異世界に転生したら?(改)

まさ

文字の大きさ
上 下
28 / 81
第3章、俺達が出来る事。

第5話、俺達が決めたこと

しおりを挟む
目が覚めると亜空間の草原でそのまま寝ていた。

太陽が少し顔を出しうっすらと明るくなってきている。

周りを見ると皆も寝ていた。

俺だけじゃなくて皆揃ってここ草原で寝るなんてな……


ハクヨウだけは寝相が悪かったのか少し遠くで寝てたけど。


適度な温度に保たれていて良かった。

外だったら風邪引いてたかもなぁ。


徐々に各々起きてきて、お約束のハクヨウのゴハンコールが始まったので、無限収納から食べ物を出し皆に配る。


無限収納に入れていた食料も大分少なくなってきたな。


ガーディッシュで何件もの屋台から出来立ての料理をそのまま保管出来ていたから、いつでも温かいモノを食べれていたけど。

多少は余裕を持って収納してたけど、シルファルで補充するつもりだったから余裕はあまりない。


食い意地はった駄鳥が一番食べるし……

だからハクヨウだけ寝ながら転がってるじゃないかと思います。

何か見た目がまん丸よ?ハクヨウさん。


それでも、一晩寝て全員がスッキリした顔をしている。


食後の休憩後、これからの事を話し合った。



とりあえずは、いったんガーディッシュに戻る事にした。



シルファルが魔族に襲われて壊滅した事を報告する為とシルファル以外の町の情報が無かった事もあった。


それと何よりも優先する事が俺達の戦力アップ。

今のままだと魔族には手も足も出ない。

大森林の奥地へと行く事にしたのだ。


ガーディッシュに向け進み、マップにモンスターの反応があれば積極的に倒し、人と会えばシルファルの事を話しガーディッシュへと進んだ。


そしてシルファルへ向かった時より少し時間が掛かったが1週間後、昼過ぎにガーディッシュに戻ってきた俺達は、その足でギルドへと向かった。


ギルドへ向かいながら町の様子を見る。


モンスター襲来の前の状態に戻っている様で安心した。

俺達が襲来の後、町の人々は避難して半分以下の人口しかいなかったからな。


ちなみに避難していたのはシルファルとは真逆に位置する町「フレアード」と言う所だと聞いた。

この辺りでは最も大きい町で、人口も冒険者の数もここガーディッシュの6倍以上の規模があるらしい。(シルファルは3倍くらい)


「この町は何事も無くて安心したでゴザル」


「あぁ、本当に良かった」

だがシルファルの事を思うと胸が傷む。


「とにかくギルドに向かおう」

「分かったでゴザル」


町並みを見ながら歩いているとギルドの建物が見えてきた。


「帰って来たな……」


「そうでゴザルな」


ギルドに入る。

この時間は一番人が少ない、何人か酒を飲んでるヤツがいるくらいだ。

俺達を気にもしていない。

それでも、そう掛からず人が増えてくる時間帯になる。


受付のカウンターを見ると、そこには俺達が良く知る女性が姿勢良く座り黙々と仕事をしていた。

そのカウンターに向かう。


「レフィーさんただいま」


俺の声に気付き、顔を上げて俺の顔を見たレフィーさんは突然の訪問に驚き、目を大きく見開き固まっていた。


「え?……マサムネさん?あ、えっと、マサムネ様!」


「俺だけじゃなくて皆もいますよ」

混乱してアワアワしてるレフィーさんが落ち着くのを少し待った。


さすがのレフィーさん、すぐに落ち着きを見せた。

まぁ、まだ顔とか耳とか恥ずかしいのか真っ赤だけど。

一度咳払いしてレフィーさんが口を開く。


「それでマサムネ様、どうしました?確かシルファルに向かったハズなのでは?」


俺はレフィーさんに、この場所では話せないと話した。

レフィーさんもただ事では無い事を察し、すぐに動く。


「分かりました。ではギルドマスターに取り次ぎますので少々お待ちくださいませ」


そして数分後……


「失礼します」

俺は扉をノックをして扉の奥に居る人物に声をかける。


「おう!遠慮なく入ってくれ!」


いつもの大声を聞き、ギルドマスターの部屋に扉を開けて入った。


ギルド室に入るとソファーに座るよう言われ俺とコウが座る。

ハクヨウは背もたれにとまり、レツガはソファーの脇に座る。


「ん?ちっこいのが増えてるな?それはグランドベアーか?」


「ハイ、他のモンスターに襲われ母親が亡くなり、その後にテイムしました」

「そうか、後で従魔登録しておけよ?」

「分かりました」


「それで、シルファルに向かったはずのお前達が何故この町に戻ってきた?まさか寂しくてと言う訳ではあるまい?」


「はい。俺達はシルファルに向かい予定通りに町には着いたんですが………」


「何があった?」


「俺達がシルファルの町に着くと町は破壊され、生きている人は一人もいませんでした」


「……何だと?」


ギルドマスターから怒気が発せられた。


ギルドマスターが手をついた高そうなテーブルが、またミシミシいっている。


「どう言うことだ!町1つが消滅するなどあり得んぞ!ましてやシルファルは、この町より遥かに大きい!
たとえ大量のモンスターに襲われても簡単には落ちない!ましてやお前が言う程の事が起こったら、 間違いなくここにも情報が入っているハズだ!」


部屋が震える程の声で怒りがどれ程なのか分かる。

この部屋は防音の魔道具を使っていて、部屋の外には聞こえない仕組みらしいけど、それでも耳が普通に痛い。

ハクヨウとレツガは驚きと声の大きさの被害で目を回している程だ。


動物は人より耳が良いから余計に可哀想だ。


大きい声を出して少し落ち着いて来たのか、ギルドマスターは、一度息を吐きソファーに深く座った。

それを見て俺は話を続ける。


「ギルドマスター、シルファルは大量のモンスターじゃなく、たった1体の魔族によって滅ぼされたんです」


「な!?魔族……だと!まさか!?」


「本当です、俺達はその魔族と直接、戦いました」


「何だと!?魔族と戦った!?……良く無事だったな」


「ハッキリ言って手も足も出ませんでした。正直、自分達が強いと勘違いしてました」


俺は悔しさのあまり拳を強く握りしめる。


「魔族とあった時、最初は恐怖で身体が動かなかった。それでも何とか皆で戦ったものの、結果は、何も出来ず逃げて隠れる事でした」


「そうだろうな、魔族と戦える者となるとSランクの実力が無ければ太刀打ち出来ん、それ程の存在だ【魔族】とはな」


「ギルドマスター、そもそも魔族とは、どんな存在なんですか?」


「魔族とは、魔力は人間を遥かに上回ってるし、身体能力も飛び抜けている。
まさに究極の存在だ。
そしてその魔族の頂点に立つのが、魔王と言わてれる。
魔王は、全ての魔族やモンスターを手足の様に操り、単独でも大国をも簡単に消し去るほどの力を持っている魔族の神とも言える存在だ」


「魔王………」


「しかし、本当にどうやって魔族から生き延びた?簡単に逃げれるとは思わんがな」


「ハハハ、それはテイマーの裏技を使いました」

「裏技?」


「ハイ、魔法の爆発で土煙を上げて魔族の視界を塞ぎ、その隙に亜空間に逃げ込みました。それで俺達は消滅したと思ってくれれば良いけど、と言うか俺達の事を眼中に無いかもですが」


「成るほどな、亜空間か……それに悔しがるのは良いが、あまり引きずるなよ?普通の奴なら逃げるどころか、瞬殺されているからな?生きてるだけで凄いと思っておけ。この町の英雄達よ!」


ガハハと笑うギルドマスターに苦笑いしながらも、少し気持ちが楽になった気がした。


魔族、そして魔王。

今の俺達よりも遥かに強い存在。



確かに勝てるのかって言う不安はあるけど。

でも確実に俺達の胸には強くなって次は勝つ!と言う思いも強くなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら、ステータスの上限がなくなったので脳筋プレイしてみた

Mr.Six
ファンタジー
大学生の浅野壮太は神さまに転生してもらったが、手違いで、何も能力を与えられなかった。 転生されるまでの限られた時間の中で神さまが唯一してくれたこと、それは【ステータスの上限を無くす】というもの。 さらに、いざ転生したら、神さまもついてきてしまい神さまと一緒に魔王を倒すことに。 神さまからもらった能力と、愉快な仲間が織りなすハチャメチャバトル小説!

異世界に転生!堪能させて頂きます

葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。 大手企業の庶務課に勤める普通のOL。 今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。 ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ! 死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。 女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。 「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」 笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉ 鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉ 趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。 こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。 何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。  ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。  その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。  無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。  手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。  屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。 【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】  だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます

みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。 女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。 勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。

【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー 不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました 今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います ーーーー 間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です 読んでいただけると嬉しいです 23話で一時終了となります

処理中です...