貢がせて、ハニー!

わこ

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202.メンターⅠ

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 大学の講義レポートを打つ手を一旦止めた。文書を保存し、首を一周回したついでにチラリと左隣を見れば瀬名さんの横顔がある。完璧に美しいラインはやや下に向けられていた。その視線の先は本だ。

 趣味か。仕事か。勉強中だろうか。タイトルからしておそらくは生命科学かその辺の分野。医用工学っぽい感じかな。とにかくその類の書籍だろう。
 この人の場合それは仕事でもあり、興味を惹かれる趣味でもありそう。

「……瀬名さんって勉強好きですよね」
「あ?」

 思わず声をかけてしまったせいで瀬名さんが顔を上げた。コテンと小首を傾げる動作がこんなにも似合う三十三歳は牢にでも入れておいた方が世の平安のためだと思う。

 破壊力高めな社会人男性は現役大学生の俺から見ても毎日勉強ばっかりしている。しかもそこに無駄がない。無駄があってもどこかしらで役に立たせる。
 大人になってもなお学び続けるこの姿をマコトくんに見せようものなら、震えながら目と耳を塞いで呆然と打ちひしがれるかもしれない。

「チビの頃は思ってたんです。大人になったらきっと勉強なんかしなくて良くなるんだろうなって」
「俺も大人は楽そうでいいなっていつも思ってた」

 多くの子供が早く大人にしてくれと星と妖精にお願いするのは、周りにいる大人達が自由そうに見えるからだ。
 ガミガミ言ってくる親や先生はいない。宿題忘れて怒られることもない。古文や歴史を勉強したところで何の役に立つのだろうかといちいち考える必要もない。嫌いな教科とは一生おさらばできる。

 そんな理想を抱く瞬間を全国の子供たちが一度はポヤッと通過しているに違いないが、正反対の光景がいま俺の目の前に。

「残念ながら実際はその逆だった」

 理想は所詮理想でしかないそうだ。
 大人は自由で楽しそう。怒られてヘコむ事とかなさそう。そんなのは子供の頃の大いなる誤解だ。瀬名さんは現実を突き付けてくる。

 テーブルの上にそっと置かれた医用工学らしきその本。後ろのベッドに寄り掛かったこの人は、俺のレポートの方に目を向けながら立てた左膝に腕を乗っけた。
 雑誌の表紙顔負けのお姿。早いとこ牢屋にしまうべきだ。牢獄が必要になるほど綺麗な男は憂い気に呟く。

「知りたいことを知るのは難しい。一知るには百知らなきゃならねえが俺はその百のうちの一つもまともに分かってない。三十年くらい生きてみてようやく気づけたのがそれだけだ」

 なんでもできるこの大人ですらそんな事をしみじみ言うのか。人の一生は残酷にできてる。

「学生の頃まではテスト期間とかいう地獄週間があるだろ」
「うん」
「お前の言う大人って奴はそのテストを抜き打ちでなおかつ分刻みに受け続けてるようなもんだ」
「あぁ……」
「おかげで自分がいかにものを知らねえか常々思い知らされる」

 親切に単元で区切られている高校生の定期テストとは違う。
 手探りで学ぶ。それを常に試される。正しいかどうかも定かでない中での終わりすら見えない状況は、どこかで投げ出したくなるかもしれない。

「気の滅入るような話です……」
「俺もだ。いい加減嫌気がさしてくる事もあるが、これだけは死ぬまで変わらねえんだろうな。知れば知るほど知らねえことは増えてく」

 ふと、その瞬間に何か、既視感というか。耳に心地いい感覚があった。今のと似たような言葉をどこかで、俺は前にも聞いた気がする。
 いつだろう。なんだか懐かしい。同時になぜか温かい気分。そのせいでついつい瀬名さんから目を離せなくなっていると、反対にその視線がパッと俺をとらえた。

「て感じに、俺がちょっといいこと言ってる時にお前が憧れと尊敬の眼差しを向けてくるのはよく知ってる」
「それを今自分で台無しにしましたよ」
「極めていい気分だ」
「俺はこんな大人にだけはならない」

 嫌悪と軽蔑の眼差しに変わった。

 せっかく見直しかけていたのにあっさり裏切ってくるのがこの人。至近距離から蔑まされても瀬名さんは変態なので動じない。動じるどころか楽し気に笑う。

「何がおかしいんすか」
「いいや。お前がなりたくねえこんな大人がわざわざ講釈垂れる必要はどこにもねえんだろうなと」
「はい?」
「俺が三十年かかって気づいたことに遥希はとっくに気づいてる」
「ついさっきあなたに聞かされて早くも挫けたところですけど」
「なら気づいてた事に気づいてねえだけだ」

 なんだそりゃ。

「今の子はすげえよ。やたらと達観してる」
「達観……というより、俺らは単に前の世代の大人達が日々絶望した顔で生きてる姿を生まれた時から見て育っているので」
「なんかごめんな」

 そう言う瀬名さんもどちらかというと俺達寄りの仲間だろう。一瞬だけの儚い泡時代の生まれで弾けた後育ちの人だ。パアッと散って飛んだ大人達の絶望をありありと見せつけられてきた世代。
 給料は上がらないし肩書は名ばかりでむしろ管理職になってしまうとサビ残が必須になるから働けば働くほど損をする。そうやってどんよりとツラそうに通勤する前の世代のようにはなりたくないと思いながら公務員目指したりして安定だけを第一に育つ。なんて悲しい国なのか。

「頑張っても報われない世の中ならとりあえずやれるだけ頑張っといた方が駄目だったときの諦めも付きやすそうかな」
「その考えでいける奴は大丈夫だ」
「なんか勉強しなさいって言われてた時期が今思うと一番楽だったのかも」
「同感だがお前は親に勉強しなさいなんて言われたことねえだろ」
「え?……ああ……確かに。うん。ないですね」
「やっぱりな」
「瀬名さんとこのご両親もあんま言わない感じしますけど」
「…………そういやねえな」
「自分も同じじゃないですか」

 全ての知識とこの世の真理を最初から注入された状態で華々しく生まれてこられれば人生は楽勝に進むのだろう。
 しかし最初から全部分かっていたら誰も生まれてきたがらなくなるかもしれない。真理は手が届かないからこそ真理だ。生き物が滅ばずに生きていくにはちょっとバカなくらいがちょうどいい。

 それでも分からない物事に囲まれるのは暗い井戸に放り込まれるようなもので、深すぎるから頭上の出口はただの小さな点に見える。その小さな白い光を見上げるばかりで気が遠くなるくらいなら、何も見ずにいる方が明るく楽しく過ごせるだろう。

 出口までの距離は考えない。見上げない。ここを登るのは簡単。いつでもできる。
 そうやって自分を高く評価して過ごせば、現実に今いるのがどんな場所でも心の安定は辛うじて保てる。


 そういえば前に行っていたバイト先の客にとても安らかそうな人がいた。妙に馴れ馴れしい社会人で、若そうに見えたし実際若かっただろう。
 顔立ちからして二十代中盤から三十前後くらいだったろうか。会社員を名乗っていたがビジネススーツを着ている事はほぼなく、ITベンチャーやなんかで見かけるようなラフな格好が多い男性だった。
 オフィスカジュアルな装いのときでも大抵はジャケットに白のTシャツ。黒系のタートルネックも好きっぽい。下はピタッとしたスリムパンツとピカッと磨かれたスタイリッシュな革靴。成功してる風の人の服装を真似れば成功できるってわけじゃないと思うけど。

 こういう人でも居酒屋来るんだな。というのが初見の感想だった。オシャレっぽいコーヒーチェーンでノーパソ開いていそうな人なのに。
 カウンター席がお気に入りの常連。一回来るとなかなか帰らない。いかにもな感じのその客がしょっちゅう、なんか話しかけてくる。

「学生の時ってさ、人生で最も時間を自由に使えるって思うじゃん? でもそういう時代こそ大切にしておけな。よく考えて行動しないと社会出てから絶対後悔するから」

 目が合えば、いや一切合わずとも、近くを通っただけで絡んでくるためあの客だけはひたすらウザかった。
 完全なシラフでも常にこのテンションだ。これが東京という街なのかと、上京初期に失望を味わった。

 そいつは居酒屋になぜか毎回わざわざ本を持ってきて読む。リーダーシップやらマネジメントやらとデカデカ書いてある本がほとんど。あとは起業がどうのこうのとか。
「これさえやれば上手くいく。スタートアップに絶対必要な十四の成功法則!」系のタイトルをやたらといくつもカウンター席で読み漁っていたので、これさえやっても上手くいかなかったのだろう。

 客の少ない店だったから読書して居座ること自体は別段構わないのだが、料理を運びに行くと何読んでんだかこっちに見えるようにして本を持ち直すためこれまたウザくて仕方がない。

「あーこれ? スマホ見てる暇があるなら良質な知識をちょっとでも蓄えときたいんだよね。アナログな媒体にこそ重要な教えが実は詰まってるから。俺は肩書なんか求めてないのに入社してすぐ出世しちゃってさぁ、ウチの会社って少数精鋭なんで。人を動かすには説得力とか統率能力も必要になるんだけどね、じゃあ統率力って何よって話をこういう紙媒体で深く知れちゃうワケ」

 聞いてもいないのに語りだす。俺を含むバイトは愛想笑いのスキルをこの客一人のおかげでメキメキ高める。
 でも人はあんまり来ない店だったのでそれ自体は特段構わないし店長も引き気味に笑うだけだったのだが、あの客は何を勘違いしていたのか俺達にあれこれ上から言ってくる。

「知識は絶対裏切らないよ」

 とか。

「若い時代のイマが重要なんだから」

 とか。

「何もしないうちから自分の価値を決めつけちゃダメだってもったいないよ。やる気次第で人は変われる」

 とか。

「エジソンもアインシュタインも子供の頃は周りから馬鹿だと思われてたんだ。努力すれば誰でも必ず成功できるっていう証拠を知るだけで世界の見え方変わってくるでしょ? だからキミも諦めるのはまだ早いよ。ムリだと思ってることがあったら自分は全然努力してなかったんだと気づくところからまず始めてみようね」

 うんぬんかんぬん。
 学生バイト相手にどこまでもとことん先輩風を吹かせたいらしく、何かしらの自慢と受け売りの知識をひけらかすのが止まらない。

「あーそれと人脈な人脈。若いうちからなるべく色んな人と関わって質のいい人間関係構築しておけよ。これだけはもう必須だから」

 この客はいつも独りで長時間ここに居座っている。

「友達百人できるかなってやつ小学校で歌うじゃん? 意外かもしれないけどあの歌詞の重要性は科学的にも証明できちゃうんだよ。あ、ていうかまず確認なんだけど俺の言ってるイミ理解できてる? 人脈があるかないかで人生ってマジで変わるよってハナシね。人脈=チャンスくらいに思っといて間違いないから。でもこういうの痛感するのって結局社会に出てからなんだよなー、うん。分かるよ。俺もそうだった」

 鬱陶しいなコイツ蹴り倒してやろうかという割と本気モードの殺意を愛想笑いの下に押し隠すスキルを俺達バイトはメキメキ高める。

「この前もとある企業のCEOと今後の課題について議論したんだけどさー、ビジョナリーな視点の話を色々聞けるから結構参考になるんだよね。同世代でずっと平社員止まりの奴だと全く話し合わないのに彼らとはいつも有意義な時間を共有できるから不思議なんだよなー」

 メキメキ高める。

「まあとにかくね、キミらも本は読んどきなってコト。将来絶対に役に立つから。なーんて言う俺も年間三百五十冊くらいが限界なんだけど。本当はもっと知識吸収したいんだけどなー、忙しいのだけはどうにもならないよ。向上心のない今時の若手社員を教育する責任もあるしさー、俺が抱えてる仕事って他よりも圧倒的に多いから家帰れないとかザラにあってこうなると時間的制約がねぇ……キツイいじゃん? これくらいは学生でも想像つきそう?」

 メキメキ高める。だから冷静に考えられる。
 部下は上司を選べない。社会人の皆さんは大変だ。


 客の少ない居酒屋がサクッと潰れてしまった今、あの男性はどこで誰を相手に読書量自慢を繰り広げているのだろう。
 あの時の社会人を思い出しながら隣を見るとつくづく思う。同じ働く大人であってもこうも差がつくものなのか。

 俺の隣にいるこの人は、知りたい事のヒントを探しに出かけるのをただただ純粋に楽しんでいる。物静かに周りを見渡し、何かちょっといいものを見つけると微かに目元を柔らかくする。
 部下は上司を選べないけど、瀬名さんが上司なら部下は幸せだろう。もし俺が部下ならそう思う。なぜならこの人から感じるものは、いつだってあたたかい。

「……バイトの学生でも見下さないですもんね」
「あ?」
「いえ。ひとりごと」

 取り返しがつかない程の愚か者にせめてならないためには地道に学び続けるしかない。

 中断していたレポート作成は誤字脱字チェックをすれば終わる。面倒な校正作業のために俺がパソコンに向かった横では、瀬名さんが本を手に取っていた。
 少し前に大きい書店から届いたのがそれだったはず。中古とは違って書き込みもラインマーカーもない。今の瀬名さんはストレスフリーだ。

「その本面白い?」
「ああ」
「後で貸してください」
「爆速で読むから待っててくれ」
「いいよ普通速度で」

 俺もこの人も速読能力は特にない。でも瀬名さんが面白いと言うなら楽しめるに違いない。
 俺の周辺には本の好みが絶妙な人が沢山いるから時間を持て余しても暇をしないで済む。

「お前が最近読んでたのはもう返しちまったか?」
「俺の部屋にまだあります。こっち持ってきときますね」
「ありがとう。頼む」

 先週ミキちゃんがオススメしてくれたミトコンドリアのマニアックな本は図書館で借りてきて昨日読み終えたところだ。かなりコアな話題だったから瀬名さんも興味を持つだろうとは読みながら思っていた。

 貸出延長は一度まで可。瀬名さんが普通速度で読み終えたその本と、あとで取り換えっこする。
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