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~第2部~第1章、加速する敵意
第9話、悪魔戦、決着!
しおりを挟む『ヌガァー!貴様ら黙れー!』
半泣きしながら攻撃を仕掛けてくるグレートデーモンに同情は……しないな。
容赦なく攻撃しまくった。
怒りと羞恥心とその他ナンヤカンヤで攻撃力が上がっていたグレートデーモンだったけど単調な攻撃なので躱しやすいし、こっちの攻撃も簡単に当たるので、どんどんダメージを与え続ける。
『ムキーーー!死ねーーー!』
「わ!あぶね!てか、キャラ崩壊してんじゃねーか!」
「いかつい顔の駄々っ子は、いただけないでゴザルよ!っと、ホッ!ヨッ!」
俺とコウはグレートデーモンに貼り付き凄まじい剛拳を紙一重でかわしながらも攻撃をしかけ続ける。
しかし、半泣きしてても上位悪魔だった。
分厚い筋肉の鎧は大きいダメージを防ぐ。
「マサムネさんとコウさん、悪魔さんが少ーしだけ可哀想です」
リリムは苦笑いしている。
『ガウガウ…』(ヤレヤレ……)
『お腹すいた~!!』
理由は分かってはいるけど、ハクヨウだけは他メンバーとは違う意味で早く倒そうとやる気MAXになっていて、隙を見ては電撃魔法や風魔法等の攻撃力が高く、俺達に被害が及びにくい魔法を手当たり次第に撃ちまくっていた。
『ヌガァ!鳥~!さっきからチクチク鬱陶しいわ!』
しかもハクヨウは煽るようにグレートデーモンの近くによっては、ゼロ距離で魔法を当てまくり、攻撃が来れば「スイーー」と馬鹿にするようにかわして距離を取って魔法を当てて、また隙を見ては近づいて…とまとわり付くハエみたいにグレートデーモンをイラつかせている。
あれは俺も嫌だな。
『馬鹿にしやがって!どうせ貴様ら人間の世界はもうすぐ終わる!魔王様がいよいよ世界侵攻を開始したからな!俺様はただの先兵だ!たとえ俺様が死んでも、また俺様より強い奴等が、ここに攻めこんで来る!まぁ俺様が負けるわけが無いがな!』
魔王が攻めてきてる?
初耳なんだけど!?
驚きながらも攻撃の手は緩めない。
次第にグレートデーモンも口数が少なくなっている。
ダメージが貯まっているみたいだな。
ハクヨウに気を取られて、空を見上げていたグレートデーモンだった。
チャンスとばかりにレツガが後ろから近づき、膝裏を攻撃。
いわゆる「ヒザカックン」だ。
バランスを崩し、背中から倒れた。
それを見て「今だ!皆~!袋叩きしていまえ~!」の俺の声を合図に最大出力の攻撃を放つ。
『ゲフッ!あ!ちょっと!グフゥ!や、ヤメ………ヒベラ!?』
何か言ってたけど、無視して攻撃を続ける事、およそ5分。
ピクピクと痙攣して白目で気絶した被害しゃ……グレートデーモンは、全員の魔力を合わせて作った土壁で拘束した。
唯一見えている顔は見るも無惨だな。(すっとぼけ)
そして最後とばかりに、リリムに俺達全員の魔力を集めて巨大な火球を空に作り出す。
それはまるで「太陽」に見える程の熱量と圧力を放つ。
「「『ハァアアアアアア!!』」」
レツガ意外のメンバーの魔力を有るだけリリムに注ぎ込み、更に大きくしていく。
レツガは、土魔法の拘束の維持とリリムの魔法が俺達に影響しない様に防壁を作って貰う。
ゴゴゴゴゴ………と地震の様な揺れが辺り一面を揺らし、そして凄まじい熱風も押し寄せてくる。
火の玉は10メートルを超えるまで膨れ上がっている。
「リリム!撃てぇぇーーー!」
リリムに合図を出す。
ゴゴゴゴゴと轟音が響き渡り、巨大な火の玉がグレートデーモンを目指して落ちてくる。
まるで隕石の様に……イヤ、まるで太陽が落ちて来ていると言った方が良いかもしれない。
「レツガ!」
『グア!』(了解です!)
レツガが俺達を囲う様にドーム状の土壁を展開。
土壁が、完成するのと同時に立っていられない程の揺れを感じる。
ドームの外は高温の熱風と炎が吹き荒れてるだろう。
「ヌア!?」
「キャアアア!」
爆発で土壁の天井が吹き飛び、欠片が舞って、バラバラと欠片が空から降り注ぐ。
「ゲホゲホ!どうなった!?てかアチィ!」
欠片は、まだ熱を帯びていて肌に触れれば勿論熱い、レベルが上がりHPとか防御力が上がっているから多少熱いで済んでいるけど、普通なら火傷で大事になっている。
だいぶドームの外も落ち着いた様なので、土壁を解除し火の玉が落ちた場所を見ると、そのには地獄の様な光景が広がっていた。
周囲の木々が高温の熱によって炭と化し地面も爆発で大きなクレーターを作り、まさに隕石が落ちたかの様な異様な光景が広がっていた。
まだ燃えている木もあるし、辺りには煙も漂っている。
俺達はクレーターがある場所に歩き向かう。
クレーターの爆心地、ちょっとした湖が干上がった様にも見えなくもない。
一番の深いところを見ると、バランスボール程の大きさの炭の塊があった。
とりあえず、水魔法で辺りに放水し消火したり地面の熱を下げていく。
最初は勢い良く水が蒸発していたのを見ると、ちょっとだけやり過ぎた感が無くもない……
だいぶ暑かった周辺も少し暑い程度まで落ち着いた。
全員で、クレーターの中心に向かう。
俺は、炭の塊に近付き剣で斬ると二つに割れた。
そして、割れて中が見えると、そこにはボーリングの球ほどの大きさの赤い魔石が鈍い光を放っていた。
グレートデーモンの魔石の周りだけ魔力で守られ残ったんだろうか?
再生する様子は無い。
「どうやら、終わったみたいだな」
「そうでゴザルな」
「また復活とか……しませんよね?」
リリムが、不吉な言葉を言ったが、グレートデーモンは、やっぱり復活する事は無かった。
こうして2度目の悪魔戦は、何故か微妙な終わりかたを迎えたのだった。
グレートデーモンの残した「魔王」の存在。
嫌でも意識してしまい、自然と無口になってしまう、皆もそうなのかもしれない(*ただし、鳥を除く。騒ぐ前にアイアンクローを決めている)
悪魔、魔族、そして魔王、俺達の力がどこまで通じるのか分からない。
これからの訪れる戦いを前に、俺達は報告と休息の為に町に戻るのだった。
◇
後にクレーターは、水が貯まり湖になり町の人たちの憩いの場として賑わう事になるのは、まだ先の話し。
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