異世界聖女召喚(仮)

如月 桜

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02.山の中に放置プレイ?

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 それから、ノアはこの世界の建国について、そして、いま、この世界”トワ”が抱えている大きな問題を事細かく教えてくれた。
「要は、それまで仲良しこよししていた異種族間にひずみができて、んでもって、大陸のあっちこっちにそれぞれの国を作って、鎖国してるってことね」
 あっさりと、そんな言葉で済ませると、まぁ、そんなところだ、とノアは返してきた。
「で、私に何をしろっての?」
【モモには、ひずみから生じた禍を祓ってほしい】
「あぁ、それで、巫女ってことか」
【そういうことじゃ】
「でもさぁ、私、そんなすっごい力ないよ?」
【案ずることはない。勇者に選ばれるほどの素質を持っているのだ。それに少し神からの恩恵も加われば、モモに不可能なことはない。さらに、精霊との親交の深いエルフの身体も得て、耐久力的にもモモを害することのできるものはおらぬぞ】
 と、自慢げに言うノア。
【まぁ、ステータスでも確認してみるとよい】
 どうやって、と聞く前に、ステータスとやらの画面が目の前に現れた。
 あぁ、これはあれですね、ネトゲのあのステータス画面ってやつですわ。
 どれだけチート能力高いんだろう、と思ってみたが、意外や意外、レベル1だ・・・・・・。



 モモ Lv1

職業 聖女(勇者)
種族 エルフ

HP 200
SP 1500

STR 1
VIT 100
AGI 100
INT 120
DEX 120
LUK ∞

スキル
 鑑定・アイテムボックス

適正魔法
 火 水 風 土 光 闇

称号
 勇者召喚されたもの
 神の使い
 闇と光を統べるものの加護




 ん、よし、見なかったことにしようか。
 目を閉じて、なかったことにしては見たが、これ、目を閉じてても消えないんですね!!!
「とりあえず、私は肉弾戦には向いていないということがよく分かった!」
 仕方なく目を開け、ノアのほうを見上げて言うと、ノアはあっさりとした口調で、そうみたいだな、と言ってきたよ。
【ステータス画面を消したいときは「ステータス」と唱えてみろ】
「すてーたす」
 いわれたとおりにしてみたら、確かに、それまで表示されていたステータスの画面が消えた。
「おぉー」
【ひとまず、しばらくは死なぬようにすることだな】
「せんせー!こんな森の中で放置プレイされたら野垂れ死にます!!」
【しばしは我が面倒を見る】
「え、ってことは、しばらくしたらノアいなくなんの?」
【そのつもりだが】
「え、ひどい、知らない世界に連れてきといて、自立できるようになったら放逐するとか、なに、それ、ひどすぎない?っていうか、ノア、ひどすぎると思うよね?思うだろ、さぁおもえ??」
【――――――――――――わ、わかった、わかったから、にらみつけるな・・・・・・しかし、我がいては、モモの生活に】
「最後まで責任もてや。嫁入り前の娘さらっといて、何言ってんの?」
【・・・・・・】
「責任もって、お嫁にもらってくれるんだよねぇ?」
【種族が・・・・・・】
「は?聞こえないんですけど」
【・・・・・・わ、わかった・・・・・・きちんと、責任をもって、モモの将来をどうにかしよう。嫁にもらうかはおいておくとして】
「わかればよろしー。で、ノア、これからどこに行けばいいの?」
 にじりにじりとにらみつけながらやっとこさノアから言質をとると、くるりと表情を変え聞く。
【ひとまず、光のものがいるところまで移動かの】
「光のもの?」
【うむ。我と対の存在のものだ】
「一緒にいるんじゃないのか」
 普通、こういう時は、狛犬よろしくな感じで、一緒にいるってのがデフォルトなのではなかろうか、そう思いながらノアに聞くと、ノアは悲しそうな瞳をこちらへとむけてきた。
【光のは、世界にはびこる禍のせいで神殿から外に出られぬのじゃ】
「ノアは平気なの?」
【我は闇を統べるものだから、ある程度の耐性はある。しかし、光のは・・・・・・】
 しゅん、と鬣の中に埋もれている耳をぺたりと垂れさせるノアに、私は何となく、ぽんぽん、とその鬣を撫でてやった。
「とにかく行けばいいんだよね?」
【あぁ】
「んじゃぁ、さっさといこっか。ノアも相方に会いたいでしょ?」
【―――――――そうだな。少し距離がある。乗れ】
「お、乗せてくれるんだぁ。神様の神獣とか言ってたから、お高く留まって、人間なんて乗せられるかぁって言われるのかとおもったよぉー」
 ふせの状態になり、私が乗りやすいようにかがんでくれたノアによじ登りながら言えば、ノアはそこまで性格悪くないとか言った。
「え、でもさぁ、ある程度強くなったら放逐するつもりだったんでしょ」
【―――――――――根に持つな】
「え、なんのこと?」
 にこにこにこに
【―――――――――少々急ぐぞ。しっかりつかまっておれ】
「むしり取る勢いで掴んどくね!!」
 むぎゅぅとノアの漆黒の鬣を握りしめると、ノアは痛がる様子もなく、すっと振動もなく立ち上がり、すぐさま走り出した。
 それから、ノアの背中に乗ったまま、私は山を駆け下り、沢を超え、また、山を登り、と、そんなことを何回か繰り返した。
 途中、なんだかよくわからない動物とか見かけたが、それらはノアがうなり声をあげた瞬間に尻尾を巻いて逃げて行った。
 そういう姿を見ると、ノアって本当にすごいんだろうなぁ、と思うのだが、でもやっぱり、ライオンだよね。と、なぜかそこに思考がたどり着いてしまうのだった。
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