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  第1章 【日御子(卑弥呼)】の直系女人【刀自古姫】の誕生!!

 〔5〕【物部大連】は愛娘から、事前に縁談の相談も受けず、いきなり【勅命】を受け、困惑す!

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  【蘇我大臣】は事前に、息子から縁談の話を聞かされていたので、突然の【勅命】にそれ程の動揺はなかった。

それに引き変え、【物部大連】は愛娘から何の相談も受けず、いきなりの【勅命】に苦渋に満ちていたが、内心では『怒髪衝天』し、今にも、卒倒しかねない勢いであった。


  【大連】にとって、【鎌姫】は大事な一人娘であり、眼に入れても痛くないほど、可愛がっていたので、手放すつもりはなかった。

行く行くは、物部一族から、優秀な婿を選び、宗家の跡目とする腹づもりだったので、他家に嫁にやるなど、一顧だにしていなかった。

ましてや、祖父の代から、犬猿の仲の【蘇我】の倅に、掌中の真珠を奪い獲られようとは夢にも思っていなかった。


  【勅命】が下るまで、せめて数日の猶予があれば、【大連】の絶大なる権力で、クツガエすことが出来たはずだが、今となっては詮無きことであろう。

・・・【鎌姫】の代になればこそ、【物部宗家】はさらなる発展が期待されたものを!・・・

・・・私の死後、あの凡庸な自尊心だけは妙に強い、腹違いの弟の【守屋】が跡を継げば・・・

・・・我が【物部宗家】は滅亡を余儀なくされるかもしれない・・・


  この【大連】は予知能力者ではないが、この不吉な予想は20年後、的中するのであった。

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