそうですか?」
「若干」
「じゃあいいや」
「面倒くさがるんじゃねえ、聞け。どうせ今日ヒマなんだろ」
「しょうがないなあ」
俺もスープをカップごとススっと啜る。とてもいい味に作れたと思う。
「ピチピチ十歳の恭吾くんに一体何があったんですか」
「久々に高熱を出した。しかもあの時の風邪はしつこくて熱がなかなか引かなかったんだよ。丸十日間学校休んでた」
「十日か……長ぇっすね」
「そこまで長引くのは入院した時以来だ」
「ルルも心配したんじゃない?」
「そうだな。俺の様子はルルにも伝わったと思う。いつもより落ち着きがなくて」
「普段なら朝になると出かけちゃう子がずっとベッドで寝込んでたら気になりますよ」
「ああ。賢い奴だったから俺が弱ってんのもちゃんと分かってた」
寝込んで十日になるその日、ご両親はどちらも不在だった。お父さんはいつも通り会社。お母さんはその時すでに在宅での翻訳業をしていたのだが、その日はどうしても打ち合わせで家を出なければならなかった。
熱がピークだった時よりかはいくらか回復していたそうだがご両親はやはり心配で、マユちゃんさんは日程を調整してもらうよう頼んでみると言ったそうだ。しかしそれを止めたのがピチピチ十歳の恭吾くん。一人で大丈夫と言い張って、留守番を申し出た。
「熱は引いてなくてもぶっ倒れる程じゃねえ。昼前になってもウトウトしながら寝たり起きたり繰り返してた。完全に覚醒はしてなかったが、それでもルルが部屋に入ってきたのは分かった」
「わー、もう可愛い。ルルってもしかして自分でドア開けられた?」
「開けられた。俺らが開け閉めしてんの見て自分で覚えたようだ。いつのまにか飛びついて開けるようになってた。ふすまもよく開けてた」
「賢い」
「だよな。隙間から入ってきた次にはすかさずベッドの上に乗り上げてくる」
だめだ可愛い。
「普段ならそばで一緒に丸まってるだけだ。でもその日はいつもと様子が違った。俺の顔に頭擦りつけてきて、撫でてやりたかったがその気力がない。俺がまともに動かねえと分かるとしばらくこっちをじっと見てた」
「心配だったのかな」
「たぶん」
かわいい。
「うなされつつもルルが出てったのは分かった。構ってやれないのが可哀想で……」
「あぁ……」
「そしたら少ししてまた入ってきて、それで何か……顔の横にポトッと落とされた。ルルが咥えて持ってきたんだ。オモチャだと思った。十日も放っといてたから遊んでほしいのかと。でも違った」
瀬名さんの口振りはそこでやや変わった。飼い猫のかわいいエピソードを自慢したい様子はサッと息を潜め、不味くて苦い渋茶でも飲んだような顔つきになっていく。
「多少もうろうとしながら顔を横に向けた時……」
「うん」
「……目に飛び込んできたのはアレだった」
「あれ?」
「……関節が……」
「かんせつ?」
「アレだ」
「んー……あれ?」
「そう」
「……オモチャじゃなくて?」
「身の毛もよだつブツだ」
呪詛でも唱えるみたいな低音。それによってパッと、脳裏にひとつのシルエットが浮かぶ。
瀬名さんがその顔でその言い方をする場面は、いくつかに限られる。
「え……いや、え……え?」
「…………」
「…………カマ、」
「それだ」
それだった。
「は……なんで、ルル……」
「俺も目の前にアレが転がってると理解した瞬間に体が凍った。あの一瞬は発熱の辛さも寒気もだるさも何もかも飛んだと思う」
「……え……え?」
「俺がソレを認識したと分かるとルルはそのまま部屋を出ていった」
「カ……えっと、ソレはどうしたんですか」
「どうもこうもねえ。触れねえどころか見るのも怖い。それ以前にその奇妙な物体がなんなのかさえ当時の俺には分からなかった」
カマドウマ知らなかったんだ。
「正直ガチで未知の生物だと思った。なんだか分からねえが何かがそこにある」
「アレを知らずに育った子には恐怖の時間でしょうね……」
「恐怖なんてもんじゃねえ地獄だ。ただ幸いと言うにはかなりきついがソレが動く気配はなかった。ルルがしっかり仕留めてたんだよ。息の根止めてから俺のとこに持ってきた」
「…………え」
「どうすりゃいいのかまるで分からねえ。ひたすら壁際で縮こまって動けなかった。それからまたしばらくしてルルが来たんだ。口になんか咥えて」
「なんか……」
「ベッドに飛び乗ると枕元にソレを落とした」
「それっていうのはやっぱ……」
「ソレだ」
「…………」
ルルっ!
「ルルの謎行動は小一時間続いた。息絶えたアレを何個も持ってくる。そして枕元に積み上げていく。俺はもう壁際から本気で動けない」
「遊んでくれない仕返し……?」
「ルルをバカにするな。ルルはそんなことしない」
「あ、ハイすんません。……じゃあ、もしかしてあれですか。飼い猫が仕留めた獲物を飼い主に披露しに来るっていう……?」
「いや。あいつがあんな行動をしたのは後にも先にもあの時だけだ。枕元に山盛りにされてはいたが褒めてほしいような様子でもなかった」
深々とつかれた溜め息。今まさにそれが起きているかのように瀬名さんの顔色は悪い。せっかく解熱剤で楽になれたのに。
「……あれはたぶん、俺が弱ってたせいだ」
「え……?」
「ルルは賢かったんだよ本当に。中に人間入ってんじゃねえかと疑いたくなるほど」
一拍置いて、覚悟を決めたように、ゲンナリしつつも瀬名さんは言った。
「栄養付けさせたかったんだと思う」
「…………」
食糧危機の懸念が徐々に沸き起こっている現代の人間社会で、なぜ昆虫食が注目されるか。
タンパク源として最適だからだ。量の問題もクリアしやすいからだ。肉みたいにわざわざ育てなくても魚みたいに海まで捕りに行かなくても、放っといたってそこら中にいる。
「俺が壁際で震えているとルルはさらに狩りに励んだ。恐怖はハンパねえが怒るに怒れない」
「お気遣いですからね……」
「そうだ。それに何より絶望したのは積み上がってく死骸を見ながら不意に気づいちまったおぞましい事実だ」
「事実……?」
瀬名さんはとうとうこの世の終わりみたいな顔をした。
「ウチには……アレがそんなにいるのかと……」
「…………」
瀬名さんのご実家はお庭に緑が多い。全体的に和モダンな雰囲気だけれど建物の構造は典型的な日本家屋。職人の腕が物を言う在来工法だ。
柱や梁が建物の根幹となる伝統技術で作られた家々は、人間が快適に生活するための場であると同時に、我らの良き隣人たる昆虫どもからしても風雨を凌ぐのにもってこい。草むらの中で身を潜めているより捕食者に狙われるリスクも下がる。縁の下にそそっと潜り込めば、居心地のいい住処になるだろう。
そもそも在来工法というのは、この国の気候に最も適するよう考え抜かれてきた先人のワザだ。四季による差が激しく湿度の高い日本独自の風土に合わせた合理的な技術。木材の強度を保つためにも、そこかしこの壁や床組みにあえて隙間を残す事さえある。
それはきめ細やかな設計に基づき丁寧に作られた良い家の証拠。だそうだ。建築オタクのダチが言ってた。
「…………床下かな」
「住処の詳細は考えたくもなかった」
「…………」
良い家というのは自然の一部であるということだ。こればかりはどうしても仕方ない。幸いにも見た目がキモいだけで奴らはこれと言って悪さもしない。
「マユちゃんさんも午後まで帰らなかったんでしょう? それまでずっと壁に張り付いてたんですか?」
「いや。マリアおばさんが様子見に来てくれたおかげで窮地から救い出された」
「……外国人の叔母さんまでいるの?」
「隣に住んでる人だ。あの日もおふくろがマリアおばさんに俺のことを頼んで出かけていった」
「仲良しなんですね」
「ああ。日本人の夫とこっちに戻って来て以来ずっとあそこにいる」
「へえ。気づかなかった」
「前に遥希が来た時はお隣が休暇で家を空けてた」
「あぁ」
瀬名さんの実家付近は楽しそうだ。パーティーが似合う日本人家庭ってこういう風にしてできるのか。
「ほんの小一時間でも俺には一生のように長く思えた。だからマリアおばさんは大恩人だ」
「マリアおばさんはアレに耐性ある人なんですか?」
「ねえよ。食事持って部屋入ってきた瞬間に悲鳴上げてた」
「二次災害」
「あそこまで激しいドイツ語まくし立ててるおばさんを見たのはあの時だけだな」
ドイツの人なのか。だから瀬名さんも喋れるんだ、なるほど。
「マリアおばさんにも処理できねえから近所のじいさん呼んできてくれて、そこでアレがなんと呼ばれてる生物なのかを知ったんだよ。別名も含めて」
「別名?」
「ベンジョコウロギ」
「それは言えるんだ」
なんとも不名誉な肩書だと思う。昔はお便所によく出ていたのかもしれない。じゃあ仕方ねえやどう見てもベンジョコウロギだ。
「でもルルはショック受けたんじゃないですか? せっかく瀬名さんのためにゴハンいっぱい捕まえてきたのに」
「ゴハンとか言うな」
「あーはい。サーセン」
「ただ俺もルルには申し訳ないから処理中はマリアおばさんに頼んでルルを外に連れ出してもらってた」
飼い猫への配慮が抜かりない。気持ちは絶対にむげにしない。
こういう人だからこそ元気になってもらいたくて、栄養のあるゴハンを山盛りになるまで頑張って捕まえてきたのだろう。
「それで一件落着?」
「いいや。処理が終わって部屋に戻されたルルは俺をじっと観察しはじめた」
「ええっと、それは……」
「元気になったか確認だ」
「やっぱり」
「ルルには悪いが元気になるどころか生気は完全に吸い取られてる。それを見たあいつは案の定納得しなかった。すかさず狩りに行くそぶりを見せて……」
「まだ狩るんだ」
「その行動を察知したマリアおばさんが慌ててルルを抱き上げて止めた」
「マリアおばさんナイス」
また近所のじいちゃん呼んでくるところだ。
「そこからさらに一時間くらいしておふくろが帰って来た」
「あ、よかった」
ルルを確実に止められる人。キキがあの感じということは、ルルもマユちゃんさんにはきっと従順だったはず。
「マリアおばさんは俺が憔悴しきってる理由をおふくろに話して聞かせてた。その間に朱里も学校から戻ってきたんだけどな、あいつは俺にソレがどんな姿形だったかキラッキラした目で聞いてきやがるんだよ」
追い打ち。
「その時初めて妹を悪魔だと思った」
「…………」
小さな妹の純真な目にはしこたま打ちのめされただろう。飼い猫のことも心から愛しているから、より一層複雑だっただろう。
そのあとで大好きな恭吾くんが元気になったのを見たルルは、ベンジョコウロギたらふく食ったおかげで治ったんだと思ったかもしれない。
「あなたがアレに異様なまでにビビってた謎がようやく解けました」
「一生癒えねえ傷になった」
「死んだ直後のデカい虫が枕元に山盛りにされたらね」
「そのうちの数匹は時々あのキモい足がピクッと……」
「うわ……」
「…………」
「自分で言って吐きそうな顔すんのやめて」
「言わなきゃよかったと後悔してる」
瀬名さんの脳裏には間違いなく当時の情景が鮮明に蘇っている。かき卵スープを前にしながら食欲は失せているだろう。なんで今この話したんだろうな。
感情が揺り動かされる出来事が起こったときに最も発揮されてしまうのが繊細な人の記憶力だ。
人間のトラウマはこうやって作られていく。瀬名さんはこの後またちょっと寝込んだ。
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