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  【讃良王女】の父親は【葛城王子】ではあるが、母親は【蘇我遠智姫御子】であり、祖父は【蘇我石川麻呂】である。

姉の【大田姫】同様、実家の【蘇我石川】邸にて養育されたので、祖父や母親に対する愛着はかなり強かったのである。

【大田姫】6歳【讃良姫】4歳の時、祖父が謀叛の濡れ衣の罪を着せられ、【葛城王子】の軍勢に攻め込まれて自害に追い込まれたのだった。

母親も、この事変を嘆き、病床に就き、ついには、憤死したのである、


  【葛城王子】という御仁は【蘇我入鹿】【蘇我蝦夷】【古人大兄王子】らを攻め滅ぼしており、権力のためなら、平気で人殺しもいとわない人だということは、幼い姉妹にもわかっていた。
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