11 / 31
10.少し自重をおぼえます。
しおりを挟む
ぐいっとノアの手を引き歩き始めると、ノアは盛大にため息を吐き出し、私の後に続いてくれた。
道の隅にひっそりと隠れるようにして店を開いていたそこは、誰もが胡散臭そうに遠めに見ていた。
「いらっしゃい」
聞こえるか聞こえないかの声でそういったおばあさん。
私はおばあさんの出している品物を一つ一つ鑑定をしていく。
あった、あったよっ!!
胡椒がっ!!!
これがあれば、ノアが持っている材料でも、かなりおいしぃ料理ができるようになるんだよねぇ。
あ、でも、こっちの世界って、昔の日本みたいに胡椒って高いのかなぁ・・・・・・。ノア、ぽんぽんお金出してくれてるけど、買ってくれるかなぁ・・・・・・。
「おや、珍しいね」
しばし品物を見ながら悩んでいると、おばあさんが小さな声でつぶやいた。
「おまえさん――――――」
【ご婦人、騒ぎにしたくないので、それ以上は勘弁願いたい】
ノアのわずかにとがった声音に顔を上げる。
もちろん、フードでその大半の視界は隠れているが、ノアの目が鋭くなっているのがかろうじてわかった。
「―――――だろうね・・・・・・。私も騒ぎにしたくないからね・・・・・・お嬢ちゃん、何がほしいんだい」
私と同じように目深くフードをかぶったおばあさんがそう聞いてきて、私はとりあえず、胡椒の入っている袋を指さした。
「変わったものが好きだねぇ・・・・・・どれ、久々に売れるから値引いてやろうか。銀貨5枚でいいよ」
【通常はいくらしている】
「―――――7枚だよ」
【これでいいか。彼女の口止め料もだ】
懐から金色のコインを取り出し聞いたノアに、おばあさんは盛大なため息をついた。
「口止め料にしても多すぎだよ。じゃぁ、お嬢ちゃんにこれを上げようか」
そういって、敷物の上にあった髪飾りを差し出してきた。
長い髪をまとめるものがほしいと思っていたから願ってもないが、いいのだろうか。
ノアへと聞こうとすれば、ノアはあっさりとおばあさんの手からそれを受け取り、私へと渡してきた。そして、胡椒のはいった袋はさっさとアイテムボックスの中へと消してた。
「少しは助けになるだろうよ」
【ありがとう】
それだけ言うと、ノアは私を立たせて、にぎやかなほうへと歩き始めた。
―――――ノア?
もくもくと歩くノアの背中を見上げ声をかけると、ノアはまた、ため息をついた。
――――もう少し慎重になれ・・・・・・
ため息とともに言われ言葉に、首をかしげると、ノアはさらに息を吐いた。
――――先ほどの老婆はエルフの血が入っている
―――――エルフの血?って、エルフじゃないの?
――――昔、あの老婆の何代か前のものがエルフとの間の子なのだろ。
―――――珍しいの?
――――何代か前のエルフの血が外見にまで出てくるのは珍しいな。そういうものはたいてい魔力が高いから、お前が人でないということを見抜いてしまう
―――――見抜かれてたんだ・・・・・・それで、口止め料、だったんだね・・・・・・
ごめん、というと、ノアは空いているほうの手で、頭を撫でてきた。
――――いいものはあったか?
―――――うん・・・・・・。
――――よかったな
―――――うん・・・・・・
道の隅にひっそりと隠れるようにして店を開いていたそこは、誰もが胡散臭そうに遠めに見ていた。
「いらっしゃい」
聞こえるか聞こえないかの声でそういったおばあさん。
私はおばあさんの出している品物を一つ一つ鑑定をしていく。
あった、あったよっ!!
胡椒がっ!!!
これがあれば、ノアが持っている材料でも、かなりおいしぃ料理ができるようになるんだよねぇ。
あ、でも、こっちの世界って、昔の日本みたいに胡椒って高いのかなぁ・・・・・・。ノア、ぽんぽんお金出してくれてるけど、買ってくれるかなぁ・・・・・・。
「おや、珍しいね」
しばし品物を見ながら悩んでいると、おばあさんが小さな声でつぶやいた。
「おまえさん――――――」
【ご婦人、騒ぎにしたくないので、それ以上は勘弁願いたい】
ノアのわずかにとがった声音に顔を上げる。
もちろん、フードでその大半の視界は隠れているが、ノアの目が鋭くなっているのがかろうじてわかった。
「―――――だろうね・・・・・・。私も騒ぎにしたくないからね・・・・・・お嬢ちゃん、何がほしいんだい」
私と同じように目深くフードをかぶったおばあさんがそう聞いてきて、私はとりあえず、胡椒の入っている袋を指さした。
「変わったものが好きだねぇ・・・・・・どれ、久々に売れるから値引いてやろうか。銀貨5枚でいいよ」
【通常はいくらしている】
「―――――7枚だよ」
【これでいいか。彼女の口止め料もだ】
懐から金色のコインを取り出し聞いたノアに、おばあさんは盛大なため息をついた。
「口止め料にしても多すぎだよ。じゃぁ、お嬢ちゃんにこれを上げようか」
そういって、敷物の上にあった髪飾りを差し出してきた。
長い髪をまとめるものがほしいと思っていたから願ってもないが、いいのだろうか。
ノアへと聞こうとすれば、ノアはあっさりとおばあさんの手からそれを受け取り、私へと渡してきた。そして、胡椒のはいった袋はさっさとアイテムボックスの中へと消してた。
「少しは助けになるだろうよ」
【ありがとう】
それだけ言うと、ノアは私を立たせて、にぎやかなほうへと歩き始めた。
―――――ノア?
もくもくと歩くノアの背中を見上げ声をかけると、ノアはまた、ため息をついた。
――――もう少し慎重になれ・・・・・・
ため息とともに言われ言葉に、首をかしげると、ノアはさらに息を吐いた。
――――先ほどの老婆はエルフの血が入っている
―――――エルフの血?って、エルフじゃないの?
――――昔、あの老婆の何代か前のものがエルフとの間の子なのだろ。
―――――珍しいの?
――――何代か前のエルフの血が外見にまで出てくるのは珍しいな。そういうものはたいてい魔力が高いから、お前が人でないということを見抜いてしまう
―――――見抜かれてたんだ・・・・・・それで、口止め料、だったんだね・・・・・・
ごめん、というと、ノアは空いているほうの手で、頭を撫でてきた。
――――いいものはあったか?
―――――うん・・・・・・。
――――よかったな
―――――うん・・・・・・
0
お気に入りに追加
132
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
王命を忘れた恋
須木 水夏
恋愛
『君はあの子よりも強いから』
そう言って貴方は私を見ることなく、この関係性を終わらせた。
強くいなければ、貴方のそばにいれなかったのに?貴方のそばにいる為に強くいたのに?
そんな痛む心を隠し。ユリアーナはただ静かに微笑むと、承知を告げた。
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
聖女に巻き込まれた、愛されなかった彼女の話
下菊みこと
恋愛
転生聖女に嵌められた現地主人公が幸せになるだけ。
主人公は誰にも愛されなかった。そんな彼女が幸せになるためには過去彼女を愛さなかった人々への制裁が必要なのである。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる