掌編・短編集

わこ

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1.Stray cat

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「日暮れ時、っつーかさ。なんか夕方って嫌いなんだよね、昔から」

 
そんなことを言っては、度々俺の部屋を訪れる。
人のベッドに寝転がり、人の雑誌を読み漁り。ダラダラ、ゴロゴロ、好き勝手に寛ぐ迷惑な隣人。


「特に夏の終わり頃。西日の加減とかさあ……切なくねえ?」


切ない。なんて、この男には一番似合わない言葉を出して。その自覚はあるようで小さく笑う。
 
同じ大学、同じ学生寮。いつから親しくなったのか、俺は知らない。
こいつが来たい時に来て、この部屋を占領し出して。それを適当に放っておいたら、いつの間にか居着かれていた。
 
ノラ猫のようにふらっとやって来るのは構わない。言いたい事を思いつくまま、一人で勝手に喋っていてくれるだけなら別に問題もない。心から鬱陶しいけど。
 
 
「なあ」


そしていつも唐突に、俺のことを呼ぶその声。腕を引かれて、俺達の間にあった距離が狭くなる。

鬱陶しいのはまあまあ許せても、これはいかがなものだろう。どこで何をしようがこの男の自由だけど、それは俺に被害が及ばない範囲での話だ。
 
気ままな笑顔を俺に向け、つかんだ腕は放さない。迷惑な隣人は、最低なオトコだった。


「寂しくないようにしてよ」


ふざけていると思う。


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