異世界に転生したら?(改)

まさ

文字の大きさ
上 下
58 / 81
~第2部~第1章、加速する敵意

第8話、二度目の悪魔戦②

しおりを挟む
「オオオオオオ!」

『ドルラアアァァ!』

剣と拳がぶつかり合い激しい連撃が続く。

俺とレツガは、お互いをカバーしながらグレートデーモンとほぼ互角の戦いをしている。

俺とレツガが物理攻撃を加え、グレートデーモンが隙を見せれば、リリムとハクヨウが魔法を撃ち込む。

それを繰り返し、少しずつだがダメージを与えていた。


「ハァアアア!」


魔法を身体に受けて、バランスを崩したの見て、俺は力を込め上段から剣を振り下ろす。

『ドゥルアァア!』


それをグレートデーモンが両腕に魔力を纏い十字受けで防ぐが、俺の剣撃を完全には防ぐ事が出来ずに腕に剣が食い込む。



レツガが間髪入れず、グレートデーモンの背中側に移動し、右の炎の爪と左の氷の爪で攻撃を仕掛けた。


それに反応し右は躱されたが、左の爪は羽に浅くはない傷を入れた。

そして爪の切り傷から徐々に凍り初め広がっていく。


『貴様ら!虫けらの分際で俺様に傷をつけたな!グガアアアアア!』


怒気を帯び、グレートデーモンが憤怒の表情で俺達を睨み付け咆哮を放った。

俺達は一瞬にして身体が硬直し動けなくなる。


「クッ!しまった!咆哮の影響か!」

『死ねぇーーー!ダークブレス!』


グレートデーモンの口から黒い炎が吐き出され、回転しながら周囲に放っていく。

俺とレツガは咆哮の前に距離をとったものの数メートルしか離れていない、一瞬で飲み込まれそうになってしまう。



「≪闘刃≫!!」


ドン!と衝撃が走り光の剣が突如現れて黒い炎を欠き消した。


「大丈夫でゴザルか!?」


町に行って貰ったコウが俺達に追い付き黒い炎を搔き消したのだ。


「コウ!助かった!」


咆哮での硬直も消え再び陣形を整えグレートデーモンに攻撃を仕掛ける。


『虫が1匹増えた所で、俺様に勝てると思っているのか!』

コウに攻撃を相殺されて更に憤るグレートデーモンは、全身に魔力を張り巡らせるとプレッシャーがドンドン増していく。


『俺様を本気で怒らせたな!もう遊びは終わりだ!跡形も残さず消し去ってくれるわ!』

空気が震える位の魔力を放出し、俺に向かって迫ってくる。

右の拳は魔力が集中、圧縮し拳が何倍にも大きく見えた。

俺を狙って大きく拳を振り下ろしてくるが、俺は剣で受けずに躱す。

俺がいた場所には激しい音と衝撃と共に大きなクレーターが出来いた。

グレートデーモンはすぐに拳を振り抜いて連続で攻撃を加えてくる。


ギィィインと甲高い金属音が辺りに響き渡る。

俺は剣に魔力を纏い盾の様にグレートデーモンの拳を受け止めたのだ。

全力の身体強化と魔法を使って耐えるが、それでも衝撃は殺しきれず5メートルほど吹き飛ばされた。


『トドメだぁ!!』


そこにトドメとばかりにグレートデーモンが力を込めて迫る。


「居合い≪参の刃≫!」


ズバアァァンと空気が裂ける音がする。


『グギャアアア!』


コウの居合いによってグレートデーモンの右腕が切り落とされた。


『グルァアアア!』


そして今度はレツガが間髪入れずに炎と氷の爪を振り切り、グレートデーモンの羽を切り裂く。

片や炎が羽を燃やし尽くし、片や氷が羽を被い砕け散る。


これは格上相手の作戦で、ライオウの時の様に俺が時間を稼ぎ、残りの皆が力を溜め攻撃を放ったのだ。

コウ、レツガと続き次は……


「下がって下さーーい!」


リリムの声を聞き、すぐに俺達は距離を取る。


「アブソリュートゼロ~!」

『僕も~!トーーールハンマーーー!』


辺りに鈴の音に似た音が響き渡りグレートデーモンと、その周囲が全て凍りついた。

そして更に巨大な雷がグレートデーモンの体を焼き尽くす。


『グギャアアア!!!』


バリバリと稲妻の光と鼓膜を破壊する程の音が鳴り響き、すぐに静寂が訪れる。




そこは、高圧の電流が流れ高熱で硝子化しまった地面と、絶対零度の氷が砕けてダイヤモンドダストの様にキラキラと舞い落ちる光の粒だけが存在していた。


「終わった……のか?」

「どうでござろう?」

「怪我はしてませんか?」

『マスター、ぼくたちツヨーイ!』

『グルル』(周囲には異常ありません)



グレートデーモンの姿は見えない。

リリムとハクヨウの魔法をまともにくらい消滅したのか?

あまりにも呆気なく終わってしまい、逆に困惑していた。


マップを開き反応を見るも何も出ない。

一応、魔力探知をしてみると小さい反応が見えた。


「ん?微かに魔力を感じるな?」

「どこでゴサル?」

「ん~と、あそこだな」

そこにはコウが切り飛ばしたグレートデーモンの右腕が残っていた。

「おかしいでゴサルな?本体が死んだら、残った部分も消えるハズ、しかも良く見ると大量の魔力が腕に残っているでゴサル」


「あ、あの~マサムネさん?嫌な予感がします」

「あー………多分、これって……」


「「「復活しそう(ですね)だな」」」



その時だった。腕から魔力が溢れだし、それと共に黒い泡の様な物が斬られた場所から吹き出してくる。

そして、数秒後には3メートル程の巨大な黒い塊となるとパァンと割れた。


割れると同時に黒い霧が広がるがすぐに消える。

そして黒い霧の後には、グレートデーモンが完全な状態で復活をしていたのだった。


「やっぱり復活したか!もしかして不死身なのか!?」

「恐らく少しでも身体が残っていると復活するのではゴザらんか?」

「はうぅ、またですかぁ?」

『グァアア!』(今度は塵も残さない!)

『お腹すいたのに!しつこい』


若干、違うベクトルで怒っているヤツもいるが。

しつこいって所は同意する。


『ガハハハハハハ!貴様らごときに殺られる俺様では無い!』



「「「『さっきは死にそうになったくせに』」」」

『グアグア』(そうそう)



俺様にツッコまれ涙目になるグレートデーモン、涙目になっても可愛く無いし、誰得なのよ?




まだ続く様です。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します

mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。 中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。 私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。 そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。 自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。 目の前に女神が現れて言う。 「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」 そう言われて私は首を傾げる。 「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」 そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。 神は書類を提示させてきて言う。 「これに書いてくれ」と言われて私は書く。 「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。 「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」 私は頷くと神は笑顔で言う。 「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。 ーーーーーーーーー 毎話1500文字程度目安に書きます。 たまに2000文字が出るかもです。

隠密スキルでコレクター道まっしぐら

たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。 その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。 しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。 奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。 これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!

あるちゃいる
ファンタジー
 山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。  気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。  不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。  どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。  その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。  『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。  が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。  そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。  そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。   ⚠️超絶不定期更新⚠️

墓守の荷物持ち 遺体を回収したら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアレア・バリスタ ポーターとしてパーティーメンバーと一緒にダンジョンに潜っていた いつも通りの階層まで潜るといつもとは違う魔物とあってしまう その魔物は僕らでは勝てない魔物、逃げるために必死に走った だけど仲間に裏切られてしまった 生き残るのに必死なのはわかるけど、僕をおとりにするなんてひどい そんな僕は何とか生き残ってあることに気づくこととなりました

処理中です...