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129.大きいおやつと小さいおやつⅡ
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「我が家のたいへん可愛いハムちゃんを特別に抱っこさせてやろう。ツヤツヤの毛並みを堪能して大いに癒されたまえ」
語尾がウザいせいで若干イラッとした。
厚意なのか気づかいなのか自慢したいのか微妙に分からないそんな誘いを浩太がブン投げてきたのはカフェテリアから遠ざかっていた最中。大学構内から出た後は、そのまま家まで一緒についてきた。
部屋に設置されたクリアケージの中のさらに小さな木箱の中で、その子はケツだけ出して眠っていた。
これが人類を虜にするというかの有名なハムケツか。出入り口を開けた浩太が優しげにチョンチョンつつくと、すぐに気づいてモソモソ動きながらこっちに顔を向けてきたハムちゃん。
眠そうな顔。鼻だけヒクヒクしている。かわいい。ちょっとずつ外に出てくる。もったりとしたこのフォルム。
やや大きめで全身綺麗なふわふわのクリーム色だ。浩太の手のひらにポテッと乗っかるハムちゃんの動画を何度も見ていたからデカそうだとは思っていたが、実物は思った以上にデカかった。
なにせ良く食う。そりゃ良く育つ。
「やば……かわいい……」
「だろー?」
「頬袋がまったく役割果たしてなくねえか」
「最初は貯蔵ばっかしてたけど今はお腹減ってるとその場で食うんだよ」
安心と安全を確信したんだろうな。頑張ってカリカリかじった種の中身をモグモグする愛らしいげっ歯類。小さいヒマワリを一粒食べ終えるとクンクンと指先に寄ってくる。
一個しか持っていなかったことを証明するためにパッと手を開いて見せたら念入りに手のひらをフガフガされた。かわいい。
「食いしん坊って名前に変えたら?」
「レディーになんてこと言うんだ」
「俺の手食われそうなんだけど」
「やめときなハムちゃん。そんなもん食ったら腹壊すぞ」
失礼な。
人の手を腐った肉みたいに言い放ったこの野郎はヒマワリとは別のパックを持ってきた。中にゴソッと右手を突っ込み、数粒を掴み取ったそれを差し出してくるから手のひらで受け取る。茶色っぽい小粒のペレットだ。
ハムちゃんの口元に一粒を持っていくとフンフンしてから食べてくれた。
心なしかヒマワリのときより食いつきは良くない気がする。仕方ねえからこれで我慢してやるよみたいな。浩太がヒマワリの種の個数制限をしている意味がいま分かった。
「このペレット何入ってんの?」
「トウモロコシと麦を中心にハムスターに必要な栄養素が過不足なく」
「軽薄なクズにしか見えねえのにお前は意外とマメなんだよな」
「褒めんだか貶すんだかどっちかにしろよ」
こう見えて中身はまともな奴だからハムスターのゴハン選びも抜かりない。そのおかげかハムちゃんは健康的だ。
浩太の部屋に来るのは初めてだった。室内は想定外に片付いている。
ミキちゃんが来るからだろうかと思いきや、ハムちゃんを部屋の中でお散歩させるのに障害物がそこらにあっては危険だから常に整えているそうだ。スマホの中で盛り沢山になっているハムちゃんデータ集を見れば分かるが、とんでもない溺愛っぷりだ。
ゴールデンハムスター用だというペレットをどんどん吸い込んでいったハムちゃんは、最後の三粒だけ頬袋に格納するとモフモフとカーペットの上を歩き始めた。
呑気に歩いているだけのクリーム色したネズミなのだが見れば見るほど癒される。これだけ散歩しやすい部屋にしてもらえればハムスター的にも満足だろう。お散歩中のハムちゃんを見守る浩太はデレデレしつつも真剣だ。
「ハムちゃんのお姉さんにハム子さんって子がいてさ、休み中にその子と対面させてきたんだよ。姉妹の自覚あるかどうか分かんないけど並んでおやつ食ってんのすげえ可愛くて。写真見る? てか見て」
実物のハムちゃんを見ている俺の前にグイッとスマホが乱入してきた。
ハムちゃんの隣にはハムちゃんと同じ毛色のハムスター。二匹で何かをモグモグ食っているその画像。
「そっくり」
「キンクマだからね」
「他の飼い主とも連絡とり合ってんだ?」
「一人だけだけどな。その人は同じバイト先の子だから」
浩太がハムちゃんと出会えたのはバイト先にてタイミングよく里親募集の話を聞いたからだが、ハムちゃんの母ハムの飼い主さんは店長のご友人だそうだ。その人が子ハムの貰い手を探していたらしい。
応募してきたばかりの学生バイトに自分の友人を紹介するくらいだから、よく笑うし愛想もいいこいつは無害な人間と判断されたのだろう。実際に外観だけは爽やかな好青年だ。そのせいで彼女と時たまモメるわけだが。
「ハム子さんの飼い主さんは男? 女?」
「女」
「ミキちゃんも何かと気苦労が絶えねえな」
「やめてってもうその辺センシティブなんだから。対面させるときはミキも連れてったよ」
ちょっとピリッとした表情をするミキちゃんに一緒に行くかと慌てて声をかける浩太の姿が簡単に想像できた。
彼女をイラつかせる程度には誰にでも優しい浩太は自分のペットにももちろん優しい。モソモソ歩くハムちゃんが一人で遠くの方に行きそうになると、それとなく手のひらでガードを作ってラグの上に進路を戻してやっていた。
その方向に促されるままクリーム色のネズミは俺の足元に。あぐらをかいた膝のそば通って背後にノソノソ進もうとしたから浩太がしたみたいに手で囲いを作った。するとそこに小さな前足をよっこいせと引っかけてくる。
どんくさいのがこれまたかわいい。よじ登ろうとするボテッとした体を下から掬うようにして手のひらに乗っけた。広かった床面積が俺の手のひらのサイズに変わり、不思議そうにキョロキョロするハムちゃん。
「……かっわいいい。なにこれ。電池式?」
「生命体だよ。ハルも動物好きだよね」
「逆にハムスター嫌いな人いる?」
「ネズミって時点で無理な人もいるだろ」
そうなのか。
そういえば昔通学路のど真ん中で三十センチくらいの巨大ネズミが死に果てているのを通りがかりに見つけ、可哀想だしせめて端っこに避けてやろうと思い至ってやけに長い灰色の尻尾をみょーんとつまんで持ち上げたところ、突如として後方からキャーッと叫ばれたことがある。
俺の行動を見ていたらしい名前も学年も知らない女子達だ。そいつらには悲鳴を上げられ、小学校に到着するとなぜか俺が先生に怒られた。
汚いでしょとか危ないでしょとかいろいろ言われた覚えがある。確かに衛生的では全くなかった。でもあのまま放っておいたら軽トラにその後も轢かれまくったはず。
死んでもなお追い打ちをかけられるなんていくらなんでもあんまりだ。
「人類はネズミに厳しすぎると思わねえか。同じ哺乳類なのに」
「どうしたの。そんな壮大なテーマの話してたっけ?」
「ネズミ見て悲鳴上げたうるせえ女子のこと急に思い出して」
「ハルのそういうとこ俺は嫌いじゃないけど女の子は大体そういうもんだよ」
「ミキちゃんは?」
「げっ歯類相手に悲鳴上げる女に見える?」
「見えない。ミキちゃんがハムスター好きな子で良かったな」
「いや、あいつハムスターどころじゃねえから。哺乳類はみんな友達ってタイプだしデカめの虫とかでも素手で普通にいけちゃうもん」
それは瀬名さんにぜひとも見習わせたい。かつて悲鳴を上げたうえに先生に告げ口までしやがった鬱陶しい女子どもには爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
思い出したくなかった腹立たしい記憶はしかしすぐさま薄れていった。原因は目の前のどんくさいクリーム色。四本の小さな足でボテッとした体を動かすハムちゃんが俺の腕を上ってくる。
肘裏を通過してもさらにまだ上ってこようとしている。可愛いけどこのままだと肩に到達されてしまう。
「……浩太やばい。ハムちゃん迫って来る」
「落とすなよ」
「肩来たんだけど。なあ肩来たんだけど」
「落とすなよ」
「肩にいるんだけど」
到達された。
肩のあたりをモソモソ歩かれるのでどんどん姿勢が前屈みになる。肩甲骨の上の位置にハムスター一匹分の重みを感じた。時折俺の体の面積をはみ出そうになる小さな生き物。
「えっ、ちょ、ムリムリムリ取って落としそう」
「ハムスター落下させるのは重罪だぞ。五百年以下の懲役または三千億円以下の罰金になる」
「ビップだな。取って」
「人類の億倍は尊いんだよ」
こいつヤベエと言いたいところだが俺もガーくんという尊い存在を知っているからあまり否定はできない。
死んでも出られそうにない監獄生活か確実に払えない罰金刑で永遠の労役場留置になる前に、浩太がハムちゃんをモフッと保護した。背中をポテポテ歩いていた小さな重みがフワリと消える。
小さくて尊い生き物に危害を加えるわけにはいかない。ちょっとモフらせてもらうくらいが落ち着く。
浩太の手のひらに収まるハムちゃんに懲りずに手を伸ばして軽く撫でた。何度触ってもふわふわだ。可愛い。
綺麗なクリーム色は遺伝にしても、ここまでの毛並みの良さは浩太のお世話の賜物なのだろう。奔放なところは飼い主に似ているが愛嬌レベルは浩太に似なくてよかった。この子を前にして好物のヒマワリに個数制限を設定するのはかなりの忍耐力が要りそうだ。
「癒されたろ?」
「腑抜けた気分」
「よかったね。お礼はその時計でいいよ」
「いつまでこれ狙ってんだよ」
この時計は誰にも譲れないからお礼はハムちゃんにおやつを沢山。
そういうことで穏便に話がまとまったので、帰りがてら浩太行きつけのペットショップに寄り道をした。
語尾がウザいせいで若干イラッとした。
厚意なのか気づかいなのか自慢したいのか微妙に分からないそんな誘いを浩太がブン投げてきたのはカフェテリアから遠ざかっていた最中。大学構内から出た後は、そのまま家まで一緒についてきた。
部屋に設置されたクリアケージの中のさらに小さな木箱の中で、その子はケツだけ出して眠っていた。
これが人類を虜にするというかの有名なハムケツか。出入り口を開けた浩太が優しげにチョンチョンつつくと、すぐに気づいてモソモソ動きながらこっちに顔を向けてきたハムちゃん。
眠そうな顔。鼻だけヒクヒクしている。かわいい。ちょっとずつ外に出てくる。もったりとしたこのフォルム。
やや大きめで全身綺麗なふわふわのクリーム色だ。浩太の手のひらにポテッと乗っかるハムちゃんの動画を何度も見ていたからデカそうだとは思っていたが、実物は思った以上にデカかった。
なにせ良く食う。そりゃ良く育つ。
「やば……かわいい……」
「だろー?」
「頬袋がまったく役割果たしてなくねえか」
「最初は貯蔵ばっかしてたけど今はお腹減ってるとその場で食うんだよ」
安心と安全を確信したんだろうな。頑張ってカリカリかじった種の中身をモグモグする愛らしいげっ歯類。小さいヒマワリを一粒食べ終えるとクンクンと指先に寄ってくる。
一個しか持っていなかったことを証明するためにパッと手を開いて見せたら念入りに手のひらをフガフガされた。かわいい。
「食いしん坊って名前に変えたら?」
「レディーになんてこと言うんだ」
「俺の手食われそうなんだけど」
「やめときなハムちゃん。そんなもん食ったら腹壊すぞ」
失礼な。
人の手を腐った肉みたいに言い放ったこの野郎はヒマワリとは別のパックを持ってきた。中にゴソッと右手を突っ込み、数粒を掴み取ったそれを差し出してくるから手のひらで受け取る。茶色っぽい小粒のペレットだ。
ハムちゃんの口元に一粒を持っていくとフンフンしてから食べてくれた。
心なしかヒマワリのときより食いつきは良くない気がする。仕方ねえからこれで我慢してやるよみたいな。浩太がヒマワリの種の個数制限をしている意味がいま分かった。
「このペレット何入ってんの?」
「トウモロコシと麦を中心にハムスターに必要な栄養素が過不足なく」
「軽薄なクズにしか見えねえのにお前は意外とマメなんだよな」
「褒めんだか貶すんだかどっちかにしろよ」
こう見えて中身はまともな奴だからハムスターのゴハン選びも抜かりない。そのおかげかハムちゃんは健康的だ。
浩太の部屋に来るのは初めてだった。室内は想定外に片付いている。
ミキちゃんが来るからだろうかと思いきや、ハムちゃんを部屋の中でお散歩させるのに障害物がそこらにあっては危険だから常に整えているそうだ。スマホの中で盛り沢山になっているハムちゃんデータ集を見れば分かるが、とんでもない溺愛っぷりだ。
ゴールデンハムスター用だというペレットをどんどん吸い込んでいったハムちゃんは、最後の三粒だけ頬袋に格納するとモフモフとカーペットの上を歩き始めた。
呑気に歩いているだけのクリーム色したネズミなのだが見れば見るほど癒される。これだけ散歩しやすい部屋にしてもらえればハムスター的にも満足だろう。お散歩中のハムちゃんを見守る浩太はデレデレしつつも真剣だ。
「ハムちゃんのお姉さんにハム子さんって子がいてさ、休み中にその子と対面させてきたんだよ。姉妹の自覚あるかどうか分かんないけど並んでおやつ食ってんのすげえ可愛くて。写真見る? てか見て」
実物のハムちゃんを見ている俺の前にグイッとスマホが乱入してきた。
ハムちゃんの隣にはハムちゃんと同じ毛色のハムスター。二匹で何かをモグモグ食っているその画像。
「そっくり」
「キンクマだからね」
「他の飼い主とも連絡とり合ってんだ?」
「一人だけだけどな。その人は同じバイト先の子だから」
浩太がハムちゃんと出会えたのはバイト先にてタイミングよく里親募集の話を聞いたからだが、ハムちゃんの母ハムの飼い主さんは店長のご友人だそうだ。その人が子ハムの貰い手を探していたらしい。
応募してきたばかりの学生バイトに自分の友人を紹介するくらいだから、よく笑うし愛想もいいこいつは無害な人間と判断されたのだろう。実際に外観だけは爽やかな好青年だ。そのせいで彼女と時たまモメるわけだが。
「ハム子さんの飼い主さんは男? 女?」
「女」
「ミキちゃんも何かと気苦労が絶えねえな」
「やめてってもうその辺センシティブなんだから。対面させるときはミキも連れてったよ」
ちょっとピリッとした表情をするミキちゃんに一緒に行くかと慌てて声をかける浩太の姿が簡単に想像できた。
彼女をイラつかせる程度には誰にでも優しい浩太は自分のペットにももちろん優しい。モソモソ歩くハムちゃんが一人で遠くの方に行きそうになると、それとなく手のひらでガードを作ってラグの上に進路を戻してやっていた。
その方向に促されるままクリーム色のネズミは俺の足元に。あぐらをかいた膝のそば通って背後にノソノソ進もうとしたから浩太がしたみたいに手で囲いを作った。するとそこに小さな前足をよっこいせと引っかけてくる。
どんくさいのがこれまたかわいい。よじ登ろうとするボテッとした体を下から掬うようにして手のひらに乗っけた。広かった床面積が俺の手のひらのサイズに変わり、不思議そうにキョロキョロするハムちゃん。
「……かっわいいい。なにこれ。電池式?」
「生命体だよ。ハルも動物好きだよね」
「逆にハムスター嫌いな人いる?」
「ネズミって時点で無理な人もいるだろ」
そうなのか。
そういえば昔通学路のど真ん中で三十センチくらいの巨大ネズミが死に果てているのを通りがかりに見つけ、可哀想だしせめて端っこに避けてやろうと思い至ってやけに長い灰色の尻尾をみょーんとつまんで持ち上げたところ、突如として後方からキャーッと叫ばれたことがある。
俺の行動を見ていたらしい名前も学年も知らない女子達だ。そいつらには悲鳴を上げられ、小学校に到着するとなぜか俺が先生に怒られた。
汚いでしょとか危ないでしょとかいろいろ言われた覚えがある。確かに衛生的では全くなかった。でもあのまま放っておいたら軽トラにその後も轢かれまくったはず。
死んでもなお追い打ちをかけられるなんていくらなんでもあんまりだ。
「人類はネズミに厳しすぎると思わねえか。同じ哺乳類なのに」
「どうしたの。そんな壮大なテーマの話してたっけ?」
「ネズミ見て悲鳴上げたうるせえ女子のこと急に思い出して」
「ハルのそういうとこ俺は嫌いじゃないけど女の子は大体そういうもんだよ」
「ミキちゃんは?」
「げっ歯類相手に悲鳴上げる女に見える?」
「見えない。ミキちゃんがハムスター好きな子で良かったな」
「いや、あいつハムスターどころじゃねえから。哺乳類はみんな友達ってタイプだしデカめの虫とかでも素手で普通にいけちゃうもん」
それは瀬名さんにぜひとも見習わせたい。かつて悲鳴を上げたうえに先生に告げ口までしやがった鬱陶しい女子どもには爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
思い出したくなかった腹立たしい記憶はしかしすぐさま薄れていった。原因は目の前のどんくさいクリーム色。四本の小さな足でボテッとした体を動かすハムちゃんが俺の腕を上ってくる。
肘裏を通過してもさらにまだ上ってこようとしている。可愛いけどこのままだと肩に到達されてしまう。
「……浩太やばい。ハムちゃん迫って来る」
「落とすなよ」
「肩来たんだけど。なあ肩来たんだけど」
「落とすなよ」
「肩にいるんだけど」
到達された。
肩のあたりをモソモソ歩かれるのでどんどん姿勢が前屈みになる。肩甲骨の上の位置にハムスター一匹分の重みを感じた。時折俺の体の面積をはみ出そうになる小さな生き物。
「えっ、ちょ、ムリムリムリ取って落としそう」
「ハムスター落下させるのは重罪だぞ。五百年以下の懲役または三千億円以下の罰金になる」
「ビップだな。取って」
「人類の億倍は尊いんだよ」
こいつヤベエと言いたいところだが俺もガーくんという尊い存在を知っているからあまり否定はできない。
死んでも出られそうにない監獄生活か確実に払えない罰金刑で永遠の労役場留置になる前に、浩太がハムちゃんをモフッと保護した。背中をポテポテ歩いていた小さな重みがフワリと消える。
小さくて尊い生き物に危害を加えるわけにはいかない。ちょっとモフらせてもらうくらいが落ち着く。
浩太の手のひらに収まるハムちゃんに懲りずに手を伸ばして軽く撫でた。何度触ってもふわふわだ。可愛い。
綺麗なクリーム色は遺伝にしても、ここまでの毛並みの良さは浩太のお世話の賜物なのだろう。奔放なところは飼い主に似ているが愛嬌レベルは浩太に似なくてよかった。この子を前にして好物のヒマワリに個数制限を設定するのはかなりの忍耐力が要りそうだ。
「癒されたろ?」
「腑抜けた気分」
「よかったね。お礼はその時計でいいよ」
「いつまでこれ狙ってんだよ」
この時計は誰にも譲れないからお礼はハムちゃんにおやつを沢山。
そういうことで穏便に話がまとまったので、帰りがてら浩太行きつけのペットショップに寄り道をした。
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