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しおりを挟むで、今ーー
その婚約者に会いました。今はまだ候補ですけど。ほぼ決定。
まだ俺たち6歳です。
「ベルリアーナ=アニデロイドでございます。お会いできて光栄です。」
俺の目の前に天使がいるんですが!!
サラサラと絡むことを知らない艶やかな紺髪。
伏せた目には、長いまつ毛。
その下にのぞくのは、陽を浴びたことのない白い肌。ほんのりとピンクに染めた頰。
緊張からか、体が少し震えているものの、しっかりとした声と崩れることのない跪礼。
顔をあげたそこには、
ぱっちり二重まぶたの大きなライム色の瞳。
ああ!なんて可愛いのだろう!!!
「はじめまして、ユトラ=エメラルドです。会えるのを心から楽しみにしていました、お会いでき嬉しいです。これからよろしくお願いしますね、ベルリアーナ=アニデロイド嬢。」
ひざまづき、ベルリアーナの手を取り、
チュッと、キスをする。
ベルリアーナを見ると、林檎のように顔を真っ赤にさせて、目にはうっすらと涙が…
えっ!なんで泣きそうなの?そんなに嫌だったの⁉︎
急いで立ち上がりながら乱暴にはせずに手を離す。
一歩下がって、おそるおそる、
「ベルリアーナ嬢?」
と声をかける。
「えっ、あっ、その」
顔を真っ赤にさせながら、わたわたと目を泳がせている。
あぁ、本当に可愛い過ぎるよ!抱きしめたい!
手が伸びそうになるのを、必死に理性で抑える。
「外で話そうか!」
そう言ってベルリアーナの手を取り、さりげなくエスコートする。
ベルリアーナは、自分の手と、俺の顔を交互に見ながら、目を見開いている。その間も「えっ、えっ?」って声を出している。本当に可愛い…
そうやって、お城の中庭に出る。
俺と兄の母親、王妃様が好きな薔薇の花がそれはそれは綺麗に咲き誇っている。
その真ん中にある東屋に、俺たち2人用にお茶とお菓子がセットされている。
お城のメイドたち、本当に優秀過ぎるよ。
イスを引き、ベルリアーナに座ってもらう。まだ、自分に何が起こっているのか理解しきれてないみたいだけど、少し落ち着いたみたい。
もう一つのイスに座り、一口紅茶を飲み舞い上がっている気持ちを落ち着かせる。
「急に連れ出しちゃってごめんね?
ずっと会いたかったから、会えて嬉しくて…」
出来るだけ気さくに話しかけてみる。
「い、いえ!わたくしもお会いしたかったので、うれしいです…」
俯いて顔を真っ赤にさせてもじもじしている。
ああ!本当に可愛い!!
自分さっきから可愛いしか思ってないな笑
って、ちょっと冷静になるけど、やっぱり可愛い。
気持ち悪いぐらいニヤニヤしてると思う…
ちょっと落ち着こう、うん。
深呼吸して、顔を引き締める。
「ユ、ユトラ殿下…
わたくしでよろしいのですか…?」
ん?どういうこと?
俺の婚約者はもう君しかいないよ…⁉︎
「うん。でも、どうしてそんなこと聞くの?」
聞き返してみる。
「そ、それは…
わたくしは、その、侯爵令嬢ですけど、それだけで…
ハルレアのように器量好しでもないですから…
こんなわたくしでよいのかと…」
ハルレア?って…
確かベルリアーナの妹だっけ?
そういえば…
ベルリアーナって、家では使用人のように使われているんだったけ…
えっ?なにそれ!なんで今頃思い出してんの俺!
大事なことじゃん!
悪役令嬢だから、性格が悪いと思ったけど、妹が溺愛されてて、愛されることを知らないから、ユトラを獲られたら本当に1人になっちゃうからじゃん!
だから、ユトラを獲られないためにヒロインいじめるんだった!
まじでクソ家族過ぎる!
ユトラもだけどさ!
初めて会った時は、まだ腐ってなかったから優しかったんだよなぁ、ユトラ。
それでベルリアーナはユトラに恋するんだよね、俺最低すぎる!
ってこれはまた後で考えることにして…
「僕は…
ベルリアーナでいい。じゃなくて、ベルリアーナがいいんだよ。
会うのは初めてなのにこんなこと言うのは変かもしれないけど…
僕はベルリアーナが好きだよ。」
「…えっ」
ベルリアーナはまた、林檎みたいに顔を真っ赤にさせている。
「そうやってすぐに真っ赤になっちゃうところとか…
僕のことを気にしてくれる優しいところとが、好きだよ。」
ベルリアーナの目をちゃんと見て、伝える。
「わ、わたくしのことが…すき?」
「うん!」
ベルリアーナの膝の上で固く握り締めている手を両手で包み、笑顔で頷いた
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