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  第6章 587年『衣摺の戦い』において、【物部守屋】討ち取られ、ここに【物部本宗家】滅亡す!

 〔85〕【丁未の乱(衣摺の戦い)】勃発す!【5】

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  本来なら、【太子】や大将格の【馬子】が、【近未来予知】の結果を叫んだところで、誰も信用しないばかりか、疑心暗鬼に陥るだけであろう。

しかし、【四天王】の【御託宣】ともなれば、御利益ゴリヤクもあり、半信半疑ながらも、信ずるかもしれない、という【太子】の咄嗟の機転が功を奏したのである。


  【太子】も【馬子】も【仏法】に対する厚い信仰があったことはいうまでもない。

【太子】は大音声で演説をした。

「朝廷連合軍の諸王子、諸将、強兵諸人!」

「吾は今、仏法守護の【持国天】【増長天】【広目天】【多聞天】の【四天王】に御味方衆の勝利を祈る!」

「仰ぎ願わくは、須弥大山の中腹に鎮座まします【四尊天】よ!」

「今、お味方衆をして、この仏敵に勝利せしめタマうならば、必ずや【四尊天】のために、寺仏塔を建立し、長く供養しまつり、世々絶ゆることなからしめましょう!」

「誓願かくの如し、護らせ給え!!」

と、天を仰いで合掌、祈誓した。

 
  すると、【馬子】もまた、合掌して大声で叫んだ!

「よく聞け!」

「わしも誓願するぞ!」

「全ての諸尊天、大御神よ!」

「御味方衆を護って、この仏敵に勝たしめ給え!」

「勝利のアカツキには、【諸尊天】の寺仏塔を建て、【大御神】のためには大神殿を建て、末永く、神仏を敬い奉らん!!」


  二人のオゴソかな誓願を聞いて、【朝廷連合軍】の将兵の士気は高まり、連戦連敗による落ち込んだ気力は立ち直った。
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