4 / 21
演習 《狩猟》
しおりを挟む
「ヴィル!前方にマグズルとエルラリードルが居るよ。日も落ちてきたし夕食用に狩っちゃう?」
結局ルーイにはヴィルと呼ばれる事になった。僕のフランと混同して会話がややこしくなるからだ。
二人はスタートしてから4日目の夕方を迎えていた。3日目の朝一番にチェックポイントで対象品も受け取ってきている。対象品は筒状の魔道具だった。チェックポイントで受け取る時に、筒はゴールするまで開けてはいけないと説明を受けていた。
ルーイとは気が合うというか波長が合うというか、急ごしらえのチームとは思えないくらい連携を取ることが出来ている。そもそも気負わず誰かと話せることなど初めての経験で少々気分も高揚している。
「そうだな、エルラリードルを狩ろう」
「了解!」
エルラリードルはキジに似た鳥型の魔獣だ。キジに似たと言っても魔獣なだけあり、鋭い嘴と鉤爪は殺傷能力を備えている。
魔獣がとまっている木の枝はさほど高い位置ではない。気配を殺したルーイが魔獣の側面に周り込み、その足元にナイフを投げる。
ほんの僅かにずらしたタイミングで投げた俺のナイフが魔獣を仕留めた。ルーイのナイフを避けて魔獣が飛んで逃げるのが分かっていたのでそれに合わせたのだ。
落ちた魔獣を拾ったルーイがナイフを抜いて返してくれる。
「やったね、肉付きいいよ!血抜きして下ごしらえしておくから火を熾しておいてー」
「了解」
特に打ち合わせ無しでも阿吽の呼吸で難なく仕留めた後、調理の準備も無駄なく進めていく。
たまたま引いたクジでルーイとチームを組めたのは本当に幸運だった。演習が滞りなくこなせるのは勿論、何よりこんなに会話が出来るなんて思ってもみなかったからだ。
ルーイには相手を身構えさせない何かがある。
その何かは魔獣を従魔にできる才も多少は関係あるのかもしれないな。
そんな事を思いながら拾った薪を組んだ。火をつける前に野営地の周囲に他チームからの襲撃に備えて探知をジャミングする機能を持ち合わせた目くらましの魔法を張り巡らせる。
結界を張れば魔物からの襲撃は完全に防げるが、人間相手だと逆に場所を特定されやすいのだ。
「ヴィルは首位を狙っていないんだね」
「ん?」
手はしっかりと動かしながらルーイが話しかけてくる。
「だって、チェックポイントには急げば僕らならもっと早くにも辿り付けたよね?」
「まぁな」
「食事もある程度抜いて足を止めずに進むことも出来るのに、きっちり三食狩って食べてるし、狩る魔獣もランクで選んでないよね?」
先刻探知で見つけたマグズルはエルラリードルよりランクが二つ上ではあった。
「なるべくランクの高い魔獣を選んだ方が成績にも反映されそうなのに」
この時期にここでこのような演習を行うのには恐らく増えすぎたら危険となる魔獣の間引きも兼ねていると思われる。
なので危険度が高く倒せそうな魔獣を見かけたらそれを狩るつもりではあるが。
マグズルは見た目は熊に似ていて恐ろしく、ランクも高いがこちらから襲わない限りは危険な魔獣ではない。希少な素材が取れる為に数も少ないくらいだ。
そして素材は取れるが肉は不味い。
対してエルラリードルはランクは低く小型だがそのぶん数が増えやすく攻撃的な性質だ。
「エルラリードルの方が美味いだろ」
「そりゃー勿論!って、んー、なんとなーく君の考えてる事は分かる気がするけど…」
「無理して急いでも良いことは無い。身の丈に合わせて地道に確実にが一番だ」
周りは優秀な人間ばかりだ。凡人が焦って無理をしても足元を掬われる。
「あれ?そっち?ヴィルの実力からいって無理ってことはないと思うんだけどな…」
「…ルーイは首位を狙っていたのか?」
そうだとしたら申し訳ない。
「ううん、僕は及第点取れてれば大丈夫!」
「俺もだな」
「貴族の人は意識高いっていうの?家の体面?とかあるからなのかな?出来る限り上位を目指してる人がほとんどじゃない?」
話しているうちに完全に陽は落ちて辺りが暗くなっていた。捌いた肉を炙っている焚き火がお互いの顔を照らしている。
「そうだな、元々優秀な上に意識して努力している人は凄いとは思う」
「ヴィルだって優秀でしょー、やれば出来る子だよー」
やれば出来る子って…
「ははっ、ルーイは面白いな。俺は貴族といっても気楽な三男だからな」
家督は年の離れた優秀な長男が既に継いでくれているのである。自身で身を立てる必要は生じるが、コミュ障の俺にとっては有難い状況だ。
両親も息子達の裁量に任せるタイプであるので、もし騎士以外の道を選んだとしても咎められはしなかっただろう。
「冗談抜きで、ヴィルは自己評価低いと思うんだよねー。ヴィルなら首位も取れるって」
「いや、買い被りにも程がある。それに首位にはジストナーが居るだろ」
「ああ、万年首位の天才!ジストナー・アイド・レーベン!名前だけは流石に知ってるよ。魔力は膨大、剣の腕も立つ、それでいて座学も首位!彼は別格だよー。凄いよねぇ」
自分の事ではないがジストナーが褒められると嬉しい。
「ああ、ジストナーは凄い」
「ん?もしかして知り合い?」
「同じクラスで寮でも隣室だ」
「友達なんだね」
た…多分?
良い塩梅に焼けて香ばしい香りの肉に齧り付きながら答える。
「俺の唯一の…友達…かな?」
友達という言葉に、いつもとは理由の違うモヤモヤした気持ちも湧く。友達になりたいと思っていたはずなのだが、今は友達では満足できないというか…
「他の友達とは違う、親友ってこと?」
「あ、いや」
内心の葛藤を知るはずもないルーイが会話を続ける。『唯一の』という言葉を『特別仲が良い』と解釈したようだった。
「そうではなく、言葉通り、ほぼジストナーとしか話したことが無い。ジストナーとも友達かどうかも怪しい」
「えっ?どうして?」
驚いたルーイが食べる手を止めて目を丸くして聞いてくる。
「どうということも無いんだが…ただ俺が口下手であまり人と話せないから友達ができないだけで…」
自分で言っていて非常に情けない。
「えっ?普通に喋ってるよね?」
「ルーイとは何故か話せているな。この数日の会話は一年分以上の会話量だと言っても過言ではない」
「えーー?!」
ルーイと同様、俺も驚いている。
家族ともこんなに話したことはない。家族仲は良好だが、全員言葉数が少ない方なのだ。
「ルーイは何か他の人とは違う」
人柄も勿論だが、それだけではない何かがあると感じている。
「人を構えさせない…本音を言うのに抵抗を感じさせない…特別な力みたいなものを感じる気がするんだが…心当たりはないか?」
食べ終わったガラを焚き火にポンと放り込んでから聞いてみた。
「あー、えと、話しやすいとは良く言われるかなぁ…?」
さっきまでとは様子が変わり、逸らされた目が泳いでる。
「…言えないことだったか?…すまん。聞いて悪かったな」
「あ、いや、そうじゃなくて!…」
ルーイは謝った俺に申し訳なさそうにオロオロと動揺を見せた後、黙り込んで残りの夕食を食べた。
結局ルーイにはヴィルと呼ばれる事になった。僕のフランと混同して会話がややこしくなるからだ。
二人はスタートしてから4日目の夕方を迎えていた。3日目の朝一番にチェックポイントで対象品も受け取ってきている。対象品は筒状の魔道具だった。チェックポイントで受け取る時に、筒はゴールするまで開けてはいけないと説明を受けていた。
ルーイとは気が合うというか波長が合うというか、急ごしらえのチームとは思えないくらい連携を取ることが出来ている。そもそも気負わず誰かと話せることなど初めての経験で少々気分も高揚している。
「そうだな、エルラリードルを狩ろう」
「了解!」
エルラリードルはキジに似た鳥型の魔獣だ。キジに似たと言っても魔獣なだけあり、鋭い嘴と鉤爪は殺傷能力を備えている。
魔獣がとまっている木の枝はさほど高い位置ではない。気配を殺したルーイが魔獣の側面に周り込み、その足元にナイフを投げる。
ほんの僅かにずらしたタイミングで投げた俺のナイフが魔獣を仕留めた。ルーイのナイフを避けて魔獣が飛んで逃げるのが分かっていたのでそれに合わせたのだ。
落ちた魔獣を拾ったルーイがナイフを抜いて返してくれる。
「やったね、肉付きいいよ!血抜きして下ごしらえしておくから火を熾しておいてー」
「了解」
特に打ち合わせ無しでも阿吽の呼吸で難なく仕留めた後、調理の準備も無駄なく進めていく。
たまたま引いたクジでルーイとチームを組めたのは本当に幸運だった。演習が滞りなくこなせるのは勿論、何よりこんなに会話が出来るなんて思ってもみなかったからだ。
ルーイには相手を身構えさせない何かがある。
その何かは魔獣を従魔にできる才も多少は関係あるのかもしれないな。
そんな事を思いながら拾った薪を組んだ。火をつける前に野営地の周囲に他チームからの襲撃に備えて探知をジャミングする機能を持ち合わせた目くらましの魔法を張り巡らせる。
結界を張れば魔物からの襲撃は完全に防げるが、人間相手だと逆に場所を特定されやすいのだ。
「ヴィルは首位を狙っていないんだね」
「ん?」
手はしっかりと動かしながらルーイが話しかけてくる。
「だって、チェックポイントには急げば僕らならもっと早くにも辿り付けたよね?」
「まぁな」
「食事もある程度抜いて足を止めずに進むことも出来るのに、きっちり三食狩って食べてるし、狩る魔獣もランクで選んでないよね?」
先刻探知で見つけたマグズルはエルラリードルよりランクが二つ上ではあった。
「なるべくランクの高い魔獣を選んだ方が成績にも反映されそうなのに」
この時期にここでこのような演習を行うのには恐らく増えすぎたら危険となる魔獣の間引きも兼ねていると思われる。
なので危険度が高く倒せそうな魔獣を見かけたらそれを狩るつもりではあるが。
マグズルは見た目は熊に似ていて恐ろしく、ランクも高いがこちらから襲わない限りは危険な魔獣ではない。希少な素材が取れる為に数も少ないくらいだ。
そして素材は取れるが肉は不味い。
対してエルラリードルはランクは低く小型だがそのぶん数が増えやすく攻撃的な性質だ。
「エルラリードルの方が美味いだろ」
「そりゃー勿論!って、んー、なんとなーく君の考えてる事は分かる気がするけど…」
「無理して急いでも良いことは無い。身の丈に合わせて地道に確実にが一番だ」
周りは優秀な人間ばかりだ。凡人が焦って無理をしても足元を掬われる。
「あれ?そっち?ヴィルの実力からいって無理ってことはないと思うんだけどな…」
「…ルーイは首位を狙っていたのか?」
そうだとしたら申し訳ない。
「ううん、僕は及第点取れてれば大丈夫!」
「俺もだな」
「貴族の人は意識高いっていうの?家の体面?とかあるからなのかな?出来る限り上位を目指してる人がほとんどじゃない?」
話しているうちに完全に陽は落ちて辺りが暗くなっていた。捌いた肉を炙っている焚き火がお互いの顔を照らしている。
「そうだな、元々優秀な上に意識して努力している人は凄いとは思う」
「ヴィルだって優秀でしょー、やれば出来る子だよー」
やれば出来る子って…
「ははっ、ルーイは面白いな。俺は貴族といっても気楽な三男だからな」
家督は年の離れた優秀な長男が既に継いでくれているのである。自身で身を立てる必要は生じるが、コミュ障の俺にとっては有難い状況だ。
両親も息子達の裁量に任せるタイプであるので、もし騎士以外の道を選んだとしても咎められはしなかっただろう。
「冗談抜きで、ヴィルは自己評価低いと思うんだよねー。ヴィルなら首位も取れるって」
「いや、買い被りにも程がある。それに首位にはジストナーが居るだろ」
「ああ、万年首位の天才!ジストナー・アイド・レーベン!名前だけは流石に知ってるよ。魔力は膨大、剣の腕も立つ、それでいて座学も首位!彼は別格だよー。凄いよねぇ」
自分の事ではないがジストナーが褒められると嬉しい。
「ああ、ジストナーは凄い」
「ん?もしかして知り合い?」
「同じクラスで寮でも隣室だ」
「友達なんだね」
た…多分?
良い塩梅に焼けて香ばしい香りの肉に齧り付きながら答える。
「俺の唯一の…友達…かな?」
友達という言葉に、いつもとは理由の違うモヤモヤした気持ちも湧く。友達になりたいと思っていたはずなのだが、今は友達では満足できないというか…
「他の友達とは違う、親友ってこと?」
「あ、いや」
内心の葛藤を知るはずもないルーイが会話を続ける。『唯一の』という言葉を『特別仲が良い』と解釈したようだった。
「そうではなく、言葉通り、ほぼジストナーとしか話したことが無い。ジストナーとも友達かどうかも怪しい」
「えっ?どうして?」
驚いたルーイが食べる手を止めて目を丸くして聞いてくる。
「どうということも無いんだが…ただ俺が口下手であまり人と話せないから友達ができないだけで…」
自分で言っていて非常に情けない。
「えっ?普通に喋ってるよね?」
「ルーイとは何故か話せているな。この数日の会話は一年分以上の会話量だと言っても過言ではない」
「えーー?!」
ルーイと同様、俺も驚いている。
家族ともこんなに話したことはない。家族仲は良好だが、全員言葉数が少ない方なのだ。
「ルーイは何か他の人とは違う」
人柄も勿論だが、それだけではない何かがあると感じている。
「人を構えさせない…本音を言うのに抵抗を感じさせない…特別な力みたいなものを感じる気がするんだが…心当たりはないか?」
食べ終わったガラを焚き火にポンと放り込んでから聞いてみた。
「あー、えと、話しやすいとは良く言われるかなぁ…?」
さっきまでとは様子が変わり、逸らされた目が泳いでる。
「…言えないことだったか?…すまん。聞いて悪かったな」
「あ、いや、そうじゃなくて!…」
ルーイは謝った俺に申し訳なさそうにオロオロと動揺を見せた後、黙り込んで残りの夕食を食べた。
27
お気に入りに追加
370
あなたにおすすめの小説
最後にひとつだけお願いしてもよろしいでしょうか
鳳ナナ
恋愛
第二王子カイルの婚約者、公爵令嬢スカーレットは舞踏会の最中突然婚約破棄を言い渡される。
王子が溺愛する見知らぬ男爵令嬢テレネッツァに嫌がらせをしたと言いがかりを付けられた上、
大勢の取り巻きに糾弾され、すべての罪を被れとまで言われた彼女は、ついに我慢することをやめた。
「この場を去る前に、最後に一つだけお願いしてもよろしいでしょうか」
乱れ飛ぶ罵声、弾け飛ぶイケメン──
手のひらはドリルのように回転し、舞踏会は血に染まった。
外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜
KeyBow
ファンタジー
この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。
人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。
運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。
ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
龍王陛下は最強魔術師の王配を溺愛する
秋月真鳥
BL
ヨシュアはラバン王国の王弟で、魔術師だ。
大陸で一番大きな国であり、国土の隅々まで水の加護が行き渡って、豊かに栄える志龍(ジーロン)王国の龍王と政略結婚をする。
結婚式前の顔合わせで龍王は言った。
「あなたを愛するつもりはない」
それに対して、ヨシュアの反応は冷ややかなものだった。
「アクセサリーを愛するなんて、あなたは変態なのですか?」
険悪に始まった結婚生活。
ヨシュアと龍王は打ち解けて、歩み寄り、平和な家庭を築けるのか。
政略結婚から始まる中華風ボーイズラブ。
一章はくっ付くまでの物語、二章からは甘々のラブラブ日常物語です。
※奇数話が龍王(攻め)視点、偶数話がヨシュア(受け)視点です。
※険悪から始まるのでなかなかエロには到達しません。
他サイトにも掲載しています。
転移先は薬師が少ない世界でした
饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。
神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。
職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。
神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。
街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。
薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。
悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい
たなぱ
BL
生前、社畜だったおれの部屋に入り浸り、男のおれに乙女ゲームの素晴らしさを延々と語り、仮眠をしたいおれに見せ続けてきた妹がいた
人間、毎日毎日見せられたら嫌でも内容もキャラクターも覚えるんだよ
そう、例えば…今、おれの目の前にいる赤い髪の美少女…この子がこのゲームの悪役令嬢となる存在…その幼少期の姿だ
そしておれは…文字としてチラッと出た悪役令嬢の行いの果に一家諸共断罪された兄
ナレーションに
『悪役令嬢の兄もまた死に絶えました』
その一言で説明を片付けられ、それしか登場しない存在…そんな悪役令嬢の兄に転生してしまったのだ
社畜に優しくない転生先でおれはどう生きていくのだろう
腹黒?攻略対象×悪役令嬢の兄
暫くはほのぼのします
最終的には固定カプになります
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
父の浮気相手は私の親友でした。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるティセリアは、父の横暴に対して怒りを覚えていた。
彼は、妻であるティセリアの母を邪険に扱っていたのだ。
しかしそれでも、自分に対しては真っ当に父親として接してくれる彼に対して、ティセリアは複雑な思いを抱いていた。
そんな彼女が悩みを唯一打ち明けられるのは、親友であるイルーネだけだった。
その友情は、大切にしなければならない。ティセリアは日頃からそのように思っていたのである。
だが、そんな彼女の思いは一瞬で打ち砕かれることになった。
その親友は、あろうことかティセリアの父親と関係を持っていたのだ。
それによって、ティセリアの中で二人に対する情は崩れ去った。彼女にとっては、最早どちらも自身を裏切った人達でしかなくなっていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる