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  第9章 二種の神器【御神鏡】と【御神剣】

 〔108〕【アキ王家】のお家騒動・身内の謀叛!≪5≫

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  ミカは、この丞相を見て、違和感を感じた。

・・・丞相の腹の中は邪悪で真っ黒ではないか・・・
・・・言葉の上では実に潔く、死を覚悟してるって!?・・・
・・・【面従腹背】も、ここまで来ると、大したもんだ・・・
・・・さて、【私の殿下】はどう対処するか?・・・
・・・失望させないでよ、ねー・・・



  ハヤテが早速、反撃に出た。

「黙って聞いていれば、一国の丞相ともあろう者が、そこまで嘘・偽りを並べて、言い訳するとは、実に見苦しい!」


「嘘・偽りなどとは、断じて・・・」


「ない、と申されるか!?」
「それならば、何故、ここに参るを大幅に遅れた!?」


「そ・そ・その儀につきましては・・・」


「エエーィ!」
「黙らっしゃい!」
「それに、他国とはいえ、国王の裁断も得ずして、親戚同士の国の陪臣の首を跳ねよ、とは我らを女・子供と、愚弄して、おいでか!!」


「メ・メ・滅相もござりませぬ・・・」


マリン妃も口を出した。

「ハリムの叔父上!」
「仮に嘘でないならば、【鷹の爪】はこの濃霧の中、敵か味方か確認せずに実射した、と申されるか!?」
「この【鬼姫】が抜けて以来【鷹の爪】はいつから【爪をもがれた鷹】に成り下がった!」
「もう、悔しいやら情けないやら・・・まだ【嘘や偽り】の方がましです。」
「されど、この波止場に、親戚の我々がいることを承知の上で、叔父上が【鷹の爪】に命じたとあらば、納得します。」
「この濃霧の中で、我々の中に、剣の達人が、何十人いようと、【鷹の爪】なら、全滅できる。」
「兄王陛下が病床にある今、【お家乗っ取り】に邪魔となる我々全員を抹殺、死人に口なし、本家やキビ王家には、【ツモ国】のせいにすれば良い。」


「そんなバカな!」


ここでカリン妃が、

「何の証拠も無く、あれこれ詮索するのは止めましょう。」
「後は兄王陛下や王太后陛下の御裁可を仰ぎましょう。」
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