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 〔194〕『日出づる処の天子、書を日没する処の天子に致す。恙なきや!』【7】

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  【太子】のせっかくの言い含めにもかかわらず、【妹子】は対等国の国使として振る舞うことは出来なかった。

しかしながら、【太子】の自ら起草した奇想天外かつ丁重なる国書があったればこそ、独立国としての気位だけは【煬帝】に認めさせることが出来たのである。


  翌日、特例の【賜謁の儀】が行われた。

【煬帝】の心が前述の通りである以上、大がかりで、荘重かつ華麗なる前代未聞の儀式となった!

皇帝は改めて、国使である【小野妹子】を注視し、心中驚いた!


  先ず、容貌が立派で、風采が実に閑雅である。

恭敬でありながら、畏縮することなく、立居振る舞いは冷静沈着に進退坐作し、極めて礼法にかなっている。

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