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 〔403〕【唐・新羅】には、韓半島の地固めや対【高句麗】戦の備えから、【倭国本土侵攻】など有り得ない!

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  【大海人王子】は、【尊光上人】の予知や助言がなくとも、【唐・新羅】の倭国本土侵攻は全くあり得ないと、考えていた。

しかし、外交・軍事には一切口出しをせず、ただひたすら、内政面の改革の観点から、【尊光上人】配下の豪族や中央政府の優秀な官吏を抜擢し、自派の勢力拡大に努めていた。


  【大海人】は、かつての【太子】がそうであったように、長文の書物を一読しただけで一字一句違わず、全文を暗記していた。

また、10人の官吏から、同時に奏上されても一言一句違わず、復唱するなど、ほとんど全ての官吏の尊敬と信頼を一身に集めていた。


  筑紫から、帰京した【葛城王子】も、この【大海人王子】の才能と優れた行政手腕を無視できず、自身の長女である【大田王女】と祝言を挙げさせた。

当初、この婚姻に反対していた【尊光上人】は、【大田王女】が【太子】と【橘大郎女】の曾孫であり、【日御子】の直系子女であることが判明するや、一転、積極的大賛成となった。

【大田王女】の母親は【蘇我倉山田石川麻呂】の娘【遠智娘】であり、母方の祖母が【橘大郎女】の娘であった。

【尊光上人】は【太子殿下】の女系子孫達が、孫と縁を持つ天与の運命に、今更ながら、驚いていた。
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